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 *原文
 En l'an&sup(){1} cinq cens octante plus & moins&sup(){2},
 On attendra&sup(){3} le siecle bien estrange:
 En l'an sept cens, & trois&sup(){4} cieulx en tesmoings&sup(){5},
 Que plusieurs regnes&sup(){6} vn à cinq feront change.
 ***異文
 (1) l'an : la 1672
 (2) plus & moins : plus ou moins 1590Ro
 (3) attendra : attend 1557B 1589PV 1649Ca, entendra 1665
 (4) trois : tois 1668A
 (5) cieulx en tesmoings : (cieux en tesmoins) 1594JFpp.238&240 1628 1649Ca 1650Le 1668 1672 1840, (cieux en tesmoings, 1605 1649Xa
 (6) Que plusieurs regnes : Regnes plusieurs 1594JF 1605 1628 1649Xa 1672
 
 (注意)1772Riの3、4行目は以下の通り。En l'an sept cens et neuf cieux seront tesmoings,/Que pour de l'or en bled non sans peine il change.
 
 *日本語訳
 五百八十より多いか少ないかの年に
 とても奇妙な時代が待ち望まれるだろう。
 七百と三の年には、-諸天がそれを証言している-
 多くの王国が一から五に変わるだろう。
 
 **訳について
  1行目 plus et moins は1590Ro の異文にもあるように、plus ou moins と読みかえるのが一般的なので、それに従った。
  3行目 en tesmoings (en témoins) はラメジャラーの英訳やクレベールの現代仏語訳では動詞的に訳されているので、それに従った。
  4行目 vn à cinq の扱いが分かりづらい。plusieursは現代では主に「いくつかの」を意味する。クレベールが指摘するように、vn à cinq は単にplusieurs の幅を示したものか((Clébert [2003]))。その場合、「最少で1つ、最大で5つの王国が変わるだろう」とでも訳すことになる。
 
  1772Ri の原文にしたがった場合の後半の訳は、「七百と九の年に諸天が証人となるだろう、苦痛を伴わずに黄金を小麦に換えられないということの」となる。
 
 *信奉者側の見解
  1580年代は宗教戦争が過熱していた時期であり、1703年はスペイン継承戦争(1701年-1714年)序盤にあたる。後者はスペイン1国の問題がスペイン・フランス対イギリス・オーストリア・オランダの5カ国間の戦争に発展したもので、4行目はそれを言っているとされる。論者によって細部は異なるが、[[エリカ・チータム]]、[[ジョン・ホーグ]]らが採用している。
 
  ほかの解釈としては、大まかな時代区分を指しているとする[[中村惠一]]の説がある((中村『ノストラダムスの聖予言』pp.160-175))。中村はこれらの時期が大きな時代の変わり目にあたっていたとし、美術史上も1580年代はバロック時代の始まりにあたっているとする。バロックは「いびつな」などの意味があるので、2行目の「奇妙な」はそれを指しているとしている。
 
 *同時代的な視点
- 1585年と1703年は、ともに1月に白羊宮で土星と木星の合が起こる年であり、ノストラダムスはこれらの年に強い関心を寄せていた((Brind’Amour [1993] p.211))。
+ 1585年と1703年は、ともノストラダムスは強い関心を寄せていた合が起こる年だった((Brind’Amour [1993] p.211))。
 
  1585年については [[アンリ2世への手紙]]でも言及されている。
 「しかしながら、現在すなわち1557年3月14日から始まって、1585年や1606年のことさえも含むかたちで、大部分(の出来事)が起こるであろう年や、都市、町、地方を書きとめておきたいのです。」(第10節((バレスト版の区切り)))
 
  ここでは具体的な説明はないが、暦書の方では非常に具体的である。
 「木星と火星、太陽と土星の矩のために、1567年3月20日に土星と火星が悪い星位(引用者注:「衝」のこと)になってしまうのである。1585年に最も近い世界の破局があり、その百倍悪いものが1588年にある。」(『1565年向けの暦』)
 
- 1703年については、[[百詩篇第1巻49番]]、[[百詩篇第1巻51番]]などでも予言されているようである。
+ 1703年の白羊宮での[[木星と土星の合]]については、[[百詩篇第1巻49番]]、[[百詩篇第1巻51番]]などでも予言されているようである。
 
  いうまでもなく、客観的に見た場合、これらの時期に起こった合は、歴史上特筆されるような出来事には結びつかなかった。
 
  なお、3行目で「天」が複数形になっているのは奇異なようだが、当時は地球の周りを複数の天球が覆っているとする認識が一般的だったことに基づいているのだろう。[[百詩篇第4巻29番]]には「第二天」という表現も出ている。
  各天球には各惑星が位置しているとされていたので、要するに「諸天がそれを証言している」というのは、「各惑星の配列がそれを予言している」というような意味だろう。
 
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