「怒るは正当なり」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
怒るは正当なり - (2013/10/01 (火) 15:52:56) の最新版との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**怒るは正当なり
++++++++++
【怒る《おこ・る》】
1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」
++++++++++
どんな世界でも、対立は起こるものだ。
例え同じ同族でも、意見の違いや立場からモメることは珍しくない。
なら、種族そのものが違うなら尚更、そんな対立は増えるだろう。
世界は意外と知らないことが多い。
そこらの一般人は、人類だけが社会を営んでいると勘違いしている。
いや、多分そう信じたいのだろう。
未知を恐れるのが当たり前なのだから、人間は。
妖怪や吸血鬼、妖精や狼男に神の子……果は宇宙人なんかも、この世界には存在する。
とうきょうーー『東京』じゃなく、『東狂』と称される都市がある。
東の字に狂、人と人ではない者達が密集し、共存できている不思議な場所。
共存できていると言っても、そう上手くは行かない。
人では無いもの……妖怪と、人間との摩擦は無くならない。
それらの荒地を収めるために、複数の組織が存在する。
荒っぽい妖怪の喧嘩や騒ぎを収めるため、これまた荒っぽい面々が多く在籍する妖怪ヤクザ。
これはそんなヤクザな兄弟の一人、怒りん坊のちょっと変わった状況のお話。
++++++++++
彼は怒っていた。
尋常じゃないくらい怒っていた。
凄まじく怒っていた。
全身が見るからに堅そうな岩石状に盛り上がり、さながら巨大なゴーレムの様。
その肉体は活力に溢れ、明らかに4メートルはあるその巨体。
その身に纏うは、白いふんどしだけ。
彼の足元には、身につけていた服の残骸が落ちている。
変身した際に破れたのだろう。
その妖怪ーー『怒りん坊』は、地獄の一角にて意識を取り戻した際に、擬態を解除し、妖怪本来の姿に戻っていた。
周りを見渡す限り、人影は無い。
あるのは、まるで大海のように広がる、赤く煮えたぎるマグマの海だけ。
不思議と熱くはないが、万が一落ちてしまったら助からないだろう。
それ以外は、草一本すら生えていない地面と石ころだけ。
遥か先の方に、街のようなものが見える。
彼は怒っていた。
ふんどし一丁の姿で、周りで煮えたぎっているマグマと同じように、下手したらそれ以上の怒りを感じていた。
その目は赤く血走り、歯を強く噛み締め、まるで般若のような形相。
何が彼をそこまで怒らせているのだろうか?
一体どんな出来事が、彼にそこまでの怒りを与えたのか?
「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
内なる怒りの原因も語らず、その場に響くのは彼の唸り声だけーーー
「ギョルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
ーー唸り声ではない。
まるで獰猛な、獣の鳴き声のようなその音は、食いしばる歯の奥からではなく、怒りん坊の見事に割れた腹部から鳴っていた。
そう、腹の虫が絶賛大暴れしている音だ。
怒りん坊の頭に現在浮かんでいる事は、ただ一点だけ。
「(腹が減った)」
只それだけ。
それだけが、怒りん坊の怒りの理由。
つい先ほどまで、愛すべき兄弟たちと囲んでいた鍋はなく、
何やら深刻そうな顔で俯いていた、愛する弟の顔もなく。
その弟に、複雑そうな視線を送っていた兄もなく。
先ほどまで食していた、炊きたてのご飯もない。
死神エレキシュガルとやらに、その上司らしい閻魔大王とやら。
地獄やら天国やら……死んだことはないので、よくはわからない。
ぶっちゃければ、怒りん坊は殺し合いなどどうでも良い。
それなりに修羅場をくぐり抜け、死線もそれなりに超えてきた。
それでも、己の肉体は負けたことはない。
自分に勝ちうる存在など、兄以外居ないだろうが……
兎に角、殺し合いを強制される事よりも、
食事の機会を奪われた事こそが、怒りん坊には大事な事。
今の世の中、食材の値段も馬鹿にならない。
経済的な事は三男の弟に任せっきりだが、税の値上がりだとかで、それなりに悩むことだとは怒りん坊も知っている。
それゆえに、一日汗水垂らして働き、その金で遣り繰りして得ることのできた鍋。
それを、食べれなかった。
鍋を!大事な我が家の鍋を!食べれなかった!白米しか口にしてなかった!
