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*きみこ@FVB様からの依頼より 説得~ファウ(黒)・オーマの場合~ /*/ 草原の中に二人の男が立っている。 お互い背が高くがっしりとした体躯で、同じような黒い鎧・黒いローブを身に付けている。 それでも、違うのは片方は剣、もう片方は杖を持ってる所である。 一陣の風が吹き、刹那とも永遠とも分からない時間が流れ、そしてその時は来た。 杖を持つ男の右手が恭しく上げられ、わずかな息が漏れた。 その瞬間に剣の男は一瞬のうちに互いの間合いを詰め、手にしている剣を真一文字になぎ払った。 瞬間、走る閃光。 そこに観客がいれば、その閃光が止むまで何も見えなかっただろう。 真一文字に薙いだ剣は杖の男を引き裂くことなく宙で止まっていた。 その切っ先は男ではなく杖のみを捉えていた。 肝心の杖の男の姿が見えない。 剣の男はそのままの体勢で重心だけを整え、精神を集中させた。 そして、そのまま踊るように回転し、剣を何も無い空へと一閃させた。 その間、刹那。 /*/ 剣の男が振り向くその一瞬前。 杖の男は魔力を行使し、杖から眩いばかりの閃光を放った。 そして、それと同じくして魔力により自らの姿を宙へと投げ出し、その場には杖だけを残した。 魔術の二段行使+空中からの奇襲をかけていたのである。 空へと飛ぶために使う魔力の残滓は、閃光の魔術により消化され、魔術の軌跡を追うことは不可能だった。 剣の男の斜め後ろに出現した杖の男は、懐からダガーを取り出し、腕力に落下速度を追加させ、一撃を放った。 刹那、走る斬撃。 普通ならば、その奇襲は完璧だった。 だが、相手が悪かった。 常人には到底追いつかない戦闘感覚と長年の勘、加えて相手の手の内をよく知る男にとって、集中すれば造作も無い事であった。 剣が鈴のように凛とした音を放つ。 それは、ただの楽器であり、三国の一つを統べる剣鈴であった。 水のように透き通った音が響き渡り、ダガーと水の国の宝剣は一瞬の膠着を持ったが、それ以上は続かずダガーが崩壊した。 だが、杖の男にとって、その瞬間さえあれば全てが事足りた。 ふっと息を吐き、傍観者がいたならば聞きなれない異国の言葉を紡ぎ、その体をもう一度宙へと舞わせる。 翻ったローブに宝剣の切っ先が当たり、縦にすっと亀裂が走りローブが破れる。 それを気にせず、元居た場所にそのままとんぼ返りを打つと杖を回収し、ありえないスピードで剣の男と間合いを取る。 肉体強化の魔術を使用して、そこまで数秒の動きであったが、そのまま追撃を行う事は出来なかった。 鎧がむき出しになった杖の男の息が少し切れる。 /*/ だが、剣の男は不敵に笑った。 それこそが黒、それこそが漢の姿と言わんばかりに。 回転の勢いをそのまま推進力にして、飛んだ男を追う。 普通の跳躍ではありえない距離を男はひとっ飛びで詰める。 最小限の動きと人は呼ぶだろうが、それは違う。 最大限の動きであるからこそ、使った力を無駄にせず、そこまでの能力を行使する事が出来る。 そのままの勢いで体当たりを仕掛ける。 魔術の行使の時間も許さない、純粋な力だけの勝負である。 既にその地点で、広大な草原であったはずのその土地は、半分荒野と化していた。 /*/ 一呼吸ついた後、杖の男は体中の筋肉に目覚めを呼びかけた。 人は筋肉の全てを使う事は出来ない。 だがオーマは、とりわけ黒(ファウ)と呼ばれるオーマは、それを可能にした。 戦う事に全てをかけるその種は、自らの力の全てを引き出す事を当たり前の条件としていた。 呼びかけられた筋肉は、一斉に脈動を始める。 緊張し、弛緩し、停止する。 全ての戦いに於いて、考えうる限りのベストな状態で相手を待ち構える。 杖の男も分かっていた。 奴が、剣の男が力で挑んでくる事を。 ならば、自らも力で返すほか無い。 それが黒(ファウ)、それが漢である。 既にかかっていた肉体強化の魔術は切れている。 そんなものに頼っていては、黒(ファウ)が廃る。 己のみの力こそ、黒(ファウ)の真髄。 二人の男が既に荒野と化した草原で咆え猛る。 肉体と肉体がぶつかり、お互いの身に纏うものがその力に耐え切れず、崩壊していく。 その場に残ったのは、一糸纏わぬ美しい筋肉を持つ男が二人だけだった。 /*/ 物語はそれでは終われない。 真実の中身とは、かくもあっさりとしている。 「ところで、だ。」 「なんだ?」 「それはどういう事なのだ?」 「そのままの意味だ。仕方ないからお前、黒(ファウ)やめてエノーテラと結婚しろ。」 「いや、それに繋がる意味が分からない。」 「お前がいつまでもそのような事だから、あの娘もあぁなのだ。」 「それはどういう。」 「もう知らん。俺は言ったからな。バルク。」 「おい。まて、バロ。」 戦いの中でこの言葉を交わすためだけに、一つの草原が荒野と化した。 黒(ファウ)の説得には、みなさん、ご用心。 ---- 発注者:きみこ@FVB http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=212;id=gaibu_ita 受注者:伯牙@伏見藩国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=491;id=UP_ita ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|
