ドナルドは遊ぶのが大好きなんだ

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**ドナルドは遊ぶのが大好きなんだ [[ウォーリーを探さないで]]と同じ。 ***ジャンル -[[ビックリ系]] ***総合評価 -レベル2…ビックリはいくらでもあるから… ***コメント所 - はい。 -- ぽぽぽぽ~ん (2014-01-22 17:57:16) #comment() ***タグ &tags()
↓ ログイン 小説情報 感想 レビュー 縦書きPDF ブックマークに追加 表示調整 ブックマーク登録する場合はログインしてください。 ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~ 作者:裕P 目覚めた力 << 前へ次へ >> 24/28 戦いの始まり オラの首飾りの勾玉が青白く光を放つ。  オラの目の前で、狐が変化する様な音を立てて煙が立ち昇る。 「な、なんじゃ?」  オラは顔の前を手で翳す。  煙臭くて咳き込み、煙を手で振って煙を追い払う。 「お前の心の声は、千春に操られている人たちみたいだね」  煙の中から、氷のような冷たい声が聞こえる。  煙の中の影が、オラに近づいてくる。  煙の中から現れたのは、雪のように白い毛に覆われた狐だった。  狼のように尖った二つの耳、瞳は紫で、口許から鋭い牙が覗いている。  尾は九に分かれ、九の尾が生き物の様に動いている。  足には鋭い爪が生え、耳が痒いのか、猫の様に後ろ足で耳を掻いている。 「ワタシが誰かわかるかい?」  白狐が鼻で笑って、首を動かしてオラを見据える。鋭い歯を覗かせて。  煙臭かったのか、人間の様に咳き込んでいる。 「なんじゃ。お前もあいつらの仲間か?」  オラは竹刀を握り締めて、竹刀を斜めに構え、白狐を睨み据える。  どうも、こいつから敵意を感じんが。  こいつ、何者じゃ? 「ワタシが千春と二コルの仲間に見えるかい? それは違うね。ワタシは神さまさ。ああ、耳が痒いね」  白狐は耳が痒いのか、猫の様に後ろ足で耳を掻いている。 「神さまじゃと? 変化できるちゅうんか? じゃったら、オラの前で人間の姿に化けてみい」  オラは鼻で笑って、竹刀を白狐に突き出した。 「お断りだね。人間の姿は好きじゃないんだ。それより、どうだい? 神力で変化したのさ。様になってるだろ?」  白狐はお座りして、自分の身体を見ろとばかりに首を動かしてオラを見据える。  瞼を閉じて気持ち良さそうに毛づくろいしながら、嬉しそうに九の尻尾を振っている。 「見入ってる場合じゃないわ! 茜ちゃんを見失ったじゃろうが! どうしてくれるんじゃ!」  オラはくつろいでいる白狐を見ていたら苛立った。  袖をまくって、大股で白狐に歩み寄り、白狐の後ろ脚を蹴って八つ当たりした。  はよう、人間の姿に化けんか。この白狐。  お前が、あの神さまちゅうんわ、よおわかったけえの。 「なにするんだい! 喰ってやろうか!」  猫が驚いた様に白狐の毛が逆立ち、白狐は驚いて立ち上がる。  低く唸って口をかちかちして、オラを睨んで食って掛かる。 「いててて。お前の足、鉄が入っとるんとちゃうか」  オラは足がじんと痺れて、兎のように足を押さえて飛んでいた。 「あの女子おなごを死なせたくないんだろ? 早く背中に乗りな。匂いを嗅いで、二コルを追うよ」  白狐が鼻を嗅いで耳を立て、急に真剣な顔つきになった。 「……そ、そうじゃな。ふざけてる場合じゃないわい。まさか、オラを振り落す気じゃないじゃろな?」  オラは文句を言いながら、白狐の背中に跨いだ。  白狐の背中は、意外と乗り心地がよくて、毛が温かった。  馬には乗ったことないが、どんな感じなんかの。  ふと、そんなことを思った。 「しっかり掴まってな。振り落されたくなかったらね」  白狐が勢いをつけて地を蹴り上げ、一気に駆け出した。  通行人を避け、素晴らしい跳躍で小屋の屋根に飛び乗る。  白狐は屋根から屋根に飛び移り、矢のように駆けてゆく。  