サキュバス(ALL)

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サキュバス(ALL) - (2008/02/27 (水) 03:52:36) の編集履歴(バックアップ)


333 名前: 低学歴(樺太)  投稿日:2007/11/07(水) 05:32:41
ファンタジーエロ小説考えた
サキュバスを討伐しにいった主人公が淫気で全滅
仲間の女戦士がサキュバス化してくみたいな


121 名前:学生さんは名前がない  投稿日:2007/12/29(土) 04:52:38 O
僕はハンス、パルケスパーニャの第二王子だ。
今僕はサキュバスから逃げているうわ何をするやめろ
サキュバス「つかまえたわwwwwww」
ハンス「ぐわ」
ビローン
サキュバス「ビッキビキじゃない」
ちゅぷ
1快楽に身をゆだねる
2あくまで抵抗する
3むしろサキュバスを責める

この部分のログを持っている人がいましたら、編集お願いします。

26 :学生さんは名前がない:2008/02/08(金) 14:57:49 O
サキュバス妄想のここまでのあらすじをまとめてみました
大陸の一国ハルシアの新米騎士カイルの隊は国境の都市ヘレミナに調査に向かう
途中獣人に犯されかけた少女ユーリを加えヘレミナに滞在し調査を進めるカイル達であったが
ある夜無数のサキュバスの来襲でヘレミナは壊滅し、カイル達は混乱の中隊とはぐれてしまう
逃げる途中敵国の精鋭騎士アッシュを仲間に加え無事騎士長ホルガー率いる自分の部隊に合流
更にサキュバスの大群により陥落した北砦の生存者を加えた一行は王都への帰還を決意する
その途上の谷間ではサキュバスクイーンにより女騎士達、
湿地帯では触手属性の淫獣ラベンダードラゴンによりテンペストとゼヴィが一行から外れる
残った新米騎士カイル 騎士長ホルガー 女魔術師マリア 射手ユーウェイン
炎の魔法剣士アッシュ 新米女騎士サラ 普通の少女ユーリ 斧を携えた重戦士マーカス
の8人は、王都の平原に抜ける為湿地帯を西に進む

手とかおかしいけどラファエラ書いてみた
http://imepita.jp/20080208/535290
http://imepita.jp/20080208/034510
女王蟻とか女王蜂のイメージなんだけど衣服難しい('A`)


87 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:45:37 O
夕刻の沼地・・・テンペストとゼヴィは苦戦を強いられていた
立ちはだかる青紫色のドラゴンは再生能力を持ち
それを操るサキュバス・ジュリアは縦横無尽に飛び回る
テンペスト「くそっ・・・」
テンペストは何度目かの跳躍
槍を振りかざし術者であるジュリア目掛けて飛びかかった・・・が
ジュリア「みえたでありやがります」
ゴッ
テンペスト「ぐっ」
軽く交わされ脇に回し蹴りが炸裂
テンペストはぬめった泥の大地に叩きつけられた

ゼヴィ「ジュリアーッ!!」
続いてとびかかるゼヴィ
しかしジュリアは垂直に飛び上がり
ゼヴィ目掛けてドラゴンの触手の群れが放たれる
ゼヴィ「くっ・・・ううう!!」
後退しながら払いのけて何とかやり過ごすも
二人の体力は限界に達していた
テンペスト「ここは分が悪すぎる、こっちだ!」
テンペストはゼヴィを連れ戦いながら退避した


88 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:46:46 O
ジュリア「フフフ・・・残念、行き止まりでやがりましたね」
テンペスト「・・・」
テンペスト達はいつの間にか湿地帯を流れる大河の岸辺に辿り着いた
背後の水流は激しく彼方には滝が見えるまさに背水の陣
テンペスト「なら・・・ここで」
ゼヴィ「倒すだけよ!!」
二人は同時に、挟み込むようにジュリア目掛けて斬りかかる・・・が
ヒュン
テンペストとゼヴィ「何!!」
攻撃は当たることなくすり抜けた

