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醒めない夢 - (2012/06/06 (水) 02:54:11) の最新版との変更点
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大音京子は、月を眺めていた。
場所は、D-1。その断崖絶壁に、彼女は腰かけていた。
きれいな月だ---と、彼女は思った。
素直に、心の底から。こんな状態であるというのに、見上げた夜空に輝く満月を見て、感嘆していた。
「きれいね・・・本当に・・・」
返ってくる言葉は無い。そもそもこの地区には、彼女以外はいない。
それでも彼女は言葉を紡ぐ。ひとり言のような、けど誰かの反応を期待しているような。
返ってくる言葉は無い。
■
大音灯花と、大音京子。
名字は同じだが、彼女らは血のつながった親子ではない。
しかし、それでも。京子は灯花を実の娘と思っているし、灯花も京子を実の母親と思っている。
そこには固い絆があって、壊れることは無いはずだった。
少なくとも、あの瞬間までは。
永遠に続くと思っていた幸せは、消え去った。
どうすることもできないまま、守ることはおろか触れることもないまま、消え去った。
たちの悪い悪夢は、未だ消え去ることなく京子を蝕んでいく。
夢ではない。そう決めるのが、何より京子は怖かった。
■
そうやっていくらか時間が経った頃。京子は、思いだしように傍らに置いてあるバッグを開けた。
中に入っていたものを一つ一つ取り出す。
食料、地図、参加者名簿、タオル、毛布、ロケットランチャー、アサルトライフル、防弾チョッキ。
皮肉ね。京子はおもわず笑い出しそうになった。
目の前にある、おそらくは基本支給品であろうものを除くと、あまりにも強力すぎる武器がそこにはある。
そのどれか一つをとっても、このゲームを有利に進めることは可能。いわば当たりの中でも最上位クラスの当たりが、京子にまとめて支給されていた。
(そんなに殺し合いに乗ってほしいということかしら。・・・灯花を生き返らせるために)
この武器なら、特別高等人でもない一市民の京子が優勝すことは可能だ。
参加している他の人たちを、苦も無く倒せるだろう。強者にも十分に対抗できるだろう。
そして・・・優勝して灯花を生き返らせてもらうことも可能だろう。
何でも願いを叶える。灯花を殺した、憎い相手の言葉。信じられないが、もしそれを本当に叶えられるのなら・・・
京子の思考が埋没していく。男の言葉が何度も脳内に何度も繰り返される。
乗る、か。乗らないか。
(・・・決まっているじゃない。最初から、そんなこと)
灯花。愛しの灯花。
彼女のいない世界なんて考えられないし、ありえるはずがない。
彼女の中心は灯花であって、彼女の全ては灯花のためだ。
たとえ血がつながって無かろうと。たとえ真の親子でなかろうと。
彼女たちは家族であり、親子であり、かけがえのない間柄なのだ。
だから、彼女は決めた。しごく、彼女にとって当たり前の選択をした。
■
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
会いたい。
触れたい。
話したい。
こんなに近くにいるのに。
手を伸ばせば触れれる距離なのに。
何故、私の体は動かないの?
何故、指一本として動いてくれないの?
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
お願いだから。
お願いだから。
そんな顔をしないで・・・
そんな目を向けないで・・・
私は・・・私は・・・
【一日目/1時00分頃/D-1】
【大音京子@車輪の国、向日葵の少女】
[状態] ?
[装備] ?
[所持品]?
[思考・行動]
基本:?
1:?
【備考】
・灯花エンド後からの参戦
|No.003:[[スローカーブ]]|投下順|No.005:[[目的は凛然なりて]]|
|No.012:[[いざ、行かん!]]|時系列順|No.008:[[2A-18]]|
|No.000:[[オープニング]]|大音京子||
*醒めない夢
大音京子は、月を眺めていた。
場所は、D-1。その断崖絶壁に、彼女は腰かけていた。
きれいな月だ---と、彼女は思った。
素直に、心の底から。こんな状態であるというのに、見上げた夜空に輝く満月を見て、感嘆していた。
「きれいね・・・本当に・・・」
返ってくる言葉は無い。そもそもこの地区には、彼女以外はいない。
それでも彼女は言葉を紡ぐ。ひとり言のような、けど誰かの反応を期待しているような。
返ってくる言葉は無い。
■
大音灯花と、大音京子。
名字は同じだが、彼女らは血のつながった親子ではない。
しかし、それでも。京子は灯花を実の娘と思っているし、灯花も京子を実の母親と思っている。
そこには固い絆があって、壊れることは無いはずだった。
少なくとも、あの瞬間までは。
永遠に続くと思っていた幸せは、消え去った。
どうすることもできないまま、守ることはおろか触れることもないまま、消え去った。
たちの悪い悪夢は、未だ消え去ることなく京子を蝕んでいく。
夢ではない。そう決めるのが、何より京子は怖かった。
■
そうやっていくらか時間が経った頃。京子は、思いだしように傍らに置いてあるバッグを開けた。
中に入っていたものを一つ一つ取り出す。
食料、地図、参加者名簿、タオル、毛布、ロケットランチャー、アサルトライフル、防弾チョッキ。
皮肉ね。京子はおもわず笑い出しそうになった。
目の前にある、おそらくは基本支給品であろうものを除くと、あまりにも強力すぎる武器がそこにはある。
そのどれか一つをとっても、このゲームを有利に進めることは可能。いわば当たりの中でも最上位クラスの当たりが、京子にまとめて支給されていた。
(そんなに殺し合いに乗ってほしいということかしら。・・・灯花を生き返らせるために)
この武器なら、特別高等人でもない一市民の京子が優勝すことは可能だ。
参加している他の人たちを、苦も無く倒せるだろう。強者にも十分に対抗できるだろう。
そして・・・優勝して灯花を生き返らせてもらうことも可能だろう。
何でも願いを叶える。灯花を殺した、憎い相手の言葉。信じられないが、もしそれを本当に叶えられるのなら・・・
京子の思考が埋没していく。男の言葉が何度も脳内に何度も繰り返される。
乗る、か。乗らないか。
(・・・決まっているじゃない。最初から、そんなこと)
灯花。愛しの灯花。
彼女のいない世界なんて考えられないし、ありえるはずがない。
彼女の中心は灯花であって、彼女の全ては灯花のためだ。
たとえ血がつながって無かろうと。たとえ真の親子でなかろうと。
彼女たちは家族であり、親子であり、かけがえのない間柄なのだ。
だから、彼女は決めた。しごく、彼女にとって当たり前の選択をした。
■
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
会いたい。
触れたい。
話したい。
こんなに近くにいるのに。
手を伸ばせば触れれる距離なのに。
何故、私の体は動かないの?
何故、指一本として動いてくれないの?
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
お願いだから。
お願いだから。
そんな顔をしないで・・・
そんな目を向けないで・・・
私は・・・私は・・・
【一日目/1時00分頃/D-1】
【大音京子@車輪の国、向日葵の少女】
[状態] ?
[装備] ?
[所持品]?
[思考・行動]
基本:?
1:?
【備考】
・灯花エンド後からの参戦
|No.003:[[スローカーブ]]|[[投下順]]|No.005:[[目的は凛然なりて]]|
|No.034:[[ココロの声]]|[[時系列順]]|No.008:[[2A-18]]|
|No.000:[[オープニング]]|大音京子||