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    <title>変換屋</title>
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      ***変換します
----

[[テスト]]設置    </description>
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    <title>ヒトノツクリシモノ</title>
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    <description>
      暑い真夏の炎天下。
首都東京の高層ビル群の狭間、雲一つ無い青空の中に、
ぽつんと浮かぶ、銀色の円形物体。

目をこらさないとそれが何なのか分からない。
目をこらしても何なのかよく分からない。
確かに空に浮いて、しかもその一点から全く動こうとしないそれは、別段面白味のないただの銀色の皿だけど、それを見た人達は、皆一様に首をかしげる。手のひらを眉に垂直に当て、目を細めて、考える。腕を伸ばして指をさすほどの、大きな関心は示さないけれど、ビルの谷間で人々は、しばらく呆然と空を見上げる。

「あれは、なんだろう？」
「鳥でもない、飛行機でもない、ヘリコプターでもない」
「ましてやスーパーマンでもない」

だいたい平均３０秒くらい、アスファルトの上で足を止めて見上げるが、特に動きもなければ見た目の印象も強くないそれは、忙しく勤勉な日本人達をそれ以上長く立ち止まらせる力はなかった。

正午過ぎの昼休み、ハンバーガーショップの外に置かれたテーブルで、ＯＬ達が「アレ」について話し出す。上司の悪口、昨日の彼氏とのいざこざ、こないだの日曜に買ったパンプスによる靴擦れの話のあとに、「そういえばさあ」と出てきた、空に浮かぶ銀色の皿の話題。
「アレなんだろうね」
「男の子達も話してた」
「やっぱどう見てもＵＦＯだよね」
「アハハ、ウケる。ユーフォー、アハハ」
「いるんだねーＵＦＯ、私幽霊とかすぐ信じちゃうからさあ」
「誰が乗ってんのかな、アメリカ人？」
「アハハなんでやねん」
「ねーアメリカ行きたくない」
「行きたーい」

定刻通りに帰宅する若い社員達を、歯切れの悪い挨拶で送り出した後、夕日が差し込みオレンジ色が広がり始めたオフィス内で、残業のための一服を味わう男達２人が、窓から空を見上げて、アレについて話し出す。
「アレ、いつから居ます？」
「おとといからじゃなかったか」
「全く動き無いんですよね」
「うん、ただ居るだけだね」
「警察とか、なんか自衛隊とか、動かないんですかね」
「特に何か悪さをしてるわけじゃないしなあ」

最も早く、この話題が目に見える形として世間に広まりだしたのは、インターネット上だった。各ブログや掲示板で、謎の未確認浮遊物体として写真が掲載され、それについての真剣な議論をされたかというとそうではなく、「俺も見に行こう」「やめとけ２０秒で飽きるぞ」「見てきたけどホントに浮いてて笑った」といった物見遊山的なネタ物として扱われるのが関の山だった。

ただ徐々に徐々に、銀色の円盤が、都民の話題、ネットの流行りから、国民の話題へと拡大していくと、状況はだんだん複雑さを増すようになる。そして、話題に飢えたワイドショーや全国紙の社会面の隅あたりで「アレ」が扱われるようになった途端、今まで知りつつも静観に回っていた各機関が、動きを見せ始めた。

あるテレビ局が、ヘリコプターを飛ばしてアレへの急接近を試みた。人々はアレの真下に群がり、正直既に飽きてきていた関心を奮い立たせ、事の成り行きを見守っていた。その模様は生中継され、周辺の各オフィス内で一時仕事の手が止まっていた。

「ただいま、謎の円盤のちょうど真下に来ております！下から見ていた時の実感よりも、遙かに上空高い所に浮いているようです。ちょっとですね、このヘリではこれ以上近づく事は困難と思われます！」
「いかがですか清水さん、そこから見た円盤の印象というのは。何か地上と異なる点は見受けられましたか？」
「はい、思った以上に、丸いです！」
人々は仕事に戻った。地上の群衆に流れが戻った。もう人々にとってその円盤は、オフィス街の真ん中に突如出現した、ただのオブジェ以上の何者の価値もなかった。

空に背を向け、ビルに吸い込まれていく大勢の人の中で、とりあえず最後まで見守っていようと立ち止まったまま見上げていた内の１人が、声を上げる。
「ヘリがもう一つ来たぞ！」

それは警察のヘリコプターだった。中継は切られていた。警察に追い立てられ、連行されるように、２台のヘリコプターは円盤から離れていった。
人々はそれを眺め、そしてプロペラ音が聞こえなくなると、静かなざわつきがビルの狭間で沸き上がり始めた。
「もしかして、アレは、たいへんなモノなんじゃないのか」
「危険なモノなんじゃないのか」
「俺たちは危険なモノの下で働いてるんじゃないのか」

それからずっと毎日のように、ビルのガラスにヘリやセスナの音が響くようになった。その音を聞く度に、外に出て全く変わり映えのしない円盤を見上げる度に、人々に不安が募るようになった。ただの円盤が浮いているだけなら、もう風景に同化して、誰も気に留めず、不安を感じる事も無くなっていたはずなのに。国か民間か知らないが、毎日あの円盤に向かって乗り物を飛ばし、近づいたり離れたりを繰り返してざわつかれては、無視する事も出来ない。地上で働く人々の意識はまたもや、あの不動の円盤に注がれていた。それも、今度はネガティブなシンボルとして。

「毎日毎日毎日毎日、ヘリと飛行機の音で落ち着かず、仕事もはかどらず、あの円盤を見上げるたびに発狂しそうです」
「眠ろうと目をつぶると、瞼の裏に一点の銀色の円盤が浮かんできて、眠れないんです」
「きっと国も、あれが何なのか分からないから、調べようと近づいてるんだと思います。てことは、結局誰１人、アレが何なのか分かってないってことじゃないですか。誰も知らない未知の存在が、私たちを常に見張っている…そう考えたら、気持ち悪くてもう」

そうした精神的な圧迫が各所で報告され、それがメディアに掲載されるほど、見物人も増していった。最近は本物のＵＦＯを見たさに外国人も増え、そこで働く人々と観光客との摩擦がちらほら見受けられ始めた。望遠鏡がよく売れるようになった。
「いいなあ、エイリアンのすぐ傍で働けるなんて、毎日がドキドキだぜ」
そんな言葉を、昼休み中の会社員が耳にし、つい発作的にその観光客に対して暴行を振るってしまった事件は、その夜のニュースを熱くさせた。

銀色の小さな円盤が上空に出現してから５ヶ月、地上を歩く人々が以前に比べてめっきり減り、その代わり「銀円盤被害者の会」（ギンヒ会）が毎日地上で待機し、近づいたヘリコプターに対し「円盤を撃墜せよ」と巨大な横断幕を広げた。その運動は、逆に円盤をストレスに感じていない人々を逆上させた。上空も地上もやかましくなり、とても働ける環境で無くなった。経済の中心部における経済活動の停滞は何としても避ける必要があり、政府はいよいよ円盤の回収を目標に掲げた。最も、アレについての首相の発言に、「空のゴミとでも思ってもらえばいいんじゃないですか」というものがあり、それに対し「どっちがゴミだバカ」「まさにどちらも目の上のゴミ」と国民から予想以上の猛反発をくらったという経緯を挟んでいたが。

２月某日、１年に２日あるかないかの東京の降雪記録日、決算期を前に何としてでも人々のモチベーションを回復するため強行されたのは、円盤直下を中心とした半径２０㎞圏内を出入り禁止にしての、円盤回収作戦だった。
「回収って、具体的にどうやるのさ」
「墜とすしかないだろう」
人々は家のテレビから、もぬけの殻になった銀色の東京都心を見つめていた。雪と雲で銀色に染まった銀色のビル群、その上空に浮かぶ銀色の小さな円盤、やがて現れた、銀色の戦闘機。誰もが、弾で撃ち抜かれ、煙を吐いて墜落していく円盤の姿を想像した。俺の働いてる場所に落ちなければいいなと考えていた。

しかし次の瞬間、大きな爆発音と共にカメラが揺れ、黒い煙がもくもくとビルの隙間から立ち上っていた。円盤はこれまでと何一つ変わっていない。戦闘機が東京の真ん中へ突っ込んだのだ。
「大変なことが起こった」たちまち世間は騒ぎになった。あれはエイリアンの超能力的な遠隔攻撃ではないか。いやただの操縦ミスだ。超スローモーションで再生するとレーザーの光のような物が見える気がする。間違いなく日本経済を麻痺させようと企む国際テロ組織の犯行、あの円盤もグル。９１１の際も謎の飛行物体が確認されている。全ては宇宙人の仕業なのではないか。円盤にはうかつに近寄れない。いつ同じ様なことが起こるか分かったものじゃない。

それほどの貴重なサンプルを世界が放っておくわけがなかった。中国が堂々と国軍機を日本に飛ばしたのを皮切りに、アメリカやロシアといった特に宇宙政策に力を入れる国々に、次々と東京上空の防空識別圏は無視された。「最も不審かつ危険な物体を、各国の協力でもって回収・調査し想定されうるあらゆる危険を未然に防ぐことは、我々人類の未来に安全と平和を保証するためにも最重要といえる事項である」とされ、日々、国籍不明の飛行機やら地上では謎の調査団体やらが、いつの間にか当然のように危険物扱いされた円盤の周りにひしめき合い、とてもじゃないが一般人が近寄れる状況ではなくなってしまった。
それでも円盤に対する直接攻撃は躊躇われていたが、こんなに周りをぶんぶん飛んでいるのに一向に動ずる気配のない円盤にしびれを切らし、ついにどこぞの国がミサイルを撃ち込んだ。そして、どこぞの国のわけわからん技術により大きく円盤を外れたミサイルは、そのまま良い具合に米軍機の右翼に直撃し、機全体のバランスを大きく崩しながら都庁に突っ込み爆発、炎上したのである。

その一連の事故が、故意によるものだとしてお互いの国が猛烈なバッシング対決を繰り広げ、そこで日本がアメリカに肩入れするものだから、米軍機による９１１を再現されておきながらその態度はいかがなものか、いい加減あの神社参拝やめたらどうだと謂われのない非難をくらい、円盤のことなどそっちのけで、東京上空に集結しながら、お互いの首根っこにナイフを突き立てているような一触即発の状況を作りだしていた。ギンヒ会の横断幕がいつの間にか「よそ者戦闘機を撃ち落とせ」になっていた。

そして日本が、「自衛」の名の下に、現在の危機的状況を緩和するための、武力発動に踏み切った。曰わく「国際間の非協力的現状を打開し、最優先課題である円盤との平和的和解及び東京上空からの即時退去を完遂させるため、円盤に対する直接ないし間接的敵対態度をとる国は、その課題の実行すなわち我々国民の安寧を妨げるすなわち我々にとって円盤以上の脅威であると判断し、可及的速やかに排除する方針を取る事で、一刻も早い経済活動の再開と市民の安心を得る、そのための自衛」とし、「これは戦争ではない」と言いつつ、「そもそも勝手に入ってきたほうが悪い」と影で呟くように遠慮無く他国機を撃ち落とし始めたから、もう収集がつかなくなってきた。

「本音を言えば円盤独り占めしたい」ともはや国レベルでの私利私欲を剥き出しにした、醜い奪い合いが勃発した。円盤の下で。上空ではミサイルが飛び交い、地上では銃弾の音がひっきりなしに響き、先進国の中心部は瞬く間に戦場と化した。円盤からレーザーが発射されるという噂が流れれば奪い合いが激化し、円盤を撃ち落とそうとすれば円盤を守ろうとする勢力が衝突した。

「Tokyo」を占領すれば、その上空に漂う円盤も手に入れることと同義だ。そうして日本は、北から南から西から東から、あらゆる方面から上陸され、侵食の的となった。人々は疎開し、それでも安全な場所などどこにも無いと知るや否や、他国への亡命を求める声が後を絶たなくなった。「日本は円盤ばかり守って私たちを守ってはくれない！」しかしさっさと日本の国力を弱体化させるためには、数百万の日本人の命は軽くあしらわれた。日本の防衛力こそが今や世界にとって煙たい存在だった。しかしその煙たさも、世界大戦が幕を開けるまでのことだった。

円盤の下に、煙と瓦礫と血の塊が集まり、日を追う毎にその塊は範囲を拡大し、やがて捨てられたそのスペースは、円盤の下を中心としてひどく静かなものだった。今聞こえるのは、東京からさらに向こうの、山の向こうの、海の向こうの、どこかから響く微かな銃声だけだった。

円盤は何もしていない。ただそこに浮いていただけだ。
きっとアレに乗っている宇宙人は、今頃ほくそ笑んでいるだろう。
こんなにも事が上手く運ぶなんて。こんなにも人間は共食いが好きだなんて。こんなにも大きな世界が脆いなんて。
こんなにもあっけなく、自分たちの手を汚さず、地球を侵略できてしまうなんて。
人間はこんなにも無言の圧迫に脆弱だった。何もしない存在には耐えられなかった。何もしない強さを持った宇宙人に、この土地を奪われても、文句は言えない。

だが円盤は降りてこない。
宇宙人達は姿を現さない。
いつまでもいつまでも、東京上空から地球を見下ろしている。


あの円盤を神として讃えようとする人々が居た。現人類にとってアレは、すぐそこに居ながらにして、我々の理解の範疇にない超次元の存在であり、かつ我々に理解できるよう形を持った、この世で誰もが目にする事のできる唯一神である。東京上空を世界の中心とし、あの円盤の下を聖地としよう。それが、彼ら新興宗教集団の目的だ。

２つの目しか持たぬ低俗な我々にも認識できる形でもって、天空から舞い降りてきてくださり、そして愚かな私たち人間を、それでも静かに、慈愛に満ちた眼差しで見守り続けてくださる超存在。また同時に、我々の弱さを、我々自身の行いから、教訓として身を持ってご教示してくださっている、懐の深き寡黙で偉大な師。それがあの円盤なのであると。世界全人類がアレを神の化身と認める事で、やがてこの循環する苦しみから逃れることが出来るであろうと。真の平和とは、あの円盤様を軸として回り始めるだろうと。

その教えを説いた教主が、人類の行いに対する許しを請いに、捨てられた戦場と化した聖地・東京都心の、砕けたコンクリートの地を踏んだ。硝煙の匂いが教主を取り囲む。教主は円盤の真下に跪き、キリスト式に祈りを捧げる。
「神よ、円盤よ、どうかこの罪深き人間達をお許し下さい。そしてまた、何故この時代、こうしてここに姿をお見せになったのか、その真意を、私にご啓示下さい」

教主が頭を垂れ、目を伏せると、突然、両肩のあたりに悪寒が走り、とっさに、全身がバネのように跳ね上がった。五感の鋭さは人並みではなかった。教主は空を見上げる。円盤が動いている。違う、大きくなっている。違う、降りてきている。違う違う、あれはどうみても、落ちてきている。

瓦礫の上を、四つんばいになって、手のひらの痛みも感じぬほど必死に掻いて、その場から逃げた。教主が両手両足を止めて、息を飲んで振り返ると、まさに円盤が地面に着地する寸前だった。
重くて強い音が破裂して、教主を含む空間に一気に響いて、遅れてから周囲の瓦礫がビリビリと鳴り出す。固くて細かい乾いた破片が、教主の目を襲う。一瞬視界を奪って、それから円盤の影が、教主のもと居た場所に浮かび上がる。アレは、思ったよりも小さいようだ。

教主は恐る恐る近づく。そこにはもう、神に近づくというような神聖な心境はなかった。世界を破滅に導いている、恐ろしい未知で異形の物体が、突然私の目の前に落ちてきた、その事の重大さに対する恐怖と、恐いもの見たさのような好奇心だけが、教主を動かしていた。まさかほんとにこんなことになるなんて思ってなかった。中から何か現れて、私を殺しにかかるのではないか。自分が教主などと名乗っているのが実にくだらないなと、その物体に相対した１人の中年白人は思っていた。
しかし、これはまたとない、特別で貴重な瞬間であるという揺るぎない思いが、教主の足を一歩一歩進ませていた。

おそらく、２４時間円盤を遠くから監視している組織があって、既に円盤が落ちてきたことも情報として伝わっており、ここに大群が押し寄せるのも時間の問題だろう。もしかしたらそこでまたドンパチが発生するかもしれない。そんなものに巻き込まれたくはない。だがしかし、だからこそ、今、この円盤とファーストコンタクトできる私に与えられた権利を、逃したくないのだ。

円盤の前に立ち、やっと、神聖な気持ちを取りもどした。この私が祈ると同時に、この円盤は落ちてきた。円盤は私を待っていた。この権利こそ、私が教主である証に違いない。そしてコレは、神なのだ。

教主はついに円盤に触れた。金属だった。そして、その銀色の金属の一部である円盤の側面に、プラスチックで出来た四角いフタのようなものがはめ込まれていることに気付いた。金属とプラスチックの間に、丁寧に溝が掘られていた。そこに指を挟み込み、ゆっくりとプラスチックのフタを剥がした。
単２電池が４本刺さっていた。

教主は腹を抱えて笑った。電池切れで落ちてきたに違いなかった。きっと電池を取り替えてやれば、またこの円盤を空に返してやれるに違いない。あまりに笑いすぎて涙が出てきた。
そして教主は笑いながら悔しがった。今もうこの東京には、電池を売っているコンビニ一つすら無い事を、心底悔しがった。    </description>
    <dc:date>2007-07-07T23:02:54+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/57.html">
    <title>試み</title>
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      濃緑の景観がこの時期特有の降雨前線の齎す湿気と潤いという影響により普段俺が見ている景色も千変万化とは行かないまでも退屈な教師の退屈な戯言を聞いているよりは退屈さは紛れて行くという物である。その気象庁と示し合わせたかのように降りしきる雨は俺のモチベーションを下降線に変えているが、やはり先ほど述べたとおり景色は変わり行く物で、昨日までは蕾だった朝顔が咲いている事で日々の時の流れを感じている。この少々狭く感じられる教室の中で俺だけがそんな逃避に走っていたならすぐに退屈な教師に呼び出しを食らって退屈さも紛れて憎さ4倍となるのだが、俺もそこまで甘くは無い。俺がそんな逃避をしていられるのもクラスの連中もとい学校中の生徒達が逃避を始めているという環境に守られているからである。そんな状況で生徒対教師の35対1という変則マッチをやるという殊勝な教師は蝶灼高校には居らず、教師と生徒達は暖簾に腕押しぬかに釘ほどの意味すら持たない授業という時間をただただ浪費しているばかりである。    </description>
    <dc:date>2007-06-30T19:58:08+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/56.html">
    <title>十二師</title>
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    <description>
      十二師



