• スレッド_レス番号 01_183-185
  • 作者 164
  • 備考 長編,戦争を終えて


『じゃ、行ってきます。』

『まって!!』

『ん?』

『帰って…くるよね?』

『あぁ、必ず。帰ってきたら……』

久しぶりに夢を見た。初恋の、想いが通じ合ったあの人の
そしてあの日居なくなった、あの忌々しい戦争で
「ん~!今日もいい天気!!なにかいいことあるかも」
だが過去のことなど昼には忘れ、私は掃除をしていた。
窓を開け新鮮な空気を部屋に取り込む
「あ、ちょ~どよかったぁ!手紙の郵便で~す」
「いつもご苦労様~、いまそっちに行くから待っててくださ~い」
二回から玄関へ、早足で
「ふう」
「はい、でわ確かに渡しましたよ」
パタン
ドアを閉め、手紙を確認する。なぜかいつもこの瞬間はドキドキする。
「二枚か、一つ目は…」
手紙を裏返す、やはり書いてない。名前が
誰からだろ?ペリペリとのり付けを剥がし中身を取り出す。
「何々…」
…彼からの手紙だった。死んだ、とずっと思っていた。
「会いたい」と、そのあとには場所や日時が記されていた。
少し考え、そっと薬指の婚約指輪に触れた。
…嬉しい、けど今の自分に会う資格があるのか?
戦争終結後に私は結婚が決まった。家のためとはいえ、好きでもない人と
だが、後悔はしなかった。その人は今仕事で隣国に出張している。
「…行って伝えよう、全部」
例え彼の気持ちを裏切ることになろうとも


約束の日、夜

あの約束から三年
「俺ももう18じゃね~か、大人なんだしレストランとかで豪華に食事で…」
ま、いいか。柄じゃないし、そもそも、もう変更もきかんし
「もうすぐか…よっと!」
待ち合わせ場所から立ち、人ごみの中彼女を探す。
三年もしたら変わってると思うが見つける自信はある。
「へへ」
思わず顔がにやける。
「会って…コレ渡して」



「お~い!!」
彼だ
勝手に足が速くなる
「…」
彼が近づいてくる、いわなきゃ
「ひっさしぶり!!!元気にしてたか?」
いわなきゃ
「ぁ…」
「ん?」
いわなきゃ
「ど、ど~した?」
目が熱くなる
「っ!!」
「おわぁ!?」



いきなり抱きつかれた。
「ばか、生きてたなら…もっとはやく…連絡してよ」
「…ごめん」
泣いてるのか?
…周りの視線が痛い
「と、とりあえず移動しよ」
「…うん」



今はもう使われてない神殿、遠くで海の音が聞こえた。
そこで私達は色々話した
彼が帰ってくるのに遅れた理由
いままでなにをしていたか
「…と言うわけ、納得してくれた?」
「うん、じゃあ改めて…おかえり」
「ただいま」
彼は笑う、でもいわなきゃいけない。
「あの…」
「でな、あの時の約束な…」
約束?
彼は上着のポケットから小さな赤い箱を取り出した。
「サイズ、合ってたらいいんだけど」
箱から指輪を取り出し私の手を取り
「え?」
「あっ」
彼は困惑の声を上げる

私はすぐさま手を振り解いた
指輪が落ちる
沈黙が続く
「どういうこと?」
彼が切り出した。
おしゃれとでもいえばいい、でもさっきの私の行動がその発言を許さない
「なあ?」
「あの、これはおしゃ」
「違うだろ」
そして沈黙、答えを渋ってる私を見かねたのか彼は出口に向かった
「…違うの」
「幸せにな…」
「だから違うの!!」
頭が真っ白になり、彼に抱きついた。
「…やめろよ」
淡白な、気持ちが篭ってない言葉
「おねがい…行かないで」
掠れた声しか出ない。
「はぁ」
彼は振り向き私を抱きしめ、頭を撫でた。
どれくらいたっただろうか
「一足遅かったな」
彼は私を真っ直ぐみていった
「私、あなたのこと…」
「結婚おめでと」
彼は笑顔でいった
「あなたのことが好…」
「言うな」
「やだ」
彼を手放したくない

「好き」
「俺、帰るわ」
彼は私を離し、歩こうとする
「元気でな」
彼を……
「抱いて」
「そんなことしたら、お前は後悔するぞ」
「え?」
「だから、幸せでな」
「なんで!?私はっあんたが!ぁ…」
泣いていた
「はは、…俺もお前のことが好きだ。だから、バイバイ」
彼は消えた。
私もあとを追ったが見つからなかった。


……後日、わたしは……




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最終更新:2008年02月14日 00:22