あるところに一ぴきの小さなゴリラがいた。
これは、この小さな命が一流のレストランシェフになるまでの物語である。
これは、この小さな命が一流のレストランシェフになるまでの物語である。
彼がいるのは人気のない路地裏。
生まれて間もないころ、彼は親に捨てられてしまった。
だからこんなところにすむしかなかった。
しかし路地裏は寒く、暗く、食べるところもなければ寝る場所もない。
とても小さな子供が生きていけるとは思えない場所だった。
生まれて間もないころ、彼は親に捨てられてしまった。
だからこんなところにすむしかなかった。
しかし路地裏は寒く、暗く、食べるところもなければ寝る場所もない。
とても小さな子供が生きていけるとは思えない場所だった。
そんな彼は週1の頻度で公園で行われる配給で命をつないでいた。
しかし彼は申請を行っていないので、配給がもらえないはずだ。
しかし彼は申請を行っていないので、配給がもらえないはずだ。
彼の分の食事は。ホームレス生活を送るうちに仲良くなった近所のごりじぃさんから分けてもらったものだ。
ゴリじぃさんも同じくホームレス。彼もまた食に困っていたはずだ。
だがしかし、年を取り、家族も職も金もなかったごりじいさんにとってその小さなゴリラは生きがいだったのだ。
「自分の分はいい。お前が食えや。」そういい、そのゴリラに飯を分け与える。
ゴリじぃは、彼のことを孫のようにかわいがっていた。
彼も、ゴリじぃのことが大好きだった。
ゴリじぃさんも同じくホームレス。彼もまた食に困っていたはずだ。
だがしかし、年を取り、家族も職も金もなかったごりじいさんにとってその小さなゴリラは生きがいだったのだ。
「自分の分はいい。お前が食えや。」そういい、そのゴリラに飯を分け与える。
ゴリじぃは、彼のことを孫のようにかわいがっていた。
彼も、ゴリじぃのことが大好きだった。
そんなある日。
配給の日。
いつもならゴリじぃが路地裏まで迎えに来てくれるはずだった。
しかしその日は、いくら待ち続けてもごりじぃは来なかった。
待ち続け、夜になった。
配給の日。
いつもならゴリじぃが路地裏まで迎えに来てくれるはずだった。
しかしその日は、いくら待ち続けてもごりじぃは来なかった。
待ち続け、夜になった。
彼は、ついにゴリじぃの段ボールハウスに行ってみることにした。
しかし、そこには何もなかった。
そこには黒い燃えカスのようなものが広がっていた。
彼は幼いながらに察してしまった。ゴリジィはもうこの世にいないのだと。
しかし、そこには何もなかった。
そこには黒い燃えカスのようなものが広がっていた。
彼は幼いながらに察してしまった。ゴリジィはもうこの世にいないのだと。
彼は涙をこらえながら路地裏に戻ろうとする。
そうすると周りの大人たちが彼を見るなり
「だっさwあの格好」
「やせ細ってるw何も食わせてもらってないんじゃね?」
「あんなのが出てくるなよw目障りだw」
などと心無い言葉を彼に浴びせる。
そうすると周りの大人たちが彼を見るなり
「だっさwあの格好」
「やせ細ってるw何も食わせてもらってないんじゃね?」
「あんなのが出てくるなよw目障りだw」
などと心無い言葉を彼に浴びせる。
彼は怒りと悲しみでで目の前が真っ赤になったが、抑えた。
何とか抑えた。
何とか抑えた。
しかし涙は止まらなかった。
彼の目からは大粒の涙が零れ落ちる。
彼の目からは大粒の涙が零れ落ちる。
「まだ生きているはずだ。ゴリじぃさんはまだどこかで生きている」
彼は自分をだました。
彼はゴリじぃがまだ生きていると思い込む。
彼は自分をだました。
彼はゴリじぃがまだ生きていると思い込む。
それから2日後の夜。
彼は死にかけていた。
「おなか…すい…たあ…のど…かわい…た…だれか…たす…け」
彼は死にかけていた。
「おなか…すい…たあ…のど…かわい…た…だれか…たす…け」
