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[[前へ>ドラーモン作大長編 その15]] 《インターミッション》 &color(red){注:男のたしなみ} 俺はジャイアン、ガキ大将。 ルネジムをクリアしてから俺様が何をしていたか教えてやるぜ。 ダイビングでルネを出た俺様はキナギタウンに向かうつもりだった。 しかしその道中、なんとあのマホとナホを見かけてしまったんだ。 俺は迷った。 このまま何の関わりにもならないまま二人から遠ざかるか、それとも後を尾行するか。 そして俺は後者を選択した。 理由はただひとつ、俺が持っている男のたしなみアイテム(今までの戦利品)が 限界を超えていたからだ。 新たなるオカズ…いやロマンを求めて俺は二人を追うことにした。 それからは一瞬一瞬が真剣勝負だった。 野宿しているマホとナホが寝静まるまでダイビングで海中に身を潜め、 そしてこっそりと下着を拝借した。 『絶対気付かれてはいけない』という緊張感と『二人が知らない』という 背徳感に俺様も興奮しっぱなしだ。 無論たしなんだ後は元に戻しておく。 そう、盗んでしまうと二人に警戒されるかもしれないからだ、俺って頭いいぜ。 こうして俺は毎日新鮮な使用済み下着を堪能しつつ、 二人の後を付かず離れず尾行していた。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} そして翌日はトクサネに到着しようかというその日の夜。 俺はついにやってしまった。 その日もいつものように、砂浜に寝ている二人のバッグから 使用済み下着を取り出す。 『1、2…ひとり4枚、合わせて8枚か』 彼女等は必要な枚数だけしっかりと替え下着を用意していたようだ。 約四日間の旅をしてきたことがわかる。 『今日は最後だから今までの分も全部使ってやるぜ』 さすが俺様、大物ならではの発想だぜ。 『頭部、そして腕部装着完了!』 せっかくだから4枚まとめてかぶってみる。 そして両手に2枚ずつ、準備は完了だ。 その時、不意に俺の目の前に一匹のポケモンが現れた。 青と白の2色で彩られた大きなポケモンは俺を不思議そうに見ている。 『コイツは……そうだ、ラティオス!』 ゲームではいつもすぐ逃げるからイライラしてぶっ殺してた あの伝説のポケモンが目の前にいる。 俺は別の意味で興奮しちまったね。 一発勝負、手持ちで最も捕獲率が高いハイパーボールで行くしかない! 「いけ、ハイパーボール!」 「うーん…なに~」 ボールを投げようとしたジャイアンの背後から声がする。 ジャイアンが思わず振り向くと、 目を覚まして体を起こしたナホと目が合ってしまった。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} 「……」 「……」 「……よ、よう。久しぶり」 気まずい沈黙を俺が破ると、ナホは大きく息を吸い込んだ。 「いやあああああああああっっ!!」 その声に驚いてラティオスは空高く飛んでいってしまう。 俺は千載一遇のチャンスを潰したわけさ…… だが今はそれどころじゃない。 「先輩、先輩!変態が!」 「ひいっ、以前私たちを視姦していたあの子供よっ!」 マホとナホが一斉にボールを投げる。 現れた2体のトドグラーは俺様を強襲し、 のしかかられて動きが取れなくなってしまった。 「さて、この変態小僧をどうしますか?先輩」 「やっぱり警察に突き出すしかないわね」 そんな二人の相談を聞いて俺はゾッとした。 さすがに犯罪者にはなりたくない。 俺は万引きGメンに許しを請うように二人に助けを求める。 「わ、悪かったよ。取った下着買い取るからさ、へへへ」 口に出した後で気が付いたが、これは完璧に援交オヤジの発言だ。 しかし、ジャイアンの発言は二人の少女に予期せぬリアクションを取らせた。 「先輩、お金だって……」 「そ、それは魅力的な提案ね……」 チャンス、お金は効果抜群だ! すかさず二回目の攻撃をたたき込む。 「俺様を警察に突き出しても一銭も入らないぜ。いくら欲しいんだよ、言ってみな」 もう完全に現行犯の痴漢の言う台詞である。