詩百篇第9巻83番

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[[詩百篇第9巻]]>83番* *原文 [[Sol]] vingt&sup(){1} de taurus&sup(){2} si fort terre&sup(){3} trembler&sup(){4}, Le grand theatre&sup(){5} rempli ruinera, L'air, ciel & terre&sup(){6} obscurcir & troubler, Lors l'infidelle&sup(){7} Dieu&sup(){8} &&sup(){9} fainctz&sup(){10} voguera&sup(){11}. **異文 (1) Sol vingt : Sol Vingt 1672Ga, Sol 1712Guy (2) de taurus 1568X 1568A 1568B : de Taurus 1568C 1590Ro 1591BR 1597Br 1603Mo 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Le 1650Mo 1667Wi 1668 1672Ga 1772Ri 1716PR, Taurus 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Ri 1653AB 1665Ba 1712Guy 1720To (3) terre : de terre 1606PR 1607PR 1610Po 1716PR, Terre 1712Guy (4) trembler : trombler 1597Br 1603Mo 1650Mo, tremblera 1672Ga (5) theatre : cheatre 1605sn 1649Xa, Theatre 1672Ga 1712Guy 1772Ri (6) L'air, ciel & terre : L'air, Ciel & terre 1611B, L'Air, Ciel, & Terre 1672Ga (7) l'infidelle : infidelle 1653AB 1665Ba 1720To, l'Infidele 1672Ga 1712Guy (8) Dieu : dieu 1568X (9) & : de 1572Cr (10) fainctz : sainctz 1568B, faincts 1568C, faim 1572Cr, saincts 1591BR 1597Br 1603Mo 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611 1627Ma 1627Di 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Ri 1650Le 1650Mo 1667Wi 1668 1716PR, Saincts 1644Hu 1653AB 1665Ba 1672Ga 1712Guy 1720To 1772Ri (11) voguera : [[voquera>voquer]] 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Le 1650Ri 1653AB 1665Ba 1667Wi 1668 1720To, invoquera 1712Guy **校訂  4行目について、初出のはずの1568年版の時点で、「聖人たち」(saincts)と「怠け者たち」(fainctz)の2通りがある。  後の時代の版の多くが「聖人たち」を採用しているように、そちらの方が明らかに文脈に適合している。  voguera(漕ぎ出すだろう)も文脈に合わない。  この単語は[[voquera>voquer]](祈るだろう)と見る方が良い。  これは信頼性が高いとは言えないマルニオル版以降に見られる異文だが、現在は実証的な論者たちからも支持されている((Brind’Amour [1993] p.228, n.11))。 *日本語訳 太陽は金牛宮の二十度、非常に強く大地が震える。 満員の大劇場が崩れるだろう。 大気と空と大地は暗く混濁し、 その時、不信心者は神や聖人に祈るだろう。 **訳について  大乗訳、山根訳は細部を除いておおむね問題はない。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]](1672年)は、近い将来、1700年以前に起こることになるだろうと解釈していた((Garencieres [1672]))。  [[バルタザール・ギノー]](1712年)は意図的かどうかはともかく、vingt (二十度)がない原文を採用しており、日蝕が起こるときの大地震に関する詩と解釈していた((Guynaud [1891] pp.190-191))。  20世紀以前にこの詩を解釈していたのは、この二人だけだったようである。  [[エミール・リュイール]](1939年)は[[詩百篇第10巻67番]]とも関連付けつつ、1941年5月に大地震が起こると解釈していた((Ruir [1939] p.105))。  [[五島勉]]は英国の信奉者ワード([[チャールズ・ウォード]])の解釈を援用する形で、詩番号から1983年5月10日の可能性があるとしていた((五島 [1973] pp.117-118))。  [[内田秀男]]も同じ見解をとっていた((ロバーツ『ノストラダムス大予言原典諸世紀』1975年、p.279))。  ただし、&color(red){ウォードはこの詩を解釈しておらず}、ワードの解釈として五島が援用しているものは単なる創作である。  [[川尻徹]]は1940年5月10日のドイツの電撃作戦開始の予言であると同時に、1999年7月に起こると想定していた木星の衛星イオの破片の地球衝突が、翌年5月10日に大異変を起こすことになる予言としていた((川尻『ノストラダムス暗号書の謎』pp.166-167, 232-234))。  [[流智明]](1988年)は2000年5月11日に起こるであろう大地震と解釈していた((チータム『ノストラダムス全予言』1988年、p.310))。  [[霧満攔江]]は2008年5月12日の汶川大地震(四川大地震)と解釈した((霧満攔江 [2010]))。 *同時代的な視点  [[詩百篇第10巻67番]]と関連があるという点は、実証的な側でも異論がない。  そして、その地震とは1549年5月4日の[[モンテリマール]]周辺の大地震であろうと、[[ピエール・ブランダムール]]が指摘して以来、実証的には異論のない状態になっている((ex. Prévost [1999] pp.138-139, Lemesurier [2003], Clébert [2003]))。  ブランダムールによれば、その日、太陽は金牛宮の23.5度にあり、「太陽は金牛宮の二十度」というのはそれを大まかに示したもののようである。  ブランダムールは劇場の崩壊に関連し、[[第6巻37番>百詩篇第6巻37番]]、[[同51番>百詩篇第6巻51番]]も同じ主題である可能性にも触れている。  ただし、この点は必ずしも広く合意されているわけではない。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - “金牛宮の二十度”は場所を示している。5月に地震と解釈する人は相当のラッパ吹きである。 -- れもん (2016-04-24 12:08:14)
