(06)798 『その名はリゾ・リゾ』

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&br() 今日は定休日の『リゾナント』をちょっと覗いてみましょう。 おや、なんだか場違いな手描きポスターが貼られていますよ。 『彼女にしたい女No1 絵里 争奪戦!』 れいなとさゆが何やら言い争ってます。 「絵里といちばん付き合いの長いんはれいなやけん、誰にも渡せんとよ」 「付き合いの長さなら、さゆみも同じなの。今日こそ決着を付けるの」 「カラオケ勝負やったら負けんとよ?」 「自分の不利なフィールドで戦うほど愚かじゃないの」 「そしたら、ダンス?」 「ダンスだったら、さゆみもエアロビの大会に出場経験があるから、れーなに勝ち目はないの」 「そんなこと言い出しよったら、種目決まらんとね。走るのんは好かんとよ」 「今日のために特訓したメニューがあるの。れーな敗れたり」 「特訓しとったんはさゆだけやないっちゃん。れいなも秘密兵器があるけんね」 不適な笑みを浮かべて対峙する、れいなとさゆ。 「はい!ここで解説入りまーす。はい、ガキさんマイク」 店内を見渡せるカウンター席に陣取った愛ちゃん。 「ちょ、うぇ?解説ってなに?それにマイクってどこから出したのよ?」 たまたま遊びに来ていたガキさん、愛ちゃんに引っ張られて、当惑気味ながらもしっかりとインカムを装着します。 「はい、全国1億3千万の『あっちの料理ショー』ファンの皆様。 今週も料理対決の時間がやってまいりました。こちらは解説のガキさんです」 「あ、どうも」 「さて、いよいよさゆとれいなの対決となったわけですが、ガキさん、いきさつご存知ですか?」 「愛ちゃん、私、これから予定あるんだけど・・・」 「そうですか、ガキさんにも情報入ってないと。二人の様子をしばらく見てみましょう」 「・・・愛ちゃん?」 二人が解説をしている間に、れいなは二階の自室、<れいな城>で着替えてきたようです。 「このスタイルを見るったい!れいなの勝ちは決まったようなもんやね」白づくめの武道着を見せつけます。 「笑止千万。そんなこけおどしに動揺するようなさゆみじゃないの。変身!」突然変身するさゆ。 ~リゾナンターのボディースーツは勝手に装着されるわけではないので、 変身したいときはどこかの部屋に入って着替えるのだ。解説終わり~ <れいな城>で着替えるさゆ。 「あれ、なんだかお腹、ちょっときついかもしれないの。えい!」 ビリッ 「・・・見えなければ、どうと言うことはないの」 手近にあったタオルを巻いて隠すと、駆け足でキッチンへ戻ります。 「ちょ!さゆ!それ、れいなが買った絵里のファイバータオルやん!」 「今はリゾピンクなの。さゆみなんて人はどこにもいないの。 さあ、ならず者はこのリゾピンクが天にかわっておしおきしてくれるの」 「れいなはならず者やないっちゃ!実力を見せてやるとよ」 「望むところよ、なの」 「料理対決!レディー、ゴー!」フライパンをカーンと鳴らして、解説席に座りなおす愛ちゃん。 「さあ、両者戦闘スタイルに着替えての勝負が開始しましたが、 ガキさん、この勝負の行方はどう見ますか?」完全にやる気の愛ちゃん。 「んー、二人ともそんなに料理しないって言ってますから、どうでしょうかねぇ」 そんな愛ちゃんになりゆきで付き合うガキさん。 「ちなみに、今回さゆはかぼちゃシフォン、れいなはガトーショコラを製作するとのこと・・・ あっ、さゆ、やのうて、リゾピンクに動きがあったようです。リゾナントパワーの発動を感じます」 「パワーって・・・ちょっと愛ちゃん、店内でそれマズいんじゃない?」 「ガキさん、試合中は解説者に徹してほしいがし」 「すみません」素に戻った愛ちゃんに怒られておとなしくなるガキさん。 「うさちゃんホールド!」 雲を自在に操る能力を使って、二体のうさちゃんを呼び出すさゆ。 