食べ物の恨みは何よりも恐ろしい……正に目の前のことを指すのではないか?
鳴り止まぬ腹の音を聞きながら、尊敬する兄と弟の顔を思い浮かべる。
二人も、この場に呼ばれているのか……?
兄はともかく、少々弟が心配だ。
考えたくはないが、もし呼ばれているとすればーー
「エレキシュガル、閻魔、絶対に許さない」
地獄の一角の中、巨大な岩鬼は思う。
空腹の間と、兄弟たちへの懸念と共に。
俺は怒るぞ。怒らせたのはお前らだ。
食の恨み八割と、状況に対しての怒り二割の思いは、一体何を起こすのか?
それは、まだわからない。
彼の弟である『隠れん坊』。
その兄の『怒りん坊』。
現時点詳細不明な長男『暴れん坊』。
今、奇しくも離れた距離にいながら、少なくとも三男と次男は、同じ事を考えている。
「(腹減った)」
やはり、兄弟は似るものなのだろうか?
少々食い意地が張りすぎだと思う。
怒りん坊は強い。
全身を覆う、強固な岩石に、その効果を最大限発揮できる筋力。
彼がこのロワでどんな影響を与えるかは、神のみぞ知る事だろう。
【H-9荒野/未明】
【怒りん坊】
【状態】健康、擬態解除による妖怪形態。怒り状態。
【装備】無し
【所持品】基本的支給品×1 ランダム支給品×3
【思考・行動】
1:とりあえず食い物が欲しい。
2:兄弟達が同じく拉致されているのなら、合流したい。
【備考】
※種族柄ふとした事で怒ります。
※最終的に殺し合いに乗るかは不明。
※空腹を満たした場合、怒りは静まるでしょう。
※兄弟達の危機を感じ取れます。
※基本的に弱い人間には興味を持ちません。
----
**SSリンク
|[[隠れます!!ビビってるわけではない!!]]|前話|次話|[[金の恨みは恐ろしい]]|
----
**このSSの登場人物
-[[怒りん坊]]
----
[[本編SS目次へもどる>本編SS目次]]
[[トップページへ>トップページ]]
**怒るは正当なり
++++++++++
【怒る《おこ・る》】
1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」
++++++++++
どんな世界でも、対立は起こるものだ。
例え同じ同族でも、意見の違いや立場からモメることは珍しくない。
なら、種族そのものが違うなら尚更、そんな対立は増えるだろう。
世界は意外と知らないことが多い。
そこらの一般人は、人類だけが社会を営んでいると勘違いしている。
いや、多分そう信じたいのだろう。
未知を恐れるのが当たり前なのだから、人間は。
妖怪や吸血鬼、妖精や狼男に神の子……果は宇宙人なんかも、この世界には存在する。
とうきょうーー『東京』じゃなく、『東狂』と称される都市がある。
東の字に狂、人と人ではない者達が密集し、共存できている不思議な場所。
共存できていると言っても、そう上手くは行かない。
人では無いもの……妖怪と、人間との摩擦は無くならない。
それらの荒地を収めるために、複数の組織が存在する。
荒っぽい妖怪の喧嘩や騒ぎを収めるため、これまた荒っぽい面々が多く在籍する妖怪ヤクザ。
これはそんなヤクザな兄弟の一人、怒りん坊のちょっと変わった状況のお話。
++++++++++
彼は怒っていた。
尋常じゃないくらい怒っていた。
凄まじく怒っていた。
全身が見るからに堅そうな岩石状に盛り上がり、さながら巨大なゴーレムの様。
その肉体は活力に溢れ、明らかに4メートルはあるその巨体。
その身に纏うは、白いふんどしだけ。
彼の足元には、身につけていた服の残骸が落ちている。
変身した際に破れたのだろう。
その妖怪ーー『怒りん坊』は、地獄の一角にて意識を取り戻した際に、擬態を解除し、妖怪本来の姿に戻っていた。
周りを見渡す限り、人影は無い。
あるのは、まるで大海のように広がる、赤く煮えたぎるマグマの海だけ。
不思議と熱くはないが、万が一落ちてしまったら助からないだろう。
それ以外は、草一本すら生えていない地面と石ころだけ。
遥か先の方に、街のようなものが見える。
彼は怒っていた。
ふんどし一丁の姿で、周りで煮えたぎっているマグマと同じように、下手したらそれ以上の怒りを感じていた。
その目は赤く血走り、歯を強く噛み締め、まるで般若のような形相。
何が彼をそこまで怒らせているのだろうか?