ジュリア「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
みえてるのであります!」
ゼヴィ「幻術!?・・・まずい!!」
そう言ってゼヴィはテンペストを突き飛ばした
待ち構えていたドラゴン極太の触手がゼヴィを捕らえた
ゼヴィ「ぐっ!あああっ!」
テンペストは触手に足を吊され逃れようともがくゼヴィを助けようとするが
ジュリア「貴様の相手は私であります!」スッ
眼前にフッと現れたジュリアの顔が一瞬で後ろを向き ドゴオッ
強烈な回し蹴りを腹にくらったテンペストの体は勢いよく宙に飛んだ
屈強な肉体を持つ彼の体をジュリアはいとも簡単に十数メートル先の川の激流に投げ落とした


89 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:47:58 O
テンペスト「ぶっ!ぶわあああっ!ゼ、ゼヴィ!」
必死に手を岸に向けるが川の流れは凄まじく
触手に捕らえられたゼヴィの姿はみるみるうちに小さくなった

ゼヴィ「がはあっやめろ!」
宙釣りにされたゼヴィをドラゴンは玩具のように弄ぶ
ゼヴィのわき腹に迫ったドラゴンの右腕がぐぱあと開くと
そこから無数の触手がまるでそれぞれ意思を持った蛇のように蠢き
ゼヴィの褐色の肢体を鷲掴みにして紫色の触手で絡めとってゆく

ジュリア「フフフ、ラベンダードラゴン。
そのままこの女をお前の淫ら極まりない魔汁で堕落させるのでありやがります」
ゼヴィ「くっジュリアアッー!!!」
ゼヴィの喘ぎにも似た甲高い叫びは
触手から染み出すこの粘着質な液の湿った音ですぐにかき消される

ドラゴンの触手は大きな二つの束に分かれてゼヴィの両脚をそれぞれ束縛すると
よく鍛えられた太ももに巻き付いた触手が
さながら手淫のように何度もずりゅずりゅと上下に蠢く

やがて触手は両足の付け根に集中すると
ゼヴィ「ぎゃあああ!!」
こじ開けるように真横に開きあげた
哀れ
ゼヴィの股を隠していたスリットの入った衣はドラゴンの体液で溶かされ
彼女の秘部が露わになった


90 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:49:16 O
その光景を遥か彼方で流されながら見せつけられるテンペストに滝壺が迫る
テンペスト「くっ・・・そおおお!!!!」
手にした槍を岩の隙間に立て何とか残ろうとする
既に限界に達した体力
気力だけが彼の片手と槍を繋いでいた
見下ろすと滝壺が待ち構えるように巨大な口を開かれている
と、そこで
一際強い流れが槍を岩の隙間から引き剥がし
テンペスト「!!」バシャアアアアア
テンペストはそのまま巨大な瀑布に飲み込まれていった


ゼヴィ「アッー!!アーーッ!」
ゼヴィの声が虚しく響き渡る
続いてブジュリブジュリという陰湿な音
ゼヴィ「ひぃッ!!」
ドラゴンの触手がわらわらと彼女の体を包み込んでいく
みるみるうちに顔と手足の先とへそを残し
美しい褐色がかった肉体は毒々しい紫色の触手で覆われた
ジュリア「フフフ・・・ゼヴィ・・・哀れでありますね
貴女、あの傭兵を好いていたでありますね?」
ゼヴィ「ジュリア!貴様何を!はあああアアアッ!!」
一際激しくうねりながら触手がゼヴィの体を締め付けた


91 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:50:04 O
ジュリア「冷徹なキャラで通っている貴女のような女騎士は
そういう心は隠さなければいけないから辛いでありますよね
私もわかるであります」
憂いげに目を細めるジュリアの唇の隙間から舌が見えた

ジュリア「だから!!!!ゼヴィ!!!貴様は変わるのでありますそう!!!!!
あらゆる欲望に素直な私達の仲間として!!」

ジュリアが指を鳴らす

ゼヴィ「はあああああああん」
ゼヴィを締め付けたドラゴンの触手は持ち上がり
胸元に咲いた巨大花からうねる触手に受け渡す
体液で妖しくぬめり光るゼヴィの体は
瞬く間に花から生えだしている触手に包まれ花の中に引き込まれた


92 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:51:39 O
ゼヴィ「ああ・・ああ・・・・・・」
輝きを失ったゼヴィの瞳が虚空を見上げる
口元からは涙とも涎とも判別できない液が垂れ
そのままゼヴィの体は花の中に沈んでゆく

バクン!!