「うさちゃんズがいれば、メレンゲ作るのも楽勝なの」 「力のうさ一号は、ボウルを支えて。技のうさ二号は、泡立てて」厳しい叱咤が飛びます。 「うさ一号!ボウル傾けすぎ!うさ二号、もっとやさしくしないと、卵白がこぼれるの」 腕組みしているだけのうさマスター(=さゆ)に文句を言いたそうなうさちゃんズ。 が、うさちゃんには口がついていなかった模様です。 もどかしそうに顔を振るしかないうさ一号と二号、哀れ。 (口を付けなかったのは正解みたいなの) 「一方、こちらはれいな。リゾピンクが2倍のパワーであっという間に仕上げてきていますが、 れいなはどう出るでしょうか、ガキさん」 「さぁ、田中っちは身体能力のほかにはこれといって技がありませんから・・・どうですかねぇ」 リゾピンクのほうをちらっと見たれいな。数秒間、精神を統一すると、 「今こそ、高尾山にこもって三日間ボスと修行した成果を見せるとよ!変身!」 獣化したれいな。・・・というか、いわゆる猫娘。 猫になってしまうと、服はどうするとか、肉球が邪魔で何も持てないだとか、 いろいろ問題が多いので、あくまで猫娘です。 猫娘なので、手(前足)でものをつかめます。 「これで勝利はいただくとよ。まずはれいなクロー!」 シャキンと伸びる鋭い爪。板チョコを投げ上げると、 「両手のクローでいつもの二倍の作業スピード、背が足りんけん、いつもの二倍の踏み台、 そしていつもの三倍のスピンを加えれば、リゾピンク、お前の負けっちゃ!」 細かく刻まれたチョコがパラパラと落ちてくるのを見ながら、得意そうに爪をなめるれいな。 「おおっと!れいなが白猫、いえ、白い猫娘に変身しました。この狙いはなんでしょう、ガキさん?」 「さぁ・・・近頃はなんでも華麗に変身!するのが流行ってるからでしょうかねぇ」 「でも、そんな面倒なことせんでも、できあいのヌーベルチュール(小分けのチョコ)使えばよかったがし」 「愛ちゃん、なまってる、なまってるから!」 「さて、さゆみはこの間にかぼちゃを用意するの」 切り分けて皮をむいたかぼちゃをレンジアップした後、すりこ木で荒くつぶします。 ふと、さゆ・・・リゾピンクがうさちゃんズを振り返ると・・・かなりお疲れの様子。 「どうやらメレンゲができたようだから、次は卵黄を混ぜ混ぜしまーす」 ほぐした卵黄に砂糖を足していき、滑らかになるまで擂り混ぜたら、 エッセンスとシナモン、サラダ油とかぼちゃを順に加えていきます。 もちろん、混ぜるのはうさちゃんズの仕事。 「おや、リゾピンクはメレンゲ作りを終えて生地作りに入るようですが、ガキさんどうですか?」 「私ケーキとかあんまり作らないから、よくわからないんだけど、うさちゃんズですか、 なんかヤケになって混ぜてるように見えます」 「そういわれれば、そうですねぇ。あの段階で混ぜすぎると、生地を練ったことになって ベーキングパウダーの効果が薄れてしまいますから・・・さぁ、最終段階にはいりました」 「楽しみですねぇ」 「あれ?なんか生地がもったりしすぎて重いの・・・絵里、生クリーム50ccって言ってたよねぇ? ・・・もしかしてあなたたち、手抜いた?」首をかしげるうさちゃんズに疑問をぶつけるリゾピンク。 (知らない、知らない)と首をふるふると左右に振るうさちゃんズです。 「そしてこちら、猫娘れいな。チョコを刻んだのはいいですが、 溶かしている間にメレンゲ作りは間に合うんでしょうか」 「さー、どーでしょうーか。また二倍二倍とかやるんじゃないですかー?」 いい加減疲れてきたのか、少し投げやりなガキさん。 「ガキさん、真面目にやるがし」 「ゴメン、愛ちゃん」 バターと刻んだチョコをボウルに入れて、湯せんするれいな。 「♪恋という字を~辞書で引いたと~ あっ!メレンゲ作らんといかんやん!仕方ないけん、トロ火トロ火、っと」 ボウルの底に冷凍庫から出してきたフリーザーバッグを当てながら、卵白を素早く泡立てます。 