[[試み]]    </description>
    <dc:date>2007-06-30T19:57:56+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/55.html">
    <title>初恋の原理</title>
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    <description>
      初恋の原理



「かなり突然だが、今回は初恋について考えてみようと思う。」
大丈夫ですか?あなたがそんな事を言う事はないと思っていたのですが。
「俺がそういう話をして何が悪い?俺だって普通の青春真っ盛りな高校男子生徒だぞ?」
それは重々承知していますよ。それでもあなたがその話題を振ってくることはないと思っていたのですよ
「それはどういう意味だ?」
いえ、これはご自身で気づくべき事なのです。僕からは何もいえません
「それは別にいい。とりあえず初恋に戻そう。」
「音咲。お前は初恋にどんなものを抱いている?」
「成就しない…ロマンチックなもの…この程度でしょうか」
「普通はそうだろう。だが俺はそれを逸脱したんだ!」
「それは面白そうですね。是非教えてくれませんか?」
「いいだろう。教えてやるさ」
「初恋が成就しない点についてだ」
「はい」
「なぜ初恋が成就しないか、わかるか?」
「そうですね…もし付き合うことになっても、結婚まで持っていくのは難しいですね」
「どう難しいんだ?」
「まず難しいと考えるのは金銭的な面です。そして体裁の面。この2つでしょうか?」
「それでいこう。じゃあAがBを好きになったとする。その場合、冷静に考えてみても好きな事は変わらないと悟った時、AはBに告白できるのか?」
「できなかったら成就しませんね」
「そうだ。だが告白の時にさっきの難題が立ちはだかるんだ。今告白しても結婚までは無理なんじゃないのか?遊びにしかならないんじゃないのか?と言う疑念が涌いてくる。その状態で告白ができるか?」
「無理ですね。ですが、初恋が成就した例も一応ながらありますよ?」
「そこなんだ。なぜ初恋が成就しないのかと言うと、初恋をしたときに告白をするかしないかなんだ」
「した場合は成就するんじゃないでしょうか?」
「した場合でも難題が立ちはだかるからな。初恋が成就するのは本当に稀なんだ」
「とりあえず…それだけですか?」
「そこでだ。俺は初恋を成就させる方法を思いついた」
「では教えてくれますか?」
「成就させる方法は一つ。まず告白をしようということなのだ!!」
これからさらに初恋論がヒートアップしようというところに楓さんの日本刀が睦月君の頭に直撃してしまいました。致命傷じゃないのですか?
「命に別状はありません。それより、解毒薬の調合をお願いできますか?」
一体なにを飲ませたんですか?
「私ではありません。家庭科の時間に七恵が作ったケーキを審査してくれと言われた睦月君がそのケーキを食べて暴走してどこかへ消えてしまっただけです。身柄は確保したのですが、起きたときに正常かどうかは判断できませんので」
織口さんは何を入れたんでしょうかね…。僕としては自白剤のようなものとしか思えませんね。    </description>
    <dc:date>2007-06-26T16:08:17+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/21.html">
    <title>睦月</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/21.html</link>
    <description>
      [[小説]]

[[小説２]]

[[小説2の続き]]

[[小ねた]]

[[こねた2]]

[[コネタ3]]

[[コネタ3．7]]

[[入れ替わり願望]]

[[伏線だらけの文化祭]]

[[あなたは今どこで何をしていますか?]]

[[Can you believe you?]]


[[S2]]

[[毛糸を規則的に…]]

[[七恵の日]]

[[東東姉弟]]

[[初恋の原理]]    </description>
    <dc:date>2007-06-26T16:06:09+09:00</dc:date>
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  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/54.html">
    <title>東東姉弟</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/54.html</link>
    <description>
      東東姉弟



「入ってきてください」
唐突に始まる事は別に気にしないでくれ。プロローグを作るほどの話じゃないんだよ。
「「はい」」
今は3月某日の朝HR。転入生の紹介だそうだが…いったいなんだ?なんでこんな時期に?
教室の前のドアから転入生が入ってくる。始めは女子がざわつき、後に男子が叫んだ。
「今日からこのクラスに入ってきた東東姉弟だ。同じクラスの理由は弟がシスコン…もとい姉思いだからだ」
なにか変なことが聞こえたが気にしないで置こう。
「東東京一です。シスコンとか言われましたが事実無根です。信じないで下さい」
きっちりとした言い方。音咲とは違った…いや、音咲が異常だな。
「東東瑠巫女です。弟が無駄に構ってきますが、無視してやってくださいね」
これまたきっちりとした意思表明。弟の方は顔が引きつってるぞ?
「ではお二人とも…あのアホそうなやつの横と後ろに座ってください」
二人は迷うことなく池谷の周りの空席に座る。池谷が東東さんを目を輝かせてみていたが、それは弟の視線により一蹴された。

そんな少し面白そうなやつが来た日。俺はやはりいつもの生活を崩すことなく至極いつもどおりに過ごして放課後。
あの二人は別に俺とも関わらないだろうな…とか考えていると、
コンコンコン
…誰だ?
俺は返事をするでもなくドアを開ける。そこにはお約束。転入生がいた。
…なぜここに?
「…迷いましたのね」
マジか?
「…はいなのね」
因みに二人ではない。姉の方だ。弟の方は…迷いそうなやつじゃないな。外見的だが。
「あの、しばらく中にいていいのね?」



あの後、刹那の間もあけずに俺はＯＫを出した。我ながら早かったと思う。
「弟さんを探さなくていいんですか?」
至極ありきたりな事を言う俺。普通なら探しに行くだろう。
「私が行くと…今度は学校外で迷いそうで…怖いのね…」
ここでしばらく間が空くので瑠巫女さんの外見チェックに移ろう。
髪は明るい茶色。アニメでよくいそうな色だ。それでいてショートヘアーで、その少し幼い感じの顔にはぴったり合っていると言えるだろう。でている所は出ている体つきをしており、前の学校でも非常にモテたに違いない。その度に弟が東奔西走している姿が目に浮かぶ。アレ?あったことないのに同情できるぞ?
「あの…」
どうしたんだ?
「私を呼ぶ時は…ルミと呼んでくださいなのね」
わかったよ。ルミだな?
「はいなのね。あと…あまりじろじろ見ないのね」
…これは物語を進めるのに当たっての重要な考察であって
「嘘なのね。顔がなんかエロいこと考えてますって悟ってるのね」
エロいこと…エロいことなのか!?
「そうなのね」
バンッ
今年中ずっと外れるんじゃないかと思われていつつ、まだまだ生涯現役じゃよといっている老人のような蝶番にもうちょっといたわりを見せてやってもいいんじゃないのかと自然に思わせるような音と共にドアが開く。もちろん七恵が開けたのさ。
「睦月!?その娘誰!?もしかして無理やり連れ込んで…」
「俺がそういうやつだったらとっくに前科があるだろうよ。それにそう思ってるなら俺の家に来るな」
俺が言い終えた直後、轟音が聞こえ出した。
簡潔に言うと…アニメの『ドドドドドドドドド』みたいな音だ。俺の耳はついにどうかしたのか?このごろは七恵に絡まれてアニメなんて全然見ちゃいないんだが…。
「ねえさーーーーーん!!!!!!!」
ドアの蝶番を吹き飛ばし、ドアを廊下にばら撒いたそいつは転入生の…京一だっけ?
まあ、シスコンであることに変わりはないな。
京一は俺の目の前までやってくるとそのまま俺の胸倉を掴んで
「テメエ姉さんに何しようとしたああぁぁぁぁあぁ!!!!?」
おい…ちょ…喋れねえ…。死ねる…死ねるって!
俺の顔が青ざめていったのを流石にまずいと感じたのか、ようやく七恵が俺の無実を証明してくれた。それまでは俺を見て笑ってたがな。機会があれば復讐してやる。
「さっきはごめんね。頭に血が上ってたみたいだよ」
…先ほどの形相からは想像できないほどの柔和な笑み。見るものの心を鎮めるような…癒されるレベルじゃないけどな。楓さん以下だ。
「さ、姉さん帰ろう?もう不審者も出歩いてるかもしれないし」
おい東東弟。出歩いてるならもう遅くないか?
「おっと…そうだね。じゃあ姉さん。今日は宿直室を使わせてもらおう?」
今日の宿直は入江だぜ?メイド服姿…是非拝見してみたいな。
「くっ…!かくなる上は……野宿!?」
あー…とりあえず音咲出て来い。そして東東弟を病院送りにしてやってくれ。
「呼ばれて飛び出てじゃじゃもふぅッ!!!!?」
奇声を発しながら現れた音咲はパイプ椅子に衝突してぶっ倒れる。倒れ際に音咲の目が光ったような気がした。その時の音咲の視線の先には、翻った楓さんのスカートがあった。
…音咲は死んでしまった…。合掌…。
「秀?大丈夫ですか?」
楓さんがどこからか取り出した日本刀を首筋に当てながら音咲に尋ねる。いや、気絶してるでしょう?
「ケテルネツァーク。ハイドゥリッヒエレィフィオロージョス!」
……楓さん?何語ですか?
「ヘリグォドッホソクァンジェストロック。彼の者音咲秀を生き返らせたまえっ」
死んでないし最後なんか力抜けてませんか?
「おはようございます。今何時でしょうか?」
音咲。もう一度寝て来い。
「楓さんッ!!!?なんで僕を―」
楓さんの峰打ちが音咲の後頭部45度に見事に命中。音咲はマジでぶっ倒れた。理由は簡単だ。多分…見たんだろうな。
それは後で教えてもらうとして、
「…あの、楓さん?俺は見てませんからね?ホントですよ?」
断じて本当だ。見ていない。奇しくもあの楽園を目にしたのは音咲だけだ。何を賭けてもいい。
「それはわかります。ですが、後で秀に聞こうとしてますね?」
………。
俺の額を脂汗が伝い落ちる。今までに俺はここまで強い殺気を感じたか?
いいや、ないな。
楓さんの殺気は7月のときよりも、5倍くらいはあがってる。7月の5倍を7月分に足すんだぞ?
「とりあえず…お二人が怯えてるので今日はやめますが、次はありませんからね?」
…二人がいたからこうなったわけであって、二人がいなかったらこうならなかった事を考えると…素直に感謝できないな。
…あ、麻灘さん。こんにちは。
「こんにちは。これを片付けたらまたここにきますので」
そう言って麻灘さんは俺に微笑んで…『これ』!?次期主人を『これ』扱い!?
…まあ、音咲だし…いっか。
「ルミちゃん。オセロやらない?」
七恵。もうちょっと高校生らしく誘ったらどうだ?小学生みたいに聞こえるぞ?
「煩いロリコン」
…七恵?
「どうしたの?顔色悪いよ?」
「いや、大丈夫だ。幻聴が聞こえただけだ」
…おかしい。俺にはそんな性癖はないし…それに俗物は七恵が泊まり始めた頃に捨てたはずだ…。それよりもだ。七恵はこんなに黒かったか?
（ｸｽｸｽｸｽ…腹話術には気づいてないのねｸｽｸｽｸｽなのね）
「私が白でいい?」
「いいなのね。先手は白からなのね」
二人のオセロが始まる。それを心配そうに見ている東東弟。スカウターでシスコンを計ったら壊れるだろうな。
「東東…とりあえず京一でいいか?」
「うん。僕もそっちの方が好きだからね」
「じゃあ京一。楓さんと軍人将棋してみないか?」
「勝手に人を引き合いに出すのはおかしいと思いますよ?」
といいつつも楓さんは軍人将棋を取り出して用意し始める。
「えっと…名前を教えてくれないかな?」
「堀崎睦月だ。1月の旧称が名前だ」
「じゃあ…睦月でいいかな?睦月はやらないの?」
俺がやったら一人余るだろ?それにお前を入れるわけにもいかないし、楓さんを余らせるなんて冒涜はできっこないからな。
「それじゃ暇にならない?」
残念ながら全然。完璧に負けオセロの七恵の表情を見てれば面白くなるさ。それに麻灘さんがもうすぐ来るだろうからな。
「ありがとう。睦月は優しいね」
素直にそんな事言えるお前が優しいと思うぞ?
「そうかもね」
「詰みです」
……京一?
「あれ?あ…うん。負けてるね。ありがとうございました」
…始めてから3分経ってないぞ?
「京一さんでは話になりません。睦月君。やりませんか?」


その後読者の誰もが予想したであろう声を上げて俺は軍人将棋に挑み、官軍となって帰ってきた!
今京一はメイド服だ。
楓さんは巫女姿。
七恵は…………ダボダボのワイシャツに超緩々のズボン。めちゃくちゃ歩きにくそうだ。
「う～。睦月～おんぶして～」
負けたお前が悪い。俺は官軍なんだよ。
もちろん楓さんの巫女姿は写真に撮ったし、七恵も写真に撮った。官軍様様だな。
「うぅ…睦月たちはいつもこここんな事をしてるのかい?」
声が裏返りながら物凄く恥ずかしそうに言う京一。その気持ちを忘れちゃいけない。その気持ちがあるのが常人なんだ。
「いえ、睦月君はやってませんよ?見た目からは想像できないくらい頭の回転が早いんですよ」
今にもお持ち帰りしたくなるような楓さんへの衝動を必死に抑えながら皮肉にも耐える。
「全然負けないってこと?」
楓さんが頷く。俺も過去を振り返ってみるが…今年は6回くらいかな。6回とも酷い罰ゲームだったが。
「…大変なんだね」
俺の気持ちがわかるやつが増えるとはな。嬉しい限りだ。
「明日からも来ていい?今日はすごく楽しかったのね」
先ほどから七恵と話していたルミがこちらに来て俺に言う。なんで俺?
「こちらからも歓迎するぞ。もちろん、姉弟だからな?」
歓迎するぞ、と言ったときに背後からバットで殴られるイメージが浮かんだが、気にしちゃいけない。    </description>
    <dc:date>2007-06-26T14:17:09+09:00</dc:date>
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    <title>七恵の日</title>
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      七恵の日



今日は七恵の日から1ヵ月後の8月8日。本当は七夕の日に祝ってやりたかったんだが…その手の文句は偽者にでも言ってくれ。
で、あの後どうにか家賃という負のループを乗り越えた俺達は今日こそ誕生日会をやるところである。それと同時に、今日は



夏祭りIN七恵の日



そう夏祭りなのだ。因みに俺の料理の準備の方は下拵えが終わっており、温かいほうがおいしいだろうという事で夏祭りが終わってから作る事になっている。
で、その空いた時間はなにに使われるというと、七恵と一緒に夏祭りを回って来ることに使われる事となった。もちろん、発案は音咲と楓さん。麻雀やって二人に集中砲火を浴びて無理やりやらされるとは…。
残った二人はどうするかって?
Very goodな質問だな。
教えてやろう。
『あなたがちゃんと一緒に回ってくれているかどうか監視しています』
とのこと。今迄で一番辛い罰ゲームだったと思う。辛くないぞ?辛いんだぞ?