一瞬だった。巨大な蛇の顎のような花びらはパクリと閉じると
ゼヴィの体は完全に花の中に閉じ込められた

ジュリア「ゼヴィ・・・その花の中は気持ちいいでしょ?
植物に捕らえられた羽虫のようにもがきながら溶けていきなさいであります
でも貴女の体は溶けてドロドロになるわけじゃない・・・
そう、貴女も私達のように完全なサキュバスとして変わるのであります
フ・・・それが友として貴女への手向け・・・」

「終わったようねえ~ん」
後ろから何とも艶っぽく気だるい女性の声
振り返るジュリアの前には
今は堕落に染まりサキュバスと化した
5人の元気高い女騎士を達を連れたサキュバスクイーンの姿があった

リオーネ「わあ気持ち良さそうですね、ジュリア様♪」
寡黙だったリオーネは幼児のようにはしゃぎながらゼヴィを飲み込んだドラゴンの花を見上げた
よだれと〇ン汁をボタボタ垂らしながら
アホの子のように見上げる百合十字騎士だったサキュバス達


93 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:53:14 O
騎士だった頃彼女達を束ねていたジュリアは
ジュリア「ロゼ、貴女達もラベンダードラゴンの淫液蕾に浸かりたいのでありますか?」
ロゼ「いんえい♪私達もうだってアヒアヒふうん
クイーン様にどんだけってレベルじゃねーくらいイカされますた」
支離滅裂だ
ジュリア「日本語でおk、でありやがります」
クイーン「ごめんなさいねえジュリアちゃん
ロゼちゃんったら最後までわらわに刃向かうから本気責めしちゃった♪
だからもうイッちゃってるのよいろんな意味でも性的な意味でもw」
ロゼは尻尾をこすりつけながら傍らのセレスを押し倒した
ロゼ「あーもえ~もえ~戒!漫画できられないのーッ!!」
尻尾をしならせながらセレスにキスしまくるロゼに、セレスはセレスで
セレス「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ 」
無情、笑いながら犯されている
ミザリー「キマシタワー」
たまらず〇ナニーを始めるミザリー

リオーネ「まさにカオスだなw」

アイリーン「もーっ!うちらだけでセク○スしてどうすんのよっ!
早くホルガー達を犯して犯して犯しまくるんだから!!
ねっクイーン様☆」
クイーン「そうよ!早くたちなさい!行くわよ」
「はーい」
自らに沸き起こる性欲を押さえきれない
成り立てのサキュバス達は気の抜けた返事をしながら渋々立ち上がった


94 :学生さんは名前がない:2008/02/15(金) 08:57:26 O
ふー・・・ゼヴィ堕落完了
ちょっとヌルいのと日本語おかしい所は脳内補完でドゾー
絵練習でなかなか続きがまとまらない\(^o^)/

141 :学生さんは名前がない:2008/02/21(木) 22:55:55 O
ゼヴィが触手にやられてる絵書いてみた
質感ムズカシス
http://imepita.jp/20080221/814600

159 :学生さんは名前がない:2008/02/22(金) 19:11:38 O
テンペストが滝壺に飲み込まれ
ゼヴィがラベンダードラゴンに飲み込まれた頃
カイル達は湿地帯を抜け、
今や穏やかな水流となった川の下流沿いを歩きながら王都を目指していた
ホルガー「夜が近いな。」
アッシュ「あの洞窟はどうだ?」
アッシュが指差した方向には、支流から分かれた川が流れ込む洞窟があった
カイル「あそこは?」
マリア「そうね。でも敵はいないのかしら?夜魔や蝙蝠が好きそうな暗所だし」
ホルガー「ああ、わかってる。他にどこか泊まれる場所になれそうな所は」
歩を止め辺りを見渡すホルガー
マーカス「ホルガー殿、この先に村落があるはずです」
ホルガー「うむ、確かこの辺には旅人が立ち寄る小さな宿場がありましたな。そこなら」
アッシュ「行ってみるか」
カイル一行は村落へ向かった
だが、そこは・・・