「9分立て完了・・・っと。れいなはリゾピンクみたいな邪道な真似はしよらんとよ」 しばらくして、溶けたチョコを小皿に取るれいな。 「・・・あれ、れいな熱いの食べられんの忘れとったと。熱すぎて、ようわからんと」 「おや、どうやられいなは猫舌でチョコの温度がわからないようです。れいなピンチ!」 「何で温度が大事なんですか、愛ちゃん?」 「鍋の温度が高すぎると、チョコがガサガサになってしまって、きれいにならんのよ。 っていうか、あっしがなめて確認するようにアドバイスしたんやった。アッヒャー」 「ガクッ」力が抜けてずっこけるガキさん。 れいなは、チョコが溶けたのをなんとか見計らって、混ぜてあった生地と合わせます。 「愛ちゃんによると、チョコは50度くらいやし、固まるの早いけん、急がんと・・・!」 メレンゲを分けて混ぜ、型に流し込むれいな。 「あとは焼くだけっちゃん」 リゾピンクを見つめる挑戦的なれいなの目。 「その程度の実力でさゆみに勝とうなんて片腹痛いの」 こちらも焼く寸前までこぎつけ、うさちゃんズに肩を揉ませながら微笑むリゾピンク。 「どうやら両者焼きに入るようです。ここまでの流れどうでしょう、ガキさん」 「うーん、レシピ自体、ガトーショコラは愛ちゃん、かぼちゃシフォンはかめから、 それぞれ直伝のものらしいですから、どうなるか・・・」 「でも、実際に作るのは二人なわけですしね。あっ、いったんCMでーす」 「大衝撃の結果発表は60秒後!」 <CM> やさしい中国語会話~りぞなグループ編~ 初心者からカンタンに学べる、中国語会話本です! 特製シールと中国語版イタ電撃退CDつき 近日発売! 「CMの間にオーブンが稼動したようですね。焼き上がりまであと30分ほどです」 「愛ちゃん、ちょっと買い物行ってきていいかな?私、バーゲンに・・・」 「ガキさん、仲間が戦ってるのに、ガキさんはそれが気にならんの?」 「私が悪かった、愛ちゃん。これ終わるまでがんばるから」 「それでこそガキさんや」 「トホホ・・・」 ほぼ同時に、チーンというオーブンの音が鳴ります。 竹串を刺して、焼け具合を確かめる、れいなとリゾピンク。 お互いうなづくとケーキを取り出して、あら熱を取ります。 シフォンケーキは、焼けたらすぐにひっくり返さないとメレンゲがしぼんでしまいます。 ケーキの型を少し持ち上げようとして失敗するリゾピンク。 「熱い!うさ一号二号、あなた達ひっくり返して。早くするの!」 ためらいつつ、涙目になって型を裏返すうさ一号と二号。 れいなはそんな様子を見つつ、 「れいな、さゆの部下やなくてよかったっちゃね・・・うさちゃんズは可哀想やけど」 「話の都合で2時間経ったがし。ケーキが冷めたんで、試食ターイム!」 「愛ちゃん、誰のキャラ?」 最初はリゾピ・・・さゆのかぼちゃシフォンケーキです。 「うん、おいしい。でも、このモチモチしたの、なんやろ?」 「そうねぇ。シフォンケーキってもっとふわふわしてるはず」 「おおかた、さゆがうさちゃんズをこき使ったけん、あいつらが反抗しよったんやろ」 「れーなうるさい!まだれーなの試食してないの」 次いで、れいなのガトーショコラにナイフを入れて、試食。 「れいな上手いじゃん。あーしのには及ばんけど」 「愛ちゃん、もう少しほめなよ。田中っち、すごい上手だよ」 「認めたくないものなの。かわいさゆえの過ちを」 「さゆ、意味わからんし。自分で言うんもなんやけど、これイケる気がすると」 「さて!試食が終わって、いよいよ審査結果発表です」 「愛ちゃん、もう司会者はいらないから」 「ドキドキするっちゃ」 「さゆみのケーキになりますように」 「発表します・・・」 つばを飲むれいなとさゆ。 「勝者、れいな。ガトーショコラ。ちなみにガキさんも同じやて」 「勝ったとー!絵里はれいなのものやし!あと、メニューにも加えていいと?」 「まぁ、勝者のごほうびやったしね。