高さが違う屋根を飛び上がったり飛び降りたり、藁屋根に足を奪われそうになり、瓦屋根を危うく滑り落ちそうになり。  その度にオラは態勢を崩して、白狐に振り落されそうになる。  景色が矢の様に早く通り過ぎる。  横を向いて景色を見ていたら眼が回り、加えて白狐の体の揺れで酔って吐きそうになる。  慌てて前を見る。  しばらくして、少し白狐の体の揺れに慣れてきた。  気分も良くなり、元気を取り戻す。 「二コルは、勘助の屋敷に向かってる筈じゃ」  オラは白狐の背中に、振り落されまいと必死に捕まっていた。  風の抵抗を受けないように、姿勢を低くして。 「二コルが儀式の間に入ったら終わりだ。勘助の屋敷は、千春が強力な結界を張ってるからね。ワタシたちが結界に入ろうとすれば、弾き飛ばされる。その前に、方を付けるよ」  白狐は真っ直ぐに前を見据えている。  白狐は不安なのか、少し元気がないのか、ため息を零す。  それにしても、神さまに名前付けてやらんとな。  いつまでも神さまじゃ、言いにくいわい。  それに、なんか腹が立つんじゃ。  親しみもないで。  お前は狐じゃから、コンじゃ。  呼びやすくなったで。 「コン。茜ちゃんを助けるで」  オラはコンの首に手を回して、コンにしがみついていた。 「コンだって? ワタシの名前かい?」  コンが顔を振り向いて、すぐに顔を戻す。 「そうじゃ。今日から、お前の名はコンじゃ」  オラはコンの頭を撫でた。 「名前ねぇ。ありがたく頂くよ。ワタシの力は長く持たない。なんとか、二コルに追いつくよ」  コンがスピードを上げた。  ただでさえ、振り落されそうなのに。  これ以上は無理で。  オラは手に力を入れて、足もコンの身体に回した。  まるで柔道の締め技みたいに。 「いたで! 二コルはあそこじゃ!」  オラは、通りを鬱陶しそうに怒声を上げながら駆ける二コルの後ろ姿を、指さして見下ろす。  その時、コンの身体が蛍の光の様に点滅し始めた。  少しずつ、コンの点滅が弱くなる。 「変化は力を浪費するんだ。どうやら、ここまでみたいだ」  コンがため息を零す。 「後は任せろ。コン、ゆっくり休んじゃ」  オラはコンの頭を軽く叩いた。 「しっかり掴まりな! ちゃんと送り届けてあげるよ!」  コンが瓦屋根から跳躍して、二コルの前に飛び降りた。  コンが地面に着地と同時に、オラに着地の反動があった。  コンの四本足で、着地の衝撃が和らぐ。  砂煙が盛大に舞う。  コンが牙を剥いて低く唸り、二コルを睨み据える。  オラはコンの背中から飛び降りた。  その時、コンが疲れ切ったのか、身体が横倒しになり、オラに顔を上げて微笑むと、コンの身体が消えた。  町人は、何事かと立ち止ることもなく、よろめきながら何か呟いて通り過ぎていく。  きっと、町のほとんどの人が、あの女に操られているんじゃろうな。  それとも、瘴気にやられたかもしれん。  オラは空を仰ぐ。  今日は晴れている。瘴気の様な霧は見えない。  人間には見えん瘴気の霧なんか? 「な、なんだ。さっきのはなんだ。お前も、魔物を召喚したっていうのか? 冗談じゃねぇ」  二コルは動揺して、茜ちゃんを肩に担いだまま後退る。  二コルの額に冷や汗を掻いている。  人形のくせに汗を掻くんか。  お前は出来損ないじゃ。 「魔物じゃないわい、神さまじゃ。ただし、タチの悪い神さまじゃ」  オラは竹刀を肩で叩いて、二コルを睨み据える。 「へっ。笑わせるんじゃねぇ。あれが神さまだと? 低級魔物じゃねぇか。ビビッて損したぜ。あいつはどうした? 死んじまったか? それとも、ビビッて魔界に帰ったか?」  二コルが可笑しいというように鼻で笑い、額に手を当てて高笑いした。 「コンは休んどるだけじゃ! まだコンの力は完全じゃないけえの。オラだって、神力が使えるんじゃぞ! これはの、神さまの魂が封じられた勾玉なんじゃけえの!」  オラは首に下げている、勾玉を二コルに見せつけた。 「るせえ! 邪魔するんじゃねぇ! どうしてもってんなら、力ずくでどいてもらうぜ?」  