*きみこ@FVB様からの依頼より 説得~ファウ(黒)・オーマの場合~ /*/ 草原の中に二人の男が立っている。 お互い背が高くがっしりとした体躯で、同じような黒い鎧・黒いローブを身に付けている。 それでも、違うのは片方は剣、もう片方は杖を持ってる所である。 一陣の風が吹き、刹那とも永遠とも分からない時間が流れ、そしてその時は来た。 杖を持つ男の右手が恭しく上げられ、わずかな息が漏れた。 その瞬間に剣の男は一瞬のうちに互いの間合いを詰め、手にしている剣を真一文字になぎ払った。 瞬間、走る閃光。 そこに観客がいれば、その閃光が止むまで何も見えなかっただろう。 真一文字に薙いだ剣は杖の男を引き裂くことなく宙で止まっていた。 その切っ先は男ではなく杖のみを捉えていた。 肝心の杖の男の姿が見えない。 剣の男はそのままの体勢で重心だけを整え、精神を集中させた。 そして、そのまま踊るように回転し、剣を何も無い空へと一閃させた。 その間、刹那。 /*/ 剣の男が振り向くその一瞬前。 杖の男は魔力を行使し、杖から眩いばかりの閃光を放った。 そして、それと同じくして魔力により自らの姿を宙へと投げ出し、その場には杖だけを残した。 魔術の二段行使+空中からの奇襲をかけていたのである。 空へと飛ぶために使う魔力の残滓は、閃光の魔術により消化され、魔術の軌跡を追うことは不可能だった。 剣の男の斜め後ろに出現した杖の男は、懐からダガーを取り出し、腕力に落下速度を追加させ、一撃を放った。 刹那、走る斬撃。 普通ならば、その奇襲は完璧だった。 だが、相手が悪かった。 常人には到底追いつかない戦闘感覚と長年の勘、加えて相手の手の内をよく知る男にとって、集中すれば造作も無い事であった。 剣が鈴のように凛とした音を放つ。 それは、ただの楽器であり、三国の一つを統べる剣鈴であった。 水のように透き通った音が響き渡り、ダガーと水の国の宝剣は一瞬の膠着を持ったが、それ以上は続かずダガーが崩壊した。 だが、杖の男にとって、その瞬間さえあれば全てが事足りた。 ふっと息を吐き、傍観者がいたならば聞きなれない異国の言葉を紡ぎ、その体をもう一度宙へと舞わせる。 翻ったローブに宝剣の切っ先が当たり、縦にすっと亀裂が走りローブが破れる。 それを気にせず、元居た場所にそのままとんぼ返りを打つと杖を回収し、ありえないスピードで剣の男と間合いを取る。 肉体強化の魔術を使用して、そこまで数秒の動きであったが、そのまま追撃を行う事は出来なかった。 鎧がむき出しになった杖の男の息が少し切れる。 /*/ だが、剣の男は不敵に笑った。 それこそが黒、それこそが漢の姿と言わんばかりに。 回転の勢いをそのまま推進力にして、飛んだ男を追う。 普通の跳躍ではありえない距離を男はひとっ飛びで詰める。 最小限の動きと人は呼ぶだろうが、それは違う。 最大限の動きであるからこそ、使った力を無駄にせず、そこまでの能力を行使する事が出来る。 そのままの勢いで体当たりを仕掛ける。 魔術の行使の時間も許さない、純粋な力だけの勝負である。 既にその地点で、広大な草原であったはずのその土地は、半分荒野と化していた。 /*/ 一呼吸ついた後、杖の男は体中の筋肉に目覚めを呼びかけた。 人は筋肉の全てを使う事は出来ない。 だがオーマは、とりわけ黒(ファウ)と呼ばれるオーマは、それを可能にした。 戦う事に全てをかけるその種は、自らの力の全てを引き出す事を当たり前の条件としていた。 呼びかけられた筋肉は、一斉に脈動を始める。 緊張し、弛緩し、停止する。 全ての戦いに於いて、考えうる限りのベストな状態で相手を待ち構える。 杖の男も分かっていた。 奴が、剣の男が力で挑んでくる事を。 ならば、自らも力で返すほか無い。 それが黒(ファウ)、それが漢である。 既にかかっていた肉体強化の魔術は切れている。 そんなものに頼っていては、黒(ファウ)が廃る。 己のみの力こそ、黒(ファウ)の真髄。 二人の男が既に荒野と化した草原で咆え猛る。 肉体と肉体がぶつかり、お互いの身に纏うものがその力に耐え切れず、崩壊していく。 その場に残ったのは、一糸纏わぬ美しい筋肉を持つ男が二人だけだった。 /*/ 物語はそれでは終われない。 真実の中身とは、かくもあっさりとしている。 「ところで、だ。」 「なんだ?」 「それはどういう事なのだ?」 「そのままの意味だ。仕方ないからお前、黒(ファウ)やめてエノーテラと結婚しろ。」 「いや、それに繋がる意味が分からない。」 「お前がいつまでもそのような事だから、あの娘もあぁなのだ。」 「それはどういう。」 「もう知らん。俺は言ったからな。バルク。」 「おい。まて、バロ。」 戦いの中でこの言葉を交わすためだけに、一つの草原が荒野と化した。 黒(ファウ)の説得には、みなさん、ご用心。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) #comment(,disableurl) 発注者:きみこ@FVB http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=212;id=gaibu_ita 受注者:伯牙@伏見藩国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=491;id=UP_ita ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|

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