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**SOU様からのご依頼品 双子、というものには、太古の昔から当人同士にしか分からない何かがあるのだという。それが真実か偽りか、そしてそれを信じるか信じないかはまた別として、事実その日その時間に美春のリボンは切れた。 これで蒼白になったのは美咲である。「うさぎさんと、デートなの」と、嬉しそうな顔で出て行った美春に内緒でリボンを借りていた美咲は、大慌てで同じリボンを買いに走った。   美咲が美春の死を知ったのは、その日の夜。結局同じものどころか似たリボンさえ見つけられず、諦めて美咲が帰宅した時であった。     /*/   閃光。衝撃。轟音。 光はやっぱり速いなあ、と間抜けなことを考えながら、嘉田塚美春は宙を飛んだ。 くるくると、踊るように舞うように飛ばされる美春。その身体が地面に叩き付けられるより少し早く、SOUの介入は強制的に遮断された。 また、うさぎさんに会いたかったなぁ。そんなことを願いながら。   /*/     嘉田塚美咲は、よく泣く女である。花が綺麗だと言っては泣いて、友達が戦場に出ると聞いては泣く。この年頃の女子というものは、それはそれはよく笑うものであるから、これは相当の異常事態である。泣き虫の美咲はその日も俯いて、姉のよく歩いていた道を歩いていた。   「美春、……いや、美咲か。」   俯いた姿勢というものは、空が見えない代わりに足元がよく見える。美咲が少し暗いように見える旅する兎を見つけられたのは、そのおかげだった。   「…うさぎさん。」   少し驚いたように見えるストライダー兎に、美咲は微笑みかける。その顔は既に、泣きそうであった。 少し慌てたように見える兎。泣きそうな顔で、蚊の鳴くような小声で話しかけられて、兎はゴーグルの奥の目を細めた。 人目を避けながら兎は移動を開始する。握った美咲の手が細くて、ますます目を細めた。     「…落ち着いたか。」   木の幹に背中を預けて空を仰ぎながら、兎。   「…はい。」   兎の逆側の木陰に座り込んで、恥ずかしそうに、美咲。   「それはいい。俺は行く。」 「待って、待ってください!」   美咲が慌てて振り返る。幹越しに揺れる兎の耳を確認して、言葉を探した。   「お姉ちゃん、うさぎさんのこと恨んでないと思うんです。…私も。」 「…そうかもな。俺には分からん。」   皮肉ではないのだろうが、兎の言葉に美咲の視界がぼやける。涙を拭こうとポケットのハンカチを探った指が、別の物に触れた。   「…あ、」 「何だ。」 「その、私、うさぎさんに持っていて欲しいものがあって。」 「分かった。」   言葉少なに、美咲とは逆の方向を見たまま肉球の付いた掌を差し出す兎。泣いているところは見られたくないだろうという、兎なりの配慮である。 気遣いを察して、兎の掌にリボンを結ぶ美咲。ほどけないよう、キツくないよう気をつけて結んで、兎の掌を軽く叩いた。 手を引く兎。掌に結ばれた見覚えのある青色を見て、首を傾ける。   「これは…俺が持っていて、いいのか?」 「うん。うさぎさんに、持ってて欲しいの。」   肯定にもまだ納得がいかない様子で、兎の耳が揺れる。美咲は泣いていたことも忘れて、頭を捻った。 顎に手を当てて、左右に揺れる美咲。何と言うべきか。悩んで、手を打った。   「だって、お姉ちゃんうさぎさんのことが好きだったから。」 「………。」   幹越しに見えていた耳が、強張る。今度は美咲が慌てて逆を向く番だった。   「…そうか。」 「うん、間違ないよ。」 「友情には、応えよう。」   呟いた兎の声をかき消すような爆音に、美咲は振り返る。 そこにはヘリのように耳を回して浮かび上がる兎が居た。声も出せないほど混乱している美咲は、それでも浮き上がりそうになるスカートを本能的に押さえる。   「……う、うさ、ぎさ…、」 「行ってくる。」   ただ手を振るだけなのにやけに格好よく見える動作で、兎が手を振る。つられて美咲も、手を振った。     /*/   浮上する意識。騒がしい目覚時計。 絶叫して飛び起きた美春は、ぺたぺたと掌全体で顔に触れた。   「ど、どうしたのお姉ちゃん!大丈夫?!」 「……あ。…大丈夫。大丈夫だから、美咲。」   絶叫が聞こえたのだろう、隣の部屋で眠っていた美咲がドアを激しく叩くのを聞いて、美春は息を吐いた。汗で張り付く髪が、気持ち悪い。   「…変な夢、見ただけ。」   そう、本当に変な夢だった。私が美咲で、うさぎさんが空を飛んで、…私が、………。 頭を左右に振って、美春は自分に喝を入れた。戦場に出るせいでナイーブになっているんだろう。そう思い込むことにして、ドアを開ける。   「おはよう、美咲。」   嘉田塚美春が迷宮に潜る、その日の朝の夢であった。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - 飛び上がるうさぎとスカートを抑えている美咲の描写がかわいいですっ(笑) いやもう、ほんとうにあの真面目すぎるログを馴染みやすくしていただいてありがとうございますっ!(大感謝!) -- SOU@ビギナーズ王国 (2007-11-24 23:26:30) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:SOU@ビギナーズ王国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=235;id=gaibu_ita 製作:高神喜一郎@紅葉国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=901;id= 引渡し日: ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|