しかし彼は思い出す。
周りには誰一人として自分の味方をしてくれる人はいないことを。
彼は膝に自分の顔をうめ、また泣く。
周りには誰一人として自分の味方をしてくれる人はいないことを。
彼は膝に自分の顔をうめ、また泣く。
彼の鳴き声を聞きつけたものが1人。
そのおじさんゴリラが彼に近寄るなり「ぼうず、おなかが減ってるのかい?よかったらうちで食べていかないかい?」
彼はおじさんを不思議そうな顔で見つめる。
「あぁあぁ!金の事なら問題ない。今日は定食が1セット余っちゃってね。」
彼はまた涙を流す。
今度の涙は、うれしい涙だ。
そのおじさんゴリラが彼に近寄るなり「ぼうず、おなかが減ってるのかい?よかったらうちで食べていかないかい?」
彼はおじさんを不思議そうな顔で見つめる。
「あぁあぁ!金の事なら問題ない。今日は定食が1セット余っちゃってね。」
彼はまた涙を流す。
今度の涙は、うれしい涙だ。
彼は一口一口をかみしめ、味わった。
絶品だ。こんなおいしいご飯は食べたことがない。
絶品だ。こんなおいしいご飯は食べたことがない。
食べ終わると、彼はそのおじさんに話しかける。
「僕を、ここで働かせてください!お願いします!」
「しかしぼうず、まだ君は子供じゃないか。」
「僕を、ここで働かせてください!お願いします!」
「しかしぼうず、まだ君は子供じゃないか。」
「でも!給料なんかいいらないし、トイレ掃除でも、なんだってやるよ!」
「こんな僕にただでご飯を食べさせてくれた恩返しをしたいんだ。」
「こんな僕にただでご飯を食べさせてくれた恩返しをしたいんだ。」
幼いながら彼の熱意が伝わった。
「わかった。これからこの店で働くといい。」
「いやったあああ!ありがとうございます!」
「わかった。これからこの店で働くといい。」
「いやったあああ!ありがとうございます!」
どうやらこの店は、レストランおりおりというらしい。
このおじさんが店長で、おじさんしか働いている人がいないらしい。
このおじさんが店長で、おじさんしか働いている人がいないらしい。
そうして路地裏に戻ろうとする。
しかし店長がこういう。
「私の家に泊まっていきなさい。外は寒い。さらにそんな恰好じゃ働けないよ。」
そういって鏡を見せる。
そこには毛まみれで、泥まみれなゴリラがいた。
彼は思わず笑ってしまった。
しかし店長がこういう。
「私の家に泊まっていきなさい。外は寒い。さらにそんな恰好じゃ働けないよ。」
そういって鏡を見せる。
そこには毛まみれで、泥まみれなゴリラがいた。
彼は思わず笑ってしまった。
次の日。
身なりを整えおじさんの店に。
彼の最初の業務は、玄関から配達された荷物を運ぶことだ。
人間からしてみれば重いが、彼はゴリラ。子供でも軽々と運ぶことができる。
次々と荷物を運び入れる。
身なりを整えおじさんの店に。
彼の最初の業務は、玄関から配達された荷物を運ぶことだ。
人間からしてみれば重いが、彼はゴリラ。子供でも軽々と運ぶことができる。
次々と荷物を運び入れる。
その日の業務をこなした彼は、今日も店のご飯を食べる。
給料なしってのはさすがにあれだからせめて
ということらしい。
そして話し合いにより、彼は店長の家に住むことになった。
給料なしってのはさすがにあれだからせめて
ということらしい。
そして話し合いにより、彼は店長の家に住むことになった。
彼は嬉しかった。
また、店長が保護者代理となることによって、おりおり小中学校にも入ることができることになったらしい。
また、店長が保護者代理となることによって、おりおり小中学校にも入ることができることになったらしい。
数年後。
彼は無事、おりおり小中学校を卒業する。
彼は、今でもレストランで働き続けている。
職員も店長一人のままだ。
彼は無事、おりおり小中学校を卒業する。
