「619むつき・萩野・ドラケンSS」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「619むつき・萩野・ドラケンSS」(2009/03/18 (水) 20:42:10) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様からのご依頼品
/*見上げる先*/
見えるところは真っ暗だ。おまけに狭くて、背中もおしりも足もぺったりと、しっかりした何かにくっついている。その中でわかる事なんてたくさんはない。ただ一つわかるのは、この足のさきにいる柔らかい感触の持ち主は、自分の相方であると言う事だけ。
ちょっと息苦しいくらい狭いけど、でもだから、安心もできた。
むにゅ。
おなかを押される。お返しに前足を伸ばした。むにゅ。
にゃー。
「そうだ、カール、子猫達に会っていい?」
その声が聞こえて少しすると、暗がりを裂くように明かりが見えた。久しぶりの明かりはまぶしすぎて、くりくりした両目は思わず細めた。けれどやっと狭いところから出られたのだ。そのまま歩いて行きたくなったので、目も瞑っていたのに足を出した。
すかん。
ころん。
ぽてん。
「にゃ」
そして上に落ちてくる何か。
押しのけて立ち上がる。目を開けた。
―――――見えるのは、広い広い青い空。まるで綿菓子をちぎって投げたような白い雲。まぶしいほどの日差しに、空も雲も燦然と輝いている用に見えた。
手を伸ばせばそれに触れることができるだろうか。
なんて思って、上を向いて歩き出す。
けれどその足はまだ弱くて、数歩歩いたらよろけて倒れた。隣で同じ事をしていた相方も、同じように倒れてくる。二匹はもつれ合った。
「オズ、シュパイツー」
見上げてみる。そこには笑顔の女性が一人。
大きな腕が伸びてくる。と、ふいに体を抱え上げられた。いつもより柔らかい腕の感触に不思議に思う。相方もそう思ったのか、前足でぺしぺし腕を押していた。
「カールー、ビックリしたわよー」どこか楽しそうな声。「オズ、シュパイツ、大丈夫ー?」
片腕で抱えられて、もう片方の手で耳の後ろを掻かれる。
くすぐったい。
相方はのどをくずられていた。
気持ちよくて、目を細めてしまう。
「いいこねー、元気そうでよかった!」
「あずけるのもかわいそうだったので、もってきた」
「無事でよかったわよう! もー」
どさり。体が揺れる。
どうやら、自分たちを抱えている人が誰かに寄りかかったらしい。
「空飛んでる間、怖がらなかった、この子たち?」
「さすがに飛べないから、空母であずけた。」
「そうか、本当にびっくりしたけど、ありがとう、私会いたかったから…」
暖かなものが背中に触れた。背中をなでていく。掌だ。
どっちもころころと声を上げた。
「かわいいかわいい」楽しそうな声。「あ、カール、ちょっとかがんでくれる?」
長い時間、沈黙。
「愛している」
「愛してます」
「この子達と、あなたと、いい家庭を作ろうね」
「ああ」
――勿論。
見上げた猫たちは、全部見ていた。
----
**作品への一言コメント
感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)
#comment(,disableurl)
----
ご発注元:むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様
http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1691&type=1623&space=15&no=
製作:黒霧@涼州藩国
http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1846;id=UP_ita
引渡し日:
----
|counter:|&counter()|
|yesterday:|&counter(yesterday)|
**むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様からのご依頼品
/*見上げる先*/
見えるところは真っ暗だ。おまけに狭くて、背中もおしりも足もぺったりと、しっかりした何かにくっついている。その中でわかる事なんてたくさんはない。ただ一つわかるのは、この足のさきにいる柔らかい感触の持ち主は、自分の相方であると言う事だけ。
ちょっと息苦しいくらい狭いけど、でもだから、安心もできた。
むにゅ。
おなかを押される。お返しに前足を伸ばした。むにゅ。
にゃー。
「そうだ、カール、子猫達に会っていい?」
その声が聞こえて少しすると、暗がりを裂くように明かりが見えた。久しぶりの明かりはまぶしすぎて、くりくりした両目は思わず細めた。けれどやっと狭いところから出られたのだ。そのまま歩いて行きたくなったので、目も瞑っていたのに足を出した。
すかん。
ころん。
ぽてん。
「にゃ」
そして上に落ちてくる何か。
押しのけて立ち上がる。目を開けた。
―――――見えるのは、広い広い青い空。まるで綿菓子をちぎって投げたような白い雲。まぶしいほどの日差しに、空も雲も燦然と輝いている用に見えた。
手を伸ばせばそれに触れることができるだろうか。
なんて思って、上を向いて歩き出す。
けれどその足はまだ弱くて、数歩歩いたらよろけて倒れた。隣で同じ事をしていた相方も、同じように倒れてくる。二匹はもつれ合った。
「オズ、シュパイツー」
見上げてみる。そこには笑顔の女性が一人。
大きな腕が伸びてくる。と、ふいに体を抱え上げられた。いつもより柔らかい腕の感触に不思議に思う。相方もそう思ったのか、前足でぺしぺし腕を押していた。
「カールー、ビックリしたわよー」どこか楽しそうな声。「オズ、シュパイツ、大丈夫ー?」
片腕で抱えられて、もう片方の手で耳の後ろを掻かれる。
くすぐったい。
相方はのどをくずられていた。
気持ちよくて、目を細めてしまう。
「いいこねー、元気そうでよかった!」
「あずけるのもかわいそうだったので、もってきた」
「無事でよかったわよう! もー」
どさり。体が揺れる。
どうやら、自分たちを抱えている人が誰かに寄りかかったらしい。
「空飛んでる間、怖がらなかった、この子たち?」
「さすがに飛べないから、空母であずけた。」
「そうか、本当にびっくりしたけど、ありがとう、私会いたかったから…」
暖かなものが背中に触れた。背中をなでていく。掌だ。
どっちもころころと声を上げた。
「かわいいかわいい」楽しそうな声。「あ、カール、ちょっとかがんでくれる?」
長い時間、沈黙。
「愛している」
「愛してます」
「この子達と、あなたと、いい家庭を作ろうね」
「ああ」
――勿論。
見上げた猫たちは、全部見ていた。
----
**作品への一言コメント
感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)
- 感想が遅れてしまいすみません。 柔らかさが伝わる感じにがして嬉しいです。子猫達との思い出をありがとうございました>< -- むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦 (2009-03-18 20:42:10)
#comment(,disableurl)
----
ご発注元:むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦様
http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1691&type=1623&space=15&no=
製作:黒霧@涼州藩国
http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1846;id=UP_ita
引渡し日:
----
|counter:|&counter()|
|yesterday:|&counter(yesterday)|