(21)837 『督励指差す22時』

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&br() 「ミッツィってさー、暇なの?」 急に、そう言われて、ハイ!?っと声を上げた その姿がおかしかったのかなんなのか、久住さんは手を叩いて笑う 「だってさ、こうやっていっつも、小春の修行に付き合ってるじゃん」 いつも通りの思いつきトークかと思って、聞き流そうとしてたのに、 久住さんは雷撃の手を緩めて、こちらに向かい仁王立ち なんや、一体今度はなんなんやろ… 最初にもじもじしながらも、修行に付き合ってくれって言い出したのは久住さんやし、 夏の暑い日から、こんなクソ寒い…あ、めっちゃ寒い日に至るまで、 ほとんど欠かさずついてきてるのに、なんか問題があるんやろか… 今日なんて、家からわざわざあったかいスープまで持参してんのに… あ、本かな…本読んでんのが、お気にめさんかったんやろか? 「あの-、愛佳なんかしました?」 「もー!そうやってすぐ、自分が悪いみたいな事言うんだからー!!」 びしいぃっと音が鳴りそうなくらい、指で指されてますます訳がわからない。 久住さん、それはちょっと無礼ってもんですよ… 「なんなんですかー。じゃあ、しっかり理由聞かせて下さいよ」 もうついて来て欲しくないんやろうか… 新必殺技が出来そうで、誰にも見られたくないとか? ただ、単純に、愛佳にここにいられたら迷惑とか? 心の中に、慣れてしまったじめっとした感覚を隠しながら言い返せば、 いかにも嬉しそうな顔で、久住さんが口を開く。 やったー!言い返してくれた!そう顔に書いてあった。 「やーさ、ただ、待ってるのって、退屈そうじゃん。  そんなの、小春絶対無理。暇で死んじゃう。それが耐えれるなんて、  ミッツィー普段から暇なのかなーって」 理屈通ってるようで、まったく通ってない言葉の羅列 それを勢いでごまかそうとする久住さんに、折れて、はぁ、と頷く 「それとも、なんだろね。ホントに退屈なら、悪いしね…  小春は、小春はもう大丈夫だから、さー。帰っても、良いよ」 そう言う、久住さんの表情は、暗くて離れててもわかるくらい、落ち込んでる テレビの中では、あんなに自信たっぷりに喜怒哀楽を表現するあなたが― 「愛佳は、暇じゃないですよ。久住さんがサボってないか、見なきゃいけないし、  久住さんが少しずつ強くなるの、見られて楽しいんですから。」 サボらないもん!って一回怒っておいてから、続きの言葉で満足気に微笑む 表情筋が、コロコロうにうに動いて忙しい人だ。 「ってー!そうじゃなくて!まーたミッツィに丸め込まれるところだったよ!」 しゅびしぃっ!っと音のしそうな速さで再び、指さし点検 「ここにいるのが嫌なんじゃないなら、何で動かないの?」 「はい?」 久住さんは、さも当たり前の言葉を言ってやったぞ、という顔で 愛佳の方にずんずん近づいてくる。 慌てて膝に掛けていたフリースを畳み、立ち上がった 「何でなーんにもしないで、ずっといるの!サボってんの、ミッツィの方じゃん!」 「く、久住さんが付き合ってくれって言い張ったんじゃないですか」 「言ったよ、言ったけど…さ…」   なんつーかさ、ただいるだけじゃなくて…見てるだけじゃなくてさ…   えっと…付き合って欲しいってのは、その…うーん…   とーにーかーくっ!!! 身長の高い久住さんの顔が、ぐいっと愛佳と同じ高さになった じっとキラキラの瞳に見つめられて、心の中をのぞき込まれそうになる 「あたしは、修行を始めた最初っから、ミッツィと一緒に強くなりたいって、そう思ってた。」 思いがけない言葉に、何を言い返そうか迷っていたのに、 久住さんは何も言わずに、元いたところに走っていった  『色んなやり方で、攻撃したい』 彼女はそう言って、修行を始めた 地面の7つのチップめがけて、同時に同じだけの電撃を落とす 最初は、3枚くらいしか当たらなかったのに、季節を二つ超えて、的はもう倍以上になった 何百回、何千回と散る火花を見て、愛佳はどうして何も思わなかったんだろう… 久住さんはずっと、ずっと待っていてくれたんだ… 「久住さん!」 急に駆け寄った愛佳を見て、久住さんは急いで能力を抑えようとする 間に合わないのはわかっていた。 びしびしっと、脳天から、足の先の先の先まで雷撃が流れる 目の前が真っ赤に染まって、気づいた時には、もう地面。 「ちょ、ミッツィ!何してんの!飛び出したりなんかして!!」 真っ青な顔で愛佳を抱える久住さん。これから自分が発する言葉を思ってなんだか笑えてきた。 あなたの発言であたしがいっつもどれだけそんな顔してると思いますか? ―たまには久住さん、困らしたろ 「久住さん、これから修行、付き合って下さい。  愛佳、久住さんの攻撃を全部避けれるような、そんな人になりたいです」 薄れゆく意識の中で、この後数分間の未来が視得ました それは愛佳をとっても残念な気持ちにさせました だって、意識を失った愛佳をおんぶする久住さんの表情が いつも以上に、とっても嬉しそうな、顔やったから… ---- ---- ----

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