ほんで、絵里を争奪ってどういうこと?」 「それはれいなとさゆみだけの取り決めなの。勝ったほうが正式に絵里を彼女にするっていう・・・」 「おっ待たせ~!」カランコローン。 『リゾナント』のドアが勢いよく開いて、飛び込んできたのは・・・えりりんですね。 ポカーンと見つめる四人。 「あれ、どーしたの?今日約束してたでしょ?」珍しく違和感を感じたのか、とりあえず聞いてみるえりりん。 「絵里、遅い!3時間遅刻」いつものことながら、さすがに機嫌の悪そうなさゆ。 「やっぱり、絵里には無理やったとか」こちらもあきれているれいな。 「あれ、もうケーキ食べてるんだ。ねぇねぇ愛ちゃん、絵里ちょっとお家で作ってきたんだけど、 味見してもらってもいい?」 「そら、ええけど。なに?」 「エヘヘ。じゃーん。夏野菜リゾットと豆腐ヨーグルトムースでーす」自信たっぷりに、メニューを披露するえりりん。 さっそく試食しましょう。 「超おいしー!あっさりしてるから、いくらでも入るがし」 「かめ、ヤルじゃん」 「絵里は料理上手いっちゃね」 「うん。おいしいよ。絵里、このコンセプトは何なの?」 「『リゾナント』で出すメニューだから、9人のカラーを入れてみましたよ? 黄色はコーン、黄緑はアスパラ、オレンジはかぼちゃ、ピンクはベーコン、赤はにんじん、紫はなす、緑はグリンピース」 一同からおお、という感心した声が漏れます。 「かぼちゃはどこに入ってたの?」 「かぼちゃは煮るときに溶けて、まんべんなく行き渡っております。絵里の愛は宇宙に広がるんですよ?・・・」 あぁ、そこは誰も突っ込まないんですね。 「あれ、れいなとジュンジュンは?」名前の挙がった色を指折り数えてみたれいな。 「それがさぁ。青系統の食べ物ってあんまりないんだよね~。で、これ」豆腐ムースを指差すえりりん。 「ムースって白やん」 「上だよ、上。かかってるブルーベリーソースで、れーなとジュンジュンの二人分。ごめんねぇ」 「愛ちゃん、これ正式メニューにしようよ。絶対ウケるって」 「でもガキさん、さっきの勝負もあるし・・・」 「構わんとよ。いまさゆと話したっちゃけど、ケーキばっかりいっぱいあっても困るけんね」 「え?絵里のメニューが採用!?ヤッター!れーな大好き!」えりりんに抱きつかれて、首が締まったのか苦しそうなれいな。 「絵里、次はさゆみの番なの」抱きつかれるのを待っているさゆ。 「ほんだら、絵里のリゾットとムースをセットで、メニューにするがし。あと、名前なんやけど」 「それはもちろん、リゾ・リゾなの」 「それ、新メニューのアイディア出しのときの没案やろ?さゆ、執念深いっちゃね」 「ほめ言葉として取っておくの」 「いいアイディアじゃん、さゆみん」 「じゃあ、店長として決めるがし。新メニューはリゾ・リゾ。絵里はあとでレシピ教えてね」 「レシピですかぁ?材料は覚えてるんですけどー、テキトーに作っちゃったんで、覚えてません」 ズッコける一同。 「ま、まぁ、リゾットやったら、バターかオリーブ油で炒めてからスープを足しながら作ればいいから、 なんとかなると思うし」 「絵里も手伝います、愛ちゃん」 「あっ!もう7時じゃん!駅前のバーゲン終わっちゃう。じゃ、私これで」カランコローン。 飛び出していくガキさん。 「ところでれーな、絵里のことなんだけど」 「負けんとよ。勝負ならいつでも受けて立つけん」 火花を散らす、さゆとれいな。 「勝負って何ですか、愛ちゃん?」 「なんか、勝ったほうが絵里を彼女にできるって、そんなこと言うとったけど」 「ふーん。女の子同士でそんなの変ですよ?そんなの決めなくても、愛ちゃんもいるしー。ねー」 「エア卓球をするたか子!」 「愛ちゃんオモロー!」 渾身のギャグを見せ合ってイチャイチャする二人を眺めつつ、 お互いにけん制しあって仲間に入れない、さゆとれいなです。 ファイル 208-2.jpgファイル 208-1.jpg ---- ---- ----
