───都内、喫茶店 パーフェクトにて─── ───あ、居た!やっほー!おひさ!元気してた?…いえーい!はいたっち! やっぱりウチらの最初のコンタクトっていったらこれだよねー!…忘れてないよ!ホントだよ?もー! いきなり連絡来て驚いたわー!確か今県外で働いてるんだっけ?偉いなあー。あたしなんて今年就活だよー。だりーなぁ。雇ってくれない…か。無理だよね…はは…。 『いらっしゃいませ喫茶パーフェクトへようこそ。こちら、メニューになります。ご注文お決まりでしたらお手元のベルでお呼び下さいませ。では、ごゆるりと』 あ!ありがとうございます…。 …ね、あれ、ここのマスター?変じゃない?黒い顔が見えないマスクに探偵みたいな帽子で全身黒のロングコートって。あきらかに不審人物っしょ。 え?それがあの人のフツー?そうなのかなあ…ま、いっか。なんか頼むね。 ん?『パーフェクトブレンドコーヒー』?そんなメニューがあるの?自分からハードル上げすぎじゃない? …そんな美味しいの?…はー。分かった!旧友のよしみだ!飲んであげよう! じゃあ、さっきの人呼ぶね。ベルベル…あ、これか。 『イエス!アイムパーフェクト』 …これベルの音?あのマスターの声じゃない? え?これが当たり前?…あ、そうなの。 『ご注文お決まりでしょうか?』 この、「パーフェクトブレンドコーヒー」を。 『ありがとうございます。完璧に作り上げてまいります。では、ごゆるりと』 …うーん。やっぱり何回見ても不審人物にしか見えないなあー。 ま、それは置いておくとして、どしたの?話って。世間話でも全然ウチはおっけーだよ? いきなり連絡来たからさ、びっくりしたよ。なになに? …は?平沢悠?誰だっけそれ?…え?高校の時の同級生? ああ、いたねーそんなやつ。1年の最初の頃しか来てなかったいかにもオタクーって感じの奴でしょ? キモかったよねー、近寄ると汗臭いし一人でブツブツ言ってるしいつも変な絵書いてるし。先生たちも迷惑してたよね。友だち居たのかなー…居ないよね!あはははは! で、そいつがどうかしたの?…は?今女になったそいつがあちこちでテロ起こしてる魔法少女の正体ぃ? いや、いやいやいや。信憑性なさすぎっしょ。性転換なんてそんなのありえるわけないし。ここ漫画の世界じゃあるまいし。 魔法少女がありふれてるからってそれはないっしょー!もーアサミ冗談やめてよね! …なに、そんな真剣な顔して…え、あぁ。リュウト君のこと?可哀想だよね。通り魔でしょ。死んじゃったて聞いた時驚いたもん。恨み買うようなコトしてなかったし。 ていうかリュウト君にミユキちゃんにミブ先生といいさ、なんか最近身の回りの人が怪我すること多くない?リュウト君は死んじゃったしミユキちゃんは複雑骨折。ミブ先生は片目を失明したって聞いたよ。全部事故だって。怖いよね。 もしかしたら、その平沢って奴の呪いだったりして! …ちょっと、冗談だって。嘘、やめてよ。アサミ。怖いよ。 …ホントなの? あは、あはは。やめてよもうー!怖いじゃん。暗い話はあとあと。コーヒーまだかなー。 え?その三人の共通点?なに、まだ続けるの?いいじゃんもう平沢のことは。 …リュウト君?優しかったじゃん。頼りがいがあったし身体能力すごいしイケメンだったし。実は狙ってたんだ!…ま、今更だけど。そんなリュウト君がどしたの? …は?リュウト君、平沢いじめてたの?マジ? …まさかミユキちゃんも、ミブ先生も、それに加担してたってこと? 嘘でしょ。ねえ、アサミ。嘘でしょ。やめてよ。怖いってホント。 …アサミ?ねえ。まさか、『アサミも』なの? やっぱり、平沢いじめてたの?ミユキちゃんよりも、ひどいことしたの? …トイレに閉じ込めて水かけたり、筆箱捨てたり?人間サンドバッグにもしたりした?