(21)072 『海上の孤島 -帰還せし共鳴- 』

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&br() 気付けばそこは、闇だった。 誰もいない、暗い闇の底にいるようで。 誰かがいるような気配は無く、共鳴という力を駆使しても誰も問いかけてはくれなく。 一人ぼっちだと、彼女 -新垣里沙-は認識した。 その瞬間、心は震え上がる。 それは寂しさのように一人だということを突き付けられた感覚。 仲間もいない、ましてや闇の集団もいない。 自分は一人であるということに、彼女は涙を流し始めた。 もう大切な仲間たちと会うことができないということに悲しみ、 昔のように一人ぼっちになってしまったことに恐怖を感じ、 そして、このお守りに誓ったことも果たせなくなったことに。 この闇のように、自分の心は沈んでいきそうになった。 その瞬間、視界の向こうに見えた一筋の光。 その光に誘われるように、彼女は疑問を抱きながらも歩み寄った。 そして近くに来れば、亀裂から漏れ出る光があった。そこに手を伸ばそうとするも、躊躇する。 その光に触れても大丈夫なのかどうか… しかしこの闇から抜け出ることができるかもしれない この先に大切な仲間たちがいるのかもしれない そう思うと迷いは無くなり、彼女は手を伸ばしてみた。 だが、手を伸ばしても何も起こらなかった。 その場で煌めく光は、彼女を誘うようにそこにあるのに、触れても何も起こらないということは。 彼女は歓迎されていないのか。それとも何か別の方法があるのか。 必死に考えてみるが何も思い浮かばなく、彼女はまた落ち込んだ顔をしてそこに座り込んだ。 もう無理だ 自分は一生一人ぼっち 裏切ってまた一緒に帰ろうとしたのが間違った 本当は誰も受け入れてはくれない 彼女の思考は段々と闇に侵食されていった。 気付かないうちに彼女の身体は闇と同化していった。 もう駄目だと、彼女は思った。 と、その時、彼女の左肩に触れる温もり。 咄嗟に振り向き、誰なのか確認する。 そこには、微笑みを浮かべた彼女の大切な人だった。 その人は彼女に微笑むと、その場に座り込んで彼女と向き直った。 そして、その人がぶら下げていた見覚えのあるお守りを彼女に見せると、 その人は彼女の手をお守りに被せてその上から彼女の手を撫でた。 彼女は涙を流した。 そのお守りから流れ込んでくるものが彼女の心を温かくしてくれたのだ。 一人じゃない、みんながいる 私があなたを守るから その誓いは、あなたも忘れてはいなかった。 そのことに彼女は安堵し、下げていた顔を上げるとすでに大切な人はいなかった。 触れていた手もお守りも消えていなくなっていたが、彼女はその一瞬だけでも力をもらい強くなれた。 そして立ち上がり、再びその場で煌めく光に触れた。 一瞬にして暗闇は消えていき、辺りが光を支配して彼女はその眩しさに目を細め閉じた。     ** 「………ん……」 「っガキさん…!!」 おもむろに目を開けて、定まらない視線は空を描く。 そしてしっかりしてくると、視界に映るのは自分を覗き込んでいる仲間たちの心配そうな顔。 「んー…みんな…?」 「ガキさん大丈夫?」 「みんな心配してはりましたよ!」 「ダイジョブか?」 口々に言われる大丈夫かという言葉。 それは里沙を心から心配してくれて、その証拠に誰もが心配そうな表情であった。 「…私、なんで…」 「ガキさんあの後撃たれて、でも絵里とさゆがしっかりと治療したんですよ。  けどその後が大変で、どうやって監獄から出ようかってなって…」 「リーダーはけっこう力を消耗しはってたんで、テレポーテーションはダメってなって。  そこまで来た船も敵の物やから使うこともできひんくて、そしたらリーダーが力使うって言い出して。  みんなでダメやって言うたのに、みんなが力を貸してくれたら大丈夫だからって言って…  そんなこと言われたらみんな貸すしかできひんやないですか。  だからありったけの力出してテレポーテーションで新垣さんも一緒に移動させはったんですよ」 愛佳の長くて速い説明をしっかりと理解するのに終わって数秒は要したが、 里沙は説明を理解した後に辺りを見回してここにはいない愛のことを聞いた。 「愛ちゃんは、どこにいるの?」 「今はれいなの秘密の部屋で寝てるっちゃ!今日だけは特別に貸してあげてるけん」 ロフトを見れば、背中を向けて少し丸まっている愛の後姿が見えて、里沙は安心する。 自分の為にそこまで力を行使したことに若干後ろめたさは残るが、それでも里沙は感謝した。 「そっか……」 みんなと一緒に、そしてこの店に帰ることができたことに安心したせいかまた眠たくなってきた。 「ゆっくり休んでください」 「休んだら元気なガキさんを見せてくださいよっ」 そんな優しい皆の言葉につられて、里沙は目を閉じる。 そして閉じきる瞬間に、愛の姿を見て、眠りについた。     ** 綺麗な満月が映える夜。 先ほど起きた愛は、ロフトから降りて里沙のもとへと歩み寄り、その場に座り込む。 そして安心しきった顔で寝ている里沙を見て、布団から出ている手を優しく握った。 どんな裏切りも どんな悲しみも どんな苦しみも すべてを忘れることはできなくても 包み込んで癒せる存在でいたい 共鳴者として共に戦い始めた時から 貴女は大切な人だから 大切な仲間だから 貴女が弱っても私が守る、守ってみせるから 再び、お守りと里沙に向かって込めた誓いを愛は密かに心の奥にしまいこんだ。 その時、少しだけ握り返されたことに愛は少し驚くが、 これも共鳴のせいかと思い、愛はさらに手を握り返して笑顔を浮かべた。     ** 蒼と紅 それは悲しみを与え、悲劇を連れてくることを意味する色 蒼と紅 それは共鳴を誘い、仲間と共に闘うことを表す色 彼女たちは歩むべき道に、その二色を鮮やかに彩っていく。 いつか途切れた時。 その道の向こうに見えるは、幸か不幸か、生か死か。 それでも彼女たちの背負う色が蒼色だということは、決して変わらない――――   end... ---- ---- ----

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