アッシュ「これは酷い」
村落はあったが人の影は無く、
どの民家も窓や戸が乱雑に壊され廃墟のように静まり返っていた
カイル「ここもヘレミナと同じだ・・・」


160 :学生さんは名前がない:2008/02/22(金) 19:12:04 O
ユーリ「村の人達は・・・?」
それまで口数少なく行動を共にしてきたユーリが不安げに呟いた
アッシュ「多分生きてねーな」
ユーリ「え・・・」
マリア「このバカ!ユーリは軍属でも何でもない普通の娘なんだから少しは察しなさいよ!
だってユーリの姉さん達はもう」
そこで言葉を詰まらせるマリア
ユーリ「マリアさんいいんです・・・私もうわかってはいますから
この現実・・・でも・・・うう!!」
涙声でそこまで言うとユーリは顔を覆いしゃくり上げた
戦いそのものに慣れているホルガー達、
初陣とは言え戦う覚悟があったカイル達と違いユーリは普通の民間人だった
ヘレミナから張り詰めていた糸は限界に達していたのだ
ユーウェイン「大丈夫だよユーリ。」
そんなユーリの肩をユーウェインが優しく支えた
ユーウェイン「ユーリが危なくなったら僕が全力で助ける。だから・・・」
ユーリ「ユーウェイン・・・!!」

いいふいんきの二人を
カイル「( ゚д゚)」
マリア「はあ・・・あんたもユーウェイン見習いなさいよ」
カイル「( ゚д゚ )」
マリア「ていうかこっちみんな!」
カイル「(´・ω・`)」


161 :学生さんは名前がない:2008/02/22(金) 19:12:27 O
マーカス「さあ、まずは食料を」
言いかけた所でマーカスが背中の斧に手をかけた
それに気づいたホルガーやアッシュも武器を構える
「フヒヒ・・・」
民家の合間から武器を構えた半裸の男達が現れた
ユーウェイン「ユーリ!」
ユーウェインはユーリを庇うように身を乗り出し弓を構え矢を抜いた
「フヒヒwwwww」
既に人間ではない村人達
その誰もが黒い尻尾と翼、曲がった角を生やし
その姿はまるでサキュバスそのものだった
カイル「サキュバス!」
マリア「バカ!あれはインキュバスよ!
サキュバスに隷属されるオスの淫魔!」
インキュバス「フヒヒwwwお嬢ちゃんは頭いい子でつねw」
「ツンデレwww(^ω^)
あのおにゃのこにぽこちんインするお!」
直後、インキュバスの数人がブーンの姿勢で飛んだ
そして、そのまま、カイル達が立っている真後ろにそびえる
村の鐘楼に突っ込んだ ドンガラガッシャアン
ホルガー「まずい、避けろ!!」
カイル「うわああああ」ズザアアアアン
崩れ落ちる瓦礫がカイル達を分断する


162 :学生さんは名前がない:2008/02/22(金) 19:13:00 O
ホルガー、ユーウェイン、マーカス、ユーリと
カイル、マリア、アッシュ、サラ
二つに分かれた彼ら一行の間をインキュバス達が降り立ち
インキュバス「計画通り分断成功だお!」
淫魔達は奇声を上げて四方八方に飛び出した
ホルガー「くっ!聞こえるかカイル!」
飛びかかるインキュバスを斬り伏せながら
瓦礫の向こうにいるカイル達の名を呼ぶホルガー

カイル「何とか!」
マリア「ホルガー隊長!」

ホルガー「お前たちはあの洞窟から王都へ!」
2体目のインキュバスの脳天を剣でかち割りながら叫び続けるホルガー
カイル「えっ?洞窟って・・・わっ!」
インキュバス「wwwwwwwwブシャア

カイル目掛けてブーンの姿勢で飛びかかったインキュバスをサラが背後から斬りつけた
サラ「カイルさん!早く!」
カイル「え!でもホルガー隊長は・・・!!」

ホルガー「俺なら大丈夫!心配するな!
アッシュ!カイル達を頼んだぞ!」
アッシュ「任せろ!さあ、カイル!嬢ちゃん達こっちだ!」
アッシュはカイル達を引き連れながら村を後にした


163 :学生さんは名前がない:2008/02/22(金) 19:16:54 O
また分断されますた
最初からキャラ出しすぎたorz

>>148触手上から重ねてみただけだから質感が胡散臭いよね(ノД`)

懲りずに書いてみた女キャラ
http://imepita.jp/20080222/692660
http://imepita.jp/20080222/692970