&br() 今日は定休日の『リゾナント』をちょっと覗いてみましょう。 おや、なんだか場違いな手描きポスターが貼られていますよ。 『彼女にしたい女No1 絵里 争奪戦!』 れいなとさゆが何やら言い争ってます。 「絵里といちばん付き合いの長いんはれいなやけん、誰にも渡せんとよ」 「付き合いの長さなら、さゆみも同じなの。今日こそ決着を付けるの」 「カラオケ勝負やったら負けんとよ?」 「自分の不利なフィールドで戦うほど愚かじゃないの」 「そしたら、ダンス?」 「ダンスだったら、さゆみもエアロビの大会に出場経験があるから、れーなに勝ち目はないの」 「そんなこと言い出しよったら、種目決まらんとね。走るのんは好かんとよ」 「今日のために特訓したメニューがあるの。れーな敗れたり」 「特訓しとったんはさゆだけやないっちゃん。れいなも秘密兵器があるけんね」 不適な笑みを浮かべて対峙する、れいなとさゆ。 「はい!ここで解説入りまーす。はい、ガキさんマイク」 店内を見渡せるカウンター席に陣取った愛ちゃん。 「ちょ、うぇ?解説ってなに?それにマイクってどこから出したのよ?」 たまたま遊びに来ていたガキさん、愛ちゃんに引っ張られて、当惑気味ながらもしっかりとインカムを装着します。 「はい、全国1億3千万の『あっちの料理ショー』ファンの皆様。 今週も料理対決の時間がやってまいりました。こちらは解説のガキさんです」 「あ、どうも」 「さて、いよいよさゆとれいなの対決となったわけですが、ガキさん、いきさつご存知ですか?」 「愛ちゃん、私、これから予定あるんだけど・・・」 「そうですか、ガキさんにも情報入ってないと。二人の様子をしばらく見てみましょう」 「・・・愛ちゃん?」 二人が解説をしている間に、れいなは二階の自室、<れいな城>で着替えてきたようです。 「このスタイルを見るったい!れいなの勝ちは決まったようなもんやね」白づくめの武道着を見せつけます。 「笑止千万。そんなこけおどしに動揺するようなさゆみじゃないの。変身!」突然変身するさゆ。 ~リゾナンターのボディースーツは勝手に装着されるわけではないので、 変身したいときはどこかの部屋に入って着替えるのだ。解説終わり~ <れいな城>で着替えるさゆ。 「あれ、なんだかお腹、ちょっときついかもしれないの。えい!」 ビリッ 「・・・見えなければ、どうと言うことはないの」 手近にあったタオルを巻いて隠すと、駆け足でキッチンへ戻ります。 「ちょ!さゆ!それ、れいなが買った絵里のファイバータオルやん!」 「今はリゾピンクなの。さゆみなんて人はどこにもいないの。 さあ、ならず者はこのリゾピンクが天にかわっておしおきしてくれるの」 「れいなはならず者やないっちゃ!実力を見せてやるとよ」 「望むところよ、なの」 「料理対決!レディー、ゴー!」フライパンをカーンと鳴らして、解説席に座りなおす愛ちゃん。 「さあ、両者戦闘スタイルに着替えての勝負が開始しましたが、 ガキさん、この勝負の行方はどう見ますか?」完全にやる気の愛ちゃん。 「んー、二人ともそんなに料理しないって言ってますから、どうでしょうかねぇ」 そんな愛ちゃんになりゆきで付き合うガキさん。 「ちなみに、今回さゆはかぼちゃシフォン、れいなはガトーショコラを製作するとのこと・・・ あっ、さゆ、やのうて、リゾピンクに動きがあったようです。リゾナントパワーの発動を感じます」 「パワーって・・・ちょっと愛ちゃん、店内でそれマズいんじゃない?」 「ガキさん、試合中は解説者に徹してほしいがし」 「すみません」素に戻った愛ちゃんに怒られておとなしくなるガキさん。 「うさちゃんホールド!」 雲を自在に操る能力を使って、二体のうさちゃんを呼び出すさゆ。 「うさちゃんズがいれば、メレンゲ作るのも楽勝なの」 「力のうさ一号は、ボウルを支えて。技のうさ二号は、泡立てて」厳しい叱咤が飛びます。 「うさ一号!