二コルが茜ちゃんを肩に担いだまま、片手をズボンのポケットに突っこんでいる。 「そうじゃの。残念じゃが、あの女は来んで? 縁側で伸びてるけえの」  オラは竹刀を二コルに突き出した。 「でけえ力を感じて、胸騒ぎがしてたんだ。そういうことか。俺だって魔力が使えるんだ。千春抜きでも戦えるぜ」  二コルが不敵な笑みを浮かべて、オラを指さす。 「茜ちゃんを傷つけたら、生贄の価値ないんじゃろ? それでも闘うんか?」  オラは竹刀を二コルに突き出したまま、二コルを睨み据える。  これはオラの賭けじゃ。  できれば、こいつと戦いたくない。  戦えば、茜ちゃんを巻き込むことになる。 「お前のせいで、俺はイライラしてんだ。少しばかり、この女が傷ついても構わねぇ。千春の法術で治せば問題ねぇ。まあ、生贄の価値は下がるがな。ここは勝負といこうじゃねぇか。俺が勝ったら、この女は頂く。お前が勝ったら、俺は諦める。といっても、今回だけな。せっかく見つけた生贄だ。みすみす見逃すわけにもいかねぇ。どうだ? この勝負乗るか? そうそう、言い忘れてたぜ。早くしねぇと、この女、千春の呪いで死じまうぜ? どのみち、この女は死ぬってことだ。残念だったな」  二コルは苛立ちで頭を掻き、愉快という様に垂れ下がった前髪を耳に掻き上げて、鼻で笑った。  あの女の呪いで、茜ちゃんが死ぬじゃと?  この勝負に負けたら、茜ちゃんは、こいつが王になるための生贄にされる。  どっちに転んでも不利じゃが、せめてこの勝負に勝って、茜ちゃんを助ける。  それから、茜ちゃんの呪いを解く方法を考えたらええんじゃ。 「茜ちゃんを安全なところへ頼む。この勝負乗った。必ず勝って、茜ちゃんを助ける!」  オラは竹刀を中段の構えをして、竹刀を握り締める。 「言っておくが、千春の呪いは解けねぇぜ? 式が複雑だからな。まあいい。身体が鈍ってんだ、お前で遊んでやるよ」  二コルが口笛を吹いた。  すると、遠くから人力車がやって来た。 「この女を、ここから少し離れたところに停めてくれ」  二コルが人力車に茜ちゃんを乗せると、人力車を引いている男に言う。  人力車を引いている男は黙って頷き、人力車を走らせた。  あの男も、あの女に操られているんじゃろうな。 「さて。これで心置きなく戦えるぜ。おっと、建物は壊すなよ?」  二コルが腕を回して、首と指の骨を鳴らす。  そして、二コルの両手指の爪が鋭く伸びた。  二コルが不気味に微笑んで、鋭く伸びた爪同士を鳴らすと、金属音が鳴り火花が散った。  二コルとオラが向き合う。  嫌な風が吹き上がった。 「この爪の餌食になりたくないだろ? 切れ味は逸品だぜ? 命の保証はねぇ」  二コルが指を動かしながら、オラに不気味に微笑んでいる。  確かに、あの爪をまともに食らったら終わりじゃ。  竹刀で防げんかもしれん。  オラの頬を冷や汗が伝う。  恐怖に身体が支配され、オラは一歩も動けない。 「どうした? 掛かってこねぇのか? こっちからいくぜっ!」  二コルが駆け出し、素早く指を斜め下に振り下ろす。  刃の風がオラを襲う。  オラは素早く顔の前に竹刀を横に構えた。  竹刀の柄と、竹刀の刃先を握って。  二コルの刃の風が竹刀を真っ二つに切って、二コルの刃の風がオラの身体に突き刺さる。  オラの上半身の着物が袈裟に裂かれ、袈裟の傷口から血がどっと吹き出す。  刃の風力に押され、足が引きずる。  オラが二コルの刃の風に押され切ったところで、オラは片膝を地面につく。  オラの上半身の袈裟傷は深手を負い、傷口から血が吹き出る。  オラの両手には、真っ二つになった竹刀を握っている。 「無様だな! 稽古の竹刀が壊れちまったな!」  二コルが鋭い歯を見せて、オラに歩み寄る。  二コルの鋭い爪が引いてゆく。  あの爪の武器を引っ込めおった。  これはチャンスなんか? 「茜ちゃんの呪いに比べたら、これくらい、なんともないわい」  オラは二コルを睨み据える。  傷口を手で押さえて止血したいが、真っ二つになった竹刀が唯一の武器じゃけえの。  手放す訳にはいかんのじゃ。 「勢いがいいねぇ。