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} マホとナホはひそひそと相談を始めた。 『ふ、俺は勝算があってこの提案をしたんだぜ』 そう、毎晩バッグを漁っていたので二人の経済状況も欲しい物も把握している。 こういうプチ情報も男のたしなみをするにはスパイスになるのだ。 「じゃあ、あんたみたいな子供に出せるかわからないけど……」 「下着1枚につき1万、計8万出せるなら許してあげるわ!」 俺様は想定内の金額が来たことににやりとした。 そして彼女等に次のトラップを仕掛ける。 「わ、わかった、8万だな…俺のバッグに財布が入ってるから取ってくれ」 マホとナホは俺を警戒しながらバッグを物色する。 中から取り出した俺の財布の中身を見て、二人の顔色が変わった。 「ナホ…80万以上入ってるわ」 「先輩、こいつすごい金持ちです……」 その光景に二人の目は釘づけになっていた。 『くくく、レイカやミツグを何度も狩っていた甲斐があったぜ』 そして俺はマホとナホに最後の選択を迫る。 「買うのは8枚でいいのか?まだ買ってもいいぞ」 そして俺様と二人はビジネスパートナーになったんだ。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} それから二人は俺の後を付いてくるようになる。 そして俺は毎日新鮮な素材を調達することができるようになった。 俺という消費者とマホ&ナホという生産者の付き合い。 それはだんだんと親密になり、流星の滝に着いた頃には「タケシ」と 下の名前で呼ばれるまでになったんだ。 今は俺がたしなんでいる最中を二人が普通に見物しているくらいの 空気感になっている。 流星の滝、深部。 「ふう、ごちそうさん」 「相変わらず盛ってるねぇ、タケシ」 「タケシくさーい、あははは!」 俺はいつもの行為を終えて、ガサガサとティッシュを取り出している。 この滝でゲットしたタツベイは順調に育成され、ボーマンダにまで進化した。 これで出木杉相手でも遅れは取らないだろう。 「なあ、おまえらお菓子残ってないか」 「手洗ってきたら分けたげる」 ナホにウェットティッシュを渡され、 俺は手に持っていた使用済みティッシュを放り投げた。 「ジャイアン…なんかベタベタしてるんだけど、これ」 聞き覚えのある声が聞こえた。 その方向を向くと、頭に丸めたティッシュを乗せたスネ夫がいたんだ。 「お、おまえ何やってんだ?」 ---- スネ夫はダイゴに呼び出されてここに来たらしい。 「確かにゲームではここにダイゴさんがいるはずなんだけど……」 「あん?俺はここで修業していたが見てないぞ」 確かにここにいたのはドラゴン使いやら金婚式の老夫婦とか、そんな奴らばかりだ。 ダイゴの姿は見ていない。 「今回の呼び出しはなんかおかしいんだよな。 朝起きたら枕元にダイゴさんからの手紙があったんだ」 あまりに不自然な状況に、スネ夫も最初は出木杉の罠ではないかと疑った。 しかし結局のところ、真偽は行ってみないとわからない。 「だからこっそり身を隠しながらダイゴさんの姿を見にきたんだけど……」 「そこで俺を見つけたってわけか」 俺はスネ夫の背中をバンバンと叩く。 「とりあえず一旦休戦だ、二人でダイゴを探してみようぜ」 そして俺とスネ夫はダイゴさんと出会い、出木杉のルネシティ襲撃計画を知った。 ダイゴさんの調査、スネ夫がブレーン達から聞いた情報、 その二つを元に対伝説ポケモン対策を練ったんだ。 スネ夫はダイゴさんにはいくつか腑に落ちない点があると言ってたが、今はそれどころじゃない。 早くしずかちゃんを助けないとな。 なんたって俺はガキ大将、子分達を助けるのは当たり前だぜ! 注釈、マホとナホ:あさせのほらあなの前にいるトレーナー ----