**SOU様からのご依頼品 双子、というものには、太古の昔から当人同士にしか分からない何かがあるのだという。それが真実か偽りか、そしてそれを信じるか信じないかはまた別として、事実その日その時間に美春のリボンは切れた。 これで蒼白になったのは美咲である。「うさぎさんと、デートなの」と、嬉しそうな顔で出て行った美春に内緒でリボンを借りていた美咲は、大慌てで同じリボンを買いに走った。   美咲が美春の死を知ったのは、その日の夜。結局同じものどころか似たリボンさえ見つけられず、諦めて美咲が帰宅した時であった。     /*/   閃光。衝撃。轟音。 光はやっぱり速いなあ、と間抜けなことを考えながら、嘉田塚美春は宙を飛んだ。 くるくると、踊るように舞うように飛ばされる美春。その身体が地面に叩き付けられるより少し早く、SOUの介入は強制的に遮断された。 また、うさぎさんに会いたかったなぁ。そんなことを願いながら。   /*/     嘉田塚美咲は、よく泣く女である。花が綺麗だと言っては泣いて、友達が戦場に出ると聞いては泣く。この年頃の女子というものは、それはそれはよく笑うものであるから、これは相当の異常事態である。泣き虫の美咲はその日も俯いて、姉のよく歩いていた道を歩いていた。   「美春、……いや、美咲か。」   俯いた姿勢というものは、空が見えない代わりに足元がよく見える。美咲が少し暗いように見える旅する兎を見つけられたのは、そのおかげだった。   「…うさぎさん。」   少し驚いたように見えるストライダー兎に、美咲は微笑みかける。その顔は既に、泣きそうであった。 少し慌てたように見える兎。泣きそうな顔で、蚊の鳴くような小声で話しかけられて、兎はゴーグルの奥の目を細めた。 人目を避けながら兎は移動を開始する。握った美咲の手が細くて、ますます目を細めた。     「…落ち着いたか。」   木の幹に背中を預けて空を仰ぎながら、兎。   「…はい。」   兎の逆側の木陰に座り込んで、恥ずかしそうに、美咲。   「それはいい。俺は行く。」 「待って、待ってください!」   美咲が慌てて振り返る。幹越しに揺れる兎の耳を確認して、言葉を探した。   「お姉ちゃん、うさぎさんのこと恨んでないと思うんです。…私も。」 「…そうかもな。俺には分からん。」   皮肉ではないのだろうが、兎の言葉に美咲の視界がぼやける。涙を拭こうとポケットのハンカチを探った指が、別の物に触れた。   「…あ、」 「何だ。」 「その、私、うさぎさんに持っていて欲しいものがあって。」 「分かった。」   言葉少なに、美咲とは逆の方向を見たまま肉球の付いた掌を差し出す兎。泣いているところは見られたくないだろうという、兎なりの配慮である。 気遣いを察して、兎の掌にリボンを結ぶ美咲。ほどけないよう、キツくないよう気をつけて結んで、兎の掌を軽く叩いた。 手を引く兎。掌に結ばれた見覚えのある青色を見て、首を傾ける。   「これは…俺が持っていて、いいのか?」 「うん。うさぎさんに、持ってて欲しいの。」   肯定にもまだ納得がいかない様子で、兎の耳が揺れる。美咲は泣いていたことも忘れて、頭を捻った。 顎に手を当てて、左右に揺れる美咲。何と言うべきか。悩んで、手を打った。   「だって、お姉ちゃんうさぎさんのことが好きだったから。」 「………。」   幹越しに見えていた耳が、強張る。今度は美咲が慌てて逆を向く番だった。   「…そうか。」 「うん、間違ないよ。」 「友情には、応えよう。」   呟いた兎の声をかき消すような爆音に、美咲は振り返る。 そこにはヘリのように耳を回して浮かび上がる兎が居た。声も出せないほど混乱している美咲は、それでも浮き上がりそうになるスカートを本能的に押さえる。   「……う、うさ、ぎさ…、」 「行ってくる。」   ただ手を振るだけなのにやけに格好よく見える動作で、兎が手を振る。つられて美咲も、手を振った。     /*/   浮上する意識。騒がしい目覚時計。 絶叫して飛び起きた美春は、ぺたぺたと掌全体で顔に触れた。   「ど、どうしたのお姉ちゃん!大丈夫?!」 「……あ。…大丈夫。大丈夫だから、美咲。」   絶叫が聞こえたのだろう、隣の部屋で眠っていた美咲がドアを激しく叩くのを聞いて、美春は息を吐いた。汗で張り付く髪が、気持ち悪い。   「…変な夢、見ただけ。」   そう、本当に変な夢だった。私が美咲で、うさぎさんが空を飛んで、…私が、………。 頭を左右に振って、美春は自分に喝を入れた。戦場に出るせいでナイーブになっているんだろう。そう思い込むことにして、ドアを開ける。   「おはよう、美咲。」   嘉田塚美春が迷宮に潜る、その日の朝の夢であった。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - 飛び上がるうさぎとスカートを抑えている美咲の描写がかわいいですっ(笑) いやもう、ほんとうにあの真面目すぎるログを馴染みやすくしていただいてありがとうございますっ!(大感謝!) -- SOU@ビギナーズ王国 (2007-11-24 23:26:30) - 亀レスで申し訳ありません!(汗) ギャグに出来たか不安でしたのでそう言っていただけるとありがたいです、ご依頼ありがとうございましたー。 -- 高神喜一郎@紅葉国 (2007-12-20 18:43:27) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:SOU@ビギナーズ王国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=235;id=gaibu_ita 製作:高神喜一郎@紅葉国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=901;id= 引渡し日: ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|

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