ソーセージ男爵

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ソーセージ男爵 - (2007/08/03 (金) 10:08:05) の1つ前との変更点

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#contents *はじめに 旧・趣味の研究室(@GeocitiesJapan)に掲載していた、ソーセージの語源がソーセージ男爵によるものとのネタ(1998年)と、ハムがハム公爵に由来するという続ネタ(2000年)です。珍説が流布されていくのかを調べるのが目的だったのですが、メールチェーンを扱ったページ(MLM)が個人情報を理由にデリられてしまい、十分流布させることができませんでした。数回、メールで取材を受けたぐらいでした。 読み返すと、つたない文章に感じますが、今もそんなに変わってないかと思ったりもします。 *ソーセージ男爵  ソーセージはお好きでしょうか。「私はフランクが大の好物でね」などという声が聞こえてきそうです。ですが、よくよく考えてみると、ソーセージについて知らないことが多いのではないでしょうか。そもそもソーセージとは何なのでしょうか。また名前についてもソーセージ、フランクフルトの他にもウィンナーとか、呼び名がいろいろあって何が何なのかさっぱりわかりません。 **ソーセージの語源、諸説  ソーセージの語源をご存知でしょうか。 一般には、 -Sau(牝豚)とSage(香辛料のセージ)という語が合成されてできたという説 -ラテン語のSalsus(塩漬け)からきたという説 -Sauce(塩水)とAge (寝かす)、つまり塩漬して熟成させた物がソーセージであるという説 などの諸説があります(参考:ハム・ソーセージの名称に関するうんちく)。しかしこれらの説は、いずれも万人を納得させるには至っていません。 それもそのはずです。実はソーセージは人名から来た名前なのです。ソーセージ男爵から。 **ソーセージ男爵とは  サンドイッチがサンドイッチ伯爵に由来するというのはあまりにも有名な話です。博打に興じすぎ手軽に食事をとるためにサンドイッチを発明したというサンドイッチ伯爵の逸話は語り継がれてきたのに対して、ソーセージ男爵の逸話はこれまで、特に日本ではあまり知られることがありませんでした。  ソーセージ男爵の家柄は古代ローマ時代まで遡ります。古代ローマにおける代表的な塩の生産地のあったメッシナで大規模な塩田経営をしていたサル氏がソーセージ男爵の祖先に当たります。古くから塩は人々の生活になくてはならないものであり、それを支配する者は絶大な力を持っていました。  塩がいかに貴重であったかを示すエピソードは数多くあります。日本の戦国時代、内陸国であった甲斐武田氏は塩止めをされて窮地に陥りましたが、敵である上杉謙信から塩を送られてこの窮地から脱したのです。これが「敵に塩を送る」のいわれとなったのですが、日本に限らず、古来、塩は貴重なものでした。upper saltといえば、英語で上流階級を示しますが、これも食卓に塩を置いておけるのは上流階級のみであったからなのであり、salary(給料)もsalt(塩)に関係が深い言葉です。また、中国では税源として塩の専売制が古くから採られており、最近まで日本でもこれを真似た専売制度がありました。  サル氏も例に漏れず、膨大な富と権力を手にするようになりました。塩田経営の一環として塩の流通にも手を伸ばしていたサル氏は一族を各地に分散させており、現在のドイツに移住させたのがサルサージュ一族です。なお、サル氏はテオドシウス帝時代に地方反乱の渦に巻き込まれて滅んでしまいました。  サルサージュ氏はザクセン朝のハインリッヒ一世に貢献したとして男爵位を賜り、現在のフランクフルト近郊に領地を得ました。この頃、サルサージュというラテン系の名前から、ザウサーゲンというゲルマン風の名前に改めています。領地を得たフランクフルト地方一帯は古くから肉の塩漬け、特に腸詰めの名産地でした。ソーセージ男爵家の2代目当主であったピーター・フォン・ザウサーゲンの時代、かの有名なフランクフルトの大火が起こりました。ザウサーゲン男爵の屋敷も半焼しましたが、偶然貯蔵庫に保管されていた腸詰めが煙に燻され、とても美味な腸詰めとなったのです。ピーターはこれに目を付け、フランクフルトの肉屋ギルドに指示して、この燻製された腸詰めを作らせフランクフルト復興の一翼を担わせました。人々は、ピーターに敬意を込めて、この腸詰めはソーセージと呼ばれるようになりました。  