「うっ・・・ふぇっ・・・」
そいつは、めそめそと泣き続けていた。
ドア越しにでもわかる泣き声は、鬱陶しくてしょうがない。
「男なのに・・・」
私は思わず呟く。
私の好きなもの
・・・平穏
嫌いなもの
・・・それをかき乱す輩
「『男なのに・・・』なんてひどいでしょーオトコだって泣きたくなるときはあるんだってー」
・・・能天気な馬鹿
「あれ、何ため息なんかついちゃってんのさ」
無意識にため息をついていたらしい。
・・・この地獄耳め。
何でドア越しにでも呼吸音がわかるんだ?
「まぁいいからこの子の悩み聞いてやってよー幽霊さん」
いつのまにか、私の居場所・・・この屋根裏部屋が、お悩み相談所になっていた。
「あれ、え、ちょっと応答ねがいまーす」
「えぐっ・・・うえぇぇーーーん!!」
・・・この男のせいで。。