…うわ。 …初耳なんだけど、それ。 じゃ、もし平沢が復讐してたとしたら、次はアサミなの? …信じれないよ。リュウト君武道の達人だし、あの運動オンチの平沢がどうやって闘うっていうの。 ───リュウト君倒すのは魔法少女化したなら、ありえる? ちょっと、あの話嘘じゃないの?ねえ、アサミおかしいって。大丈夫だって、偶然だよ!言ってること滅茶苦茶だし、落ち着こう? あと、警察に言った?…言ったけど、多分平沢は捕まらないって?何を根拠にそんなこと…!? アサミ、震えてるよ!アサミ!しっかりして! ちょっと!アサミどこ行くの!アサミ!待って!…もう! 『お待たせしました、パーフェクトブレンド…あれ、お客様のお連れ様は?』 …帰りました。お勘定は、私がしときます。 『承知致しました。では、ごゆるりと』 …魔法少女化? じゃあ平沢は、あの魔法少女たちみたいな可愛い服着てるの?それとも、まさか性別まで変わったってこと? ありえなさすぎるでしょ。いくらなんでも。信じないよ、わたし。 気になるけど…平沢いじめてない私にもいずれアイツが来るってこと? …怖っ。 はあ…やめよ。このこと考えるの。 ま、まぁ。なんだかんだでアサミも、大丈夫でしょ。あーなってるけど。あの子ヒスってる部分あったし。 あとで心配してるってライン送っとこうっと。あとツケとくぞってのも送らなきゃ。 そういや来てた、これが、パーフェクトブレンドコーヒー。 …飲んでみよう…あ、おいしい。 それから、数日後。本当にアサミは死んでしまった。全身にたくさんの貫通した穴を作って。 やっぱり、平沢悠の恨みなのだろうか。それとも、本当にただの偶然なんだろうか。 ウチは偶然だと信じたい。信じないと、自分もその餌食になるかもしれないし、その恐怖に怯えるのはいやだ。 だからウチは、認めない。 『魔法少女犯罪ファイルNo.5689 B子氏の証言』より ======== 「い、いいい加減にしろよおおおお!!!ぼ、僕が、僕がなな何をしたって言うんだっ!」 深夜のB-7の廃工場の一角。 金髪で碧眼の美少女、平沢悠は声をどもらせながら叫んだ。顔からは必死さが伺えており、何かから逃げている様子であった。 その何かとはまた平沢と歳は大して変わらないこれまた少女である。 瞳は紫色で、髪の毛は綺麗にセットされたボブ。赤色のシャツに黒いマントを翻して平沢を追いかける。 両手には刃渡り8センチほどのナイフがそれぞれ握られている。顔つきは獲物を狙うように、かつ無表情であった。 まるで自分の身の回りの家事をするかのように、当たり前の仕事をするかのような顔つき。 そんな少女、雨谷いのりは平沢を間違いなく、殺そうとしていた。 「あなたからは、悪人の『空気』がする。だから殺す。文句は言わないでほしい」 追いかけるこの少女、雨谷いのりの仕事は『ヒーロー』である。 彼女にとっての悪は『排除対象』なのだ。その両手に握られたナイフがそれを証明している。 この殺し合いの場に巻き込まれたからと言って、やることは変わらない。いつも通り、『仕事』をこなすだけ。 「だからやめ────うわぁっ!!」 逃げていた平沢が、足をもつれさせて仰向けになって転んだ。 立ち上がろうとするが、体が追いつかずに尻餅をついたような姿勢になって、いのりの方を見る。 やがて平沢は頭髪を掻き毟りながら、両手を駄々をこねる子どものようにバタバタとして、更に視線を定まらせずに先程よりも強い語気で口を開いた。 「くそっ!くそくそくそくそっ!!そ、そうやって!!僕をい、いつも!いつもきき決めつけるんだ!あ、あいつらみたいに!あのガキどもや学校のあいつらみたいに!!い、いつも、いつも悪いのは僕だっ!!」 平沢は叫ぶ。いのりに対して、くまができたその目を大きく見開きながら。 