ソーセージは地名から取られた名前を持つバリエーションが数多く存在しますが、特に大きなソーセージをフランクフルトと呼ばれるようになったのも、ザウサーゲン男爵がフランクフルト近郊に住んでいたからなのです。  なお、ソーセージとの読みは、ザウサーゲンを英語読みしたソーセージンの末尾のnが抜け落ちたものです。つまり、正式にはソーセージ男爵ではなくザウサーゲン男爵なのですが、愛着を込めてソーセージ男爵と今では呼ばれています。また、ソーセージ通は今でもソーセージのことをソーセージンと称するそうです。 *ハム公爵  バラ肉などを塩漬けにしたベーコンは、フランシス=ベーコン(1561-1626)にちなんで名付けられたのは有名な話です。ソーセージもまた、人名に由来する名称ですが(ソーセージ男爵を参照)、西洋の食べ物にはその名を、人の名や地名に由来するものが多いと言うことは、ビーフ・ストロガノフやフランクフルトなど例を挙げるまでもなく、一般に知られていることでしょう。このページでご紹介するハム公爵は、ハムサンドなどに使われるハムのいわば名付け親といえるかも知れません。 **ハム公爵とは  ハム公爵は、中世のドイツ、正確に言うとまだドイツが国家として成立する以前の東フランク王国時代に起源を有する土豪で、現在のハンブルグあたりに本拠地がありました。ハンブルグという名はハム公爵の「ham」に町を表す「burg」が付いた名前で、ロシアのサンクトペテルブルグが聖ペテロの町を表すように、ハンブルグはハム公爵の町という意味です。  ハム公爵は商人を保護し、ハンブルグはドイツ30年戦争以前までは大変に栄えましたが、ハム公爵家は相次ぐ内部抗争により没落してしまいました。 **ハム公爵の名残り  ハム公爵はまた畜肉産業の育成にも力を注ぎ、ハムをはじめ、挽肉料理であるハンバーグもハンブルグで生まれました。正確にはハンバーグ(hamburg steak)はハム公爵が滅亡した後に一般化しましたので、その名前はハンブルグに由来するものですが、ハムの方はハム公爵自身味わっていたようです。 **その他にも  消費量が少ないためか日本ではあまり知られていませんが、サラミはサラミス侯爵に由来する名前です。 *コメント - qumoqernau2 f1krm2jary 314bl7dr6797uto5 -- cf9ncbslls (2007-06-23 16:26:31) - ytq9gpya5501 bn8aninn 52to1faelv -- ptp6l5tnkq (2007-07-18 01:07:09) #comment(size=50,nsize=20,vsize=3)
ソーセージ男爵 #contents *はじめに 旧・趣味の研究室(@GeocitiesJapan)に掲載していた、ソーセージの語源がソーセージ男爵によるものとのネタ(1998年)と、ハムがハム公爵に由来するという続ネタ(2000年)です。珍説が流布されていくのかを調べるのが目的だったのですが、メールチェーンを扱ったページ(MLM)が個人情報を理由にデリられてしまい、十分流布させることができませんでした。数回、メールで取材を受けたぐらいでした。 読み返すと、つたない文章に感じますが、今もそんなに変わってないかと思ったりもします。 *ソーセージ男爵  ソーセージはお好きでしょうか。「私はフランクが大の好物でね」などという声が聞こえてきそうです。ですが、よくよく考えてみると、ソーセージについて知らないことが多いのではないでしょうか。そもそもソーセージとは何なのでしょうか。また名前についてもソーセージ、フランクフルトの他にもウィンナーとか、呼び名がいろいろあって何が何なのかさっぱりわかりません。 **ソーセージの語源、諸説  ソーセージの語源をご存知でしょうか。 一般には、 -Sau(牝豚)とSage(香辛料のセージ)という語が合成されてできたという説 -ラテン語のSalsus(塩漬け)からきたという説 -Sauce(塩水)とAge (寝かす)、つまり塩漬して熟成させた物がソーセージであるという説 などの諸説があります(参考:ハム・ソーセージの名称に関するうんちく)。しかしこれらの説は、いずれも万人を納得させるには至っていません。 それもそのはずです。実はソーセージは人名から来た名前なのです。ソーセージ男爵から。 **ソーセージ男爵とは  サンドイッチがサンドイッチ伯爵に由来するというのはあまりにも有名な話です。博打に興じすぎ手軽に食事をとるためにサンドイッチを発明したというサンドイッチ伯爵の逸話は語り継がれてきたのに対して、ソーセージ男爵の逸話はこれまで、特に日本ではあまり知られることがありませんでした。  