そんなくだりがあって、俺は今七恵の家の前で待ちぼうけを食らっている。
そんなくだりなかった?
いいや、伏線はあったぜ?
夏祭りだぜ?
俺の家には浴衣はない。
という事は…
家にあるということだ。
で、俺が家の前にいるって事は―
「お～ま～た～せっ!」
柵に体を預けていた俺に飛び掛ってくる七恵。ここ…5階だぞ?落ちたら死ぬって!
「そうなったら助けてくれるでしょ?」
七恵が俺から離れながら言う。浴衣を着ても七恵は七恵か。
助けるかどうかは、七恵次第だな。
「むー。じゃあ命令!」
俺はお前の奴隷になった覚えはないぞ。
「音咲くんのマンションの階段での事…言っちゃうよ?」
……命令には従ってやる。お前はそれを他人に言えるのか?
「わ、私?い、いい言えるに決まってるよ!」
ここで浴衣チェックだ。
始めてみる七恵の浴衣姿は…楓さん以下だが、大分可愛い。楓さんの浴衣姿を見たことはないが…浴衣よりも和服の方が似合うだろうな。
それはともかく。七恵の浴衣は柔らかい赤と金魚のあしらわれた可愛い浴衣だった。胸元は閉じていて、閉じているのだが…おっと、これ以上は考えるだけで読まれる。足丈は充分に長く、歩くのに少し邪魔になるだろう。履物として下駄を履いているが、かなりウザそうだ。
「どう?可愛くて卒倒しそう?」
「ああ可愛い。卒倒はしないけどな」
俺が素直な心と意地悪な心を混ぜて言った言葉の効果は絶大なようで、七恵は顔を赤らめて柄にもなく『女の子』のような仕草をしている。もし撮影許可が下りていたのなら30枚は撮っていただろう。
「お!睦月君じゃないか。今日は七恵とお祭りかい?」
俺は素直にその旨を伝える。
「…そうだ。私の浴衣があるから…着て行きなさいッ!!!!」
その声が聞こえたと同時に七恵の家に連れ込まれ、一気に剥かれて一気に着せ替えられた。
「おい七恵。あんまりここにいても祭りにはならないぞ?」
といって手を差し出す。俺としては七恵がしゃがんでるから起こそうとして差し伸べたのだが、
「ありがとねっ。じゃ、いこっ?」
といって手をつながれてしまった。別に前例がないわけでもないのでほどこうともせずに、そのまま引っ張られている俺。『飼い主に引きずられる愛犬』みたいなビジョンが浮かんだが、考えない事にする。俺が哀れすぎる。いや、それなりに可愛いやつに引きずられて行くのが哀れだろうか…。うん。俺は幸せなんだ!
…病は気からって言うしな。


「あ!睦月～、あれ買って?」
…会場に来てすぐものを買う奴がいるのか?
「別に問題はないと思うよ?お祭りは楽しめるしお店にも利益が出るから一挙両得だっ!」
自分に対しては楽しむ事しか残らないな。ま、買ってやるから。なにがいいんだ?アレじゃわからんぞ?
「あの綿飴!ピンク色のやつねっ」
お前はどうすんだよ?ここで待ってるなんてこと言っても、はぐれるのがオチだぜ?
（そこはあなたが手を繋いで一緒に屋台に行くべきですよ）
…今なにか幻聴が…。
（幻聴じゃないですよ?秀のくれた盗聴機です。双方共に盗聴できる優れものですよ）
…で、なんで一緒に?
（それくらいは察してくれると思ったんですけど…鈍感男が…!）
このままだとお後が怖いので、
「お前も一緒に行こうぜ?そうじゃないと二人できた意味がないからな」
本音3で命令3の原動力で七恵を誘う俺。うまくいかなかったらどうしようかね。
（その心配はしなくてもいいですよ）
「そうだね。じゃ、朝と同じだけど、いこっ?」
と、手を繋ぐところまで如実に再現しながら屋台にいく俺達。朝と違うのは、俺と七恵がちゃんと並んで歩いてる所だろうな。
七恵が率先して雑踏をかきわけ、それに便乗する形で周囲に謝りながらその屋台へと向かう俺達。綿飴一つでここまでしなくちゃいけないのは癪だが、それで人の笑顔が見れるんだ。安いもんだ。
「すいません。そのピンクの綿飴ください」
屋台に着いて一言。気前よく屋台のおっちゃんは綿飴をとり、
「その娘は彼女かい?こんな可愛い彼女に綿飴だなんてねえ…よし、もう一個持ってきな!」
気前がいいのか出歯亀なのかよくわからないが、とりあえずお金の大切さを身にしみて感じた俺は素直に綿飴を二つ受け取る。去り際に
「頑張っとけよ!」
と一声。因みに七恵は顔を赤らめて俺に引っ付いている。歩きづらいが…ここでなにか言ったら楓さんにばれるんだろうな…。
とりあえず、人気のないところに一時避難する俺達。七恵は俺に先導されているだけなのだが。
先ほど少し描写しただけなので、七恵が立ち直るまで俺の浴衣の描写をする。
俺の浴衣はいわゆるオーソドックスというもので、紺と白の縞々模様だ。靴の方も下駄に代えてもらい、非常に歩きづらい。
「睦月～おなかへってない～?」
朝より少し『にょろーん』とした顔の七恵。わかる奴にしかネタがわからないのが玉に瑕だが、知ってみると面白いぞ―
「買いに行こうよ～」
七恵が俺の両手を引っ張りながらいう。あんまり無視してるとどうなるかわかったものではないので立ち上がる俺。
「こういう祭りの昼飯は不味いと相場が決まってるんだが…ここで食うか?」
ちょっと聞いてみる。返答次第では近場のちゃんとした店で食べるつもりだ。
「う～ん…奢ってくれる?」
…………
（奢ってあげた方がいいですよ。フラグが立ちますよ?）
飯を奢るくらいで立つフラグの存在なんてどうでもいいが、俺自身も不味い飯をわざわざ食いたいわけでもないので近辺の料理屋に行く事にする。
幸いな事に、この辺りは高校に入る前にちょくちょく来ていたので店にはめぼしが着いている。安くておいしい店…なんてのは夢だがな。
「どんなのが食べたい?夜の分も考えとけよ?」
一応リクエストは聞いておく。もし嫌いなものでもあったら払い損だからな。俺が料理して出した奴は…全部食べてたな。
「ピザがいいね。すぐ消化できるし」
俺は進行方向が逆である事を察知して振り返る。まだ俺と七恵は手を繋いだままだ。
「おやおや…見つかってしまいましたか…」
「尾行術は完璧だったんですけどね。まさかこっちに振り返るとは思ってませんでした」
音咲と楓さんである。思ったとおりだった。いくら音咲の盗聴機でも範囲には限界があるはずだ。そう考えると…そう考えなくても二人が着いてくるであろう事は想像できたがな。
「え!?なんで二人がいるの!?今日は二人でデートだって言ってたのに…!?」
デート?音咲と楓さんが?
皆
everybody?
殴っていいぞ。
音咲だけをな!
「僕はッ君がッ泣くまでッ殴るのを止めないッ!!!」
音咲を殴る俺。少しばかりというかかなり容赦をしている。
「山吹色波紋疾走!!!」
最後の一撃は波紋で…音咲。立ち上がれ。まだまだこんなものじゃ足りない。
「尾行していたことは謝りますから…」
楓さんが申し訳なさそうに、そしてどこか楽しげに言う。
「ところで、今更出てきてどうするんだ?」
俺と七恵の疑問。音咲がいるなら逃げることもできたはずだ。
「…どうしましょうか?」
音咲。
「僕はッ君がッ泣くまでッ殴るのを止めないッ!!!」
音咲を殴り倒して、
「山吹色波紋疾走!!!」



音咲を気絶させた後、不本意ながら楓さんが音咲を病院に連れて行き、俺と七恵はまた二人でナポリタンな店に行く事になった。
「睦月は知ってたの?」
いきなりなんだ。何を知ってたって?
「二人がついてきてること」
それか。初めは尾行を考えてたんだけどな。俺に盗聴機が仕掛けられてると教えてもらった時に尾行はないって思ったんだ。でも冷静に考えたら盗聴機の電波範囲がどこまでなのかに気づいてな。
「…教えてくれてもよかったでしょ?」
教えてたら?
「あんなふうにしなかった!」
『あんなふう』とはどういうことだ?
「あんなふうって!…言うのは…その……えと…」
『あんなふう』って?
「あ～!もうっ!調子に乗るな馬鹿睦月っ!」
七恵パーンチ。睦月は地面と抱擁をした。
七恵ロック。睦月の背骨の疲労度が40上がった。
「あんまりからかわないでよねっ」
と捨て台詞。結構効いたぜ?背中が痛くて…祭りにいくのが嫌になるほどな。
「ね～。立ってよ～」
背中が痛くて…立つ事すら…。


ここは七恵ご所望のピザをメインとしたナポリタンな店である。なんで俺がこんな所を知っているかというと、kwsk言うと俺の家にはピザを焼けるような釜はない。これが理由だ。
「ナポレターナとボスカイオラのSサイズでお願いしま～す」
七恵に便乗する形で俺もピザを頼んだ。ナポレターナがナポリタン風でボスカイオラが樵風、茸入りだ。サイズを小さくしたのは祭りでなにかを食べるためだろう。
ウェイターに注文を言い届けて手持ち無沙汰に沈黙がテーブルを支配する。その静寂を切るように俺が
「なあ七恵」
「なに?」
文体だけではきつく当たってるようにしか思われないが、七恵の返答は大分機嫌のいい声をしていた。
「誕生日おめでとう。言い忘れてたよ」
「ありがとね。でも次はちゃんと7月に言ってよ?」
素直に喜んでいる七恵の笑顔。こういう顔が見れるなら…7月に頑張った甲斐があったのだろう。見ていてこっちも嬉しくなるね。
因みに、もしかしたら七恵はもう勘付いてるかもしれない。今日の夜にサプライズパーティーをやる事を。
「ご注文のピザです。ソース類は3種類ありますので。どうぞごゆっくり」
といってウェイターが料理を並べていく。どっちがどのピザを頼んだとは教えてないのに綺麗に配分していく。備考だが、俺は飲み物にチャイを。七恵はミルクチャイを頼んだ。
「末永くがんばってくださいね」
余計な一言を言い残して去っていくウェイター。その後姿には『やり遂げました』みたいなオーラが漂う。音咲の差し金か?
「末永くって…どういうこと?」
七恵が聞いてくる。さて、どう答えようか。

1　素直に白状する。
2　適当にはぐらかす
3　『結婚しよう』と言う。

…とりあえず選択肢は二つか。素直に白状したら…またこいつは動かなくなるんだろうな。
「早く～」
ちょっと待ってくれ。今整理中だ。
「む～。あ、ピザも～らいっ」
それは止めろ。ただでさえ小さくて一般的男子高校生の胃袋を満たすのには3割くらい足りないピザをこれ以上減らされたら…!
「末永くってのはな、俺達が…その…カップルに見えたってことだ!」
今恥ずかしいこといった。絶対恥ずかしいこといった。証拠としては…七恵の紅潮した顔を法廷に出そうか。
七恵がピザを口に運ぼうとして動きを止めている。まだピザは無事だ。
俺はピザの無事を確認してピザを奪い取り自分の口に―
「いただきま～す」
七恵の声がしたと同時に軽くなる右手。…SNN使いやがったよ。
「…これおいしいね。私もこっちにすればよかったかも…」
「じゃあ換える…いつの間に完食しやがった」
俺が七恵のピザから目を話したのは2秒ほどだったと思う。その間に全部食った?人間技じゃないな。
「さっきだよ?」
とりあえず不毛な会話を切り上げ、俺のピザを半分七恵に渡す事で場を制し、俺の腹の虫を黙らせる事で祭りの会場に向かう事になった。さて、俺は祭りの不味い飯でも食うかね。

「雛見沢5凶爆闘!…ここ違うよ圭ちゃん!?」
…魅音?ここはひぐらしの世界とリンクしてないはずじゃ…。
「ちょっとキョン!早くついてきなさいよ!」
「おいハルヒ。お前が速すぎてみんな遅れちまってるだろ?少しはゆっくり、な?」
「そんなにもたもたしてたら祭りが終わっちゃうでしょ!このお祭りを通してSOS団の宣伝をするの!だから早く行かなくちゃダメなの!」
…ここは神のような力を持つ女子高校生に振り回される人々の世界とはリンクしてないはずじゃ…もしリンクしてたら…SNNは神のような―面倒だな。ハルヒによって作り出されたんじゃ…。
「長門さん。涼宮さんを少し気絶させてはいただけないでしょうか?」
「わかった。効果は5分程度にする。いい?」
「ありがとうございます」
……古泉がそれぞれをそれぞれの世界に戻してくれたな。いや、ここがリンクしてなくてよかった。ひぐらしだったらループする事になるし、ハルヒだったら世界崩壊が起こるかもな。
「どうする?」
俺の言葉だ。正直、俺は七恵をエスコートしてくれと頼まれただけであり、別にデートをしろとは言われてないしな。
「じゃあね……屋台を回って勝負しよ?」
雛見沢5凶爆闘みたいにか?
「そうだねっ。まず初めは…あの射的からでっ」
陰気そうなおっちゃんが退屈そうに客を待っている。その姿を見ると行きたくなくなるが…まあ、景品はよさそうだし、やってみるか。
「1回5発で300円だよ」
値段の割に…ごめん。最近は祭りなんか行かないから相場がわからん。
「睦月からしていいよ?」
と七恵が言うので俺から短銃を構える。十字架?フル活用中だ。
狙うは一番上の一番遠い場所にある一番重そうな段ボール。一応景品ではあるのだが、段ボールでつつまれている為に中身がわからない。そして極めつけは段ボールが前に大きく出ていること。
とりあえず俺は団ボールの最上部を狙って弾を撃つ。
コン
情けない音と共に落ちていくコルク。…無理じゃね?
…口先の魔術師がいたじゃないか!
「おじさん。短銃を3丁用意してくれませんか?」
そう。弾は制限があるが、銃の数には制限がない。4丁拳銃だ。
「…はいよ」
気のない返事が返ってきたが無視だ。とりあえず俺は銃を手に取る。3丁を手にとって弾を詰める。最初の1丁は既に詰めてあるからな。
まず1発。跳弾させて後ろから当てる。
続く2、3も同じように後ろからだ。
そして前に押し出されて安定を失った段ボールにとどめの一撃。
前に倒れそうになった時に浮き上がった部分にコルクを当て入れる。
がたんっ
どこか間の抜けた音と共に棚から落ちる段ボール。中身はいったいなんなんだ?
「よく落としたッ!君にはこの雛見沢セットを進呈しよう!」
といって郵送の紙を渡される。…受取人は音咲でいいか。
俺は1％の罪悪感も感じず、音咲の名前と住所を郵送伝票に書き付けた。
「ありがとな!」
といって送り出すおっちゃん。まだ七恵がやってないんだが…
「だってもうあれより大きいのか同じくらいのやつなかったでしょ?絶対勝てないよ」
と言って憤懣遣る瀬無い表情の七恵。その憤懣がいつ俺に飛んでくるのかを考えるとひやひやするぜ。
「次は…」
歩きながら探す七恵。先ほどよりも人の数が多くなった為か、七恵が自主的に手を握ってきた。素直に喜びたいんだが…握る力が強すぎるだろ。痛い。まあ…普通に嬉しいけどな。
「あのストラックアウトやろ?」
といって指差したのは多分普通のストラックアウト。ところどころに筋肉番付の装飾が施されている。こういう場合は有名投手のプリントを張ったほうが効果的だと思うが…。
「今度は私が最初でいいよね?やる前から負けるのは嫌だからね?」
ストラックアウトでそういう結果が出るとは思えないが…ま、いいだろ。
「おじさ～ん。2回お願いしますっ」
といって金をおじさんに渡す七恵。表現が悪かったな、訂正しよう。
といって『俺の渡した金』をおじさんに渡す七恵。あくまでも自腹は切らないつもりらしい。
「この華麗なフォームを見てなよっ!」
俺に促して投げ始める七恵。そんなに見て欲しいのか?
壱球投げてから返答が返ってくる。的には一つ穴があいている。
「嫌なの?」
いいや全然。お前を見ていて感じる事はあんまりないもんでな。
弐球目を投げてから返答が返ってくる。的には二つの穴が開いている。
「じゃあどんな事感じてるの?」
『元気だな…』とか『可愛いな…』とか『サディスティック性癖があるんじゃないか?』とかだな。
参球目を大幅にボールにして返答が返ってくる。的の穴は二つのままだ。
「サディスティック性癖ってなに!?私ってそんなことしたかな?かな?」
自覚がないなら尚の事重症だな。いや、七恵より俺が重症になるかもしれないな。
肆球目を投げてから返答が返ってくる。的の穴は四つに増えた。
「むぅ～…次はもうちょっと優しくするからさ～」
…それはいいんだが。このままいくとパーフェクト出しそうだな。
「七恵。投げてるお前も可愛いぞ」
言ってみて究極に後悔した。今すぐに拳銃で頭を貫きたい。…偽者のせいにすればッ!偽者いねええええ!!!!

あの後、七恵は全球を見事に外し、続く俺が6個の穴を開けた。その後に幾つか行われた勝負は俺と七恵が同じ数勝ったため、総合結果は俺の勝ちとなった。
「…早く命令言ってよ～」
とまあ、ここでも七恵ルールは適用される模様だ。先ほどから音咲が
（告白でも何でもしてしまえばきっとOKしてくれますよ）
とかほざいている。俺は七恵をそういう対象として見ていないし、もしそういう告白をするならフェアな状況でするさ。これだと命令で仕方なく…って言われるかもしれないからな。
「これから家の家事を手伝ってくれ。それだけでいいぞ?」
そう。今までで一度も描写をしていないので曖昧だったが、正直に言う。七恵は自分の衣服類を洗濯する事くらいしかしていない。こいつが俺の家に泊まらなければいいだけの話なんだが…。まあ、俺も普通の男なわけで、七恵といわず女性の衣服を洗うのは充分に抵抗がある。いや、洗うよりも干すほうが抵抗があるな。…七恵がここに泊まってる事を容認しておきながら言えたことではないがな。
「え～!」
なにが不満なものか。居候が何もしないで言い分けないだろう。
「今日は誕生日なのに～!?」
今日じゃないが…じゃあ明後日からならどうだ?
「明後日?…む～。いいよっ」
七恵の承諾を得る。明後日のなにがいいのかはまったくわからんが、ろくでもないことか理解不能なことに違いないだろう。
ひゅ～…どんっ
えらく気の抜けた花火が上がる。気が抜けているのは音だけのようで、視覚だけで判断するなら中の上、なかなかのものだろう。あくまで素人目だが。
そして俺はそろそろ料理の準備をしなきゃならない。ここでどう言い訳をして巧く音咲の家に行くかは音咲が考えてくれた。それを著した紙が俺の手の中にあり、未開封である。
さて、開けるか。
―告白しなさい。さすれば未来は開かれるでしょう―
…音咲。とりあえず死んでくれ。
とりあえずどうしたらいいかを考える。考えている間にも七恵は俺の手を花火の見やすい場所へと引っ張っていく。
「さっきからなに考えてるの?」
七恵に勘付かれるまでに顔に出てたか。
「私は結構鋭いんだよ?」
鋭い?おいおい待ってくれ。ボクシンググローブくらいには鋭いかも知れないがな?
「七恵パーンチッ!!」
グローブ無しの全力パンチが俺の脳を揺さぶる。相手が七恵だからよかったが、楓さんだったら洒落ではすまないだろう。この前飛龍閃をやってたしな…。
…そうだ。
『人ごみではぐれてメールで今音咲の家にいるよと知らせる』作戦だ!
（却下します）
楓さん!?通信がないと思って安心してたのに!?
（今から私が七恵に電話しますので、今から秀の家に来てください）
その間七恵はどうするんですか?
（私が付き添いますよ。あと、部屋の中の段ボールはあけないで下さいね?）
わかりました。焼却処分はしなくてもいいんですか?
（あとで私が嬲るのでそのままにしておいて下さい）