いのりはそんな平沢を道端で死んでいる野良犬を見るかのように、視線をやる。 慈しみもない、そのような目である。 「…これで最後。死ね」 いのりはそう呟くと持っていた右手の方のナイフを、平沢に向けて走り出す。 狙うはその喉元。血管が集中している人間の急所である。 「や、ややめろ!やめろやめろやめろやめろやめろやめろっっ!!!!!」 平沢は恐怖に震えながら、しかし立ち上がることもできないまま一人叫び続ける。 いのりはだからといって情けを見せるわけもなく、平沢の命を狙う。 平沢は目を瞑る。 しかし、それは諦めたからではなかった。 「ふ、ふふふざけんな…ふ、ふふふふふざけんじゃねえええええぞおおおおおおおお!!!」 恐怖に震えていた少女の姿はそこになく、その表情は目を大きく見開き息も荒く、目の前の女を狩る表情であった。 そう平沢が表情を変えた瞬間、彼女の背中から唐突に巨大な真っ黒な腕のようなものが生えていた。 やがてその手は拳を握るようにすると、向かってくるいのりの方へとその拳を向けた。 「…!」 いのりは長年の戦闘経験から防御の構えを取る。 だが、いのりはここでミスを犯した。 正面から来ると思われたその拳は急に右に方向転換をするといのりの右側の上半身を強く殴りつけたのだ。 鈍い音。 その後にいのりは人形のように殴り飛ばされる。 やがて数秒間宙に浮いたあと、廃工場の積み上げられていた荷物を横からすべて潰すように、それがブレーキのようなものになりやっと止まった。 いのりは動く様子はない。 「ハァ…ハァ…見たか、み、見たかっ!!僕を馬鹿にしたからだぞっ!ば、馬鹿にしたら皆、みんなこうする!に、〈人間〉は信じないぞっ!ど、どんな〈人間〉もだ!」 平沢は荒い息を押さえながらも、いのりが動かないのを見ると腕を背中の中に引っ込めて廃工場から飛び出した。 追い討ちしてもよかったが、平沢にはあの相手は少々分が悪い。戦うならもっと自分の丈にあった人物の方がいいだろうと考えていた。 『いいじゃないか平沢、調子抜群だな』 そう低音で唸るような声を言って平沢の服の背中の方から全長だいたい20センチほどの黒いハイエナが顔を出した。 金の瞳が、黒の毛皮ゆえによく目立っている。 ハイエナは平沢の左肩の上に狛犬のようなポーズで座ると、ふわぁ、とあくびをしている。 「な、なんだよアスタ!た、助けるなら、は、早く助けてくれよ!」 平沢は驚いた様子でハイエナに言う。 この黒いハイエナは、平沢悠が魔法少女でいれる証拠の『悪のマスコット』。そして彼女、いやもともと男だった平沢悠の唯一の『話し相手』は、皮肉にも彼を利用して生きているこの悪のマスコットアスタロッテ(平沢からはアスタと呼ばれている)だけである。 平沢の憎悪のエネルギーを元にして精製される魔力。それを使ってアスタは本来居るべきでない人間界に存在することができた。 正義の心を持ったマスコットたちは、マスコット界、いわば魔法がある世界においての政府と呼ばれる存在から支援を受けるので魔法少女候補を探す間ゆっくりと吟味することができるのだが、『悪の家系』に生まれたアスタは、それを受けることができなかった。 なので、人間界に来た時すぐにアスタはただ魔力が強い少女ではなく、憎悪の力が強い、心に闇を背負った人物をすぐに見つけなくてはならなかった。 そこで、平沢と出会った。ビルの上で目にくまを作り世の中に絶望をしきった顔の太った男。 アスタにとって、最高の獲物であった。である。 アスタがいるから、平沢はいのりを撃退することができた。アスタの闇の力によって、先ほどの真っ黒の腕を作り出すことに成功したのだ。 『何を言う。手前の魔力エネルギーが足りなかった。もう少し憎悪を増してもらえればやりやすかったんだがな』 平沢悠には生まれつき魔力がない。 