• スレッド_レス番号 01_043
  • 作者
  • 備考 短編,教師


「先生・・・先生、好きです。」
 セーラー服の襟を揺らし近づいてきた彼女が、白衣の後ろをギュッと掴み、抱きついている。
「・・・僕も好きですよ。生徒として、とても大事に思ってます。」
「・・・違います、先生ッ。・・・お願い、わかって・・・!」
 彼女は前に手を回してきて両手を握り締めてるので、俺は身動きが取れない。
 背中に柔らかい胸の感触がした。 泣いているみたいで肩が時々震えていた。

「この白衣汚れてるから、鼻はかまないで下さいね。」
「・・・っかんでない!どうしてそうやって、子供扱いばっかりするの!?」
「君がまだ子供だから、子供扱いするんだよ。」
「・・・・・・先生のわからずや。私、今日は帰る気ないから。」
 彼女はますます強く握って離さない。
 俺は困った顔をして、彼女の手を強く掴んで、振りほどいた。
「・・・~~~ッあのね・・・わからずやは君の方でしょ。」
「ぅ・・ひっく・・・ふっ・・・」
 彼女がついに声をあげて、泣いてしまった。自分が泣かせてしまったと思うと俺は困り果てて、
 彼女の頭をポンポンと叩いて慰めた。
「じゃあ・・・約束して。
 そんなに急がないで、大人になる準備をまずちゃんとするって、
 勉強をしてちゃんと卒業するって、約束して。
 理科の勉強もちゃんとする事。・・・わからない所があるならいくらでも教えるから。
 ちゃんとした大人になるまでは、、、あんまり、、馬鹿な事する気を起こさないで下さいよ。
 ・・・コッチは君に手を出したくても出せないんだから・・・。」

 それを聞いている時、彼女は半ベソ顔のままコクリコクリと頷いてくれていた。
 そして、少したってから小さな声で謝った。
「・・・すみ・・ませんでした・・・私、迷惑ばっか・・・かけて・・・」
「迷惑だなんて言ってない。卒業したらまた後ろから襲ってくれればいいから。わかったら、今日はもう帰って。」
 手を振って彼女を帰そうとしたら、彼女は鞄から教科書を取り出して言った。

「先生、私ココが、一学期からずっとわからないんですけど。」
 机の上にそれを置くと、教科書の一番初めの方のページを指した。
 俺はウンザリ、といった表情をしたが、その後、黒板をめいっぱい使って丁寧に説明した。
 彼女に教えるには、彼女と少し距離を置ける、その距離がちょうど良かった。
 それ以上近づくと、俺の方まで何か問題を起こしそうだった・・・。




バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は?
お手数ですが、メールでお問い合わせください。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月14日 00:15