169 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:47:08 O
小一時間後

ホルガー「何とか・・・」
マーカス「倒しましたな・・・」
肩で息をする二人の足下にはインキュバスの死体が転がっていた
ユーウェイン「ホルガー隊長!」
ユーウェインが弓を構えながら建物の陰から現れた
ユーリが心配そうに右手を口元に当てながらユーウェインの後に続く

ホルガー「はあはあ・・・二人とも無事か?」
ユーウェイン「はい、あの廃屋で隠れていました。
ところで・・・カイル達は大丈夫でしょうか」
ホルガー「なぁに。ああ見えてカイルはやればできる子。
それにアッシュ達がついてる」
ホルガーはそう言ってユーウェインの肩をポンポンと二度叩いた
ホルガー「さて、ここらにいたであろうインキュバスは粗方倒した
今夜はここで夜を越そう」
マーカス「幸か不幸かここは襲われてからまだ日が浅いはず
食料も補給できるでしょう」
ホルガー「というわけで私とマーカス殿が見回ってくる間
ユーウェインはユーリと夕食を用意しておいてくれないか」
ユーウェイン「わかりました!さあ、ユーリ行こう」
ユーリ「う・・・うん!」
ユーウェインとユーリは廃墟に残った食料を探しにそこから離れた


170 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:47:24 O
一方その頃
カイル、マリア、アッシュ、サラの4人は洞窟内を川に沿って進んでいた
真っ暗な洞窟をマリアのトーチの炎が照らし
水の流れの揺らめきが洞窟の壁に映る
時折コウモリが飛ぶ羽音がする度に
カイルの横を歩く新米百合十字騎士のサラが身をすくめた
カイル「大丈夫だよ。コウモリは襲ってこないから」
サラ「わかってはいるんだけどね・・・ひゃっ」ドスッ
カイルの方を向いて苦笑いをしたサラはそのまま前を歩いていたマリアの背中にぶつかった
マリア「ちょっとサラ、もっと気をつけなさいよ。
その鎧痛いんだから」
百合の花びらのような肩甲が背中にぶつかり
さすりながらサラに注意をするマリア
サラ「ごめんなさいごめんなさいorz」
きつい口調のマリアに対し大袈裟に頭を垂れるサラ
カイル「いいんだって、マリアはいつもこんなだから」
サラ「はあ・・・」
マリア「は!?」
マリアが何か言いたげにカイルを睨んだ
カイル「(´・ω・`)
ところでどうしたのアッシュ?急に止まったりして」
アッシュ「ここらで休憩だ」
どかっと背中にぶら下げた麻袋を地面に落とすアッシュ


171 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:47:39 O
中から取り出した燻製肉と乾いたパンを腰に下げられた短剣で器用に切り出しながら頬張る
アッシュ「おまいらも食べとけよ?あるんだろ?」
マリア「水はこの川でいいかしら?」
マリアは空になった飲み水用の革袋の緒を緩めた
マリア「ちょっと、カイル、それからサラ。あんた達も早く座りなさい」
ぼけーっと突っ立っていたカイルとサラはマリアのため息混じりの一言でふっと我に帰った
カイル「ああ、ごめん」
サラ「あ、私食料持ってない・・・」
カイル「え?本当?
じゃあ分けてあげるよ」
いそいそと背中の小袋をかき回すカイルはその中からパンを取り出すと
二つに割ってサラに渡した
サラ「あ・・・ありがとうございます」
そんな二人の様子を見ていたマリアは
マリア「はあ~、あんた達って本ッ当!
なんというかまあ・・・」
カイル「え?」
サラ「え!?え!?」
カイルと見合わせたサラの顔が何故か紅潮した
マリア「はあ・・・何想像してんのよサラ
まあいいわ」
若干微妙な空気が流れる中で四人は簡素な夕食を済ませると
洞窟に身を横たえてしばしの眠りを取った

 