彼は、今でもレストランで働き続けている。
職員も店長一人のままだ。
彼は正式に雇われることとなった。
「店長、改めてよろしくお願いします。」
「ほうほう、そう固くなるな、今まで通りでよい。」
店長はもう老人。長くはもたないことを両者理解していた。
「店長、改めてよろしくお願いします。」
「ほうほう、そう固くなるな、今まで通りでよい。」
店長はもう老人。長くはもたないことを両者理解していた。
このレストランの味は、絶品だ。途絶えさせてはいけない。
彼は店長の弟子に入ることになった。
彼は店長の弟子に入ることになった。
さらに数年後。
「もうお主にわしから教えることはない。これでお主も一人前じゃの。」
「ありがとうございます!店長!」
「ほっほっほ。そう呼ばれるのも今日が最後じゃの」
「え?どうしたんですか?」
「わしは持病が悪化しての。死にはしないが今日で店長をやめる。」
「え!店長がいなくてどうするんですか!」
「お主が継ぐんじゃ。店をな。」
「えええええ!!!」
とても衝撃的だった。
「もうお主にわしから教えることはない。これでお主も一人前じゃの。」
「ありがとうございます!店長!」
「ほっほっほ。そう呼ばれるのも今日が最後じゃの」
「え?どうしたんですか?」
「わしは持病が悪化しての。死にはしないが今日で店長をやめる。」
「え!店長がいなくてどうするんですか!」
「お主が継ぐんじゃ。店をな。」
「えええええ!!!」
とても衝撃的だった。
その日から、彼が店長となる。
「絶対にこの味を途絶えさせてはいけない。」
彼はレストランおりおりを広めるためにいろいろな活動をした。
宣伝を流したり、ポスターを張ったり、テレビに出たり。
おりチューブチャンネルを開いたりもしたらしい。
そんな彼の努力が実ったのは2年後の話。
「絶対にこの味を途絶えさせてはいけない。」
彼はレストランおりおりを広めるためにいろいろな活動をした。
宣伝を流したり、ポスターを張ったり、テレビに出たり。
おりチューブチャンネルを開いたりもしたらしい。
そんな彼の努力が実ったのは2年後の話。
何と、人気テレビ番組「おりおり食レポ同好会」に店を出してくれることになった。
しかも、いつもは辛口コメントが多めな審査員たちだが、あまりの絶品さに満場一致でうまいコメント。
この日から、レストランおりおりはものすごい人気となる。
予約は常に満席。働きたいという人もものすごい数になった。
しかも、いつもは辛口コメントが多めな審査員たちだが、あまりの絶品さに満場一致でうまいコメント。
この日から、レストランおりおりはものすごい人気となる。
予約は常に満席。働きたいという人もものすごい数になった。
支店がおりおり国、おりおり王国に2000店舗ほど出来、国一の人気レストランとして君臨することとなる。
このころから彼は「シェフ」と名乗るようになった。
このころから彼は「シェフ」と名乗るようになった。
しかし、幸せな日々もそう長くは続かない。
彼は思い出してしまった。
彼は思い出してしまった。
ゴリじぃの家に、燃えカスが落ちていたことを。
シェフは気になって裏社会の情報屋に声をかける。
結果は、最悪なものだった。放火。周りにいた大人たちによる仕業だ。
さらにその大人たちは、賄賂を渡し、
主犯格が執行猶予4年の懲役6カ月、それ以外は無罪となってまったくは反省した様子を見せず、今もへらへらと生きているらしい。
その瞬間彼をとんでもない怒りが襲う。
さらにその大人たちは、賄賂を渡し、
主犯格が執行猶予4年の懲役6カ月、それ以外は無罪となってまったくは反省した様子を見せず、今もへらへらと生きているらしい。
その瞬間彼をとんでもない怒りが襲う。
彼はやつらの家に行き、全員とっ捕まえる。怒りのパワーは素晴らしい。
彼らを完封したらしい。
