はじめに
似非(エセ)推理小説。
著者が小説作成所(小説フォーラム交流所の前身)で「夢の中の少年」なるものを書いていた頃
一時期スランプとなり、その際に思い付き、書いた作品。
また、作品全体が『何とも形容しにくい混迷した流れ』に包まれているので、著者自身も良く話を理解できておらず、何度も修正を繰り返した。
その中で、グラロイド氏の助言が役に立ったので、ここで言っておく。
まあ、この作品を最初に書いたときは『犯人=真犯人』と『I need t → 停電』の発想から出発して、その度ごとに適当に書いていたので、当たり前といえば当たり前ですが。
中本阿郎というサブユーザーをわざわざ作って、別人のふりをして投稿しようとしたが、
誤って、本ユーザーで投稿してしまったのは秘密。
著者は今でも時々、もしあの時、ユーザーを間違えていなかったらどうなっていたのだろう、と考えている。
目次
wazapでの目次をコピーしただけ。
| 頁(ページ) | 内容 |
| 01 | 説明 |
| 02~07 | 序章 |
| 08~10 | 第一章 |
| 11~14 | 第二章 |
| 15~17 | 第三章 |
| 18~21 | 第四章 |
| 22 | 終章 |
| 24~27 | 追伸 |
登場人物
まず、登場人物名がほとんどアルファベット一文字という 欠点 特徴がある。
h
この小説の語り手。
n とは仲が良い。
探偵であるe と同居している。
n
醜男。猫背。陰湿っぽい。暗そう。見栄っ張り。嵩張る(カサバル)のが嫌い。スギ、ヒノキの花粉症。
もちろん――特にi にいじめられていた。
x
長身だがやせているわけではない。
留守電の設定は面倒だからと設定していない。
実は、留守電を利用して留守かどうか確かめる云々(ウンヌン)での犯罪が怖いのだが、それは彼の心の中で永遠に封印され続けるであろう秘密。
h 曰く、x は 洗濯して、 選択して、推理するのが得意。
j
美少年。超小柄(小学生並み)。膚(ハダ)が皓い(シロイ)。
彼のもとに変声期が訪れるのは弥勒菩薩が地上に下るとき(約五十六億七千万年後)。
(十九歳になったのに)電車は子供料金で乗り、レストランや病院に行くと飴をただでもらえ、映画ではいつも小学生料金という非常に経済的な体。
家が大金持ちなので、一人暮らしなのに某教授の敵の屋敷を髣髴(ホウフツ)とさせる寂しげな屋敷に住んでいる。
自宅(館)に入ると、性格が変わる――正しくは、もとに戻る。
i
美青年だが、美少年のj には劣る。
自己過信、自己中心的な点が顕著。
学生の身分で、一月でおしゃれのために ゥン万円使ってるとか、使ってないとか。
また、麻薬に関するうわさもちらほら。
前述の通り、n 等をいじめていた。
e
探偵。
「彼の言葉は余りに、高等すぎて――」
h は探偵であるeに陶酔し気味。
内容
文体
きのこのこ氏からの賞賛の言葉
文体が特徴的なので特筆していますけど、要点を言えば、取っつきづらい、けれど追って読んでいけばふっと面白さを感じる、そういう書き方だと思います。
ていうかむしろ、これを読みやすくするのは無理に近いと思うので、この読みにくさを敢えて誇ってもいいと思いますけどね。
御察しの通り、読みにくいが、特徴的なものです。
ストーリー
ある日、h の友人のn の死体が発見される。
そして、現地に向かうと、旧友のx 、j に遭遇し――。
著者が、推理小説は好きだが、「長々と証拠集めの部分を読むのはちょっと……」という微妙な好みの所為(セイ)でこの作品はもはや推理小説とは呼べず、「推理を主軸にした不思議な雰囲気の作品」になってしまった作品。
他作品の影響
「黒死館殺人事件」から『包水クラロール』、『終幕(カーテンフォール)』
「毒入りチョコレート事件」から『複数の人物によるナゾトキ』
「レイトン教授」から『アンソニー』
綾辻行人の作品から『云(イ)う』
BLEACHの涅(クロツチ)マユリの科白(セリフ)から『――もっとも<完全>に近付きつつ、<不完全>な状態を保ち続ける――』
「仮題・中学生殺人事件」「盗作・高校生殺人事件」 (著者:辻真先氏)から『犯人=真犯人』の発想
