- スレッド_レス番号 01_656||
- 作者
- 備考 短編,01_646の続き
甘い声に、鼓動が一拍遅れた。
蒼い月の光に浮かび上がるすべらかに白い裸身は、自ら微光を放っているかのようだった。
その光をまとう裸身を――――
月光の環を戴く黒髪
涙の真珠で飾る長い睫、
愛らしく日焼けした高い鼻梁
恥らいと誇りを掲げた細い頤
なだらかな肩につながる鎖骨の窪み
慄きに僅かに上下する乳房のふくらみ
零れ落ちそうな頂上の蕾の乳首
なめらか腹部の中央の臍
透けるような肌に浮かぶ薄い肋骨
柔らかな丘の淡い茂み
しなやかな脚のえくぼのような膝小僧
――――影が彩る。
天使は、涙の痕が光る頬を淡く染めながらも目を背けることなく潤む翠の瞳で真っ直ぐ
に見つめた。
未だ少女の固さを残しながら女の丸みと柔らかさを帯び始めた、誰の手も触れていない
天使の裸身、未踏の処女地。
全てを隠すことなく、その全てを捧げる。
珊瑚の唇が言葉を紡ぎだそうとする、が、漏れ出るのは甘い吐息。
一瞬輝く翠の瞳を閉ざし、勇気を振り絞って踏み出す。目を背けることなく、真っ直ぐ
に視線を向けたまま。
目の前には、遠く離れた島国からやってきた若者。
背ばかりが高く頼りない男性だと思った。時には馬鹿にしたような言葉も投げつけてし
まった。
でも、この長いような短い間に、共に過ごし笑い泣き、共に危機を乗り越え、そうして
いる間に、いつの間にか心の中にあなたがいる。
たおやかな白い腕が、頸にまわされた。
乳房が胸の間でたわみ――――お互いの鼓動が溶け合った。
頼りないと思っていたその胸は温かく広かった。
側にいてくれて嬉しい。安心する。許されている。
頂の蕾で鼓動を感じてしまい、甘い何かが背筋を駆ける。
甘い吐息を言葉にかえて、天使は告げた。
「わたくしは、貴方を愛しています。」
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最終更新:2008年02月14日 00:40