小説っていいね〜。作品を通して、作者の主張を読み取ろうと努力してみるページ。 ---- **「光の帝国」常野物語 恩田陸 08/12/1 常野一族という特殊能力を持った人たちの話。端的だが、どこかリアリティ溢れる描写と、断片的になっていた話が、後になってつながってくる構成の仕方がなんだか良かった。 作者の主張は、自分と違う多様な能力を持った人たちの集合体が社会ということ。 **「孤宿の人」宮部みゆき 08/11/25 江戸幕府からの流人を預る役目を受けた、丸海藩を舞台とした人間模様を描いた話。江戸時代の慣習や、情報が人の噂で伝わっていく様子、綺麗な海の情景などの、小説の節々に出てくる描写が、ありありと浮かんできてすばらしかった。 海の描写は非常に印象的だったので、いつか舞台となった讃岐で海を眺めてみたいものです。 小説を読んでいると、自分が当たり前に見るものを、文章で表現しようとするとき、かくも多様な表現ができることに改めて気づかされるものです。 主人公は「ほう」と言う名の少女。名前は、阿呆の「ほう」にちなんでいると周りの大人に言い聞かされて、身寄りがなく育つ。人を信じ、まじめに生きようとする健気さが印象的だった。~ 大人の汚さ、人の弱さ、「お家」を守るためゆえの命さえも奪う建前、など暗鬱としたもので溢れる世の中で、悪事を暴こうとする勇気の貴さ、子供の無垢さを主張した作品。