そんな事があって今は音咲の家。楓さんの言ったとおり、段ボールが部屋の隅においてある。一応ながら段ボールの上からパーティー装飾が施してあり、そのパーティー装飾が見事に段ボールの動きを封じてしまっている。仮に中に人がいて、そいつが空間操作系能力者でも出られないだろう。
俺は時々胎動する胎児のような段ボールを海馬に消去させて調理に移る。
から揚げを作るときにずっとタレに漬けて置くわけにもいかず、やむなくSNNでどうにか漬ける時間を操作したから揚げ用の肉をとりあえず鍋に入れる。記述はしていないが、油は張ってあり充分に暖めてある。もちろん、から揚げを作るときの粉末も忘れてない。
次の作業だ。
揚げ物類はから揚げの時に全部過程を終えたので、次は七恵の好物であるミートスパゲティに取り掛かる。麺の方は俺が小麦粉で作ってみたのだが…如何せん処女作だ。味は確かなものではない。ミートソースならかなり自信があるんだがな。因みに、バイキング形式にするため量は非常に多い。もし食いきれなくなっても、質はいいはずなので音咲の弁当にはなるだろう。七恵と楓さんがいる時点で残る事は考えにくいがな。
…とまあモノローグをやっている間に全ての準備が終わったので、とりあえず二人を呼ぶ事にする。
俺は音咲ハウス備え付けの受話器に手をかけ―
ふもももももも
…嫌な電子音が響く。なんだよ…『ふもももももも』って。
不快音をこれ以上聴いていたくないので受話器を取る。
「睦月君ですね?大変な事になっちゃいました」
どこかおどけた感じの楓さん。全然大変そうじゃないな。
「七恵が失踪しました」
…失踪?迷子の間違いじゃ?
「それはありません。先ほどから発信機すら応答しないので」
発信機……。
「それで私も探してみたんですが…いませんでした」
…それで俺に探せと?
「そのとおりです」
と一方的に用件を告げられて交信を終了される。どこかの世界の休日返上でパトロールしている誰かが幻視できたが、ここはあえて無視しよう。
さて、七恵が行きそうな場所……。
ないな。簡潔に言うとわからないだな。なぜって、今まで外出する時は七恵が鍵持ってないから俺についてきてたからな。その間に変な場所に行った覚えはない。
…ここの階段…ってことはないだろうな。
俺はとりあえず家の外に出る。とりあえず廊下を見回して―
パンパンッ
…クラッカー?
「誕生日おめでとー!」
……誰のだ?
「睦月に決まってるでしょ?」
七恵がクラッカーの糸をさりげなく俺に被せていきながら言う。楓さんはクラッカーのコーンを被せながらだ。
俺の誕生日は…1月8日なんだが…。1月に生まれたから睦月ってつけられたって話しただろ?
「え…!?」
驚愕の表情を浮かべる七恵。何も言わないで祝われていた方がよかったのか、それとも毅然と言ってしまった方がよかったのか、俺にはどちらともいえない。
因みに、楓さんはいつもどおりに微笑んでいる。多分、わかっててやったに違いない。
「とりあえず二人とも。中に入れ」
俺が促す。音咲はどうするのかと少し疑問に思ったが、発信機や盗聴機のことを考えるとどうでもよくなった。

俺が二人を家に引き入れて調理を再開すると、音咲の声が聞こえるようになった。俺が気になって聞きにいくべきか迷っていると楓さんがやってきて、
「あのまま箱詰めにして祝わせないのはあまりにも不憫だったので開放しちゃいました」
とのこと。捕獲したのも箱詰めしたのも楓さんなので反論のし様も無い。別にする気もないがな。
楓さんが言い終わってリビングに戻るかと思いきや、
「私も手伝ってあげますよ?必要ないなんてこと言いませんよね?」
上目遣いで聞いてくる楓さん。そんなことしなくてもあなたの思う通りにしてあげますよ。
「本当ですか?じゃあこれを七恵に読んでくれませんか?」
………嫌です。それ、絶対なんかありますよね。
「当然です。何も無い文章なんて読ませるに値しません」
内容は?
「七恵への沢山の愛を込めた俗に言うラブレターですよ」
よくやった俺!もしあの時OKしていたら俺は不登校になっていたかもしれない!

俺は楓さんと初の共同s―
「ちょっと七恵見てきますね」
楓さんは逃亡してしまった!

俺は調理し終えた料理群を音咲を手伝わせる事で2回に分けてリビングへと運んだ。
「いや、大変だったんですよ?怒った楓さんをどうにか宥めるのは。必死に頑張って段ボールでしたからね」
お前にはそれだけの罪があるからな。計画の最終段階で無策だなんて楓さんが許すはずもない。
「それについては謝りますよ。でもああすれば絶対に上手く―」
仲間専用のMy angel　楓さんKOU・RIN!
「あ、楓さん。いや、先ほどはすいません。反省してますので許してください」
かなり逃げ腰な音咲。こいつは俺が遠く及ばないような実戦経験があるはずなんだが…今の二人は哀れな草食動物と列強諸国のように強い肉食動物だ。哀れ音咲。
「秀。人を獣扱いしちゃいけないと思うんですが?」
楓さんは俺に対してなのか音咲に対してなのかそれとも両方なのか対象が不明確な事を言ってのけた。俺としては音咲だけであって欲しい。
そうして楓さんは音咲家謹製の寒温コタツに入る。寒温コタツは俺が知っている音咲家の実態の中で最もまともで有益なものだと思う。
「差し上げる事は無理ですが、僕の家で働く会員証を持っていれば3割減で買えますよ?」
どれくらいだ?
「420万くらいですね」
車だってそんなにしないぞ。

俺の作った大量の料理連合艦隊をものの40分で食べつくした俺達。多分8割が七恵と楓さんの腹に入っていることだろう。俺と音咲は少し空腹気味だ。ケーキも作ってあるのだが…それも二人の腹の中に入るだろう。
「とりあえずプレゼントをあげましょう?焦らしても何も出ませんし」
と言って徐にバンダナを取り出す楓さん。迷彩柄の軍隊が使ってそうな奴だ。
「はい。これは無限バンダ―」
楓さんの口を俺が目で『それ以上言ったら版権に関わります!』『今更版権ですか?』
「ナなんですよ。弾はいつでも無限になります」
今更版権だなんて…ミスったな。
「本当は睦月君にあげるつもりだったんですけどね」
俺ですか?なんでバンダナなんて?
「意味がわかってないうちは渡しても無意味なんですよ」
と一蹴。バンダナにはそれ以下でもそれ以上の意味は無い…はずだがな。
「僕の方からは寒温コタツをプレゼントします」
おい音咲。それはタダってことだな?
「誕生日プレゼントになんでお金を払うようなものをプレゼントするのでしょう。僕はそんなことしませんよ」
ああ、普通そうだよな。俺も誕生日には…ってそんなもの頼めるかよ。
「私の家に送ってくれるんだよね?」
「もちろんです。住所はここでよろしいですね?」
「えーっと…ここだっけ?私の家」
俺に郵送伝票を俺に差し出してくる七恵。なんで俺がお前の家の住所を知らなきゃならん。知ってるはず無いだろ。
とは時報が各作品で死ぬ事くらい当然に洩らさず、俺は伝票を見る。
…おい七恵。お前の家、ここじゃないだろ。お前の家はマンションだろう?
「ここじゃなかったっけ?」
何をどうしたら俺の家はお前に乗っ取られるんだ!なんだ。最近言われなくなったがパラサイトか?俺の家の住所録や戸籍を見せてくれようか。
「まあいいじゃないですか。あなたの欲しがっていた寒温コタツが手に入るんですから。もちろん省電力なので―」
ここまで聞いて残りは全部生返事を返してやった。最後に音咲は、
「僕自身からは、このダイヤの髪留めを差し上げましょう」
皆
everybady?
トランプのダイヤだ。勘違いはするなよ?
「僕は間違っても織口さんにそういうものはあげませんよ。将来あなたが渡す時に僕のものと比べられては酷ですから」
どうして俺が将来的に七恵にそんなものプレゼントせにゃならん。浪費だ。それを買うために稼ぐ時間も浪費だ。
俺がそういうと音咲は肩をすくめる仕草をとり、楓さんもそれに便乗していた。俺はなにか変なことを言ったのか?
さて残るは俺の番。前の負の連鎖を乗り越えるのに余った金をフルに使って買って来たのがこのネックレス。この前露店で見つけたんだ。ペアで4000円で、単品3000円だったんだぜ?もちろんペアで買ってきたさ。青と黄色のやつをな。
「ありがとねっ」
満面の笑みで微笑む七恵。いつもこれぐらいの好意を示してやってるんだが…普通にこういう顔してくれたっていいだろうに。でも毎日見てたら慣れるんだろうけどな。
「掛けてあげたらどうでしょう?」
楓さんの提案。それは俺にとって従う事の選択肢しかない。それに合わせてかは知らないが、七恵のほうもかけてもらう気満々だ。ここでやらなきゃ男が廃るって物だろう。
「掛けるぞ?」
一応一言断っておく。もしかしたら体に触れただけで訴えられるかもしれない。
「そんな事しないよっ!」
と顔を勢いよく上げる七恵。俺はネックレスをかけようとしていて顔を近づけていた。この意味がわかるな?だが、そうは問屋が卸さない。
「ちょ…ちょっと睦月!顔が!…その…近すぎない?」
止めろ。今すぐその女の子らしい仕草を止めろ。暴走するッ!!!
俺は理性が優勢なうちにネックレスを手早く掛け、部屋の隅っこに瞬間移動をした。
「七恵もネックレスを掛けてあげたらどうでしょう?」
楓さん?顔がにやけてますよ?
「そうするねっ」
紅潮したままの顔で迫ってくる七恵。ヤバイ。破壊力がヤバイ。理性城陥落の危機ッ!!!!
「大丈夫ですよ。僕が陥落した後の手続きなどを引き受けますので」
お前は本当に何を考えているんだッ!!!!陥落しないようにしてくれよッ!!!!!!
「僕のストリップショーでもやって差し上げましょうか?」
冗談混じりのニヤケ面。ここでOKしなければ理性が崩壊してもおかしくはないのだが、
「いや、いい。断る」
もしOKしたりしてしまったら、俺は高校生活をガチホモのレッテルを貼られたまま過ごす事になるだろう。それだったら崩壊する方がマシだ。
「掛けるよ?」
紅潮した七恵の顔が視界の60％を占めてやがるッ!!!!マジで陥落するッ!!!!
俺が潔くネックレスを掛けられようと決心したそのとき、
「ひゃっ!!?」
は?
なんでこの状態で七恵が倒れて来るんだ!!!?楓さん!!?楓さんなのか!!!?
楓さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!





七恵がのしかかってきた事による精神的要因と、その衝撃が体の頭部に著しいショックを与えた為に、俺の意識はブラックアウトした。さよなら…俺の高校生活。フォーエバー…。    </description>
    <dc:date>2007-06-25T11:24:06+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/27.html">
    <title>雑談雑談書き込んでくれよ</title>
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    <description>
      - http://www.youtube.com/watch?v=jCRkn-pD_to&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　かなり面白い  -- 明鏡止水  (2007-06-06 06:51:26)
- http://www.youtube.com/watch?v=9JdhCHnI5GQ&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=  -- 名無しさん  (2007-06-06 18:43:05)
- http://www.youtube.com/watch?v=1HayQMFXTAw&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　ピピルピルピルピピルピ～　ピピルピルピルピピルピ～　な～んでもで～きちゃうバット　エスカリボルグ～  -- 明鏡止水  (2007-06-06 19:51:05)
- キタアアァアアァァァアアアアァアア!!!!!!!　千葉テレビが家で見れるこの喜びィィイイイイイィイィイイ!!!!!　…あと一ヶ月先だけどな  -- 明鏡止水  (2007-06-06 20:32:11)
- http://clairvoyance.hp.infoseek.co.jp/flash.htmlこれの→Nightmare Cityおもしろい  -- 口先の魔術師  (2007-06-06 20:41:29)
- 続編が出てたとは。そして今からひぐらしが待ちきれない衝動に駆られる俺  -- 明鏡止水  (2007-06-06 21:34:35)
- http://www.youtube.com/watch?v=fqDTgrgn3O0&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　かなりいい曲だと思っている…  -- 明鏡止水  (2007-06-12 13:13:50)
- http://www.youtube.com/watch?v=zESLAHgO-jo&amp;amp;NR=1　ひぐらしの曲ってフレーズが同じやつが多い  -- 明鏡止水  (2007-06-12 15:50:32)
- http://www.youtube.com/watch?v=Xx-FoCbi-ko　コンプレックス・イマージュ中途半端なところで終わる  -- 明鏡止水  (2007-06-12 17:36:20)
- http://www.youtube.com/watch?v=YY3CKK6Cu9M&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　セイッハッ　セイッハッ  -- 明鏡止水  (2007-06-12 21:21:00)
- http://www.youtube.com/watch?v=vqJXutXyzzE&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　これがベストマッチだと思える俺はなんなんだろうな  -- 明鏡止水  (2007-06-16 12:00:25)
- http://www.youtube.com/watch?v=SIW7n8vNCUg&amp;amp;NR=1　門前仲町には平野じゃないから不満かもしれないが…すごいよこれ  -- 明鏡止水  (2007-06-16 12:37:39)
- http://www.youtube.com/watch?v=VHAl2_tUUN8&amp;amp;eurl=http%3A%2F%2Fhnayu%2Eblog90%2Efc2%2Ecom%2Fblog%2Dentry%2D417%2Ehtml　えー…とだ。専門用語多し  -- 明鏡止水  (2007-06-17 17:38:38)
- http://www.youtube.com/watch?v=gpGbmuD1M_k&amp;amp;mode=related&amp;amp;search=　門前仲町に進呈  -- 明鏡止水  (2007-06-19 17:30:05)
- http://www.youtube.com/watch?v=KF5XGmSjYQ0&amp;amp;NR=1　レナが歌うDEAR　YOU　KIND  -- 明鏡止水  (2007-06-21 06:54:54)
- http://www.youtube.com/watch?v=V5fpskk0KHM&amp;amp;NR=1　ミスマッチもここまで来るとねたにしかならない  -- 明鏡止水  (2007-06-21 15:50:20)
#comment    </description>
    <dc:date>2007-06-21T15:50:20+09:00</dc:date>
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    <title>一括版（修正完了版）</title>
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    <description>
      UN FAIR BET






1 one day in the strange


ある晴れた7月の午後、遅れてやってきた梅雨前線とうだるような熱気が協合同盟のもとジェットストリームアタックを仕掛けてきたんじゃないのかと、妄想を膨らませるのにはいささか適しすぎていると思われる外気の状況下で、
俺はやはりうだっていた。
ああ…暑い…熱い……。
「ここはこの公式が出るからちゃんと覚えとけよ～」
数学の駿河がなにかを言っているが俺には関係ない。構ってやる事すらできない。
「おい池谷!妄想はやめろ!」
………池谷…やめろよ………。
「え!?俺ですか!?やってませんよ!?」
「なにが金髪姉ちゃんとハーレムだッ!お前には早すぎる!」
「なんでわかるんですか!?」
「後で職員室に来い!」
アホ池谷が…自白はないだろ……。
クラスの連中が妄想より頭の方で心配してるぜ…?
そんな事を華麗にスルーし、続くＨＲもスルーした俺は逃げる脱兎の如く巣穴と称するに相応しいであろう部室に向かう。
なぜこんな日に部室に行くかって?
簡単な話だ。
俺の家にはクーラーがないからな!
学校にいようが家にいようが同じなんだ!
どちらかと言うと楓さんがいる分学校の方がマシだな!
そして俺は吸い込まれるように部室に入る。ドアを開けるとかノックとかのプロセスは省略する。だって熱いんだもん☆
俺が部室に入って数分。程よく俺が壊れかけたころ、音咲が部室に入ってきた。
「こんにちは。これは…いい感じにへたばってますね」
うるせー。部室にはクーラーなるものがないからだ。
「つけましょうか?」
…そういえばお前んとこすごいんだったな…。
「冗談です」
音咲はそう言って部室を出る。扇風機でも持ってきてくれるとありがたいんだが。
俺?
長机に突っ伏して体力の消費を抑えてますがなにか?
ＳＮＮ?
そんなもの使って体力を減らすなら、普通に耐えてたほうが…よし!使おう!
かちゃり
静かにドアが開く。そこに現れたはもちろん楓さん。俺の海馬を埋め尽くすほどの勢いで…冗談だ。
どういうわけか、楓さんは汗をかいていない。なのに何故か、上はワイシャツ一枚である。因みに、外目から見てだ。…制服はワイシャツなんて女子にはないんだがな。
…これで汗かいてたら透けて見えんのかな…。
「女性の前でそんな妄想をするのはよくありませんよ?」
口に出てましたか?
「カマをかけただけだったんですが…」
ごごご誤解しないで下さいよ!?
「わかってますよ。思春期の男子によくあることです」
うっ……七恵でも音咲でもいいから早く来てくれ…七恵だと一緒になって弄ってきそうだな…七恵はいいや。
ガンッ
ドアの蝶番が悲鳴を上げるような衝撃と共に能動的な女子生徒が現れる。まあ、七恵だが。
…気づかなかったが、後ろには麦茶を4人分用意してきた音咲がいた。なぜに麦茶?コップまであるし。
その日、七恵は楓さんとパジャマパーティーがどうとかぬかしていて、俺の家には帰らな…いや、こない。
まったく平和なことだ。楓さんと一夜を共にする七恵が羨ましいが、考えなきゃいい。
俺が羨ましがってる時に音咲が、
「僕達もやりませんか?」
とか妄言を吐いていたが放っておく。俺は野郎と夜を明かして喜ぶような特異な性質の持ち主ではない。

土曜日
珍しくも俺のところに指令が来た。6月は休暇だとか何とかだったので、かれこれ1ヶ月ぶりだろうか。できればやり
たくないんだが…その場合は俺より弱いやつがやらなきゃいけないんだろう。仮に強くても好き好んでやらせたくなるようなことじゃないしな。
指定された場所はあの日の海岸。初めてモンスターと戦った場所だ。俺的には、ここに縁があると思う。
珍しい事は重なるもので、指定された時間の指定された場所には集団がいた。どれも黒スーツを着ていた為、俺は指令を送っているところの人かと思っていた。黒スーツだけなら確信には至らなかった。だが、もしその集団が組
とかファミリーとか言うのであれば、俺は間違いなく絡まれるはずなのだが、時々こちらを見られるだけで何もしてこなかった。

指定された時間を3分過ぎたころ、モンスターが現れた。アルガエスのような人型のやつで、なぜだか色は漆黒で生気が感じられなかった。俺は今度も死闘を覚悟した。同時に、前よりは楽に倒せると思っていた。だってこんな数の味方がいるんだぜ?
…俺の予想は恐ろしく簡単に引き裂かれた。
モンスターが現れても微動だにしなかった黒スーツの集団は、あっという間に壊滅させられていた。そうだな。花火の輝きほどの時間だった。
俺はその間、それを傍観する事しかできなかった。
何故かって?