[[前へ>ドラーモン作大長編 その15]] 《インターミッション》 &color(red){注:男のたしなみ} 俺はジャイアン、ガキ大将。 ルネジムをクリアしてから俺様が何をしていたか教えてやるぜ。 ダイビングでルネを出た俺様はキナギタウンに向かうつもりだった。 しかしその道中、なんとあのマホとナホを見かけてしまったんだ。 俺は迷った。 このまま何の関わりにもならないまま二人から遠ざかるか、それとも後を尾行するか。 そして俺は後者を選択した。 理由はただひとつ、俺が持っている男のたしなみアイテム(今までの戦利品)が 限界を超えていたからだ。 新たなるオカズ…いやロマンを求めて俺は二人を追うことにした。 それからは一瞬一瞬が真剣勝負だった。 野宿しているマホとナホが寝静まるまでダイビングで海中に身を潜め、 そしてこっそりと下着を拝借した。 『絶対気付かれてはいけない』という緊張感と『二人が知らない』という 背徳感に俺様も興奮しっぱなしだ。 無論たしなんだ後は元に戻しておく。 そう、盗んでしまうと二人に警戒されるかもしれないからだ、俺って頭いいぜ。 こうして俺は毎日新鮮な使用済み下着を堪能しつつ、 二人の後を付かず離れず尾行していた。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} そして翌日はトクサネに到着しようかというその日の夜。 俺はついにやってしまった。 その日もいつものように、砂浜に寝ている二人のバッグから 使用済み下着を取り出す。 『1、2…ひとり4枚、合わせて8枚か』 彼女等は必要な枚数だけしっかりと替え下着を用意していたようだ。 約四日間の旅をしてきたことがわかる。 『今日は最後だから今までの分も全部使ってやるぜ』 さすが俺様、大物ならではの発想だぜ。 『頭部、そして腕部装着完了!』 せっかくだから4枚まとめてかぶってみる。 そして両手に2枚ずつ、準備は完了だ。 その時、不意に俺の目の前に一匹のポケモンが現れた。 青と白の2色で彩られた大きなポケモンは俺を不思議そうに見ている。 『コイツは……そうだ、ラティオス!』 ゲームではいつもすぐ逃げるからイライラしてぶっ殺してた あの伝説のポケモンが目の前にいる。 俺は別の意味で興奮しちまったね。 一発勝負、手持ちで最も捕獲率が高いハイパーボールで行くしかない! 「いけ、ハイパーボール!」 「うーん…なに~」 ボールを投げようとしたジャイアンの背後から声がする。 ジャイアンが思わず振り向くと、 目を覚まして体を起こしたナホと目が合ってしまった。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} 「……」 「……」 「……よ、よう。久しぶり」 気まずい沈黙を俺が破ると、ナホは大きく息を吸い込んだ。 「いやあああああああああっっ!!」 その声に驚いてラティオスは空高く飛んでいってしまう。 俺は千載一遇のチャンスを潰したわけさ…… だが今はそれどころじゃない。 「先輩、先輩!変態が!」 「ひいっ、以前私たちを視姦していたあの子供よっ!」 マホとナホが一斉にボールを投げる。 現れた2体のトドグラーは俺様を強襲し、 のしかかられて動きが取れなくなってしまった。 「さて、この変態小僧をどうしますか?先輩」 「やっぱり警察に突き出すしかないわね」 そんな二人の相談を聞いて俺はゾッとした。 さすがに犯罪者にはなりたくない。 俺は万引きGメンに許しを請うように二人に助けを求める。 「わ、悪かったよ。取った下着買い取るからさ、へへへ」 口に出した後で気が付いたが、これは完璧に援交オヤジの発言だ。 しかし、ジャイアンの発言は二人の少女に予期せぬリアクションを取らせた。 「先輩、お金だって……」 「そ、それは魅力的な提案ね……」 チャンス、お金は効果抜群だ! すかさず二回目の攻撃をたたき込む。 「俺様を警察に突き出しても一銭も入らないぜ。いくら欲しいんだよ、言ってみな」 もう完全に現行犯の痴漢の言う台詞である。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} マホとナホはひそひそと相談を始めた。 『ふ、俺は勝算があってこの提案をしたんだぜ』 そう、毎晩バッグを漁っていたので二人の経済状況も欲しい物も把握している。 こういうプチ情報も男のたしなみをするにはスパイスになるのだ。 「じゃあ、あんたみたいな子供に出せるかわからないけど……」 「下着1枚につき1万、計8万出せるなら許してあげるわ!」 俺様は想定内の金額が来たことににやりとした。 そして彼女等に次のトラップを仕掛ける。 