その代わり彼には生まれつき憎悪が人間の何倍もあった。 憎悪といってもそれが向けられる先はわからない。ただ単純に自分を陥れてきた人たちか、この世界に対してか。 なんにせよ矛先は知らずともその憎悪は強大であった。 その憎悪のきっかけは彼の人生にある。 平沢悠のこれまでの人生は散々な物だった。 歩けば容姿をバカにされた。それを気にして人前にはなるべく現れないようにした。 近寄れば臭いと言われた。それを気にして必死に体を洗った。タワシを使って、全身が真っ赤になるほど擦った。 話せばなんて言っているか分からないと言われた。それを気にしてゆっくり喋ろうとしても、言いたいことが出てこなかった。 学校の先生たちは自分の事を忌み嫌っていた。問題を解決しようとせず、1人嫌われ者がいればクラス経営は上手くいくはずだと知っていたからだ。 やがて、平沢悠は居場所をなくしていき、自分の家族からも忌み嫌われるようになっていた。 平沢の存在は彼の家族にとってあってはならない存在であった。まるで外界との接触を断つかのように、彼を狭い六畳間の部屋に閉じ込めるようにして、引きこもらせた。 平沢はそれに対抗せず、受け入れた。もう傷つきたくはなかったからだ。 やがて、平沢は高校に行かなくなった。 引きこもってからある日、彼は自殺しようとした。理由は簡単。この世界に飽きたから。 唐突にそう決意した彼は親の財布を握り締め、外へ飛び出した。 不健康な生活と運動不足から作り上げられたぜい肉で出来た体では酷すぎたか、手に握りしめた金で、自分の住む街より遠い都市部へと向かった。 子供の頃憧れていた都市部。どうせ死ぬなら、いい思い出がある場所でと考えたのだ。 適当なビルを見つけ、その非常階段を登っていった。 息が何度も切れて止まって座り込んだが、なんとか長い時間をかけビルの屋上に登った。 きらきらと高層ビルの部屋の明かりが美しく見えた。 なおさらその美しさが自分の汚さを露呈させているようで辛かった。 遺書はない。自分が死んでも誰も気にしないだろうと考えたからだ。 やがて、彼は未練を残さないように、屋上から飛び立った。はず、だった。 自分が空中に浮いている。一度、幽体離脱でもしたかと考えたが、自分より下に写る裏路地に自分の死体はない。 なんでだろうと焦る中、アスタが現れた。 彼は平沢にこう言った。 ───世界を小生と壊そう。お前のための世界にしよう。 と。 「…あー、ぼ、ぼくは、僕は間違ってない、よね?アスタ」 平沢が恐る恐る、聞く。 臆病で世の中すべてが敵だと思っていた平沢にとってはそう質問せざるをえなかった。 この殺し合いの場においても、自分らしさを保ってていいのかという疑問だ。 『あぁ。そうだ。それでいい。お前の味方は手前だけだ平沢』 アスタはそんな平沢を見るとくすり、と笑いながら口を開いた。 その顔は優しかった。 平沢はそうアスタに言われるとまた吃りながら視線をあちこちにやりながらアスタに言った。 「あ、アスタ。君が、君が来てくれたから、ぼ、僕は強くなった。人生が広がった。だ、だかだから僕は君と帰るんだ、あの好き放題できる、ぼ僕の為の世界に」 『僕の世界』。 少しでも腹が立つことがあれば、すべて壊すことができる『僕の世界』。 かつていじめてきたあいつらに復讐できる『僕の世界』。 こんな訳のわからない世界に平沢はとどまる必要はないのだ。 平沢は世界が嫌だった。だが、アスタと出会ったあの日、『平沢悠という男』は死んだのだ。 生まれたのは『平沢悠という女』だ。それが彼、いや彼女にとっての事実だった。 『平沢、あの小娘どもはどうする。見つけ次第殺るか?』 『小娘』とは平沢に歯向かう『正義の魔法少女』たちである。 平沢は人のために自分の命とも言える魔力を削る、綺麗事を抜かす彼女たちが嫌いだ。 