それはだ、

そのモンスターがいきなり分裂して、黒スーツの集団のコピーになったからだ。
事はそれだけでは終わらなかった。黒スーツの集団はコピーを攻撃した。多分、自分のコピーを一対一で倒しに行ったと思う。
そして、両集団が激突した時には既に、味方であると思われた集団は壊滅していた。
それからが酷かった。
壊滅させられて動けなくなっている集団を、コピーである集団が食べ始めたのだ。別にグロテスクな描写はない。

俺が見た光景は、よくアニメで『君の体を取り入れる』。そんな光景だった。
だから、食事にかかった時間もほんの数秒。俺が止めることを考える事すらさせなかった。
そしてそのコピーは、ドロドロに溶けたアイスのようになって一箇所に集まり、今度は俺の形になった。色は黒っぽい感じだ。
「よう」
俺の形をしたそいつは言った。正直、怖いね。
「返事位してくれてもいいんじゃないのか?」
そいつは訝しげな表情を見せる。俺にはよくわからないが、まさに俺だと思う。モンスターだが。
「さっきの事か?言っておくが、あいつらがモンスターだったんだぜ?」
あいつら…?最初からいた方か?
「当然だ。俺だってお前に死んでもらっちゃ困るからな」
そう言って、自称俺のそいつは闇に消えていくように姿を消した。
まだ印象に残っている事がある。そいつの目は、俺と違って紅かった。
不思議だ。まだ午前中なのに世界が黒い。天変地異の前触れか?驚天動地なことでも起こるのか?

それから程なくして、音咲から遊びの誘いが来たので、俺はその誘いに乗った。無論、遊ぶ気なんかさらさらない。俺には野郎と休日を遊んで過ごすような時間の浪費はしたくないからな。
ところかわって音咲マンションである。音咲のマンションではない。音咲の住んでいるマンションだ。勘違いはするなよ?してもらって困る事はないがな。
俺は音咲の家に半分押しかけ気味で中に入った後、音咲の案内によってリビングの座布団に座っている。相変わらず広い部屋だな…なんでこう、物が少ないかな…。
俺がしょうもないことを考えていると音咲が飲み物を持ってくる。見たところ、アイスコーヒーだろうか。7月にはちょうどいいものである。
「急に僕の家に来るなんて、どうしたんですか?」
いつものニヤケ面で音咲は聞いてくる。正直、凡百なルックスの俺にはウザクてたまらん。
「音咲、お前今日指令来なかったか?」
まずそれを聞く。もしかしたら音咲も俺と同じ事があったかもしれないしな。
「いえ、ありませんでしたよ?そういうあなたはあったんですね?」
もちろんだ。その時のことを話そうと思ってたときにお前から電話が着たからな。
「それは間がよかったのでしょう。どんな事があったのですか?」
音咲は興味津々、のような表情で俺に聞いてくる。が、その表情はいつものニヤケ面とさほど変わらないため、ウザイ。
俺は健気にもそんなウザさを耐えながら、先ほどの事を事細かに話した。
「信じますが…僕は何もできませんよ?」
………あ。そうだよ。まだあいつは何をするとも言ってなかったじゃねえか…。
「まあ、そんな事があった。それは覚えておきましょう」
その日、俺は野郎と街を練り歩く事となった。



4日後
俺は久しぶりに学校に行く事となった。なぜ4日後かと言うと、日曜から昨日までは風邪で体調を崩していたのだ。

ちょうど日曜の朝に気づいて七恵に言った為、七恵は昨日まで俺の家に帰ってきて…来なかった。
登校中、七恵を見つけたので隣に行く。
「よう七恵。久しぶり、か?」
俺がそう言うと七恵は走り去って行った。
いったいなんだ?チャックでも開いてたか?
否。じゃあなんだ?シャツが前後ろ逆?
いいや違うな。
じゃあなんなんだ!
その答えは放課後まで考えたが、まったく、欠片すらわからなかった。その間、七恵は一度も俺に話しかけてくることはなかった。
そんな事があっても帰巣本能というものは発動するもので、やはりというかなんというか俺は巣と呼ぶに相応しい、部室に足を運んでいた。実を言うと、帰巣本能だけではない。音咲や楓さんになら今の状況をわかりやすく教えてもらえる気がしただけだ。できれば、楓さんがいいが。
俺が部室のドアをノックする。今日は雨が降っていて気温も低いので、先日のようなプロセス排除は行わない。
「どうぞ」
部室から野郎の声が聞こえる。
俺はそれを了承の意と受け取ってドアを開け、部室に入る。
「よう音咲。久しぶりだな」
俺は朝七恵に言ったように言う。たった3日会わなかっただけで久しぶりといわせる部室が恐ろしい。どうせくるのだが。
「久しぶり、ですか?ふざけないで下さい」
音咲?
音咲はやけに真剣な口調で詰め寄ってくる。その顔は誰にも嫌悪感を覚えさせるようなものだった。俺も例外ではない。
「なんだ音咲?俺がなにか悪いことでもしたか?」
心当たりがないので聞いてみる。
「あなたは何を言ってるんですか?一昨日にやった事を忘れたとは言わせませんよ?」
は?一昨日?火曜日の事か?俺は普通に布団の中で病魔と闘ってたぞ?
「それこそふざけないで下さい。じゃあ僕達が火曜日に見たあなたは偽者…」
偽者?…それって俺がこの前話したあいつか?
「失礼しました。あなたが事前に教えてくださったのにそれを蔑ろにしてしまって」
「そうだ。本当に失礼な事をしてくれやがって」
一つ、余計な声が聞こえた。
その声の発信源は、俺の形をしたそいつだった。
ドアは閉めてあったしドアを開けるには俺が邪魔なはずだ。なのにそいつは部室にいた。
「…音咲?これで完璧に信じてくれるよな…?」
不安と恐怖を混ぜた声で音咲に聞く。
「これがなくとも信じてましたが…これでは否定すらできません」
そう言って俺達は身構える。
俺達が取った行動は、前に話した内容を考えると至極当然なものだった。
前に話した内容は、黒スーツの集団の人数には触れてなかったが、その人数は3桁ほどの数で、俺の前にいるそ

いつは集団をダース単位で吹き飛ばし、瞬滅したやつだ。
「おいおい身構えるなよ。いったい俺が何をしたって言うんだよ?何もしてないだろ?」
そいつは微笑を湛えながら言う。
正直、不快だ。自分の顔を見て不快だというのは自虐的かもしれんが、そいつの顔は完璧に悪だった。邪とかのレベルではない。性善説が出回っているこの世界では不謹慎だが、こいつは根本から悪でできていると思う。
「僕達の役目は人を守る事ですからね。なにもしてなくとも、その気があるあなたは敵であると判断しますッ!」
音咲は手に紅く光る光球を持ってそいつに接近する。その紅く光っていた光球は徐々に姿を変えて、ナイフのような形になった。
音咲がナイフで切りつける。
俺の形をしたそいつは避けなかった。
音咲のナイフがそいつの体を切りつけた瞬間、ナイフから爆発が起こった。俺は音咲の能力によって助けられた。音咲は自身の能力のためか、その爆風は効果がないようだ。
爆煙が収まったころ、そいつの体が徐々に見えてくる。
そいつは右腕が吹き飛んでいた。
それだけならよかった。そいつの右腕の傷口からは光さえ吸い込みそうな黒いオーラのようなものが出ていた。
「音咲。いてえじゃねえかよ」
そいつはそういうと、すぐに右腕を再生させた。自動修復でないのがわかったのは、そいつが指を鳴らした瞬間に再生したからだ。
「とりあえず、音咲。お前は今日のうちはリタイアしてろ」
そう言ったときのそいつは、凍りつくような顔をしていた。
俺はこのままでは音咲がヤバイと考え、音咲を俺の氷で覆った。
音咲が見えなくなった為か、そいつは俺に視線を向ける。
「今はお前には興味はないんだよ」
俺にそう言い放つと、俺の氷は砕け散り、中から音咲が氷漬けで出てきた。
「これで邪魔はなくなった。やっと一対一だ」
俺は十字架を小太刀に変形させる。この狭い部室では、このくらいの大きさがベストだろう。
「俺になんのようだ!見たところ音咲は死んじゃいないようだが、これ以上傷つけるなら手加減はしねえぞ!」
ありったけの強がりを言う。
わかってる。俺じゃこいつには勝てないこと。こいつがちょっと本気を出せばすぐに俺を殺せる事を。
「手加減なんてしてもしなくても結果は同じだろ?俺はお前に宣告をしに来ただけだ」
宣告?
「7月20日の日に、お前を殺して世界を奪う。それだけだ」
そいつはまた、闇に消えていった。部室の中は夕焼けに照らされて、闇はどこにもなかった。


それから翌日。氷が溶けた音咲と一緒に七恵と楓さんにこのことを話した。どういうわけか、著しく好感度が下がっていた俺だけでは到底信じてもらえないような話を音咲の存在でカバーした。
そしてその日の放課後部室会議での事だ。

「余命14日ですね」
楓さんの宣告。正確には俺の形をしたそいつのものだが。
楓さん?それ、かなり効きますからね?
「ごめんなさい。ですが空気が重いと感じたので緩和しただけですよ」
あんまり悪びれた感じは無い。まあ、何をやったか知らんが、とりあえず俺への復讐だろう。
ふと気になって七恵を見る。楓さんが仕掛けてきたってことは、七恵もあるだろうな。
「純情なる乙女達の心を弄んだ罪により―」
おい、純情なる乙女達?楓さんだけだから純情なる乙女だろ?
七恵のグーが飛んできたが気にしない。
「これから私が睦月の家に行く事を正当化してよね!」
は?正当化しなくてもくるだろう?それにお前は仲間だから家に来ても何も文句はないぞ?合鍵とか作るような事は許可なくはさせんが。
もちろん、心の中で言っただけだ。もし言ったら別の要求が来る事だろう。
「とりあえず、話をもとに戻しましょう」
音咲が90度ほど逸れた話を本線に戻す。
「色々要求をするよりも、とりあえずは堀崎睦月の偽者をどうするかです」
…言い方が悪いな。
「では…『もう一人のあなた』でいいですか?」
いや…その場に応じて考えてくれ。
「わかりました。ではまず、なぜ20日の日に指定したかという事です」
それは俺も気になってたんだ。
「推測の域を出ませんが、偽者の目的が本当に世界制服だったとします」
俺だったらそんな事微塵も思わないのにな。
「20日という日が、その目的達成にはちょうどいい日であることが考えられます」
例えば?
「簡単に言えば、『その日だけしか使えない』、そういうものがあるという考えです」
どっかの魔法使いみたいだな。
「この場合は20日を無事に乗り切れば問題はないでしょう」
それでも難しいがな。
「他には、あなたを強くするための期間かもしれません」
俺を強くする?そんな必要があるのか?
「偽者と初めてあった日に、偽者はモンスターを取り込みましたね?もしかしたら能力なども取り込んだかもしれません。その場合は、あなたが強ければ強いほどに効率は上がります」
じゃあどうするんだ?
「偽者を越えるまで強くなるしか助かる方法はありませんね。でも」
音咲は続ける。
「この案には希望があります」
どんな希望だよ。
「14日間以上の期間を与えてしまったらあなたが偽者を越える可能性があるということです」
その可能性は否めないな。
「失礼ですが、その場合も20日を乗り切るのは難しいんじゃないんですか?
楓さんが言う。至極もっともな事だ。
そういえば…なんで俺はこんな茨の道を歩まなきゃいけないんだ…?
「とりあえず、俺は強くならなきゃ助からないんだな?」
七恵を除く全員。つまりは音咲と楓さんが頷く。
なあ、俺なんか悪いことやったかな?

みんなの持論が一通りで終わった後で聞く。
「なあ、お前らは強くなれって言うが、どうやって強くなるんだよ?」
読者ならここでどう考える?どっかの山にこもって修行でもするか?
「う～ん…修行だよ!」
七恵が言う。こいつは何も考えてなさそうだな。
「俺が感じた偽者の強さは修行でどうにかなりそうなものじゃないぞ?」
あの時の事を覚えているだろうか?俺の偽者は一度だって拳で戦ったか?一度でも殴ってきたか?
「あ…そっか。肉体的に強くても意味ないんだ…」
七恵はなにかを悟ったようにへたりこんだ。なにかを悟ったらへたりこむのかは知らないが。
「それは僕も考えていましたが…生憎、そんな知り合いはいません」
いたらお前の家を疑うぞ。普通はいないんだ。
みんなが押し黙る。みんなはそれぞれなにかを考えているようだが、空気が重い。
…これってみんな俺のことを考えてくれてるんだよな。
これってかなり幸せなんじゃ…?
楓さんまでもが真摯に考えてくれるなんて!
「まあみんな落ち着いてくれ。俺にいい案があるんだ」
俺の声?
俺じゃないぞ?偽者でもないからな?
じゃあ誰だ?
俺だよ。
未来の。









「そうだ。俺は未来の堀崎睦月だ」
なんで俺が未来の俺だと確信したかって?
「なら―どうする?」
それは簡単。It`s so easy.
「ここで―殺すか?」
俺は過去に一度も未来に旅行なんてしたことがないし、
「新世界の神となる!」
とりあえず、音咲に黙らせろと命じる。
音咲はすぐさま俺（未来）をどっかに強制送還する。続けるぞ?
それに、俺（未来）を発見した時になんかが頭に流れ込んできた。これが俗に言う、『わかってしまうのですからしょうがないんですよ』か。
しばらく部室が静まり返り、誰かが外からノックをしたことで静寂が去った。誰がノックをしたかは予想してくれ。
「さっきは悪い。アレは既定事項だったんだ」
既定事項ってなんだ?新手の言い訳か?
「今から色々説明してやるから茶々はそれから入れてくれ」
俺（くどいようだが未来）は真剣な表情になる。さっきのアホな雰囲気が嘘のようだ。…自分のことをアホって言ったようなもんか。
「ここにいる、七恵と俺に関わる話だ。お前らは十字架の能力をどこまで把握している?」
…念じた事を反映する、武器になるとか。それくらいか?
七恵も俺と同じように答えた。それ以外に何があるんだ?
「俺だってまだ把握しきれてないが、それに加えて時間遡航もできるんだ」
「…えーっと、時間遡航ってなに?」
七恵が俺（未来）に聞く。俺だってわからない。
「時間を溯ったり未来に行ったりできる能力だ」
上の字を適当に拾ってできた熟語ってことか。
「そんなところだ。一応、その能力は簡単に使える。例えば…」
言いかけて俺は考えるポーズをとる。考えてから言ってくれ。
「頭の中に『今日の午後3時に行きたい』そう考える。そうすると移動できるんだ。簡単だろ?」
…ＯＫ。簡潔な説明ありがとう。用件を伝え終わったなら帰ってくれないか?
「伝えるだけじゃ終われないんだよ。俺はこれから一週間お前に修行をしてやらなくちゃいけないんだ」
修行?時代錯誤もいいとこだな。そんなに俺が愛しいか?
「もちろん。情けは人のためならず。他ならぬ自分のピンチだ。それに俺がそうしないとお前は多分殺されるだろうからな」
…拒否権は?
「ないぜ?俺も与えられなかった事を与えるはずがないだろう」
俺は助け舟を求めて音咲を見る。音咲が視線を返してくる。『僕ではどうしようもありません。頑張ってきてください』
音咲は諦めて楓さんを見る。結果は同上。
二人は諦めて七恵を見る。『頑張ってきてね!』
…アイコンタクトでここまで正確な会話ができるとはな…。資格が取れそうな勢いだ。
「言い忘れたが、七恵も同じように修行を受けてもらうからな?」
七恵は塩をかけられたほうれん草のように崩れ落ちた。やっぱ修行なんてやだよなあ……。