いたぶらねぇと、俺の気がおさまらねぇ」  二コルが、オラの胸倉を掴み上げる。  たとえ、真っ二つに切れた竹刀でも戦えるんじゃ。  オラは両腕を上げて、真っ二つに切れた竹刀を見る。  よく見ると、真っ二つに切れた竹刀の切り口が、二本とも鋭利になっている。  そうか。  こいつを武器にしたらええんじゃ。 「は、放せ」  オラは、自分の胸倉を掴んでいる二コルの腕に、右手に握っている竹刀の切り口を、二コルの腕に思いっきり突き刺す。  二コルが舌打ちして、オラの胸倉から腕を離す。  竹刀の切り口が二コルの腕に突き刺さり、二コルの腕から血が伝う。 「こいつ、やりやがったな」  二コルが腕に突き刺さった竹刀を抜いて投げ捨て、傷口から血が吹き出て傷を手で押さえる。  二コルが舌打ちしてよろける。 「いくでぇぇぇぇぇ!」  オラはその隙に、二コルに全身の力を込めて体当たりを食らわす。  二コルは派手に尻餅をついた。  オラは素早く屈み込んで、地面の土を握って、二コルの両眼に向け、砂を放り投げた。 「くそぉ! 眼が見えねぇ!」  二コルは両目を擦って、じたばたして暴れている。  オラは二コルがじたばたしている隙に、竹刀の切り口を二コルの身体に刺そうとした。  次の瞬間。  二コルの右眼、蜥蜴の様な眼が見開く。左眼は瞑っている。  二コルの右眼から、邪悪な波動が発せられる。 「おっと。動けねぇだろ?」  二コルが不敵に笑いながら、おもむろに立ち上がる。  服に付いた砂ほこりを、ゆっくりと振り払う。  どうなってるんじゃ?  胸が締め付けられるようで、身体が動かん。  茜ちゃんに使った技ちゅうんか?  オラは歯を食いしばる。 「ほらよ。こいつはどうだ?」  二コルが右手首を左手で押さえて、右手首が銃弾の様に発射される。 「ぐっ」  オラは二コルの右手首に勢いよく押され、オラの身体はくの字に曲がる。  やがて物置小屋に立て掛けていた板を突き破り、物置小屋の壁に激突した。  オラは口から血を吐く。  二コルの右手首を右手で掴んで離そうとするが、二コルの右手首に力が入り、簡単に離れない。  力を入れて二コルの右手首を離そうとすると、金属音とともに、二コルの指の間から鋭いかぎ爪が生えた。  しっかりと、かぎ爪がオラの身体に食い込む。  オラは痛みに耐えられず、物置小屋の壁伝いに滑り落ちて、地面に座り込む。  右手で袈裟傷を押さえて止血する。  そして今度は、二コルの右手首の切り口から勢いよく煙が噴出された。  煙が緑色から黄色へ、煙が噴出される音が一音高くなる。  そして煙が紅くなったところで、二コルの右手首が閃光とともに爆発した。  オラは爆風で、物置小屋の壁を突き破り、物置小屋の反対側に吹っ飛ぶ。  失速したオラは、物置小屋の反対側の草むらで仰向けに倒れた。  屋根の下敷きにならなくて幸いだった。  オラの意識が遠のく。  流石に不味いわい。  茜ちゃんを守るどころか、オラが死んでしまうわい。  なんで神力が使えんのじゃ。  神力が解放されたはずじゃろ。  オラは心で文句を言いながら、血だらけの右手で勾玉を握る。 「派手にやっちまった。様ねぇな。屋根の下敷きになって死んじまったか?」  二コルの声が近づいてくる。  二コルが瓦礫を掻き分けたり、瓦礫を蹴っている音が聞こえる。  オラは顔を上げて、上半身を起こす。  屋根の下敷きになったと思い込んどる。  爆風で吹っ飛んだ物置小屋は、煙が上がってよく見えない。  これでしばらく時間が稼げるじゃろ。オラは煙臭くて咳き込む。  茜ちゃん、すまん。  負けるかもしれんで。  ダメじゃ。勝てんわい。  オラは大の字になって、空を仰ぐ。  生きているのが不思議だった。  風が気持ちよくて、疲れ果てて眠りにつこうとした。 『なにやってんのよ、光秀。情けないわねぇ。あいつに勝って、あたしを守るんでしょ?』  突然、茜ちゃんの声が頭に響いた。 「あ、茜ちゃん!?」  オラは驚いて上半身を起こし、辺りを見回す。  茜ちゃんの姿がどこにもないので、オラはまた頭を地面につけようとした。  