さらにそれと賄賂の証拠を警察に突き出し、彼らの裁判のやり直しを求めた。
さらにこのニュースが広がり賄賂をもらった裁判官含め大炎上。
みんなもれなく無期懲役に処されることになった。
彼らを完封したらしい。
さらにそれと賄賂の証拠を警察に突き出し、彼らの裁判のやり直しを求めた。
さらにこのニュースが広がり賄賂をもらった裁判官含め大炎上。
みんなもれなく無期懲役に処されることになった。
彼は子供のころに思いを巡らせるようになった。
彼に圧倒的に足りなかった要素。
親。
親に会いたい。自分の料理をふるまって認めてもらいたい。
いつかそう思うようになった。
彼が40歳になったとき、社長の座を息子に渡す。
彼は結婚もしていて、3人の子を授かっていた。
いつかそう思うようになった。
彼が40歳になったとき、社長の座を息子に渡す。
彼は結婚もしていて、3人の子を授かっていた。
その時、彼のもとにいつの知らせが走る。
『店長が危篤です!もう数時間しか持ちません!』
いつかはこの時が来る。それはわかっていた。
だがいざそうなるとなると、胸が苦しくなってきた。
『店長が危篤です!もう数時間しか持ちません!』
いつかはこの時が来る。それはわかっていた。
だがいざそうなるとなると、胸が苦しくなってきた。
店長は、今日の朝に急に容体が悪くなったらしい。
シェフは、受け入れる準備をした。
シェフは、受け入れる準備をした。
愛するわが恩師 店長の「死」を。
そしてもう1つ決心をした。
親に会う。そのために世界中を飛び回る。
親に会う。そのために世界中を飛び回る。
家族にもそのことを話す。
「すぐ帰ってくるかもしれない。もしかしたら永遠のお別れになるかもしれない。」
その話を聞いた妻と息子たちは号泣する。
が。
「悲しいけど…あなたのすきなようにして。」
「僕は父さんの夢を優先するよ」
泣きながら応援してくれた。
「父さんが帰ってくるまで。僕が会社を守るから…安心して」
その言葉を聞き、シェフも涙を流す。
何度目の涙だろうか。
絶望のどん底にいた自分の涙を思い出す。
そして、決意する。
もう二度と泣かないと。
「すぐ帰ってくるかもしれない。もしかしたら永遠のお別れになるかもしれない。」
その話を聞いた妻と息子たちは号泣する。
が。
「悲しいけど…あなたのすきなようにして。」
「僕は父さんの夢を優先するよ」
泣きながら応援してくれた。
「父さんが帰ってくるまで。僕が会社を守るから…安心して」
その言葉を聞き、シェフも涙を流す。
何度目の涙だろうか。
絶望のどん底にいた自分の涙を思い出す。
そして、決意する。
もう二度と泣かないと。
病院にて
「店長。今までありがとうございました。」
「は…は…わしは…もう店長では…ない。」
「でも口癖になっていていつまでも抜けないんですよ。」
「そ。そうか。」
「わしは…もう…死にそうじゃ。」
「店長。今までありがとうございました。」
「は…は…わしは…もう店長では…ない。」
「でも口癖になっていていつまでも抜けないんですよ。」
「そ。そうか。」
「わしは…もう…死にそうじゃ。」
そんな店長に親さがしのことを伝える
「店長の料理、かならず伝えて見せますから。」
「そ…そうか。」
そういうとシェフは旅立ちの準備をする。
「では。さようなら。」
シェフは店長のほうを振り向かなかった。
もう泣かないと決めたからだ。
「店長の料理、かならず伝えて見せますから。」
「そ…そうか。」
そういうとシェフは旅立ちの準備をする。
「では。さようなら。」
シェフは店長のほうを振り向かなかった。
もう泣かないと決めたからだ。
店長もその姿を見て微笑む。
「行ってきます。」
店長も最後の力を振り絞って返す。
「行ってらっしゃい。」
その背中は、かつてのかれから想像できはしないほどたくましく、
そして大きく見えた。
そして大きく見えた。
~完~