一夜明けた早朝、クチバジム前 ピカチュウさんの表情はサントアンヌ号の時とは比べ物にならないほど憎しみに染まっていた。 ピカチュウさんの身体からはすでに黒い稲妻が渦を巻き、バチバチと音をたてている。 ピカチュウ「軍の犬め・・生きていられると思うなよッッ!!」 開口一閃、ピカチュウさんはクチバジムの建物を消し飛ばした。 この一撃でクチバシティの住民は朝を迎えたのだ。 瓦礫の下からマチスとライチュウが現れる。 マチス「朝っぱらから迷惑な小ネズミちゃんデース。ライチュウが居なければワタシ死んでマシタ・・・」 ライチュウ「・・・・」 マチスの傍で立っているライチュウに生気は無く、目はあさっての方を向いている。 十中八九、軍の生体実験で無理やり進化させられたのだ・・・ その違和感に気付いたピカチュウさんはおっしゃった。 ピカチュウ「ライチュウ・・・せめて痛みを感じることなく安らかに逝くがいい」 サトシはそれを聞いてピカチュウさんの怒りをなぞるように言う!! サトシ「マチス・・・!!俺と勝負だ!!」 サトシの言葉を聞いたピカチュウさんはその成長ぶりに一瞬はにかんだが、すぐにもとの憎しみに満ちた視線でマチスをにらむ マチス「オーゥこわいこわいピカチュウちゃんデース睨まないでくだサーイ」 ピカチュウ「舐めやがってこのジンガイ野郎・・・こいつは殺すぜ・・・」 ピカチュウさんは本気のようだ。ライチュウを送ってからの事は止めても無駄だろう・・・ とも思ったが、ピカチュウさんの『もしもの時は頼む』この言葉を思い出し、この時、止める決意を密かにするのであった。 マチス「ではそろそろ始めまショウ!!ライチュウ、スパークしなサーイ」 相変わらず目の色は変わらず、しかし激しい電気がライチュウを包む。 ライチュウ「・・・・」 マチス「そのまま突撃デース!!」 強い電気を帯びたライチュウがピカチュウさんに突撃してくる。 ピカチュウさんは軌道を読み、高速移動で回避する。 ピカチュウさんはそのままマチスの方へ。 ピカチュウ「てめぇの命は・・・頂くぜ・・・マチスゥゥゥッ!!」 マチスもさすがに軍人・・・すんでの所でライチュウを盾にする。 神速を超えた打撃はライチュウの腹部のすんでで止まり、場の空気は一瞬凍りつく。 ライチュウ「・・・・」 マチス「ふぅ・・なんてトンデモピカチュウデース。トレーナーを攻撃するなんて・・・教育不足デース」 当然だろう。教育されてるのはサトシの方なのだから。 ピカチュウさんはライチュウを盾にされ怒りが最高潮に達した。 ピカチュウ「サトシ・・・もしてめぇが俺様にあんなことをしやがったら・・・わかるよなぁ・・・」 サトシ「・・・ハイ。」 ピカチュウさんの目の色は正気を失っておられた。 マチス「さあ、ライチュウ攻撃デース!!10万ボルトデース!!」 ライチュウは表情も変えず雷を走らせる。 ほぼ空き地となったクチバジム跡に電撃で亀裂が描かれる。 ライチュウ「・・・・」 すばやい身のこなしで電撃を避け再度マチスを襲うピカチュウさん。 しかしまたマチスはライチュウを盾に。