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その9」(2007/08/21 (火) 07:02:15) の最新版変更点

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ハナダを通り、岩山トンネルへ続く道路で野宿をしている時、発電所らしき施設が目に止まった。 その施設は険しい山に囲まれているため、徒歩で行くには無理がある。 仕方ないと諦めたが、ピカチュウさんは何か感じたようだ・・・ ピカチュウ「あそこには俺の覇業を成すに邪魔になるものが居るようだな」 サトシ「なにかおっしゃりましたか?」 ピカチュウ「いや・・・気にするな・・・独り言よ・・・」 次の朝、山越えをするためふもとのポケモンセンターで休憩を取っていた時、妙な噂を耳にした。 何でも今、シオンタウンのポケモンタワーには凶暴なポケモンが住み着いてい るらしく、住人が困り果てているらしい。黒づくめの集団が出入りするようになってからだというが・・・ ロケット団とみて間違いないだろう。 ピカチュウさんは嬉しそうに言う。 ピカチュウ「こんなところで八合うとは・・・!!急ぐぞ、サトシ・・」 サトシ「了解です」 シオンタウンへ歩を早めるサトシとピカチュウさんだった。 岩山トンネルを通るに、なんら障害は無くサトシが山道でクタクタになるも、シオンタウンに到着した。 ただ、この時から岩山トンネルのズバットの生息数は従来の4分の1にまで激減したらしい。 当然、サトシはそれだけ電撃を浴び続けたわけだ。 それでも元気にポケモンタワーに向かうサトシとピカチュウさん。 ピカチュウさんの命令は絶対だ。 タワーの中は霧が深く視界が悪い。 サトシ「ここはペットとして飼われていたポケモンたちを供養する施設みたいです。」 ピカチュウ「フン・・・ペットとして・・・か。じゃあサトシも死んだらここに連れてきてやる。喜ぶがいい・・・」 ピカチュウさんは笑いながらそういった。どうやらまだペットの域を抜け切れていないらしい。 ピカチュウ「で、幽霊ポケモンってのはなんだ?」 サトシ「どうやらそれはこの辺をうろついてるゴース達で間違いないようですが・・・」 ピカチュウ「あぁ・・・チリカスどもか・・・納得だな。今もウヨウヨと俺様の隙を狙っているが・・・仕掛けては来れまい・・ククク」 そういうとピカチュウさんは電気で威嚇を始めた。 するとゴースの群れらしき塊はコソコソと退散していった。 ピカチュウ「群れることしか出来んチリカス共め・・・下らんッッ」 相変わらずピカチュウさんはクールだ。 一階、二階と上っていくと『KEEP OUT』と書かれた階段の前に大柄のロケット団員が二人。 小声でピカチュウさんは言う。 ピカチュウ「待ってろ。」 そういうとピカチュウさんは一瞬にして団員二人を他界させた。 人間とは、かくもか弱い生き物なんだな、とサトシは納得した。 気付かれないよう、慎重に歩を進めるサトシとピカチュウさん。 階段を上りきると、そこには今にも捕獲されそうなガラガラとロケット団員5名が・・・ 団員A「!?」 一人が気付いた。続けて振り向くその他B、C、D、E どうやら一匹を捕まえるのに寄ってたかってリンチにしていたらしい。 団員B「ぁあ~んだてめぇはぁ~!?ッッころされてぇのかぁ?」 どうやら末端の団員には薬物中毒者が多いらしい。 ピカチュウさんはこの手の人間が一番嫌いだ。存在自体が逆鱗に触れた。 ピカチュウ「チリカスの次はラリクズか・・・まったく・・どいつもこいつも群れるのがお好きなようだなぁぁッッ!!」 サトシは団員達に問いただす。 サトシ「お前ら・・・ガラガラに何してるんだ?」 団員C「みてわかんねえの?あひゃひゃ・・捕まえてんのッ!!」 サトシ「最低だな・・・お前ら・・・」 団員D「はぁ~??なんか言ったぁ~ぼくぅ~!?・・フヘヘ」 ガラガラ「うぅ・・・た・・助けて・・上には私の子どもも・・・」 ピカチュウ「チッ・・・上にも居るときてやがる・・てめぇら・・・瞬殺だぜ」 団員達はズバット×4とアーボックを繰り出した。 ピカチュウさんの周囲をズバットが飛び回りアーボックの姿を隠している。 ピカチュウ「クズも集えばなんとやら・・・か。無駄なことを・・・」 ピカチュウさんの電撃一振りでズバット×4は倒れた。 ピカチュウ「次はてめぇがこうなるんだぜ・・・アーボック・・・ククク」 アーボックは明らかに萎縮している。 団員E「うひゃあ・・・このピカチュウつよくね?」 団員A「ひるむな!!