平沢が破壊行動をしていた時にもよく止められてしまっていた。 平沢が弱いというわけではないが、魔法少女は束になって自分を殺しに来る。 ゆえにいつも平沢ではなく他の魔法少女達に軍配が上がっていた。 「あ、あああ当たり前だろ!ぼ、僕の邪魔をするウザったい奴らだぞ!いい、いつもの仕返しだ。皆、皆ぶ、ぶっ殺すんだ!」 『どういう風に?』 「そ、そりゃあもうむ、無残にさ!跡形も、な、ないくらいさ!ふひっ、ふひひひひひっ」 『…ふふ、相変わらずのボキャブラリーだな、平沢』 その美少女っぷりからはまた不釣り合いに不気味に笑う平沢を見てアスタは自分の子供を見守るような顔で、そして声色で平沢に返事をした。 一方の平沢はムキになるようにして、アスタに言葉を返した。 「な、なんだと!マスコットのくせに!アスタは、ぼ、僕がいないと生きていけないくせに!」 『あぁ、そうだ。小生は平沢、お前が居ないと生きていけない。だが、お前もだろう?』 アスタは平沢と契約を結んでいる。 マスコットにとって、契約を結んだ相手が死ぬこととは、自分の死を意味する。 憎悪をエネルギーにした魔力によって生きているアスタ。彼にとっても平沢の存在は必要不可欠なのだ。 無論平沢もアスタを必要としているわけで。 「…」 『正論言われて、反抗できんか。ふふ。カワイイやつめ。皮肉のつもりだったのか?』 「う、うるさいっ!いくぞ!つ、着いてこい!」 顔を真っ赤にして、バツの悪そうな顔をした平沢はアスタを肩に乗せてその歩みを進み始める。 自分を否定する者達を、殺すために。 (…平沢。無理はするなよ) そばに、『優しさ』を覚えた『悪役』をひきつれて。 魔法少女は歩き出す。 =========== 「…迂闊だった」 平沢が廃工場から立ち去って数分後。 いのりは荷物の中から立ち上がった。頭からは血を流し、口からも出血している。 先ほどの攻撃によってあばらが数本逝ってしまったようにも伺える。脇腹が痛む。 「致命傷には至ってないけど…やばい、かも」 このままでは戦うことも逃げることもできない。先程確認した地図によると病院があるようだがここからではちょっと距離がある。 どこか屋根のある建物の中で体を休める必要があるだろう。 「裏切りのクレア…いる。だからワタシは…死ねない。アイツを殺すまで。師匠の仇を、取らなきゃならないんだ」 名簿を見たら自分が『敵』とみなす様々な人物たちの名前があった。 その中でもいのりの目を引かせたのが『裏切りのクレア』だった。 彼女はかつて、自分の師匠を殺した人物だ。そして、雨谷いのりの正義感を多く変えてしまった人物だ。 いずれ殺すはずだったが、呼ばれているのなら好都合だ。 「人殺しは、悪だ。人を殺すことはいいことにならない。ワタシみたいなのを産む」 自分の正義の心が歪んでしまったのは分かっている。 しかし、いのりはそれを受け入れている。『誰も守れない正義』なんて、いらない。 『自分の手を汚さない正義』なんて、いらない。 そう、決意したから。 「───だから、ワタシが殺す。ワタシももう悪だから。悪を殺せるのは、悪しかいないんだ」 この主催者含め、『人を殺す者達』を、『悪』を倒すために。 いのりはその体を引きずりながら、闇に消えていった。 【B-7/廃工場/1日目/深夜】 【平沢悠@アースMG】 [状態]:高揚 [服装]:スウェット [装備]: [道具]:基本支給品、不明支給品1~3 [思考] 基本:元の世界に帰る 1:他の魔法少女達は皆殺し。歯向かう奴らも! 【雨谷いのり@アースH】 [状態]あばら骨骨折 [装備]:ナイフ×2@アース?? [道具]:基本支給品、不明支給品1~2 [思考] 基本:『悪』を倒す。特にクレア 1:どこかで休む