ボウル傾けすぎ!うさ二号、もっとやさしくしないと、卵白がこぼれるの」 腕組みしているだけのうさマスター(=さゆ)に文句を言いたそうなうさちゃんズ。 が、うさちゃんには口がついていなかった模様です。 もどかしそうに顔を振るしかないうさ一号と二号、哀れ。 (口を付けなかったのは正解みたいなの) 「一方、こちらはれいな。リゾピンクが2倍のパワーであっという間に仕上げてきていますが、 れいなはどう出るでしょうか、ガキさん」 「さぁ、田中っちは身体能力のほかにはこれといって技がありませんから・・・どうですかねぇ」 リゾピンクのほうをちらっと見たれいな。数秒間、精神を統一すると、 「今こそ、高尾山にこもって三日間ボスと修行した成果を見せるとよ!変身!」 獣化したれいな。・・・というか、いわゆる猫娘。 猫になってしまうと、服はどうするとか、肉球が邪魔で何も持てないだとか、 いろいろ問題が多いので、あくまで猫娘です。 猫娘なので、手(前足)でものをつかめます。 「これで勝利はいただくとよ。まずはれいなクロー!」 シャキンと伸びる鋭い爪。板チョコを投げ上げると、 「両手のクローでいつもの二倍の作業スピード、背が足りんけん、いつもの二倍の踏み台、 そしていつもの三倍のスピンを加えれば、リゾピンク、お前の負けっちゃ!」 細かく刻まれたチョコがパラパラと落ちてくるのを見ながら、得意そうに爪をなめるれいな。 「おおっと!れいなが白猫、いえ、白い猫娘に変身しました。この狙いはなんでしょう、ガキさん?」 「さぁ・・・近頃はなんでも華麗に変身!するのが流行ってるからでしょうかねぇ」 「でも、そんな面倒なことせんでも、できあいのヌーベルチュール(小分けのチョコ)使えばよかったがし」 「愛ちゃん、なまってる、なまってるから!」 「さて、さゆみはこの間にかぼちゃを用意するの」 切り分けて皮をむいたかぼちゃをレンジアップした後、すりこ木で荒くつぶします。 ふと、さゆ・・・リゾピンクがうさちゃんズを振り返ると・・・かなりお疲れの様子。 「どうやらメレンゲができたようだから、次は卵黄を混ぜ混ぜしまーす」 ほぐした卵黄に砂糖を足していき、滑らかになるまで擂り混ぜたら、 エッセンスとシナモン、サラダ油とかぼちゃを順に加えていきます。 もちろん、混ぜるのはうさちゃんズの仕事。 「おや、リゾピンクはメレンゲ作りを終えて生地作りに入るようですが、ガキさんどうですか?」 「私ケーキとかあんまり作らないから、よくわからないんだけど、うさちゃんズですか、 なんかヤケになって混ぜてるように見えます」 「そういわれれば、そうですねぇ。あの段階で混ぜすぎると、生地を練ったことになって ベーキングパウダーの効果が薄れてしまいますから・・・さぁ、最終段階にはいりました」 「楽しみですねぇ」 「あれ?なんか生地がもったりしすぎて重いの・・・絵里、生クリーム50ccって言ってたよねぇ? ・・・もしかしてあなたたち、手抜いた?」首をかしげるうさちゃんズに疑問をぶつけるリゾピンク。 (知らない、知らない)と首をふるふると左右に振るうさちゃんズです。 「そしてこちら、猫娘れいな。チョコを刻んだのはいいですが、 溶かしている間にメレンゲ作りは間に合うんでしょうか」 「さー、どーでしょうーか。また二倍二倍とかやるんじゃないですかー?」 いい加減疲れてきたのか、少し投げやりなガキさん。 「ガキさん、真面目にやるがし」 「ゴメン、愛ちゃん」 バターと刻んだチョコをボウルに入れて、湯せんするれいな。 「♪恋という字を~辞書で引いたと~ あっ!メレンゲ作らんといかんやん!仕方ないけん、トロ火トロ火、っと」 ボウルの底に冷凍庫から出してきたフリーザーバッグを当てながら、卵白を素早く泡立てます。 「9分立て完了・・・っと。れいなはリゾピンクみたいな邪道な真似はしよらんとよ」 しばらくして、溶けたチョコを小皿に取るれいな。 