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第4章「戸惑いの中で」 - (2007/04/17 (火) 20:43:44) のソース

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*第4章 「戸惑いの中で」

 小波は気が付くと、何も無い真っ白な空間に立っていた。

そこには壁も地面も天井も窓も扉もない。

まるで雲の上を歩いているような気分だ。

ここは、天国なのだろうか。しかし天国にしてはあまりにも殺風景
すぎる。

小波は恐る恐る一歩、足を踏み出した。

まわりにはなにも動くものは無い。

小波以外には。

そして永遠に続きそうな静寂が漂っていた。

小波はその静寂を破った。

「誰か・・・いませんか···?」

すると、きぃぃぃぃっっとなにかが開く音がした。

そして、一筋の光が見えた。

佐波は不思議な感触がする地面を蹴ってその光を追いかけた。

その先にあったものは----

大きな、扉があった。

とてつもなく大きな純白の扉で、扉のまわりにはぐるっとそびえたつ高い塀があった。

小波はその巨大な扉に圧倒されて、しばらくそこに突っ立っていた。

その小波の体を一筋の光がてらす。

その一筋の光は、ほんの少しの扉の隙間からこぼれ出ていた。しかしその光はとても眩しかった。

(母さんたちはこの中にいるの···?)

小波は目をつぶって扉の中に入った。  
(天国ってどんな所なのだろう…)

小波は歩きながら考えた。
(夢のようなファンタジックな感じじゃなくて案外殺風景かも…)

小波は目を開けた。

そこに広がっていたのは果てしない草原だった。

「綺麗…まるでグリム童話の世界だ…」

遠くの方にぼやっと一つのとんがった塔がみえた。

足に感じる草の感触が気持ちがいい。

小波は不意に駆け出した。