[[詩百篇第9巻]]>83番* *原文 [[Sol]] vingt&sup(){1} de taurus&sup(){2} si fort terre&sup(){3} trembler&sup(){4}, Le grand theatre&sup(){5} rempli ruinera, L'air, ciel & terre&sup(){6} obscurcir & troubler, Lors l'infidelle&sup(){7} Dieu&sup(){8} &&sup(){9} fainctz&sup(){10} voguera&sup(){11}. **異文 (1) Sol vingt : Sol Vingt 1672Ga, Sol 1712Guy (2) de taurus 1568X 1568A 1568B : de Taurus 1568C 1590Ro 1591BR 1597Br 1603Mo 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Le 1650Mo 1667Wi 1668 1672Ga 1772Ri 1716PR, Taurus 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Ri 1653AB 1665Ba 1712Guy 1720To (3) terre : de terre 1606PR 1607PR 1610Po 1716PR, Terre 1712Guy (4) trembler : trombler 1597Br 1603Mo 1650Mo, tremblera 1672Ga (5) theatre : cheatre 1605sn 1649Xa, Theatre 1672Ga 1712Guy 1772Ri (6) L'air, ciel & terre : L'air, Ciel & terre 1611B, L'Air, Ciel, & Terre 1672Ga (7) l'infidelle : infidelle 1653AB 1665Ba 1720To, l'Infidele 1672Ga 1712Guy (8) Dieu : dieu 1568X (9) & : de 1572Cr (10) fainctz : sainctz 1568B, faincts 1568C, faim 1572Cr, saincts 1591BR 1597Br 1603Mo 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611 1627Ma 1627Di 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Ri 1650Le 1650Mo 1667Wi 1668 1716PR, Saincts 1644Hu 1653AB 1665Ba 1672Ga 1712Guy 1720To 1772Ri (11) voguera : [[voquera>voquer]] 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Le 1650Ri 1653AB 1665Ba 1667Wi 1668 1720To, invoquera 1712Guy **校訂  4行目について、初出のはずの1568年版の時点で、「聖人たち」(saincts)と「怠け者たち」(fainctz)の2通りがある。  後の時代の版の多くが「聖人たち」を採用しているように、そちらの方が明らかに文脈に適合している。  voguera(漕ぎ出すだろう)も文脈に合わない。  この単語は[[voquera>voquer]](祈るだろう)と見る方が良い。  これは信頼性が高いとは言えないマルニオル版以降に見られる異文だが、現在は実証的な論者たちからも支持されている((Brind’Amour [1993] p.228, n.11))。 *日本語訳 太陽は金牛宮の二十度、非常に強く大地が震える。 満員の大劇場が崩れるだろう。 大気と空と大地は暗く混濁し、 その時、不信心者は神や聖人に祈るだろう。 **訳について  大乗訳、山根訳は細部を除いておおむね問題はない。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]](1672年)は、近い将来、1700年以前に起こることになるだろうと解釈していた((Garencieres [1672]))。  [[バルタザール・ギノー]](1712年)は意図的かどうかはともかく、vingt (二十度)がない原文を採用しており、日蝕が起こるときの大地震に関する詩と解釈していた((Guynaud [1891] pp.190-191))。  20世紀以前にこの詩を解釈していたのは、この二人だけだったようである。  [[エミール・リュイール]](1939年)は[[詩百篇第10巻67番]]とも関連付けつつ、1941年5月に大地震が起こると解釈していた((Ruir [1939] p.105))。  [[五島勉]]は英国の信奉者ワード([[チャールズ・ウォード]])の解釈を援用する形で、詩番号から1983年5月10日の可能性があるとしていた((五島 [1973] pp.117-118))。  [[内田秀男]]も同じ見解をとっていた((ロバーツ『ノストラダムス大予言原典諸世紀』1975年、p.279))。  ただし、&color(red){ウォードはこの詩を解釈しておらず}、ワードの解釈として五島が援用しているものは単なる創作である。  [[川尻徹]]は1940年5月10日のドイツの電撃作戦開始の予言であると同時に、1999年7月に起こると想定していた木星の衛星イオの破片の地球衝突が、翌年5月10日に大異変を起こすことになる予言としていた((川尻『ノストラダムス暗号書の謎』pp.166-167, 232-234))。  [[流智明]](1988年)は2000年5月11日に起こるであろう大地震と解釈していた((チータム『ノストラダムス全予言』1988年、p.310))。  [[霧満攔江]]は2008年5月12日の汶川大地震(四川大地震)と解釈した((霧満攔江 [2010]))。 *同時代的な視点  [[詩百篇第10巻67番]]と関連があるという点は、実証的な側でも異論がない。  そして、その地震とは1549年5月4日の[[モンテリマール]]周辺の大地震であろうと、[[ピエール・ブランダムール]]が指摘して以来、実証的には異論のない状態になっている((ex. Prévost [1999] pp.138-139, Lemesurier [2003], Clébert [2003]))。  ブランダムールによれば、その日、太陽は金牛宮の23.5度にあり、「太陽は金牛宮の二十度」というのはそれを大まかに示したもののようである。  ブランダムールは劇場の崩壊に関連し、[[第6巻37番>百詩篇第6巻37番]]、[[同51番>百詩篇第6巻51番]]も同じ主題である可能性にも触れている。  ただし、この点は必ずしも広く合意されているわけではない。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - “金牛宮の二十度”は場所を示している。5月に地震と解釈する人は相当のラッパ吹きである。 -- れもん (2016-04-24 12:08:14)

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