「わ、わかった、8万だな…俺のバッグに財布が入ってるから取ってくれ」 マホとナホは俺を警戒しながらバッグを物色する。 中から取り出した俺の財布の中身を見て、二人の顔色が変わった。 「ナホ…80万以上入ってるわ」 「先輩、こいつすごい金持ちです……」 その光景に二人の目は釘づけになっていた。 『くくく、レイカやミツグを何度も狩っていた甲斐があったぜ』 そして俺はマホとナホに最後の選択を迫る。 「買うのは8枚でいいのか?まだ買ってもいいぞ」 そして俺様と二人はビジネスパートナーになったんだ。 ---- &color(red){注:男のたしなみ} それから二人は俺の後を付いてくるようになる。 そして俺は毎日新鮮な素材を調達することができるようになった。 俺という消費者とマホ&ナホという生産者の付き合い。 それはだんだんと親密になり、流星の滝に着いた頃には「タケシ」と 下の名前で呼ばれるまでになったんだ。 今は俺がたしなんでいる最中を二人が普通に見物しているくらいの 空気感になっている。 流星の滝、深部。 「ふう、ごちそうさん」 「相変わらず盛ってるねぇ、タケシ」 「タケシくさーい、あははは!」 俺はいつもの行為を終えて、ガサガサとティッシュを取り出している。 この滝でゲットしたタツベイは順調に育成され、ボーマンダにまで進化した。 これで出木杉相手でも遅れは取らないだろう。 「なあ、おまえらお菓子残ってないか」 「手洗ってきたら分けたげる」 ナホにウェットティッシュを渡され、 俺は手に持っていた使用済みティッシュを放り投げた。 「ジャイアン…なんかベタベタしてるんだけど、これ」 聞き覚えのある声が聞こえた。 その方向を向くと、頭に丸めたティッシュを乗せたスネ夫がいたんだ。 「お、おまえ何やってんだ?」 ---- スネ夫はダイゴに呼び出されてここに来たらしい。 「確かにゲームではここにダイゴさんがいるはずなんだけど……」 「あん?俺はここで修業していたが見てないぞ」 確かにここにいたのはドラゴン使いやら金婚式の老夫婦とか、そんな奴らばかりだ。 ダイゴの姿は見ていない。 「今回の呼び出しはなんかおかしいんだよな。 朝起きたら枕元にダイゴさんからの手紙があったんだ」 あまりに不自然な状況に、スネ夫も最初は出木杉の罠ではないかと疑った。 しかし結局のところ、真偽は行ってみないとわからない。 「だからこっそり身を隠しながらダイゴさんの姿を見にきたんだけど……」 「そこで俺を見つけたってわけか」 俺はスネ夫の背中をバンバンと叩く。 「とりあえず一旦休戦だ、二人でダイゴを探してみようぜ」 そして俺とスネ夫はダイゴさんと出会い、出木杉のルネシティ襲撃計画を知った。 ダイゴさんの調査、スネ夫がブレーン達から聞いた情報、 その二つを元に対伝説ポケモン対策を練ったんだ。 スネ夫はダイゴさんにはいくつか腑に落ちない点があると言ってたが、今はそれどころじゃない。 早くしずかちゃんを助けないとな。 なんたって俺はガキ大将、子分達を助けるのは当たり前だぜ! 注釈、マホとナホ:あさせのほらあなの前にいるトレーナー ---- ポケモンリーグ。 チャンピオンの座に座る出木杉の前にジンダイが現れる。 「ご苦労さま、ジンダイ」 出木杉のねぎらいはジンダイの行なったしずか拉致に対してである。 ジンダイは何かを言いだしそうになるが、それをかろうじて抑えている。 しずかは眠り粉によって眠らされ、別室に監禁している。 出木杉はその様子を見ながら満足気に頷いた。 『今すぐヤッてしまいたいが、それでは僕の気が済まない』 出木杉の目的はひとつ、「しずかに最大の絶望を与えた上で」服従させることだ。 その為には、しずかの目の前でのび太達を叩きのめす事が必要。 「いつもみんなで大冒険をする時は団結するんだってね。僕は呼ばれたことすらないのに」 そう、出木杉を突き動かしているもうひとつの心情は疎外感。 しずかとのび太達の間にあり、出木杉だけにはない「絆と友情」を粉々に打ち砕き、 リセットする。 それこそが出木杉の求めるエンディングなのだ。 「ドラえもんとの接触、そして僕の下僕達の敗北…… いくつか腑に落ちない点があるな」 ---- まず最初の疑問は「もしもボックスが破壊されている」ということだ。 