「・・・あれ、れいな熱いの食べられんの忘れとったと。熱すぎて、ようわからんと」 「おや、どうやられいなは猫舌でチョコの温度がわからないようです。れいなピンチ!」 「何で温度が大事なんですか、愛ちゃん?」 「鍋の温度が高すぎると、チョコがガサガサになってしまって、きれいにならんのよ。 っていうか、あっしがなめて確認するようにアドバイスしたんやった。アッヒャー」 「ガクッ」力が抜けてずっこけるガキさん。 れいなは、チョコが溶けたのをなんとか見計らって、混ぜてあった生地と合わせます。 「愛ちゃんによると、チョコは50度くらいやし、固まるの早いけん、急がんと・・・!」 メレンゲを分けて混ぜ、型に流し込むれいな。 「あとは焼くだけっちゃん」 リゾピンクを見つめる挑戦的なれいなの目。 「その程度の実力でさゆみに勝とうなんて片腹痛いの」 こちらも焼く寸前までこぎつけ、うさちゃんズに肩を揉ませながら微笑むリゾピンク。 「どうやら両者焼きに入るようです。ここまでの流れどうでしょう、ガキさん」 「うーん、レシピ自体、ガトーショコラは愛ちゃん、かぼちゃシフォンはかめから、 それぞれ直伝のものらしいですから、どうなるか・・・」 「でも、実際に作るのは二人なわけですしね。あっ、いったんCMでーす」 「大衝撃の結果発表は60秒後!」 <CM> やさしい中国語会話~りぞなグループ編~ 初心者からカンタンに学べる、中国語会話本です! 特製シールと中国語版イタ電撃退CDつき 近日発売! 「CMの間にオーブンが稼動したようですね。焼き上がりまであと30分ほどです」 「愛ちゃん、ちょっと買い物行ってきていいかな?私、バーゲンに・・・」 「ガキさん、仲間が戦ってるのに、ガキさんはそれが気にならんの?」 「私が悪かった、愛ちゃん。これ終わるまでがんばるから」 「それでこそガキさんや」 「トホホ・・・」 ほぼ同時に、チーンというオーブンの音が鳴ります。 竹串を刺して、焼け具合を確かめる、れいなとリゾピンク。 お互いうなづくとケーキを取り出して、あら熱を取ります。 シフォンケーキは、焼けたらすぐにひっくり返さないとメレンゲがしぼんでしまいます。 ケーキの型を少し持ち上げようとして失敗するリゾピンク。 「熱い!うさ一号二号、あなた達ひっくり返して。早くするの!」 ためらいつつ、涙目になって型を裏返すうさ一号と二号。 れいなはそんな様子を見つつ、 「れいな、さゆの部下やなくてよかったっちゃね・・・うさちゃんズは可哀想やけど」 「話の都合で2時間経ったがし。ケーキが冷めたんで、試食ターイム!」 「愛ちゃん、誰のキャラ?」 最初はリゾピ・・・さゆのかぼちゃシフォンケーキです。 「うん、おいしい。でも、このモチモチしたの、なんやろ?」 「そうねぇ。シフォンケーキってもっとふわふわしてるはず」 「おおかた、さゆがうさちゃんズをこき使ったけん、あいつらが反抗しよったんやろ」 「れーなうるさい!まだれーなの試食してないの」 次いで、れいなのガトーショコラにナイフを入れて、試食。 「れいな上手いじゃん。あーしのには及ばんけど」 「愛ちゃん、もう少しほめなよ。田中っち、すごい上手だよ」 「認めたくないものなの。かわいさゆえの過ちを」 「さゆ、意味わからんし。自分で言うんもなんやけど、これイケる気がすると」 「さて!試食が終わって、いよいよ審査結果発表です」 「愛ちゃん、もう司会者はいらないから」 「ドキドキするっちゃ」 「さゆみのケーキになりますように」 「発表します・・・」 つばを飲むれいなとさゆ。 「勝者、れいな。ガトーショコラ。ちなみにガキさんも同じやて」 「勝ったとー!絵里はれいなのものやし!あと、メニューにも加えていいと?」 「まぁ、勝者のごほうびやったしね。ほんで、絵里を争奪ってどういうこと?」 「それはれいなとさゆみだけの取り決めなの。勝ったほうが正式に絵里を彼女にするっていう・・・」 「おっ待たせ~!」