172 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:47:54 O
川の流れる音と雫が落ちるぽたぽたという音
そこに突然ガサガサという不規則な音が鳴り響いた
アッシュ「起きろっ!」
熟睡していたアッシュはいち早く敵の接近に気づくと立ち上がるや否や大剣を抜いて突撃した
それに続いてカイル達も目覚め状況を把握する
カイル「アッシュ!」
目を開けたカイル達に飛び込んできた光景
それは、大剣をかざしたアッシュと
それをいとも簡単に受け止める大男の姿だった
その姿は人間でも淫魔でもなく
尖った耳にけむくじゃらの手足
肌全体は濃い褐色という異様な風貌だった
「ホウ、ナカナカヤリオル」
男は片手で受け止めた大剣をアッシュごと弾き飛ばし
間合いを取ると狼のように雄叫びをあげた
「オオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ミキミキと音を立てて盛り上がる男の筋肉は
着ていた服を破り散らして一気に膨張する
尖った耳は毛に覆われ、男の顔が鼻筋から伸びる
開かれた口からはまがまがしい牙が伸びて生えそろい
たいまつで照らされたその姿はまるで荒々しく残虐な獣そのものだった
アッシュ「くっ、こいつは・・・」
マリア「獣人・・・ライカン!?
ここはこいつの巣だったのね!!」


173 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:52:51 O
獣人は時折鼻をひくつかせながらうなり声をあげカイル達を見渡す
獣人「キサマ、ワレ、ナワバリハイッタ・・・!!
ワレ、キサマラ・・・クラウ!!」
その瞬間、炎に照らされた影が消え、直後 ガキイイイン
獣人は一瞬でアッシュに詰め寄るとその長く鋭い爪で大剣とせめぎ合う
アッシュ「こいつ、何てバカ力だ・・・!!」
ミシミシという硬質な音で大剣がきしむ
歯を食いしばるアッシュの眼前に獣人のよだれに濡れた吐息がかかる
アッシュ「こ・・・の・・・っ!!」ガッ ガキイン

アッシュは膝げりで獣人を突き飛ばすと滑り込みながら後退、間合いを取る
アッシュ「こいつはおまいらじゃ無理だ・・・俺がやる!
この俺が、アッシュ・トータライズが全力をかけてこいつを倒す!!」
カイル「でも、それじゃアッシュが・・・!!」
アッシュ「うるさいっ!!カイル、お前が嬢ちゃん達を守れ!!
こいつを倒せるのはこのメンツじゃ俺くらいなもんだ!」ガキイイイン
再び剣と爪がぶつかり合う激しい音が鳴り響く
カイル「わかった!必ず・・・必ずだよ!
王都で!!」
アッシュ「当然!」
カイルは死闘を繰り広げるアッシュと獣人の剣戟音を聞きながら
洞窟を流れる川の下流向かって走り出した


174 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:53:09 O
アッシュ「さあ、これでハンデはなくなった。
1vs1、イーブンだ」チャッ
アッシュは剣の柄を握り直すと
爪をクロスさせ鉄の巨像のように立ち尽くす獣人に向かって叫んだ
獣人「ハンデ?ナクナッタ?ハンデガニゲタ!!ハッ!」
鼻で笑う獣人
獣人「オマエ、ツヨイ!ダガ・・・ナレバコソ!!!!」ゴォッ
獣人はこの戦いが楽しみで仕方ないというように雄叫びをあげると
右肩をせり出し爪を構えてそのままアッシュ目掛け突進した
槍のように繰り出された爪の一撃を刀身を立てて受け止める
獣人「オマエオワタ・・・ハンデモロトモ・・・オワタ!!」
アッシュ「そうはさせるかよ!!」
乗り出した頭部を狙いアッパーのよう剣を振り上げる
獣人はそれを見切ったように跳躍して避けると離れた地面に着地した
アッシュ「流石は獣・・・人間の太刀筋なんて止まってるように見えるってか」
アッシュは片手で剣を構え直すと
ワームを薙ぎ払った時に使った魔封札を取り出し
剣―、焔蜥蜴の舌フレイムタンに貼り付けた
刀身が放つ燃えたぎるような赤い光で洞内は昼間のように明るくなる
獣人「コイツ・・・」
獣人の瞳孔が狭まり次の瞬間
アッシュ「うおお・・・!!」


175 :学生さんは名前がない:2008/02/23(土) 05:56:15 O
先ほどの獣人のように今度はアッシュが突撃する
剣を水平に槍のように構え心臓目掛けての突き
だが人間では有り得ない動体視力を持つ獣人はこの太刀筋も見切っていた
回避の跳躍をする獣人・・・が、
獣人「ナニイイイイ!!」
炎をまといながら繰り出されたフレイムタンは刀身以外の空間すら刀身と化し
獣人が避けようと動いた空間ごと貫く
獣人「グバアアアアアア!!!!」
炎とも刃とも言えぬ赤い斬撃に横を向いたまま胴を貫かれ獣人は血を吐きながら
ドシャアアアア
突進するアッシュともつれるように壁に激突
二人の姿は赤と灰の煙に覆われすぐに見えなくなった


さっき投下しようとしたら書き込めなかったorz
今回のは全体だったみたいだけど
同じスレで連続でレス投稿したら規制くらったりするもんなのかな?