破壊されたにも関わらず現状が維持できているということは、 おそらく元の世界に帰ることは困難なのだろう。 「それはこっちとしても願ったり叶ったりなんだが……」 いったい誰が? 出木杉本人以外に「この世界に留まりたい」という奴がいるというのか。 『それだけの行動を起こすからには、僕を倒す自信があるということなのか』 どちらにしろ、ボックスの存在を知っている誰かの仕業には違いない。 第2の疑問は、「イズミの不可解な敗北」だ。 漂流していたイズミは、マユミによって無事助けだされた。 しかし、イズミ本人はなぜ自分が敗北したのかを全く覚えていなかったのだ。 『不意打ちで気絶させられたか、記憶をいじられているか……』 しかし誰がそれをやったのか。 イズミが覚えている時点ではしずかは逃亡し、ドラえもんは敗北している。 他の人間の行動もナギ、アスナ、ツツジ、そしてジンダイの監視により アリバイが確定しているのだ。 「あそこにいたメンバー以外にも僕に歯向かう愚か者がいるというのか」 抵抗勢力には心当たりがありすぎるが、イズミを倒せるほどの存在は記憶にない。 ---- そして最後の疑問は、「伝説のポケモン達の不自然な敗北」である。 報告を聞いた出木杉もポケモンの技を使ってみたが、噛み付くなどの技のダメージが 明らかに変化していた。 ただならぬ事態に、出木杉はマユミに命じて事実関係を調査させている。 先程第一報が来たのだが、なんとすべての技が物理・特殊属性に分かれていたのだ。 噛み付くは悪タイプでありながら、攻撃の数値でダメージが決定しているのである。 「早急にデータを収集しないといけないな」 だが出木杉の頭には最大の疑問が残っている。 誰がこのようにデータを書き替えたのか、ということだ。 世界に干渉するような力を持つ存在といえば、ドラえもん以外には考えられない。 だがゲームを知らないドラえもんが設定したとは思えないくらいに理にかなった 設定改変である。 物理的な技と特殊的な技が見事に二分されており、一朝一夕に考えられたとは 思えないのだ。 「骨川君辺りが入れ知恵したか?」 深く考えても仕方がない。 世界の設定を変えたとしても、その土俵の上で叩きのめしてやればいいのだ。 出木杉はジンダイに下がるように命令すると、マユミの技データのチェックを始めた。 ---- ルネシティ。 街の復興作業もそこそこに、主要メンバーがユニオンルームに集まっていた。 ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫。 フロンティアブレーンのヒース、ウコン。 そしてダイゴとマホ、ナホ。 「自己紹介も済んだことだし、とりあえず今後の事を話し合おう」 ダイゴがそう切り出し、机に紙を広げる。 それはサイユウシティとチャンピオンロードの詳しい見取り図だ。 「僕が得た情報では、デキスギはチャンピオンロードとポケモンリーグ周辺に大量の ポケモン、そしてデキスギに心酔し服従したトレーナー達を配置しているようだ」 地図にはトレーナーの巡回ポイントも示されているが、すごい人数である。 「こんな人数相手に僕らだけで勝てっこないよ!」 のび太が弱音を吐くが、皆口に出さないだけで本音はのび太の言うことを 肯定している。 「せめて四次元ポケットさえあれば……」 ドラえもんが自分の腹を見ながら落胆する。 ほとんどの道具がメンテ中とはいえ、通りぬけフープや石ころ帽子があれば 潜入はかなり楽になっていたはずだ。 しかし、のび太の部屋のスペアポケットまで何者かに盗まれており、 その希望は潰えている。 ---- おそらく盗んだのは出木杉だろう。 しかし、あのポケットから望みの道具を出せるのはドラえもんとのび太くらいのものだ。 しかもほとんどの道具の効能を出木杉は知らない。 悪用されることはまずないだろう。 「ゴローンやゴローニャへの対抗策はすでに打ってある」 ウコンがヒースに目配せすると、ヒースは続けて話しだす。 「ダツラがキンセツでヌオーとニョロボンの大量育成を続けているのさ」 「ジンダイの情報は嘘ではなかったようじゃな。 