カランコローン。 『リゾナント』のドアが勢いよく開いて、飛び込んできたのは・・・えりりんですね。 ポカーンと見つめる四人。 「あれ、どーしたの?今日約束してたでしょ?」珍しく違和感を感じたのか、とりあえず聞いてみるえりりん。 「絵里、遅い!3時間遅刻」いつものことながら、さすがに機嫌の悪そうなさゆ。 「やっぱり、絵里には無理やったとか」こちらもあきれているれいな。 「あれ、もうケーキ食べてるんだ。ねぇねぇ愛ちゃん、絵里ちょっとお家で作ってきたんだけど、 味見してもらってもいい?」 「そら、ええけど。なに?」 「エヘヘ。じゃーん。夏野菜リゾットと豆腐ヨーグルトムースでーす」自信たっぷりに、メニューを披露するえりりん。 さっそく試食しましょう。 「超おいしー!あっさりしてるから、いくらでも入るがし」 「かめ、ヤルじゃん」 「絵里は料理上手いっちゃね」 「うん。おいしいよ。絵里、このコンセプトは何なの?」 「『リゾナント』で出すメニューだから、9人のカラーを入れてみましたよ? 黄色はコーン、黄緑はアスパラ、オレンジはかぼちゃ、ピンクはベーコン、赤はにんじん、紫はなす、緑はグリンピース」 一同からおお、という感心した声が漏れます。 「かぼちゃはどこに入ってたの?」 「かぼちゃは煮るときに溶けて、まんべんなく行き渡っております。絵里の愛は宇宙に広がるんですよ?・・・」 あぁ、そこは誰も突っ込まないんですね。 「あれ、れいなとジュンジュンは?」名前の挙がった色を指折り数えてみたれいな。 「それがさぁ。青系統の食べ物ってあんまりないんだよね~。で、これ」豆腐ムースを指差すえりりん。 「ムースって白やん」 「上だよ、上。かかってるブルーベリーソースで、れーなとジュンジュンの二人分。ごめんねぇ」 「愛ちゃん、これ正式メニューにしようよ。絶対ウケるって」 「でもガキさん、さっきの勝負もあるし・・・」 「構わんとよ。いまさゆと話したっちゃけど、ケーキばっかりいっぱいあっても困るけんね」 「え?絵里のメニューが採用!?ヤッター!れーな大好き!」えりりんに抱きつかれて、首が締まったのか苦しそうなれいな。 「絵里、次はさゆみの番なの」抱きつかれるのを待っているさゆ。 「ほんだら、絵里のリゾットとムースをセットで、メニューにするがし。あと、名前なんやけど」 「それはもちろん、リゾ・リゾなの」 「それ、新メニューのアイディア出しのときの没案やろ?さゆ、執念深いっちゃね」 「ほめ言葉として取っておくの」 「いいアイディアじゃん、さゆみん」 「じゃあ、店長として決めるがし。新メニューはリゾ・リゾ。絵里はあとでレシピ教えてね」 「レシピですかぁ?材料は覚えてるんですけどー、テキトーに作っちゃったんで、覚えてません」 ズッコける一同。 「ま、まぁ、リゾットやったら、バターかオリーブ油で炒めてからスープを足しながら作ればいいから、 なんとかなると思うし」 「絵里も手伝います、愛ちゃん」 「あっ!もう7時じゃん!駅前のバーゲン終わっちゃう。じゃ、私これで」カランコローン。 飛び出していくガキさん。 「ところでれーな、絵里のことなんだけど」 「負けんとよ。勝負ならいつでも受けて立つけん」 火花を散らす、さゆとれいな。 「勝負って何ですか、愛ちゃん?」 「なんか、勝ったほうが絵里を彼女にできるって、そんなこと言うとったけど」 「ふーん。女の子同士でそんなの変ですよ?そんなの決めなくても、愛ちゃんもいるしー。ねー」 「エア卓球をするたか子!」 「愛ちゃんオモロー!」 渾身のギャグを見せ合ってイチャイチャする二人を眺めつつ、 お互いにけん制しあって仲間に入れない、さゆとれいなです。 #image(208-2.jpg) #image(208-1.jpg) ---- ---- ----

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