それから程なくして、音咲が手配した修行場についた。もちろん、交通機関の類も音咲の手配だ。また、修行期間

中の食事に関しては楓さんが用意した軍用携帯食だった。
色々言わせてもらうが、俺は今までに『魔法かなんかの力を使って怪物を倒すヒーローになりたい』って思った事はあった!確かにあった!けどそれは年端も行かぬ男の子の時の事だ!それにな!俺はヒーローになって世界を守りたいとは思えてもな、世界平和のために平和維持軍に入隊できるようなやつじゃないんだよ!
「…そろそろ諦めてくれ。気休めでしかないが、とりあえず死ぬような訓練はないからさ」
ホントに気休めだよな。
「とりあえず、修行は明日からにしてやるから、今日を精一杯楽しんでくれ」
そういうと、俺（未来）はどこかに消えた。ああ…神様…俺、悪いことしたか?
…そういえば俺…今すごい状況じゃん…。互いにそっくりさんが3人もいるんだよな…。ギネス…無理か…。
「睦月?大丈夫?」
なにがだ?
「さっきから考え事してたから、悩みでもあるのかなって」
…今の状況が悩みの種だな。
説明や描写が遅れたが、ここの情景を話そう。
この修行場は、元々レジャー用地だったのか、見晴らしはかなりいい。現に、ここは山頂でもないのに山下に見える街が2割り増しくらいで綺麗に見える。因みに、ここは音咲家所有の山だそうで、かなり自然が豊富だ。それにもかかわらず、ここは東京である。俺も一度しか聞いたことがないが、西東京にはこんな場所が幾つもあると聞いた。恐らく、社会の地理でのことだろう。
ここからは俺の勝手な予想だが、多分俺はここで偽者と戦う事になると思う。20日の日にわざわざ街に戻って行く
こともなければ、わざわざ人を危険にさらす必要もないからだ。危険にさらす必要があるのなら俺に言ってくれ。そんな必要の存在を消してやる。
くだらん情景描写を終えた俺は歩き出す。どこへと聞かれても答えることはできない。俺は地図すら持っていないのだから。…持っていても答えないだろうがな。
先ほどから追加説明が多いのはご愛嬌という事で勘弁してくれ。
因みに言っておく。東東京（ひがしとうきょう）から西東京の山につくまでにどれほどの時間がかかると思う?そして言うと、俺と七恵がここに向かったのが午後4時の事だ。よって今は真っ暗。今や俺を照らしているのは月明かりだけなのだ。
ここまで説明したらお分かりだろう?
俺は今、七恵と夜の散歩と興じているのさ。どことも知れぬ、寝床を探してな。
この年頃の男子としては、今の状況は『一度はこんなシチュエーションになりたい』のトップテンには入るであろうこの状況。相手がいくら七恵でも、一応七恵はルックスはかなりいい。つまりは美少女なのだ。悲しきかな男の性。俺は不覚にも今の状況を満喫していた。
まあ、七恵がこんな夜中に一人で山を歩けるようなやつじゃない事はわかってたがな。
…そういえば。俺ってもしかしたらどことも知れない山の中で死ぬ事になるかもしれないのか?
…勘弁してくれ。
「東京にもこんな所ってあったんだね…」
七恵が感慨深そうに言う。なぜだろう?かぁいいものや可愛いものや綺麗なものを見ている女なるものは、客観的に綺麗になっているという。どうやら七恵は女なるものだったらしい。
「ここは東京でも開発が進んでないからな…。無駄に開発するよりは全然マシだ」
社会の入江の言葉を代弁する。…そういえば入江はメイド萌えだったな…。メイドインヘブンとか言って暴走してたりしたな…。2回くらい女子にメイド服着せて校長に呼び出し食らってたけど…。
「あれって何座?」
七恵が指差す方向を見る。指差す方向にあるのは満天の星空。いったいどれを指しているか見等もつかない。
「どれだ?北斗七星は見えるから…どの辺にある?」
「北斗七星?」
ああ…説明しなきゃいけないかな…。
適当に説明を終えると、七恵が言っていた星の形がわかるようになってきた。
…色々結んでみたが、恐らく創作による星座だろう。
「そうなの?う～ん…じゃあ名前付けよ?」
例えば?
「長門…かな?」
いや、確かにでかい砲塔のような形をしてるがな?そりゃないと思うぞ?
「じゃあ…ヤマ「それもダメだ」
色々版権に関わりそうなので止める。別にそんな事になっても謝れば済むが…面倒だろう。
「そうだ!」
七恵が叫ぶ。今に始まった事ではないが、常識人なら驚くだろう。
「睦月「それはお前が言っていいことじゃない」
危うく変な方向に話が逸れそうになったところを俺が止める。いつものことだ。
「決めた!」
こういうときの七恵は真剣に言う。真剣って言うのは語弊があるが、一応変なことは言わない。
「十字架座!」
…似てなくもないが…まあ…いいだろ。
「それでいいかもな」
一応返事をする。その十字架座の中心の星は、シリウスだった。違うかもしれないが、それは俺が小さい時に親父と見たそれとまったく同じだった。
俺達は甘かった。野宿も修行の一環である事を察していなかった。
幸い、寝袋が一つ落ちていた。多分、俺（未来）からのプレゼントだろう。
どちらが寝袋を使うかで論争をしたが、途中から七恵が『二人で寝ればいいんだ!』とか言いやがったから俺が気絶させた。そして強制的にＩＮ寝袋。完璧。明日の朝が怖いが。






「おい起きろ。朝だぞ。8時だぞ」
…俺（未来）か。わざわざ起こしに来てくれるなんて律儀なこった。
俺は体を起こそうとする。が、体は上手く動かない。
なぜ―
なぜ俺は寝袋に入ってる?
なぜ七恵が同じ寝袋にいる?
「お前は…少し考えてみろ。ちょっとやそっと気絶させただけで、朝まで起きないと思ってるのか?」
…ごもっとも。
俺は寝袋のチャックを探す。いち早く出たい。別に七恵がいやだってわけじゃないんだ。誰だってこんな状況なら開放されたいと願うさ。そうだな。鳥籠に飼われてるインコ並には出たくなるさ。
…これは七恵の計算だろうか?
なぜチャックが七恵の体の下に埋まってる?
よし、ここで出る選択肢は一つだ。
1　起こさずにそのままチャックを開けようとする
2　起こして安全にチャックを開ける
…おい。
「いや、すまん。ちょっとした出来心だ」
それで犯罪人が許されるとでも?
「まだ俺は前科を持ってないぜ?」
「七恵ー!未来の俺がお前に変なことをしようとしてるぞ!」
さあ、起きるか!?
案の定七恵は飛び起きた。そこまではよかった。
俺と七恵は今どんな状況だ?
寝袋に入って身動きがままならないんだ。
飛び上がったってことは…
つまりは地面との激突を受身が取れない状態で迎えるってことだ。
ガンッ
そんな音が聞こえたと思ったら、俺は意識が遠のいていた…否、ブラックアウトした。
「さっさと起きてくれないか?修行の時間が減るってことはお前の生存率が―」
「わかったから!ふざけないで修行受けるから!」
もう、自暴自棄だ。
七恵の作った朝食を手早く食べ、俺達は昨日来た見晴らしのいい所（正式名称は吾閲嶽というらしい）に連れて行かれた。…七恵の作ったものを食べるのは久しぶりだったと思う。
「君たちにはとりあえず、殺し合いをしてもらう」
よしわかった。帰るぞ七恵。こんな馬鹿放置しておこう。
「言い方が悪かったな。お前らには試合をしてもらう」
試合か。と安堵している俺に『本気で』と後付したのは嫌がらせだとしか思えない。
「ルールはここから出たら負け。そのほかは…倫理的にダメだと思う事はやめておけ」
なあ、お前は何もやらないのか?そう言った俺に返答が帰ってくる。『審判兼コーチ』
「始めろ!」
あまり聞かない掛け声と共に俺と七恵は武器を構える。この状況をすんなり受け入れている俺はなんだろうね?嫌なら抗議でも何でもしてやれるのにさ。やっぱり体を動かすのは楽しいからか?
俺は十字架を弓に変える。七恵との距離は大分広い。弓がベストだろう。
俺が弦を引こうとしたとき、七恵が動いた。
七恵はどっかの中国拳法の武術の構えのような姿勢をとっている。いったいなにが来るんだ?かめはめ波か?
俺は気にせずに矢を放つ。俺は油断していたと思う。
弓が七恵に当たるか否かのところで弓が消える。七恵は構えを解いていない。
なにが起こった?
とりあえず―
いつの間にか―俺の体は宙に浮いていた。宙に舞っている間、七恵を一瞬だけ見たが、そりゃもう怖い笑みを浮かべていた。
俺は悟った。怖いってのと恐怖は格が違うってことを。
地面に受身無しで激突した俺を俺（未来）が診る。体自体には外傷はないとのこと。
なあ…お前もこんな目にあったのか…?
「それは教えられないんだ。予備知識を持っていると正確に踊る事は出来なくなるんだ」
そりゃ悪いことを聞いたな。
その後サンドバックになったのはまた別の話だが。


タイムリミットまで11日
七恵のサンドバックになる事数日。ようやくその正体がつかめてきた。どうやら、七恵の攻撃は俗にレナパンと呼ばれるもので、別にそれらしい構えをしていなくても撃てること。そして射程が10ｍほどもあること。科学的な説明は恐らく無理だろう。ＳＮＮなんて持ってる俺が、吹っ飛んでる時に何発食らったかわかる程度にしか正体はつかめてないんだ。スピードチェッカーなんかやったら音速を超えてるかもしれない。それがわかったら俺は諦めると思う。
…そういえば、この試合の主旨が違う気がする…。

タイムリミットまで10日
昨日一日も無事にサンドバックになった俺。体の方は全然無事ではないが、やっと軌道が見えるようになった。多分、数日間のサンドバックとしての経験か、それとも俺の才能か、前者だと思うがそのおかげで数発なら避けられるようになった。また、一回の攻撃で何発飛んで来ているかもわかるようになった。答えは198回。ＯＫ無理だ。帰ろう。

タイムリミットまで8日
ようやくレナパンを見切ることに成功した。今なら5連発でレナパンをされても避けきる自身がある。それにレナパンを防ぐ方法も見つけた。答えは簡単。一回でも手を掴めばいいだけだ。

タイムリミットまで7日
「なあお前ら。本来の目的がなんなのかわかってるのか?」
俺（未来）が言う。
「目的?あ…」
七恵は忘れていたようだ…。俺もだが。
「そうやって互いの反射神経と動体視力を上げるのは構わないんだがな?いつまでもそんなことされてたら困るんだぜ?」
じゃあ何をするんだ?
「とりあえず、ＳＮＮ自体を強化する。お前らが実践を離れていても異常なほどモチベーションが保持できるのはわかった。だからそれについていけるようにＳＮＮを底上げするんだ」
…なあ、それって俺達だけがやる意味あるのか?
「あの二人はそれぞれで修行と同義のものを受けてるさ。なんで一緒にやらないかって聞かれると…ごめん。わからん」
そうかい。俺（未来）を心の中で罵倒している俺はなんなんだ…?
まあいい。
俺は背中に背負っている軍が使ってそうなリュックを背負いなおす。楓印の軍用リュック。特注品だ。
「お前らはＳＮＮをどんなものだと思ってる?」
唐突な質問に絶句する。七恵もそれは同じようだ。
「簡潔に言おう。そんなものが現実にあるかと聞いているんだ」
あるに決まってんだろ?じゃなけりゃ俺はこんな厄介ごとに巻き込まれてなんかいない。
「ＳＮＮを発見した開祖のことを教えてやろう」
俺（未来）は地面に座る。それにあわせて俺と七恵も座る。
「開祖さんは、この世界で初めてモンスターを発見した人でもあるんだ」
ノーベル賞ものな人間だな。
「でもその開祖さんはＳＮＮなんて知らなかった。まだそのときは存在してなかったんだ」
じゃあどうなったんだ?少なくとも俺は怪物による猟奇殺人の記事を見たことはないぞ?
「その開祖さんは考えたんだ『こんな怪物がいるならそれを倒す力はあるはずだ。ないはずはないんだ』と強く考えた。ＳＮＮはその結果生まれたんだ」
……思い込み?
「そうだ。お前らはそれを当たり前のように使っている。その意識を正せば」
その意識を正せば?
「お前らはもっと強くなれる」
強くなる意味は?
「死なないため、か?」
ＯＫ。俺は生きる。まだ俺は人生を楽しんでないんだ。死ぬのは人生をタンデムのようにゆっくり過ごした後だ。それにまだソウルブラザーのイリーと萌えを追求しなきゃいけないんだ。
「萌えってなに?」
…妄言だ。忘れてくれ。

「さて、説明が長くなったが、お前らは今ＳＮＮと十字架が使えなくなってるはずだ」
…マジだ。マジで使えなくなってる。
「これから俺がお前らを追う。要は鬼ごっこだ」
鬼…ごっこ?
「捕まえたら順次鬼隠しにしてやるから覚悟はしておけよ」
俺はその声が聞こえるよりも早く七恵を連れて森へと入った。
それからしばらく走って森の深くまで入った。
…捕まったら鬼隠しか…悟史と同じ目に…死にはしないんだが…
「睦月?これからどうするの?」
七恵の声で現実に引き戻される。
食糧は3日4日分はあるだろう。楓さんのメタルギア症候群には感謝だ。それに寝袋も…一つ?
「おい七恵。寝袋はどうした?お前持ってないのか?」
「睦月が持ってるなら別にいいでしょ?」
どうする?
危険を冒して寝袋を取りに行くか?
それとも毎夜毎夜危険を冒すか?
「七恵。寝袋奪取作戦の会議をするぞ」

それから話し合う事数分。作戦が決まった。
俺達は森の更に奥まで突き進む。そうしているうちに洞窟めいたものを見つける。無論、俺達はそこに入る。
作戦?
決まってる。
『命を大事に』だ。

七恵とこの洞窟に入って3時間が経とうとしていた。そのころにはもう周りがオレンジ色に照らされていて、歌舞伎役者ではないが『絶景かな、絶景かな』と言ってしまいそうだった。いや、俺が言うならこうだろうな。『Oh…It`s amazing spectacle…』
…嘘だ。
なぜ洞窟の中でそんなスペクタクルが拝めるのかと言うと、答えは簡単だった。
なぜなら
既に俺達は
鬼に見つかってしまったからだ!
そして俺は今!
七恵を連れて洞窟の外を走っている!
これが映画とかだったなら俺だって我慢する!
だが!
なんで鬼ごっこで必死にならなきゃならんのだ!
ちくしょう!
鬼隠しなんてなくなればいいんだ!
「前だけしか見てないと捕まるぜ?」
俺（未来）の声が聞こえる。木に反響している為、位置はわからないが前方にいるらしいということはわかった。
俺はすぐに左斜め後ろに進行方向を変える。右でもよかったんだが…勘だ。
皆さんは映画やアニメ、はたまたドラマでよくある光景を知っているだろうか?
こんな風に走っていると、突然開けた場所に出て、断崖絶壁と敵の挟み撃ちに遭う場面。
俺はそんな開けた場所に気づかないわけがない。
そんな風に思っていたが現実は甘くない。
出ちゃったよ。
開けた場所に。
「追い詰めたぞ?万策尽きたか?」
うるさい。お前だってこんな状況になっただろ?
「禁則事項だ」
俺は七恵を後ろに庇いながら距離をとる。
なぜそうするかって?
七恵が俺の背中を掴んで離さないからだ。
時々抓ってくる。痛い。
「俺はＳＮＮ使うからな?落ちないように気をつけろよ?」
そういうと俺（未来）は俺に手を翳す。恐らく、織口ビームだろう。
食らったら…死ぬよな。
「おい七恵!とりあえず離れろ!じゃなきゃお前も俺も助からん!」
そういうと七恵はすぐに離れる。そしてビームの矛先から俺と七恵は逃れる。
…こうなったら俺（未来）自身を行動不能にするしかないよな…。
俺は七恵にアイコンタクトをする。
七恵はすぐに頷いて了解の意を示してくれた。…わかったのか?
俺は俺（未来）に近づく。手の中には土を持っている。これで目晦ましにでもなればいいが…。
俺は射程範囲だと思った瞬間、手の土を俺（未来）に本気で投げる。
その土はちょうどいい軌跡を描いて俺（未来）の顔に向かう。なぜ見えるかって?
俺は今までレナパンの攻略をしてたんだぜ?これが見えないようならサンドバック決定だ。心配なら俺が保証書を書いてやる。
俺は完全に忘れていた。
俺が投げた相手もレナパンを攻略した経験があることを。
「止まって見えるぜ?」
そう言って俺の喉に十字架をつきたてる。俺をもうちょっといたわってくれてもいいんじゃないか?
「チェックメイトだぜ?」
俺の喉に十字架をつきたてたまま得意げに笑う。アホか。
「じゃあ次は七恵とい―ぐほっ!」
七恵渾身のレナフラッシュインパクト。それは見事に俺（未来）の右側頭部にヒットする。
…七恵は俺を殺す気か?
「早く逃げよっ!」
七恵は俺の手を取って走り出そうとする。俺はそれに合わせて立とうとする。
ぐらっ
俺がよろめく。それだけならよかったんだが…七恵同伴でよろめく。
このままだと後ろに倒れるので、俺は後ろに手を―
手を―?
つけない―?
Ｑ先ほど俺達がいた場所はどこだ?
Ａ断崖絶壁のある開けた土地だ

Ｑそんな場所で暴れたりしたらどうなる?
Ａ場合によっては落ちるかもしれない

Ｑ今の状況は最悪か?
Ａ最悪ならマシだ

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
断崖絶壁を越えた俺達は地球の重力法則に乗っ取って下へ下へと落ちていく。
夢…じゃないな…。
このまま落ちたら…
下を見てみる。その底は計り知れない。
仮に俺が七恵を庇って下敷きになっても助からないだろう。
…ＳＮＮ使えねえかな…守る為の力なんだろう…?
今使えなくていつ使うんだよ……
使えなくても使えばいいのか…

俺は羽をイメージする。冷たく、堅牢で、雄大な羽を。そして俺は羽ばたく。この絶壁の上に。

俺の意識はそこでブラックアウトした。


冷たい水が顔にかかる感触で俺は起きた。
「起きた?」
「寝覚めは最悪だがな」
「こんな美少女に起こしてもらっても?」
「その美少女は冷水をかけて人を起こすのか?」
「ここにいるよ?」
俺は不毛な会話を切り上げて辺りを見回す。七恵以外は誰もいない。どういうことだ?
俺は気絶する前の記憶を思い出そうとする。
…確か俺と七恵は崖から落ちたはずだ。
それで……氷の羽作って…崖の上まで行ったっけな…。
その後どうしたんだ?俺は地面に到着した覚えは無いぞ?
…七恵か?
「あの時大変だったんだよ?睦月が急に気絶しちゃって。それで私がＳＮＮ使って森まで行ったんだよ?」
お前…使えたのか?
「崖から落ちた時だけどね」
わるかった、謝るからそんな風に見ないでくれ。
「ホントにそう思ってる?私、死にかけたんだよ?」
思ってる。マジで悪かった。
「態度で示してもらいたいから…」
変な方向に行くなよ?
「命令を一個聞いてもらいます!」
ああ…寿命が早まったか…。
「いつにするかは私が決めるからね?」
もうどうにでもしてくれ…。

その後、俺（未来）がボロボロになって俺たちのところにきた。俺（未来）曰く『崖から落ちた』とのことだ。俺（未来）は

不死身か?
「お前ら…限度ってもんを知れ」
俺（未来）の修行期間中の最後の言葉だった。
それもそのはずあんな断崖絶壁から落ちて無事な奴はいないだろう。それに俺は元々がそこまで頑丈な体ではないはずだ。ソウルブラザーモードでもない人間が生き残れただけ奇跡だろう。因みに言おう。俺の知り合いの中に不死身人間は4人いる。その中でソウルブラザーであるやつは3人だ。萌えがどうとか言っていたが、その生命力だけは賞賛に値したので知り合いとなった。
補足が多いが、俺（未来）は最後の言葉を言った後、多分未来に帰った。生きてるかな?
…将来的には俺もああなるのか?
蛇足だが、タイムリミットまではあと6日だ。

あと5日
音咲による俺達のための音咲家の車が俺たちを迎えにきた。黒タクシーみたいな感じで、何故か防弾ガラスが素でついていた。用途不明の車だが、とりあえずは人間を運ぶ為にも作られているはずだ。
そのときの運転手はなぜだかしらないがメイドの服を着ていた。
これでどう思う?
肝心な所が抜けてるだろ?
そいつの性別はなんだ?
漢だった。
メイド服の隙間隙間からぴちぴちと筋肉がはみ出ている。程よく小麦色に焼けた肌はそのままボディビル大会にでも出れそうなハリと艶をしていた。
いや、本音を言おう。
マジで背筋がぞっとした。
メイド服はやめて欲しかった。せめてビキニなら我慢できるから。いや、運転手辞めろ。
七恵の反応が気になって七恵を見る。
「どうしたの?なんか変なものでもあるの?」
流石七恵。目の前の惨劇を感知しないとは。雛見沢にでも行って梨花ちゃまでも助けてきたらどうだ?ループを越えられるんじゃないのか?
俺は筋肉メイドを極力視界に入れないように努力しながら、七恵はぼんやりと努力をしている俺を不思議そうに眺
めながら、どことも知れない場所に向かった。行き先を知らない理由?筋肉メイドに話しかけろと?3時間ほどたっただろうか。最初に山を下り始めた頃は制限速度をすれすれで守って運転されていた車が、普通の一般道に出た瞬間ＴＡＸＩさながらのスタントでデッドオアアライブな形容しがたい走行になっている。無論先ほどから警官車両のサイレンがやたらと聞こえるのは気のせいではないだろう。…あまり考えたくないが、もしこの車が警官に捕まったりしたら俺と七恵は前科持ちか?筋肉メイドに全責任を押し付けるか?
「とばすぴょん☆」
……七恵だよな?
俺が一縷の希望を望んで七恵の顔を見る。いつもの顔。…心なしか赤いような気もするがそれでもいつもの顔だろう。
ＯＫ。七恵、その能力を今すぐ俺によこせ。そして俺の苦痛を少しは味わってみろ。
「前の座席に掴まってぴょん☆」
野太い声が響く。それを七恵は音声と感知していないのかどうかは知らないが、平然と座席に掴まっている。
もちろん俺はその声に戦々恐々してびくびくしながら掴まっている。音咲。今度最高レートの麻雀でカモってやる!

