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太田晴雄(2000)『ニューカマーの子どもと日本の学校』国際書院pp233~256「附章 学校言語を母語としない子どもの教育 -米国の場合―」」(2008/10/16 (木) 23:31:47) の最新版変更点

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まとめ
米国における「経験」に注目 1、 英語を母語としない子どもたち(p234~) 「英語以外の言語が話される家庭出身で、本人も家庭で英語以外の言語を話す5-17歳のもの」は1990年現在、約600万人で全生徒数の15%に相当する。つまり、7人に1人が学校言語である英語以外を第一言語としない子どもなのである(P235) LEP(limited-English-proficient)=英語能力が十分でない生徒 ① 米国外で出生し、第一言語が英語出ない生徒 ② 英語以外の言語が主に話される環境のなかにいる生徒 ③ 英語の読み書きおよび理解が十分ではないために、英語でおこなわれる学校の授業についていくことができない生徒。 特定の地域や都市部に集中。(カリフォルニア州、ニューヨーク市など) 1960年代後半から70年代以降に教育ニーズをもつ存在としてとらえ始めた。 2英語教育(p236~) (1) サブマージョン・プログラム「溺れたくなければ泳ぎなさい」 1960年代までの教育;英語を母語とする生徒と一緒に授業をうける過程で「自然に」英語を習得することが期待されていた。 メリット→・容易かつ速やかに英語を習得できる。同じ授業を受け、相互交流の中で英語を学ぶ。 デメリット→・言語習得の助けにならない。 ・第2言語にさらされているだけでは習得はおぼつかない。言語のやりとりがきわめて限定的で初歩的な日常会話しか習得できない。 ・英語を習得する過程のなかで「教室で何が起こっているかわからず黙って座っている」のが必然。 ↓ 1974年に教育機会の原則に反するという判決。 (2) ESL(第2言語としての英語教育)(p238~) ある時間だけLEP生徒にのみを対象にした英語の特別授業が実施される。この特別授業は英語のみでおこなわれる普通教室での授業についていくだけの第2言語としての英語能力を養成することを主眼にしている。 メリット→・より円滑に英語の文法や言語構造を理解し、スタンダードのものを習得できる。生徒が自信を持つことが出来る。 デメリット→・英語学習の期間LEP生徒が教科の授業にアクセスすることを妨げる⇒抽象的思考伴う英語能力を習得するには相当の期間が必要でこの間の知的発達の阻害が問題に。 ・ 実際に使用される場面(日常会話)と切り離された文脈においての英語教育は文字学習に終始する結果に。 ・ 生徒への心理的影響。「劣等感」を抱かせる ↓ 現在は英語学習と教科学習とを統合する教科学習型ESLなど教科内容にも注目 3バイリンガル教育(p240~) ・言語習得と教科内容の学習を同時に進めることが目標 ・移行型と維持型がある 移行型;母語での教科の授業とESL。英語では教科の授業に参加できることだけの英語力を習得することを目標。英語力を習得すると終了(多くの場合は3年) 維持型;ESLと母語による教科教育。英語を習得した後も母語の保持と伸長が目指され。バイリンガルを育成 メリット→・子どもが最もよく理解できる言語(母語)によって授業を行うのが最善。 ・社会的・文化的経験や知識等が受け入れられ尊重され、肯定的で積極的な自己意識を発達させ、学習も進む デメリット→・英語習得には不十分(米国社会でも根強い批判) 移民生徒に関する研究によると、かれらが学年相応の第2言語(英語)における「学習思考言語能力」を獲得して、授業についていくためには5-7年間が必要であったと報告されている。(p242) ↓ 英語での会話能力がついたからといって英語を母語とする生徒と同様に、英語のみでおこなわれる授業にかれらを追いやるのは早計にすぎるであろう。 年齢の低い段階で移住した生徒よりも母語能力が確立した年齢の高い段階で移住した生徒のほうが英語の学習言語の習得が早かった →母語によって習得された識字能力は第2言語の識字能力へと容易に移行しうる。 4、学校教育の文化的社会的コンテクスト(p244~) 教師が用いる教授スタイルは文化的背景に深く根ざしたもの。 →家庭と学校間における文化的相違を認識し、その知見を学校教育の実践に生かす必要性が指摘されている。(例、ハワイ先住民) 文化的相違に配慮した学習様式を実践することのみに終始するのではなく、言語的・文化的背景に起因する抑圧・差別構造にも目をむけることが重要。(社会や学校に不信感を抱かないようにするため) 6、反差別教育(p251~) 落ちこぼれそうになる生徒をなくすには ① 教師(学校)が当該性との言語・文化を尊重し、授業に有意味に取り入れる 母語能力にさらに第2言語である学校言語志向を付加するという考え ② 従来の支配的な教師・生徒関係を組みかえる。双方向の相互作用を可能とする関係へと転換が必要。(自発的に目標を決める) ③ 教師(学校)と生徒の親の関係 親を教育上の対等なパートナーととらえる。積極的にかかわる。 当該生徒に「学業不振」のラベルを貼ることはかれらを正当に「評価」したことにはならない

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