236 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:10:22 O
カイル、マリア、サラは川の下流に向かいひたすら走りつづける
途中滑りやすい濡れた岩肌に足を取られ転びかけたサラの腕をカイルが何度も受け止めた
サラ「・・・ありがとう」
カイル「いいから!早くここを抜けなきゃ」
マリア「見て、あそこ!」
マリアが指差す方向には月光に照らされた地面が見える
サラ「出口・・・?」
カイル「行こう!」
走りながら問いかけるサラにカイルが答えた
そのまま三人の足は駆け続け、遂に月光に照らされた夜空の下に辿り着いた!

カイル「あれ?」
サラ「出口じゃないですね><」
思わず口をついて出たサラの一言の通りそこは洞窟の出口ではなかった
天井にぽっかり空いた大きな穴とそこから照らす月光が
あたかも洞窟の出口のように三人を錯覚させたのだ
川は尚も暗い洞窟の続きに向かい流れ続けている
カイル「こんな所があったなんて」
マリア「山の一部が地震か何かで崩落したのかしら
それにしても」
サラ「綺麗な所ですね」
顔を見合わせる三人
マリア「あははwww
サラあんたこんな時に何言ってんのよwww」
張りつめていた緊張の糸が緩み思わず笑ってしまうマリア


237 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:11:38 O
サラ「え?そんなに可笑しいですか?」
頭に?を浮かべながら首を傾げるサラに
マリア「可笑しいってあんたがよwww
こんな時に洞窟から見える夜空が綺麗ってwww」
腹を抱えて笑い続けるマリア
サラ「そんなに変でしょうか?こんな時だからこそですよ!」
偉く真面目な面持ちでマリアに主張するサラ
マリア「わかってる、わかってるけどwww
ふう・・・」
サラ「私小さな時に母さんに教えてもらったんです
星座とか・・・」
月光が照らす丸い円の中心に歩を進めるサラ
カイル「星座?」
サラ「はい!ほら、あの星と星、翼を羽ばたかせた天馬に見えませんか?」
二人に背を向けたまま空の一辺を指差すサラ
カイル「言われてみれば」
マリア「確かに天馬の形ね」
サラ「そうでしょ!?
昔の人は平和な時代、
空を見て星座を見つけては明日を占ったそうです」
サラは嬉しそうに空を指差し横顔を向けた
マリア「平和な時代、かあ・・・」
マリアが感慨深い口調で呟いた


238 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:12:50 O
サラ「はい!だから私達も・・・
今は大陸の4国が争い合ってますけど」
カイル「サラ・・・」
サラ「平和な空を見上げて語り合える、そんな時代が早く来ますようにって」
サラがカイルと目を合わせにっこり微笑み

ズビュアッ

サラ「え・・・?」ゴプッ
サラの口から赤い血の塊が吐き出された
呆然とした面もちで音がした自分の胸を見下ろすサラ
その胸には百合十字の徴が刻まれた鎧
固い防具のプレートから突き出た白く尖ったモノがサラの血で赤く濡れながら
彼女の胸を貫通していた
「ヘイワナリソウヲイダイテネムレ―、ニンゲン」ズビャッ
勢いよく抜かれる槍のような白い爪
サラ「・・・ぁ・・・・ぁぁ・・・」ゴプップッ ジャアアア
ガシャッ、ガシャッ・・・ドサッ
鎧が揺れる金属音を響かせながら片膝が相次いで地をつくと
甲冑に覆われたサラの小さな身体は冷たいゴツゴツした洞窟の地面にあっけなく倒れた