「名探偵コナン」から『土の中では死体の腐敗速度が八分の一』
「虚無への供物」から『皓い(シロイ)』
他、多数。
第四回非公式オススメ小説選定での<<レビューの神>>きのこのこさんからいただいた感想
題名:新たな真犯人 作者:Ytsk 氏 感想原案を書いた後に追記が投稿されたりwikiが編集されたりしたという。 全体を通して、文学的というか、言葉を選んで敢えて難しい表現を選び見通しのつきにくい構成にしてあるけれども、 しかし必ずしもそれに拘っているわけではない、という印象を受けました。 誰でも一度は複雑な漢字、回りくどい表現などを格好良いと思う時期があるとは思うのですが、 ただ難解な言い回しに憧れる人の文章では、この作品のようにはならないだろうなというのは読みながら何となく思いました。 ただし。どう頑張っても、一筋縄では読ませない、近寄りにくい文章ではあります。 登場人物が英字一文字で表されていたりするのは最たる例かと(wikiにありましたが)。 名前とキャラクターが結びつかないので把握しづらいです。 作品の雰囲気にはマッチしていると思いますが、こういった文章を読むには慣れが必要ですし、 常用ではない方の漢字を多用している書き方に関しては読む側の好みが分かれるポイントだと思います。 が、面白いのは、すんなりと頭に入ってこない文章の中に、所々笑い要素としか思えない部分が見受けられるところです。 これがあるとないとでは、読み進めるモチベーションにだいぶ差があっただろうという気がします。 まあこの要素、例えて言うと、白の碁石が敷き詰められた中に黒い碁石が混じっている、そんな目立つ投入の仕方がされているので、 これも好みが分かれるとは思いますが、僕のようなコミカル味大好きな人間は、ずっと粛々と進むよりかいいと思っています。 そしてそういう要素は引っ張らず、白けた雰囲気で次へと流してしまうあたりが、この作品の妙に気怠い、あるいは凝り固まらない雰囲気を醸成していると感じました。 ……何だか自分も堅苦しいことを言ってますが。 文体が特徴的なので特筆していますけど、要点を言えば、取っつきづらい、けれど追って読んでいけばふっと面白さを感じる、そういう書き方だと思います。 ていうかむしろ、これを読みやすくするのは無理に近いと思うので、この読みにくさを敢えて誇ってもいいと思いますけどね。 ストーリーはどうでしょう、正直なところ何遍か読み返してみても完全に理解できた気がしないのですが、推理のミステリ味は薄いと感じました。 いや、ミステリーの雰囲気はびんびんに放出されているんですが、果たして作者さんの意図はどうであれ、推理モノ特有の種明かしの際の緊張した空気がこっちまで流れてきません。 というのも。この作品は会話を中心に話が進んでいるようなので、推理モノの定番である推理材料提示を事前にするのは限度があるはずです。 展開も、予備知識なしに登場人物たちの会話を聞いてしまったようなものですしね。 反面、ブチ切れの原因が何だとか、お互いの推理合戦だとか、アンソニーが何だとか、微かに滑稽さを感じる要素が随所に散らされ、文章全体にそんな要素が滲んでいます。 ナゾトキという言い回しに関しては完全にアンソニー関連だろうかと思いました。 それによって、本格推理小説……とは何か違う雰囲気になっています。 「推理作品だな」ではなく、「推理を主軸にした不思議な雰囲気の作品だな」というのが一連の流れについて思った感想です。 どちらが良いのかは一概には言えないところですけど。 さて、どうも上手く言い表すことができないのですが……。 スパリとは割れません。オチはそのものずばり表されていますが、それまで何とも形容しにくい混迷した流れが続きます。 繰り返し読んで、やっとこさっとこ辛うじて、話の繋がりの輪郭が見えてきました。 それくらい難しい小説であったと思います。 しかし、まあ、読んでみて、これはこうなのかな? こうなるのかな? と、色々と想像を働かせられる作品であったことには間違いありません。 読む人を選びますが、奥行きの感じられる、頭を使う小説でした。