頭の後ろに何か感触があった。 「強い心があれば負けないわ。光秀は、それを持ってる。光秀には守るモノがあるから。絶対に負けない。もう一度思い出して。あたしを守って」  半透明の茜ちゃんが、オラの顔を覗き込んでいる。  茜ちゃんは、太腿ふとももでオラの頭を支えてくれていた。  茜ちゃんが微笑み、オラの頭を優しく撫でる。 「強い心……茜ちゃんを守る……」  頭の中で呪文の様に唱える。  これは、夢なんじゃ。  オラは夢を見ている。 「どお思い出した? 自分を信じなさい。光秀、立てる?」  茜ちゃんがオラの肩を支えて、オラの上半身をゆっくり起こす。  茜ちゃん立ち上がって、オラの肩に手を回して、オラを支えながら、オラをゆっくりと立ち上がらせる。 「茜ちゃ……」  そう言いかけた時、茜ちゃんは消えていた。  オラは落ち着かせるために、血だらけの右手で勾玉を握って、深呼吸する。  強い心、自分を信じるんじゃ。茜ちゃんが教えてくれたけえの。  竹刀は真っ二つになってしもうたが、そんなの関係ないわい。  次は勝つで、二コル。もう負けんけえの。  オラは勾玉を両手で握り締めた。  そして、オラの思いに応えるように、左手の甲が青白く光った。 「なんじゃ?」  思わず声に出して、左手の甲を見る。  オラの左手の甲に、魔方陣の様な模様が入れ墨の様に彫られている。  手応えを感じる。勾玉が脈打っている。  強い心があれば、神力が使えるちゅうことか。  だから、さっきは神力が使えなかったんじゃ。  オラに強い心がなかったけえ、勾玉は応えてくれなかったんじゃ。  信じ続けることが、本当の強さなんじゃ。  そういうことじゃろ。茜ちゃん。待っとれよ、助けるけえ。 「なんだよ、こっちにいたのか。やれやれ、悪運が強い奴だぜ」  煙の中から、二コルが現れた。  二コルは左手で右手首の切り口を握ると、右手首が生えた。  二コルは右手首を回して、右手の指を動かす。  オラは左手にしっかり握られた、真っ二つに切れた竹刀の柄を両手で握り締めて、中段の構えをした。  竹刀の上半分がないので、心もとないが。 「やられっぱなしじゃったが、こっから反撃じゃ」  オラは二コルを睨み据える。 「おいおい、切れた竹刀でなにができるってんだ? その身体で」  二コルが可笑しいという様に、額に手を当てて高笑いした。 「お前を刺すには、これで充分じゃ!」  オラは駆け出した。  オラは二コルの懐に入るなり、二コルの右肩に竹刀を突き刺した。 最後まで読んでくださりありがとうございました! もしよろしければ、感想・pt入れてくださると嬉しいです! Twitter→https://twitter.com/hamakawa20153 フォローしてね! << 前へ次へ >>目次 ブックマーク 感想を書く ブックマークに追加 ブックマーク登録する場合はログインしてください。 ポイントを入れて作者を応援しましょう! 評価をするにはログインしてください。 感想を書く場合はログインしてください。 +注意+ 特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。 特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。 作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。 この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。 この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。 小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。 作者マイページトラックバック誤字報告情報提供 小説家になろうタテ書き小説ネット小説を読もう!

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