…はい。音咲マンションに着きました。あの後、俺が座席に掴まりながら窓を見たら、『横浜』とか見えて、このまま

では目的地にすらつけないと直感した俺は音咲に電話をした。結果、上のようになっているわけだ。
「修行はどうでしたか?」
内容知ってるだろ?
「知らないから聞いているのですよ。それとも、プライバシーの侵害となってもよいのなら―」
「わかった。言うから止めてくれ」
音咲の口の火を鎮火する。表現的には爆発も有り得そうだが、今のところ爆発したことはない。
「修行って言っても…なんかこう、『新しい力を手に入れた』とか『睦月はレベルアップした!』とか出ないから自覚できないんだよな」
俺が言い終えると音咲はまるで用意してあったかのように、
「あなたは、なぜ生きようとするのですか?今この世界は色々な問題に囲まれて四面楚歌です。常識的に見れば、いつ誰が自殺してもおかしくはないのです。さて、なぜ生きようとするのですか?」
これまた俺は、用意もしてないのに用意をしておいたかのように言う。
「そんな腐りかけな世界の中のこの環境が一番気に入ってるからだ。確かに、全体的に見れば腐ってるような世界だ。でもその世界のこの環境の中に居たいから生きようとするんだ。それにだ。この環境を維持するには誰一人欠けちゃいけないんだ。それが俺自身でも、いや、俺自身だからこそ生きたいんだ」
途中から意を成さないような事になったが、気持ちは伝わったはずだ。そうでなきゃ困る。もう一度こんな小恥ず
かしいクサイセリフをいうのかと思うと…顔からプロミネンスが出そうだ。
因みに、ここにいるのは俺と七恵と音咲と楓さんの4人だ。今ここにいるメンバーは増えこそすれ減りはしないはずだ。もし人為的な力でこの現状を悪化させようという不届き千万なやつらがいたなら俺はもちろん再起不能にするだろうな。例えて言うなら…合衆国を相手にしてもだな。
「合格。でいいですね?」
楓さんが音咲に聞く。なんだ?試験官と受験生か?
「もちろん合格ですね。この年で明確に生きようとする意志があるのは稀ですから」
音咲?なぜに評論家みたいな口ぶりになってるんだ?無駄に似合うから止めてくれ。
「で、胡散臭い試験みたいなのは何の意味があるんだ?」
これで無意味だと言ったら最高レートにさらに上乗せで闇超レートに変えてやる。（一敗ごとに万単位で動く）
「自称『未来の堀崎睦月』から預かった伝言では、『自分を確立する事で自分を高める事ができるのだ』と言ってました。あなたではない事は明白ですが、信じてもよさそうですよ?」
…俺は聖闘士じゃないからコスモを高める事はできないぞ?
「…僕達と戦ってみますか?多分それでわかると思いますが」
僕達?三対一か?それは無理だと思うぞ?
「二対一ですよ。僕と楓さんを同時に相手してもらいます。原案は自称『未来の堀崎睦月』さんですけどね」
…どこでだ。もう夜も深いしこんな時間にドンパチやるのは気が引けるぞ?
「僕の能力。なんでしたか?」
あ、その手があったか。


俺は音咲謹製の音咲フィールドにいる。目的は下手なあらすじで述べたとおりだ。
「勝利条件はなんだ?」
最終確認をする。ここまで来て負けなんてしてたらたまったものではない。
「勝利条件ですか?それ以前にあなたは勘違いをしています」
珍しく音咲がきつめの口調で言う。一番最近は…『睦月、今度ここ行かない?』『わかった。みんなで行こうか』見たいな会話の後怒られたね。楓さんと音咲に。何が悪かったかは俺にもわからない。
「あなたは数日後には殺し合いをするのですよ?殺し合いの勝利条件なんてありましたか?」
……相手を殺す事か?
「ご名答。そして今は殺し合いをするわけではありませんが、それだけの気構えがないとあなたは僕たちには絶対に勝てませんよ」
そんな馬鹿なことがあるわけないだろ。徒競走のタイムが気構えで変わるか?
「やってみますか?」
俺が『わかった』と言った瞬間、俺は血に伏していた。

「どうです?わかりましたか?」
音咲が俺の上で幾分か優しく言ってくる。
が、俺の体に乗っている為優しさが微塵も感じられない。優しくいってきたと感じられたのは奇跡だろう。
「不意打ちは卑怯だろ」
俺がそれを行った途端、音咲は俺の体を降りて言う。
「じゃあ正々堂々とかかってあげましょう。それで文句はないですね?」
俺は構えを取ってから頷く。別に構える必要はないのだが、なんとなくやってしまう。
そして傷が治ってることに気づく。恐らく七恵だろう。
開始と同時に背後からナイフが飛んでくる。もちろん音咲の能力だ。当たったら致命傷になりかねないところばかり飛んでくる。マジで死ぬぞ?
俺は音咲めがけて突進する。もちろん十字架を剣のような形に変えてだ。実世界の物体が触れたら粉砕するほど冷たい剣だ。まず間違いなく俺が勝つだろう。
俺は音咲に剣を振り下ろす。このまま行けば音咲は能力で移動するだろう。

…しない?
おい…待てよ…!
避けろよ!
なんで避けないんだよ!?

俺は振り下ろすのを躊躇い、振りのスピードが少し遅くなった。

グシャ

嫌な音が自分から聞こえる。同時に激痛が走る。
俺は衝撃の方向を向く。
そこには日本刀を構えた楓さんがいた。いつか教えてもらったオーラというものが、楓さんのものは今とても鋭く見えた。俺はようやく理解した。


―――殺気だ―――


二人に有って俺に無いもの。それは間違いなく殺気だ。俺も幾つか死線を乗り越えてきたが、そのときは運がよかったのだろう。今まで俺は、モンスターを『退治』すると考えていた。ちゃんと考えればわかることだ。こっちに来たモ
ンスターを無傷で帰す?無理に決まってる。大体こっちから向こうに行く事ができないのにどうやって送り返すんだ。相手から帰ってくれるならありがたいが、それをしない場合。やっぱり俺はモンスターを殺してたんだ。俺はどこと
無くそれを『ヒーロー』のようなものだと思ってた。実際は勘違いも甚だしかった。二人に有って俺に無いもの。二つ目は死への責任感だろう。『俺がお前を殺したから俺も殺されて当然だろう』これは詭弁だ。なにかを殺した奴は、殺した奴の分も生きなきゃいけないんだ。そして生きるために殺す。そいつの為に生きる。繰り返しだ。
多分二人はそれを理解しているのだろう。それを俺にわからせるためにこんな事をしているのだろう。
「すまん。音咲、楓さん」
まず謝る。理解させる為とはいえ悪いことをした。色々終わったら楓さん9割。音咲1割で奉仕してやろう。
「やっとわかってくれましたね。もしあのままだったら刃で切ってましたよ」
………真剣?
「名前は無いんですけど、かなりの名刀だといわれました」
名前が無いのに名刀?
「自作の剣ですよ」
…マジか音咲。
「大マジです。この前楓さんが麻灘さんに弟子入りしましてね。それからはもう、僕以上に強いと思いますよ」
それは無いだろ。お前だってちゃんとした訓練を受けてきたんだろ?
「ゲリラに一人で立ち向かえるくらいには強いつもりですが、麻灘さんは強いじゃなくて…なんといいましょうか」
桁が違う事はわかった。だが楓さんは常人だろう?
「いえ、才能というかなんというか。麻灘さん曰く、『楓は筋細胞、骨格、センスのどの点においても優秀』だそうです。あまり詳しく説明できなくてすいません」
音咲が申し訳なさそうに言う。今日は厄日だ。変態筋肉メイドと同じ車に乗って社会生命の危機に陥ったり殺されかけたり音咲の百面相を見てしまったり、近々死ぬんじゃないのか?
「本気で凹みますよ?」
凹んでろ。

音咲を軽くへこませた後、各自自由時間となった。時刻は既に明日となっており、この時点で明日俺は殺し合いをする事になる。なんだか複雑な気分だ。
気づいたら屋上にいた。なんてことは物語の主人公には決定事項のようなものであるのだが、作者は相当ひねているために気づいたら屋上付近の階段にいた。
「不安ですか?」
気づかないうちに楓さんが隣に座っていた。
「なんだか、明日殺し合いをするって実感が湧かなくって」
紛れもない本音を言う。そういえば、楓さんとこうして二人っきりで話すのは初めてかもしれない。
「はい。仲間としてあなたとこうして話すのは初めてですね」
いつものように心を読まれる。今の状況は俺が望んできた状況なのだが…テンションがあがらない。ああ、偽者よ。こんな時にでてこなくてもいいだろうに。お前のせいだ。
「あなたが死んでしまったら、七恵が悲しみますよ?」
……明るい話題にしません?それにあなたは悲しんでくれないんですか?
「明るい話題はまた今度。あなたが生きて帰ってきたらにしましょう?」
…死亡フラグですよ?
「フラグごときなんですか。フラグは予兆でしかありません。そんなフラグ、叩き折ってしまえばいいんです」
その後に小さく、『あなたはいつもフラグを折っているというのに…』と聞こえたのは空耳だろう。
戻り際に、
「またこうして話しましょう。今度は明るい話題をね」
そう言った楓さんの顔は、見たことも無いヴィーナスを髣髴とさせるような至高の、最高の、美と優しさを極めた。そんな微笑だった。

「何ボーっとしてるの睦月?」
七恵が後ろから俺の肩を叩く。一瞬誰かと思ったが、こんな事をするのはこいつだけだと確信した。
「日本経済の低迷と外国株価の上昇について考えていた所だ」
無論本当のことは言えない。楓さんのあのヴィーナススマイルを見て呆けていたなんて七恵には言えない。
「嘘だね。鼻の下伸びてたもん」
……言わないぞ?
「別にいいよ?拷問するだけだから」
といって後ろにいた七恵は俺に抱きついてくる。いや、抱きついてきたわけじゃない。ウエストロックだ。正直痛いが、いつもほどではない。恐らく傍目から見ればホントに抱きついているようにしか見えないだろう。
「これが拷問か?」
「そうだよ。立派な拷問。睦月に対してじゃないよ?私に対してだよ?」
は?拷問ってのは知りたい情報があるから痛めつけるんだろ?お前に関してそこまで知りたいことは無いぞ?
「別に睦月が拷問をしてるわけじゃないの。でも、なんで私達なのかな…って。そう思うの」
さて、どう答える?七恵は真剣だし、真剣に答えを返すべきか?そうだろうな。
「俺達でよかったんじゃないか?」
俺の言葉に七恵が俺の背中に埋めていた顔を上げる。
「なんで?睦月はこんな事嫌じゃないの?」
少し泣き声になりかけている。こんな七恵は初めて見る。いや、見てないが。それでも初めてだ。
「確かに嫌だぜ?でもな、俺達以外のやつがこんな事になったらどうする?」
意図の不鮮明な質問をする。俺にはわかるが、聞かれてるほうはわからないだろう。
「えっとね…。気づいたら助けてあげるかな?」
もちろんそう答えることは予想していた。
「じゃあ気づかなかったらどうする?そいつは死ぬしかないんだぜ?」
多分そうだろう。俺には時間遡航やＳＮＮができるが、仮にこの事件に巻き込まれるやつが能力者でも恐らく死ぬだろう。そんな反則級の能力を使える俺ですらわからないんだ。
「確かに睦月でよかったかもしれないけど!　でも……こんな事起きないほうが良いに決まってるよ!!!」
七恵の声はもう、泣いていた。
七恵のウエストロックなんかとっくに解除され、俺の背中には冷たい滴を感じる。今すぐ振り返って慰めてやりたい衝動に駆られるが、理性がそれを拒否する。
今このときほど理性が邪魔だと思った事はなかった。
「どうしたら…こんな疫病神な俺を許してくれる?」
七恵は少し間を開けて、
「来週全日程で私に奉仕しなさい!それで許してあげる!」
泣きながら、いつもの口調で言う七恵。



…なぜだろう?
























…なんで俺は


















七恵にキスなんかしてしまったんだろう?
















…七恵は呆然としている。そりゃ確かに突然だった。俺自身動機は不明だ。今だって、少し後悔している。なにを後悔しているのかはやはり不鮮明だ。
とりあえず、このままじゃ非常に気まずいので俺が話を切り出す。
「えーと…なんだ。とりあえず、ごめんな」
なんで謝ったか知らない。そうしなければいけなかったような気がしたんだ。
……無反応?
…気絶してやがる。

こんな夏場でもとりあえず夜は寒いので、俺は七恵を抱えて音咲の部屋に向かった。途中で音咲に遭ったが、口を開く前に凍らせた。音咲は問答無用で有罪だろう。絶対あいつ見てた。絶対だ。
一人部屋なのに4組ある布団の謎は魔人探偵にでも任せるとして、俺は七恵を寝かせる。
一仕事終えた俺はどこで寝ようかと考える。いくらこの年で体力があるといってもこんなハードな一日を過ごして無事な奴はいないだろう。俺もその例に含まれており、かなり眠い。
…自分の家に帰ろうかと思うんだが…面倒だ。
仕方ないので音咲を解凍して泊まる事を伝える。布団は足りるだろう。上のプロセスを完全にすっとばして俺は居間に布団をひく。寝室であろう部屋には七恵が寝ているからな。いつもは同じ部屋で寝ているが、それは部屋が一つだからだ。ここみたいに部屋が多ければ分かれて寝るさ。
















なかなか寝付けず10分後
「ここで寝るんですか?」
その声に俺は飛び起きる。眠たいが、楓さんが喋りかけてくるんだ。無視はしちゃだめだ。
「そうですよ?まさか寝室で寝ろってことは言いませんよね?」
楓さんはにんまり笑って、
「そのまさかですよ」
俺はすぐに布団にもぐりこもうとする。が、楓さんに引っ張り出され、あえなく捕獲される。
「さ、籤を引いてください」
俺は仕方なく籤を引く。
…―Ａ―
「私はＤでしたよ?あと秀はＣでした。わかりましたね?」



















ホントに疲れる一日だった。






Cheerfully performance. But the performance was saw into by his friends. 



…夢のような一夜なのか夢であって欲しい一夜なのか曖昧な一夜が過ぎて6時間後の今は08：30。大分遅くまで起きていたことが小学1年生にもわかる頃、俺はレム睡眠とかノンレム睡眠とか言われている状態から覚醒する。どういうわけか、頭が若干痛いのが気になるが眠たい体を起こす。
…明日、か。七恵と楓さんの約束を守る為に、音咲をカモる為に、頑張りますか!
…明日だが。


それで今日は何をするかというと………特に何も無い。音咲の家からはもう帰ってきて自宅にいるし、何故か七恵も俺といるし、楓さんは音咲と多分一緒にいるし。やることねえ…。
よって俺達は今、絶賛惰眠中だ。体があまり疲れていない所為か、家の中でボー…っとしているだけになっている。間違いなく最悪の過ごし方だろう。
「睦月～…」
「なんだ……?」
「どっかいかない……?」
「……いいぞ」
……これ、デートじゃないか?