奴は奴なりに筋を通したということか……」 対大爆発のために湿り気の特性を持つポケモンの育成を提案したのは 裏切ったジンダイなのだ。 二人のブレーンが複雑な思いで語り終えたとき、不意に立体映像が現れた。 「よう、久しぶり」 「だ、ダツラか!」 ヒースとウコンが同時に声を上げる。 ダツラは皆を見回すと、自己紹介を行なった。 「つーかそれどころじゃないんだ!足りないんだよ!」 ダツラが言わんとしていることがわからず、皆が首を傾げる。 「水の石が足りないんだ、ニョロゾをニョロボンに進化させられない……」 その言葉にダイゴが苦い顔をする。 「対岩ポケモンには水だけではなく格闘属性も重要だ、タイプ一致による攻撃力増加が ほしいところだが……」 ---- その時、スネ夫が思い出したようにカバンをごそごそと漁りだした。 「確かここに……あったあった!」 スネ夫が取り出したのは大量の色とりどりの欠片。 「これをトレジャーハンターに渡せば進化石が手に入るよ!」 「ありがてえ!」 ダツラが拳を自らの手のひらに叩きつける。 「これで解決だな。では君たちには突入決行日までに万全の状態をしいてもらう」 ダイゴがドラえもん達の前に写真を出す。 それを見たジャイアンとスネ夫が同時に声を上げた。 「ら、ラティオス!」 「そう、無限ポケモン・ラティオスだ。こいつを君たちに捕まえてもらう」 ジャイアンが渋い顔をする。 「けどコイツは出会ったらすぐ逃げちまう……ゲットは大変だ」 「せめて僕のポケットがあったなら、桃太郎印のきび団子でなんとかなるかも しれないのに」 ドラえもんがしょんぼりとうなだれる。 「そこでボクの出番ってわけさ」 そう得意げに言ったのはスネ夫。 「技教えマニアに頼んで、ボクのクロバットにくろいまなざしを覚えさせれば 逃げることはないよ」 「では、君がラティオスを捕まえるんだ」 ダイゴはスネ夫の肩に手を乗せ、袋に入ったタイマーボールを渡す。 「了解、ボクにまかせてよ」 ---- スネ夫の役割が決まり、ダイゴはドラえもん達にも提案する。 「さて、君らは自分の手持ちポケモンを厳選して育成するんだ」 「今のポケモン達じゃダメなの?」 のび太の問いにダイゴは淋しそうな顔で答える。 「敵は予想をはるかに超える強さを持っている。今の手持ちに愛着はあるだろうが、 万全の態勢で行ってもらいたいんだ」 ダツラが話に割り込んでくる。 「俺のポケモンコレクションを使ってタマゴを生ませれば、大抵のポケモンは 手に入るぜ」 それを聞いたスネ夫がジャイアンに話し掛ける。 「ならホウエン以外のポケモンも使えるって事だよジャイアン!」 「かなりの戦力アップになるな!」 のび太とドラえもんは二人の会話の意味がわからないが、とにかく朗報のようだ。 「わしらがスパーリングパートナーになってやる。育成も楽になるじゃろ」 ウコンとヒースも名乗り出る。 「よし、まずはここから始めるぞ。頑張ってくれよ、少年達」 「おおーーっ!」 ダイゴの激励にドラえもん達も気合いの応答で返した。 ---- ポケモンリーグ。 出木杉の前にはひとりの少年が立っている。 その少年を見る出木杉の顔が笑みを浮かべた。 「君の目…いい具合になってるね。そう、僕と一緒の目だ」 少年は何も言わずにただ出木杉を睨み続けている。 「で、ツツジ達が不在だったとはいえ、ここまでやってきたんだ。 話くらいは聞いてあげるよ」 そう言われた少年はやっと口を開いた。 「あなたと組みたいんですが」 その突然の提案に出木杉が笑いだす。 「まさか君がそんな提案をしてくるとはね。望みはなんだい?」 少年はただひとつ、ぽつりと呟いた。 「誰の邪魔も受けずにノビタと戦いたい、それだけだ」 出木杉の目が怪しく揺らめき、値踏みするように少年を観察する。 『試練としてはちょうどいいか』 「じゃあ君にはチャンピオンロードの出口で彼らを迎え撃ってもらうよ」 少年は何も言わずに振り向くと、その場を立ち去っていった。 誰もいなくなった部屋でひとり残された出木杉。 先程のやりとりを思い返し、呟いた。 「ふふふ、せいぜい張り切ってくれよ、ミツル君」 [[次へ>ドラーモン作大長編 その17]]

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