どんどんだせ!!」 団員B、C、D「おぅ」 新たにズバット×3とゴルバットが現れ、すぐさま襲い掛かる。 上下からズバット、背後からゴルバット、前からアーボック。 ピカチュウ「フン・・でかいのも混じってるようだが・・・関係ねぇ」 電撃一閃、ピカチュウさんにはその辺のポケモンは皆同じなようだ。 黒焦げの蛇と蝙蝠の丸焼きがものの数秒で完成した。 団員E「うひゃあ・・もうポケモンがねぇ・・・」 団員B「ヤバイヨーヤバイヨー」 ピカチュウさんが指定席に座られ、小声でつぶやく。 ピカチュウ「練習だ・・ちょっと脅してやれ・・・サトシ・・」 それを聞くとサトシは恥ずかしそうに サトシ「つ、次は・・・お前らの番だ・・」 となれない口調で言い放った。 あわてふためいて逃げ出すロケット団員。 団員「ひぃえぇぇ~」 ピカチュウさんはそれを見てケラケラ笑う。サトシのなれない小芝居がどうやらツボだったらしい。 それを尻目に安堵の表情を浮かべるガラガラは言った。 ガラガラ「ありがとう・・・ありがとう・・・上の子どももお願いします」 もしかしたら上にはサカキが!?サトシとピカチュウははやる気持ちを抑えて屋上へ向かう。 ヘリの轟音が鳴り響く屋上に着いたとき、そこにはサカキはおろかガラガラの子どもの姿さえない。 遅かった。 すでに子どもは捕らえられていたらしく、そこには末端の団員しか居なかった。 逃げるように団員たちもヘリに乗り込む。 見る見るヘリの高度は上昇していく。 サトシ「間に合わなかったか・・・くそっ!!」 ピカチュウさんはヘリを打ち落とそうと電撃を走らせるが、巻き起こる風にさえぎられ軌道をずらされた。街中なので外れれば大変になるだろうと思ったのか、上からの雷撃は落とさなかった。実にクールだ。 ヘリから団員が狙撃してくる。物陰に隠れてやり過ごすが、悲劇が起きた。 早く子どもの顔を見ようと、ガラガラのお母さんは階段を上がってきてしまったのだ。 団員「もう一匹きやがった!!」 降り注ぐ弾丸の雨、屋上にある墓石は弾痕で傷つき壊されていく。 フラフラのお母さんに弾を避けるだけの力は残されていなかった。 ほんの一瞬の出来事だった。サトシも、ピカチュウさんもその一瞬を忘れはしないだろう・・・ ガラガラのお母さんの心臓を一粒の銃弾が貫いた。 ガラガラ「あぁ・・・あ・・・」 団員「やったぜ・・ヘヘッ!!」 団員は満足したのかヘリを急発進させる。高らかに笑いをあげながら。 すぐさま駆け寄るサトシとピカチュウさん。 サトシ「大丈夫か!?しっかりしろ・・・今、きずぐすりを・・・」 無い。そんなものは無いのだ・・・ ピカチュウさんと旅をしてきたことがこれほど裏目に出たときはない。 ピカチュウさんは基本的に傷を負うことがないからだ。 サトシ「ちくしょう!!・・・なんで!!なんで!!こんなことにッッ!!」 もちろんガラガラに人語は理解できていない。表情でなんとなくわかるものの 、その意図までは理解できないだろう。 ピカチュウさんは深い悲しみの表情をうかべ、ガラガラにこう言った。 ピカチュウ「今、この人間は本気でお前の事を救おうとしている。人間にも居るんだ、こういう奴が・・・だが、この傷ではお前はもう・・だから安らかに逝くがいい・・お前の子どもは必ず捜して助け出す。」 ガラガラ「おねがいします・・・息子を・・・」 ガラガラのお母さんはそう言うとサトシを抱いたまま眠るように目を閉じました。 サトシ「・・・ガラガラ!?・・・・・・うわぁぁぁぁぁッッ!!!!」 サトシは自分の無力さに打ちひしがれ、泣き続けました。 そんなサトシを見てピカチュウさんは厳しい表情でこう言いました。 ピカチュウ「ガラガラは最期、なんて言ったと思う・・?」 サトシ「・・・・ック・・ひっ・・・ぐすっ」 涙で声が出ないサトシ。 ピカチュウ「お前に『息子をお願いします』と言っていたッッ!!泣く暇があるなら・・・強くなれ・・トレーナーとしてッッ!!」 サトシ「・・・!!」 涙を拭い、少し考えた後、決意を胸にサトシは言う。 サトシ「・・・俺は、必ずガラガラの子どもを助けるッッ!!そして・・・最強のトレーナーになってやる!!」 ピカチュウさんはニヤリと笑いこう言った。 ピカチュウ「・・・いいだろう、貴様の目指す道がが最強のトレーナーならば・・・俺様は覇道ッッ!!ならば・・・貴様の成長・・・この目で見させてもらうぞ・・・」 こうしてサトシとピカチュウさんのシオンタウンの旅は、悲しみと決意を胸に幕を閉じた。

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