ソーセージ男爵の家柄は古代ローマ時代まで遡ります。古代ローマにおける代表的な塩の生産地のあったメッシナで大規模な塩田経営をしていたサル氏がソーセージ男爵の祖先に当たります。古くから塩は人々の生活になくてはならないものであり、それを支配する者は絶大な力を持っていました。  塩がいかに貴重であったかを示すエピソードは数多くあります。日本の戦国時代、内陸国であった甲斐武田氏は塩止めをされて窮地に陥りましたが、敵である上杉謙信から塩を送られてこの窮地から脱したのです。これが「敵に塩を送る」のいわれとなったのですが、日本に限らず、古来、塩は貴重なものでした。upper saltといえば、英語で上流階級を示しますが、これも食卓に塩を置いておけるのは上流階級のみであったからなのであり、salary(給料)もsalt(塩)に関係が深い言葉です。また、中国では税源として塩の専売制が古くから採られており、最近まで日本でもこれを真似た専売制度がありました。  サル氏も例に漏れず、膨大な富と権力を手にするようになりました。塩田経営の一環として塩の流通にも手を伸ばしていたサル氏は一族を各地に分散させており、現在のドイツに移住させたのがサルサージュ一族です。なお、サル氏はテオドシウス帝時代に地方反乱の渦に巻き込まれて滅んでしまいました。  サルサージュ氏はザクセン朝のハインリッヒ一世に貢献したとして男爵位を賜り、現在のフランクフルト近郊に領地を得ました。この頃、サルサージュというラテン系の名前から、ザウサーゲンというゲルマン風の名前に改めています。領地を得たフランクフルト地方一帯は古くから肉の塩漬け、特に腸詰めの名産地でした。ソーセージ男爵家の2代目当主であったピーター・フォン・ザウサーゲンの時代、かの有名なフランクフルトの大火が起こりました。ザウサーゲン男爵の屋敷も半焼しましたが、偶然貯蔵庫に保管されていた腸詰めが煙に燻され、とても美味な腸詰めとなったのです。ピーターはこれに目を付け、フランクフルトの肉屋ギルドに指示して、この燻製された腸詰めを作らせフランクフルト復興の一翼を担わせました。人々は、ピーターに敬意を込めて、この腸詰めはソーセージと呼ばれるようになりました。  ソーセージは地名から取られた名前を持つバリエーションが数多く存在しますが、特に大きなソーセージをフランクフルトと呼ばれるようになったのも、ザウサーゲン男爵がフランクフルト近郊に住んでいたからなのです。  なお、ソーセージとの読みは、ザウサーゲンを英語読みしたソーセージンの末尾のnが抜け落ちたものです。つまり、正式にはソーセージ男爵ではなくザウサーゲン男爵なのですが、愛着を込めてソーセージ男爵と今では呼ばれています。また、ソーセージ通は今でもソーセージのことをソーセージンと称するそうです。 *ハム公爵  バラ肉などを塩漬けにしたベーコンは、フランシス=ベーコン(1561-1626)にちなんで名付けられたのは有名な話です。ソーセージもまた、人名に由来する名称ですが(ソーセージ男爵を参照)、西洋の食べ物にはその名を、人の名や地名に由来するものが多いと言うことは、ビーフ・ストロガノフやフランクフルトなど例を挙げるまでもなく、一般に知られていることでしょう。このページでご紹介するハム公爵は、ハムサンドなどに使われるハムのいわば名付け親といえるかも知れません。 **ハム公爵とは  ハム公爵は、中世のドイツ、正確に言うとまだドイツが国家として成立する以前の東フランク王国時代に起源を有する土豪で、現在のハンブルグあたりに本拠地がありました。ハンブルグという名はハム公爵の「ham」に町を表す「burg」が付いた名前で、ロシアのサンクトペテルブルグが聖ペテロの町を表すように、ハンブルグはハム公爵の町という意味です。  ハム公爵は商人を保護し、ハンブルグはドイツ30年戦争以前までは大変に栄えましたが、ハム公爵家は相次ぐ内部抗争により没落してしまいました。 **ハム公爵の名残り  ハム公爵はまた畜肉産業の育成にも力を注ぎ、ハムをはじめ、挽肉料理であるハンバーグもハンブルグで生まれました。正確にはハンバーグ(hamburg steak)はハム公爵が滅亡した後に一般化しましたので、その名前はハンブルグに由来するものですが、ハムの方はハム公爵自身味わっていたようです。 **その他にも  消費量が少ないためか日本ではあまり知られていませんが、サラミはサラミス侯爵に由来する名前です。

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