サラは死んだ

サラが立っていた場所には
山猫のように耳を尖らせた褐色肌の女が佇んでいた


239 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:15:44 O
カイル「サラ・・・?」
カイルの呼びかけにピクリとも動かないサラの体
尚も流れ出ていく血液が洞窟の地面を赤く染める
女獣人「キシトハイエモロスグルモノダナ、
ニンゲンノオニャノコトハ」
血に濡れた爪をチロリと舐める女
その目がカイルとマリアの方に動いた
カイル「この!!」ジャッ
一瞬の内に剣を抜いて飛びかかったカイルを
女もまた一瞬のうちに避け
先程サラの命を奪ったその爪で受け止めた ガジイイイン
女獣人「ソレハキサマニトッテ、ソンナニダイジナモノダッタノカ?ニンゲン!!」キイン
カイル「くっ・・・ぅうう!!」
女獣人「ネェネェ、コタエテヨ!!!!」
カイル「サラを!サラを!お前が!」
再び繰り返される剣戟の音を聞きながら
マリアは呆然と立ち尽くす
マリア「嘘・・・サラ・・・」
これまで多くの人の死を見てきたマリアではあったが
サラの死はあまりに突然で冷静沈着、練達の女魔術師である彼女は為す術もなく
カイルと女獣人が繰り広げる殺し合いを呆然と見続けることしかできなかった


240 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:17:57 O
カイル「このおっ!!!!」キイン
カイルの持つ剣
黒無地の剣ブラックソードがこれまでにない動きを持ち主であるカイルと共に見せる
今カイルを動かしているのは大切な仲間を失ったという悲しみと
その命を奪った敵に対する憤怒の衝動だけだった

何度か交わした女獣人は空中を舞い
尻尾をしならせると一気にカイル目掛けて降下する
猫のような手からジャキンと鋭い爪
先程サラの命を容易く奪った悪魔の爪が突き出て、カイルを狙う
女獣人「キエロ、ニンゲン、オモイビトトトモニユケ!!」
目を見開いたまま自分を見つめる人間
勝った
女獣人は確信した
10本の爪は雨のように少年の体を打ちのめし
赤い血の雨で満たされる
自分はそれを啜る

そこまで考え思わず恍惚の表情を浮かべた女獣人の目に飛び込んできたのは
少年の黒い剣が放つ白い閃光だった

女獣人「チョ!!!!!!!!!!」ズシャアアアアアン
光が視界を覆う中
女獣人の思考はそこで止まり体ごとこの世界から消え去った


241 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:20:32 O
マリア「・・・カイル!カイル!」
カイル「え?」
何度も自分の肩を激しく揺するマリア
一瞬の隙を突かれ飛びかかる女獣人
その勝ち誇った歪な笑みと目があった瞬間
視界を光が覆いカイルの記憶はそこで途切れていた
カイル「マリア?・・・そうだ、サラは!?」
首を横に降るマリア
マリアの後ろには眠っているような微笑みを浮かべ横たわるサラの姿があった

マリア「回復魔法もダメだった・・・ああも直接胸を貫かれたら・・・」
マリアの頬を涙が伝った
マリア「ごめんなさい・・・
カイルがあの獣人と戦ってるのに私、ただ見てることしかできなかった
ごめんなさいカイル・・・ごめんなさいサラ・・・!!」
珍しく弱気なマリア
カイルは剣を引きずりながらヨロヨロとマリアとサラの近くまで歩くとどっと崩れた
カイル「サラ・・・」
見開かれたカイルの瞳から涙の粒がゆっくりと頬を伝いサラの胸元に落ちた
カイル「サラ・・・俺は・・・」
冷たくなったサラの手を握り何か伝えようとするカイル
だがカイルは大きく首を振ると握った手をゆっくり、優しく地面に戻す


242 :学生さんは名前がない:2008/02/26(火) 13:21:36 O
そして涙で濡れた頬を拭うと
カイル「マリア・・・行こう!!」
同じように泣き崩れて充血した瞳で見上げるマリアの手を取った
マリア「カイル・・・あんた・・・」
カイル「行こう!王都に行かなきゃ・・・
この異変を何とかしなきゃ
それしか・・・」
マリア「・・・ええ!!」
マリアも涙を拭い強くうなずいた

遠ざかる二人の足音
再び支配する川の流れる水の音を聞きながらサラは安らかに眠る
添えられた雛罌粟の花
天井に空いた穴から照らす月が雲に隠れ暗くなり
サラの眠りについているような美しい顔はその暗さに陰を落とし
すぐに見えなくなった