一体どんな出来事が、彼にそこまでの怒りを与えたのか?
「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
内なる怒りの原因も語らず、その場に響くのは彼の唸り声だけーーー
「ギョルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
ーー唸り声ではない。
まるで獰猛な、獣の鳴き声のようなその音は、食いしばる歯の奥からではなく、怒りん坊の見事に割れた腹部から鳴っていた。
そう、腹の虫が絶賛大暴れしている音だ。
怒りん坊の頭に現在浮かんでいる事は、ただ一点だけ。
「(腹が減った)」
只それだけ。
それだけが、怒りん坊の怒りの理由。
つい先ほどまで、愛すべき兄弟たちと囲んでいた鍋はなく、
何やら深刻そうな顔で俯いていた、愛する弟の顔もなく。
その弟に、複雑そうな視線を送っていた兄もなく。
先ほどまで食していた、炊きたてのご飯もない。
死神エレキシュガルとやらに、その上司らしい閻魔大王とやら。
地獄やら天国やら……死んだことはないので、よくはわからない。
ぶっちゃければ、怒りん坊は殺し合いなどどうでも良い。
それなりに修羅場をくぐり抜け、死線もそれなりに超えてきた。
それでも、己の肉体は負けたことはない。
自分に勝ちうる存在など、兄以外居ないだろうが……
兎に角、殺し合いを強制される事よりも、
食事の機会を奪われた事こそが、怒りん坊には大事な事。
今の世の中、食材の値段も馬鹿にならない。
経済的な事は三男の弟に任せっきりだが、税の値上がりだとかで、それなりに悩むことだとは怒りん坊も知っている。
それゆえに、一日汗水垂らして働き、その金で遣り繰りして得ることのできた鍋。
それを、食べれなかった。
鍋を!大事な我が家の鍋を!食べれなかった!白米しか口にしてなかった!
食べ物の恨みは何よりも恐ろしい……正に目の前のことを指すのではないか?
鳴り止まぬ腹の音を聞きながら、尊敬する兄と弟の顔を思い浮かべる。
二人も、この場に呼ばれているのか……?
兄はともかく、少々弟が心配だ。
考えたくはないが、もし呼ばれているとすればーー
「エレキシュガル、閻魔、絶対に許さない」
地獄の一角の中、巨大な岩鬼は思う。
空腹の間と、兄弟たちへの懸念と共に。
俺は怒るぞ。怒らせたのはお前らだ。
食の恨み八割と、状況に対しての怒り二割の思いは、一体何を起こすのか?
それは、まだわからない。
彼の弟である『隠れん坊』。
その兄の『怒りん坊』。
現時点詳細不明な長男『暴れん坊』。
今、奇しくも離れた距離にいながら、少なくとも三男と次男は、同じ事を考えている。
「(腹減った)」
やはり、兄弟は似るものなのだろうか?
少々食い意地が張りすぎだと思う。
怒りん坊は強い。
全身を覆う、強固な岩石に、その効果を最大限発揮できる筋力。
彼がこのロワでどんな影響を与えるかは、神のみぞ知る事だろう。
【H-9荒野/未明】
【怒りん坊】
【状態】健康、擬態解除による妖怪形態。怒り状態。
【装備】無し
【所持品】基本的支給品×1 ランダム支給品×3
【思考・行動】
1:とりあえず食い物が欲しい。
2:兄弟達が同じく拉致されているのなら、合流したい。
【備考】
※種族柄ふとした事で怒ります。
※最終的に殺し合いに乗るかは不明。
※空腹を満たした場合、怒りは静まるでしょう。
※兄弟達の危機を感じ取れます。
※基本的に弱い人間には興味を持ちません。
----
**SSリンク
|[[隠れます!!ビビってるわけではない!!]]|前話|次話|[[金の恨みは恐ろしい]]|
----
**このSSの登場人物
-[[怒りん坊]]
----
[[本編SS目次へもどる>本編SS目次]]
[[トップページへ>トップページ]]