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  • 備考 短編,筋肉


「どうして……どうしてなの!?」

僕の前には、泣きそうな位に顔を歪めている半裸の少女が居る。
半年前、僕を僕を「あなたってちょっと頼りないし…」の一言でさっくり振ってくれた。
そして、今、再び出会いに行ったらあっさりと僕に一目惚れしたのだ。

今の僕は半年前の貧弱な坊やでは無い。
身体は良い具合に引き締まり、ポージングを取ればしなやかな筋肉が盛り上がる。
肌色も仕事で良い具合に赤銅色に焼き上がり、筋肉を良い具合に際だたせている。
これなら、振った彼女が蹌踉めくのも無理は無いだろう。現に、今のボクはかなりもてているのだ。
が……。

「ごめん、勝手な言いぐさだけど、ボクは君の事を抱けない」
「そんな……昔の事は謝ったじゃない。そんなに、私の事、許せないの……?」

泣きじゃくる彼女の言葉を背中で受け止めながら、萎えたままの息子をトランクスに格納。
振り返ると、そこにはスレンダーで華奢な少女がこちらを見上げていた。
潤んだ目に心がズキリと痛む。だが、ボクはこう言うしか無かった。

「ごめんね。もう、住む世界が違うんだ」
「下手な言い訳しないでよ馬鹿っ!」

わんわんと泣き出した彼女を置いて、ボクはラブホテルの一室から立ち去った。
下手な言い訳か……本当に事実なんだけどね。


「お、帰って来たな。待ってたぜ!」

家に帰るとでかい声がボクを出迎えた。
ボクの姿は既に仕事着である土木作業着になっている。
と言うか、この姿で居ろと言う彼女のご氏名である。土木作業員。
この仕事がボクを鍛え上げたと言っても過言ではない。
そして、同居人の仕事でもある。そう、目の前でガハハと笑っているマッチョなボクの彼女。

「飯喰おうぜ飯!」

見上げる程に高い身長。全身これ凶器と表現出来るマッチョな肢体。
西洋人を彷彿とさせるごつい顎に白く光る大きな歯並び。
ボクの身体なんて彼女に比べれば貧弱な坊やの範囲だ。
尤も、ボクは彼女に童貞を奪われ、犯さ……交際を続けた結果マッチョな女でしか感じなくなった。
そう、一縷の望みを賭けてもみた……が、先程の通り賭けに敗れた。
『体もあそこもばっちり鍛えてやるからな』の言葉通りボクは鍛え上げられた。
ムキムキマッチョ以外に勃起しない筋肉フェチへと。

「よーし、飯喰ったから腹ごなしに一発すっか!」

……これはこれで、幸せかもしれないけどさ。





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最終更新:2008年02月14日 00:32