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我々の年金は外国人投資家の動き次第 - (2006/12/20 (水) 18:16:53) のソース

今の株式市場は、外国人の影響力が大きい。外国人が日本市場にワーッと入ってきて株を購入してくれると、株式市場が活況になり、つられて株価が上がる。逆に外国人のお金が日本市場から去っていくと、株価も下がる。その上下変動に合わせて、年金の運用益も変動するだけなのである。 

 年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人などは、その変動に合わせて、損をしたり利益を上げたりしているだけで、自分たちの力で運用して利益を上げたり、マネージしたりする力は持っていないのだ。この二つのニュースから、そのことが明らかになったわけである。 

 そして、企業年金も同じような状況だろうと考えられる。二つのニュースを並べて見ると、公的年金は赤字、企業年金は黒字と誤解するかもしれないが、そうではない。混乱しないでよく理解してほしい。 


 

 上のグラフが示すように、企業年金も、2001年、2002年は低迷し、2003年から2005年に利益を上げている。これは公的年金と同じ傾向だ。年金を運用する彼らの力で利益を上げたり損をしたりしているのではない。株式市場の推移に合わせて、利益を上げたり下げたりしているだけなのだ。それが公的年金、企業年金の実力といえる。 

 ただ、年金運用の内訳を見てみると、以前に比べるとバラケているのも事実である。昔は、株式の比率が低かった。いや、その運用比率を10%以下に抑えるように、との指導があった時代もある。ところが、現在では、国内債権、国内株式、外貨建債権、外貨建株式とリスクマネーが全体の80%以上を占めるようになってきている。株式は、国内、国外を足して50%程度まで増えた。外国の株式も増えてはいるが、日本には外国の株式運用の力量がないので、外国の有名なオリジネーション(ファイナンススキームの組成)のできるところに、預けてしまっているのが実情だと思う。 


 

 いずれにせよ、今後も株式市場がどう動くかによって、年金の運用益も大きく影響を受けていくだろう。今後は、これだけの量を持っているのだから、やはり運用能力の獲得に真剣に取り組まなくてはならない。 

 生保は今、「あつものに懲りてなますを吹く」状態に陥ってしまってはいるが、かつては自分で不動産を開発したり、リースバック資金を提供するなど、かなりクリエイティブ(能動的)な投資をしていた。そうした運用ノウハウが一番たまっているのはカリフォルニア職員年金(カルパーズ)や米国の大学基金などである。もちろんロックフェラーやフォード財団などもそうそうたる運用チームを持っている。この5年くらいの運用益は15%くらいに達している。シンガポール政府の年金資金(GIC)の運用実績は過去20年以上にわたって9.9%である。 

 日本の年金は長期にわたり5.5%をベースに計画されていた。今はそれが無理だ、ということで引き下げているが、世界的なファンドの実績から見たら引き下げるのではなく、引き上げてもおかしくない。要は、運用当事者に実力があるのか、責任感があるのか、である。 

 もし企業年金や公的年金に、人気のない国債を買わせようという魂胆がないなら、運用者を細分化し、国際的にも十分な影響力のある5兆円くらいの固まりに個分けして、海外の実績のある基金に委託すべきだ。その運用実績を毎年公表すれば、お互いに競争となる。今までの運用者とも競わせたらよい。そうすることによって、年金や資産の運用に対して国民的な関心が盛り上がり、今のように国民の年金を財務省の犠牲(国債への誘導など)にすることはなくなる。