用意もすこぶる怠惰に時間をかけて行い、家を出る頃には1時になっていた。
「ちょっとあのお店よっていい?」
俺は言い切る前にＯＫをだし、七恵についていった。入った店はＰＯＲＴＥＲという店で、男物の洋服やら財布やらを売っている所だ。
「ここって…ここでいいのか?」
「睦月のものを買いに来たんだよ?」
「おいおい、俺は明日―…いや、選んでくれ」
七恵の言わんとすることがわかった俺は言葉を噤む。どうやら俺は鈍感ではないらしい。
七恵は俺より少し先に進むと、
「睦月もついてこなきゃ選べないよ?」
といって俺の手を引っ張ろうとする。俺はそれをかわし、手を広げ、
「繋ぐか?」
と聞いてみる。いや、普通は『冗談でしょ?』とか言ってくるだろうな。
「そうだね」
といって七恵は微笑みながら手を繋いだ。俺は忘れていたようだ。七恵が普通ではない事を。俺も普通じゃない事を。そしてここが衆人観衆の真っ只中である事を。そこで買ったものは財布だった。珍しくも七恵が自腹で買ってくれた財布は、綺麗な薄緑をしていた。これを選んだ理由は、
「ＰＯＲＴＥＲの物って丈夫なんだよ?それに似合ってるよ?」
生まれてこの方同年代の女子にこんな事を言われた覚えのない俺は、
「そうか。ありがとよ。大事にするさ」
とありきたりな言葉しか吐けなかった。相手が七恵でも嬉しくなるんだな。
俺がリスク無しに喜べたのはそこまでだった。
そこからは俺も七恵もじゃんじゃん買い物をしてしまい、俺のほうは明日死ぬかもしれないという潜在意識からきたのか、いつものリミッターをハードルの如く飛び越えて貯金を使ってしまった。
……7月末には家賃を払わなきゃいけないんだがな。残金は2千8百円。生きることすら難しいな。


「今日は私がご飯作ってあげよっか?」
……正気…だよな。
「じゃあ頼む。また食べたくなるようなやつを頼む」
この日の俺は蝶・素直だったと思う。じゃなきゃこんなこといわないからな。
キッチンから香ばしい匂いが漂ってきた…。中華系か?だとしたら火力が足りないんじゃ…。
「あちっ。あちっ」
声だけ聞いたら可愛いと思えてしまう声が響く。ちょっと文がおかしいと感じたならそれは力量不足だろう。
それから20分位したところで七恵の『できたよ～』コールがし、七恵が料理を運んできたのだが、持ち前の属性によってなのかぶちまけそうになった。いや、危なかった。
料理は牛肉と豚肉の創作料理（七恵も俺も名前を知らない）をメインとした数々だった。見た目だけなら俺の料理を軽く凌駕しているだろう。これだけ上手いなら俺とローテーションしてくれ。
やはり見た目どおり料理は美味かった。ランクで言えば…Mymother並だ。なかなか高いレベルだ。俺より下だが。
「おいしかった?」
「美味かったぞ。なあ、飯当番を作らないか?」
「考えとくね」
俺の魂胆は一瞬で一蹴され、七恵は食器をキッチンに持っていった。ここで最後のチェックだ。
「洗うの手伝ってやろうか?」
「いいよ。料理は洗うまでが料理だからね。拭くのはやってもらうけどね」
……チェックしなきゃよかった。

その後、食器洗いを終えた俺達は朝の如くボー…っとしていた。
「明日帰ってきてね……」
「心くらい込めていってくれよ……」
冗談のつもりだったんだが…
「じゃあ…これでどう?」
うつぶせ状態の俺の背中に乗ってくる七恵。正直重い。そしてそのまま―
「痛い痛い痛い痛い!!」
海老反り。マジで効くってこれ。

ピピルピルピルピピルピ～

12時を告げる時計の電子音が室内に響く。刹那、体が宙に浮くような衝撃と無重力下に放り出されるような違和感が体を襲う。うん。これは吐けるな。
あまりの不快感に目を瞑っていたが、やがて不快感は消え去って目を開ける。
……どこだここ。
隣には七恵がいた。のはまあ普通の事だ。さっきも一緒にいたからな。
そしてまあ、どういうわけか楓さんと音咲がやっぱりすぐ近くにいたんだよな。予想できたがな。
それにしても偽者は非常識なやつだな。12時になった直後に殺し合いかよ。もしかしたら音咲の性質の悪い冗談かもしれないがな。
「さ、時間になった事だし…始めるぜ?」


ＤＥＡＴＨ　ＭＥＡＮ



「ちょっとお前は止まっててくれ」
そう偽者が言った瞬間、俺の体は『ザ・ワールド』が発動したように硬直した。ただ違うのは、それが俺だけに影響している事だ。
「大丈夫ですか!?」
「睦月!?すごく硬くなってるよ!?」
「いったい…何をしましたか?」
3者3様の対応。視覚と聴覚しか感じ取れないので自身についてはよくわからないが、大変な事になっているらしい。因みに、楓さんが最後を言ったんだ。
「俺が……時を止めた…とでも言うべきかな?」
あくまでも馬鹿にした態度を崩さない偽者。ホントに嫌なやつだな。
「とりあえず…どうするつもりですか?」
一段と険しい顔で偽者に聞く楓さん。その体からは殺気が全開で放出されている。もしこれで俺の体が動かせていたならとっくのとうに逃げ出していただろう。
「とりあえず堀崎睦月には何もしない。まずお前らから殺させてもらう」
その言葉を言い終えるや否や、楓さんの姿が消えて偽者の背後に現れる。…楓さん?能力は火でしたよね?速過ぎやしませんか?
「楓さん。あなたじゃ俺には絶対勝てない。さっさと死んでくれ」
「それはこっちのセリフです。私があなたに負けることなどありえません」
そんな会話の中でも剣戟は続く。偽者の方はいつの間にか十字架を剣に変えていた。動きがまったく目に終えないし、俺自身そんな動きができるかも怪しい。
「ほら、チェックメイト。さようなら」
偽者が剣を振り下ろし、楓さんはそれを刀で受け止める。偽者の攻撃はそこでは終わらず、鬩ぎ合う自身の剣から閃光を発させた。この予想外の攻撃に対応できなかった楓さんは閃光に直撃。そして間髪いれずに楓さんに
剣が突き刺さ―
















らなかった。
「偽者って言うのは、本人とは大きく違うものですね。これで僕にも心置きなく戦える理由ができました」
音咲が珍しくも真剣に言う。その言葉は紛れもなく偽者に向けられており、その言葉には殺気がこもっていた。
「織口さん。彼を守ってあげてください。偽者は僕と楓さんで処分しますので」
そう言って音咲は楓さんの隣に空間移動する。今、両者と偽者の距離は約一間。楓さんの居合いの射程範囲だ。
「やってこいよ?居合い、当たるんだろ?」
偽者は挑発をする。そんな挑発には、この二人は絶対に引っかからないだろう。もし乗っても策の上でだろう。
「飛天御剣流―飛龍閃!」
楓さんの…飛龍閃が偽者に撃たれる。飛天御剣流が使える事に驚いたが、今はそれどころではないだろう。
「当たらなかったらお前が軌道修正ってか?つまらねえ策だな」
腐っても偽者。頭の回転も俺レベルのようだ。という事は二人の能力も熟知しているし、その弱点も把握できているという事だ。これは…かなりまずい。今すぐにでも俺が加勢しなければやばい。でもＳＮＮはおろか十字架すら使えない。先ほどから七恵が十字架に念じたりとか色々やっているが効果は出ず、今は法華経題目を唱えている。
「それがどうしたというのですか?手は読めても方向は読めませんよ?」
といって偽者の後ろ斜め上から刀を繰り出す音咲。これは絶対致命傷になるだろう。
「それが読めるからつまんねえんだよ。とりあえず、死んでくれ」
偽者は刀を凍らせて弾き飛ばし、音咲を凍らせ、楓さんを背後から氷槍で突き刺した。それと同時に俺の制限が解ける。
今だと言わんばかりの速さで音咲に熱湯をぶち撒け、楓さんの傷を自身に移し変えた。かなり痛いが…二人が死ぬよりは全然マシだ。俺の傷なら水分調節でどうにか治せるからな。
「計画通り。こういうのか?」
仰向けに倒れている俺の遥か上空から剣を突き立てて落ちてくる偽者。ヤバイ。速すぎる。
マジでくたばる１秒前…１秒あるのか!?
「うおっ!」
マジで死を覚悟した俺の目にした光景は…偽者が何もない地面を突き刺している所だった。
「危なかったね…。しっかりしてよ?」
…七恵。助けるならもうちょっと早くしてくれよな?
って…あれ?
七恵がモノクロに…全部モノクロに見えるぞ?
とりあえず…偽者だ。
「お前ら…ホントに邪魔だな。いい加減邪魔すんのは止めてくれないかな?」
偽者が殺気を込めて言う。
でも誰も動じない。
今更こいつ一人の殺気に怯えちまうような臆病者は俺の仲間にはいないんだよ。
「あなたこそ止めてもらえませんか?僕達の仲間を傷つけると洒落では済ませませんよ?」
「そうです。私の有意義な生活を壊そうというのなら、全力で粛清させて頂きます。因みに言っておくと、あなたのような劣化品には私の有意義lifeに入る資格はありません」
「そうだよ!私の睦ｋッ…舌噛んだ…」
おい。七恵は今とてもやばい事を言おうとしてなかったか?
「さあ、かかってきたらどうです?」
楓さんが見たものを即死させそうな笑みで偽者に詰め寄る。俺だったら失禁してるかもしれないな。
「逃げるのはマナー違反ですよ?紳士らしく立ち向かいましょう」
音咲が後ろから偽者を取り押さえる。因みに、腕だけを偽者の近くに出している。
そして七恵が―
「七恵ビームッ!!!」
名前、変わったのな。
七恵ビームが偽者に直撃―
「調子に乗ってんじゃねえよカス共が!!!!!」

世界が変わった。
以前に俺がＳＮＮバトルをやっていたときに使っていた、周囲を一気に凍らせるアレだ。そのアレを偽者が―
「威力は４倍増しくらいか?もし生きててもカップヌードルが出来上がる頃には死ぬだろうな」
音咲の手は空中に浮いたまま。楓さんは刀を振る動作のまま。七恵は七恵ビームを撃ったまま。みんな時が止まったように動かなくなった。俺が無事な理由は俺のＳＮＮによるものだろう。
「さて、殺し合いだ。どこからでもこいよ」
俺は十字架をナイフに変える。ナイフくらいなら音咲に扱い方のイロハを教えてもらった事があるからな。
俺は合図無しで偽者に突進する。殺す覚悟なんてとっくにできてるからな。
「いきなりかよ。それはないんじゃないのか?」
数日前の俺と同じこと言ってるよ。まあ、こいつに教えることは何一つないけどな。
俺は無言のままナイフで襲い掛かる。襲い掛かりながらこいつをチェックメイトに嵌める手段を考える。俺のコピーなんだから身体能力は同じなんだろう。いくら山で鍛えられたからといっても、３分間逃げ切れるだけの体力は俺にもあった。体力切れは望めない。
じゃあＳＮＮで手っ取り早くやっちまうか?それもダメだな。そんなことしたら、もし殺せてもあいつらを助ける事が出来なくなっちまう。
じゃあどうするんだ?
…同士討ち?
却下だな。
「お前、どうしたらみんなを助けられるか考えてるだろ?」 
それを考えない堀崎睦月はありえないね。
「一つゲームをしないか?」
ゲームじゃないんだよ。遊びならさっさと尻尾巻いて帰ってくれ。
「お前には有利な提案だと思うぜ?今のままじゃお前しか助からないからな」
…言ってみろよ。
「今からコイントスをする。表が出たらお前の勝ち。何でも好きにするがいいさ」
「わかった。やってやる」
「いい心がけだ。俺だって仲間が死ぬ所は見たくないからな」
言いようのない怒りが込み上げてくるが、今は我慢だ。
「本当に…表が出たらやめてくれるんだな?」 
緊迫した空気。今までにない緊張が俺を締め付ける。 
「本当だ。裏が出たら…わかってるな?」 
裏が出たら。それは事実上の敗北を意味する。だが、事はそれ以上に重要だ。 
「ルールはあるのか?」 
全ての状況を予測して言う。 
「あるさ。勝負に勝つ為なら何でも有りだ」 
要はコインを奪い取って自分の決めたいようにすればいいんだろ? 
「そうだ。ここにいる俺とお前だけで決められるんだ。そこには誰の意思も介在しない」 

そうして、クォーターは宙を舞う。 

俺はすぐに硬貨に走り出す。自分の手に収めれば勝ったも同然だろう。だがそう考えるのは偽者も同じであり、同じ

ように硬貨に走り出す。
速度は同じ。力も同じ。
ならどっちが勝つ?
覚悟の大きい方に決まってる。
偽者は剣で突きを繰り出してくる。レナパンを見切れるようになった俺には軌道が丸わかりだ。それは相手も同じだ―?
剣の切っ先に黒い点がある。いったいなんだ?
『突け!』
…紛れもなく俺の声だ。
俺はナイフで切っ先を突こうとする。外したら…間違いなく俺が死ぬだろうな。リーチの差ってやつだ。
ガシャン
ガラスが割れるような音がしたと同時に、
「いったいどうなってんだ!?十字架がぶっ壊れるなんてことが!?」
偽者の剣もろとも十字架が、
「いったい何をしやがった!?俺にはこんな事できねえぞ!?」
粉々に砕け散った。
よく見ると偽者にも点がいくつかある。どれもガラス球くらいの黒い点だ。
『突け!突くんだ!』
やはり俺の声が聞こえる。ここは突くべきなのか?
まず足の点を突く。突くといっても、流石にナイフでやるのは無理だったので地面から氷槍を出してやった。
点を貫くと同時に足が粉々に崩れ落ちる偽者。
どういう原理かはまったくわからないが、とりあえずは点をどうにかすればいいのだろう。
「お前…ホントにオリジナルなのか!?」
偽者もご乱心の様子。俺も狂っちまいたいが、それをしたら本気で狂いたくなるようなことになるからな。今は狂えないさ。
「俺は堀崎睦月だぜ?それ以上でも以下でもない、今俺がやったことだって理解できてない」
「じゃあなんで―」
「とりあえず言えるのは、仲間を助けようとする俺に奇跡が起こったってことだ」
相当クサイ事を言ったが、別にいいだろう。奇跡ってのも本当だし、仲間を助けようとしているのも本当。でまかせじゃなきゃいいだろう。
「煩いッ!!俺はお前を殺して乗っ取るんだよッ!!!!」
そう言って偽者は俺に突進してくる。その速度は俺より速いんじゃないかと思わせるほどだ。
俺は点を探す。あった。地面に点が一つ。
俺は十字架を銃に変える。念じる事はもちろん忘れない。
「死ねッ!!!」
俺は声と同時に地面の点めがけて弾を撃つ。点を貫いた直後、偽者の周囲の地面が粉々に砕け散る。
「チクショウッ!!!!なにが起こったらこんな事になるんだよッ!!!!」
俺は間髪いれずに偽者の点を貫いていく。
腕
足
「さよならだ」
最後に頭を貫く。
その時の偽者の表情は忘れられないだろう。
生きようとする貪欲な意志。俺を憎む邪悪な意思。その二つの欲求を完全に露にしたその顔は壮絶なものだった。
俺はふと辺りを見回す。
チャリン
足元で金属音がする。あの、落とした時にほぼ万人が音の方向を見る音だ。
「…表だったから奇跡が起きたのかね。もしそうなら感謝するよりないね」
誰も返答をしてくれる奴がいないことに気づく。
…まだ生きてるよな?
未だにモノクロビジョンのせいか、みんながいっこうに見つからない。このままだと本格的にヤバイ。
自分の影が気になって地面を見る。
……こりゃ驚いた。
まさか地面に巨大な点があるとは思わなかったよ。
これだけの巨大な点をどうやって貫く?
感嘆するくらい簡単だなだな。

俺は十字架で上空30mほどまで飛び上がり、地面に照準を着ける。
そして叫ぶは―
















「七恵ビームッ!!!」







…えーとだ。とりあえず言うなら…後日談だ。



あの後、大きな点を貫いたら氷が全部砕け散ってみんなが出てきた。それと同時にみんな俺の部屋に移動してきて、非常に大変だったという事だけ伝えておこう。
結局、偽者のやろうとしたことは未だに乗っ取りしか明確にはわかっていない。動機も不明だ。あいつがコピーだというならそれを作った創造主の存在が不可欠なのだが、創造主は今回はまったく接触してこなかっただろう。コピーとして作ったが、運悪く逃げられてしまった。そんなところだと思う。
動機の方は、俺の私論だが一応は考えた。多分そいつは俺の記憶を反芻して、うらやましくなったんだと思う。自分はいつも試験管やらの中で変わらない景色を見ているのに、自分の記憶の中にまったく知らないなにかが流れ込んできて、それが魅力的だったら?言うまでもなくそこに行きたくなるだろう。状況は違うかもしれないが、大まかな動機はそこだったんだと思う。でも手段が悪すぎた。もし確実に世間に出たいなら、音咲にでも頼めばよかったんだ。多分、どうにかしてくれたはずだ。今はもう遅いが。
あの時発現したモノクロビジョン。今は至って普通の健全な高校生の目になっている。いったいアレがなんだったのかは前述どおり、もう遅い。
「おら休憩時間終わりだ!さっさと持ち場付け!」
これ以上モノローグに力を入れると減給だな…。
何をしてるかって?
バイトだよ。バイト。
俺、一日前になにしたっけ?
買い物天国だったよな。
残金2000円台。
家賃払えないよな?
よってバイトだ。
「睦月、怒られちゃうから早く行こう?」
無論七恵も一緒だ。ノストラダムスを信じて財産を全額使った哀れな馬鹿を哀れむが如く運命を共にしてくれたよ。俺としては稼ぐ金額が減って嬉しい限りだが。
それでも一週間で5万か…。

死ねるぜ。






因みに、家賃を払えたら音咲家で大分遅れた誕生日会を行う予定だ。
もちろん七恵のだ。
あいつの名前はさっき教えてもらったが、7月7日に生まれたからつけられたらしい。いや、それ以外だったらどうなるんだって質問はよしてくれ。
無論俺はその会の料理準備係さ。音咲から前払いのギャラが出るしな。前払いの意味は…わかるな?    </description>
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