「未知数の邂逅」(2009/03/27 (金) 23:05:14) の最新版変更点
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**未知数の邂逅 ◆vPecc.HKxU
「………?」
テレビ局へ向かう2人のうち1人。
ソルティのその特徴的な耳がピコピコと動く。
(…どういう構造になってるんだ?)
ふとエックスはそれが気になるが、特に追求はしない。
「エックスさん」
「どうしたんだ? ソルティ」
「何か、向こうの方で音が…」
「音……? もしかして戦闘音か?」
そう発言するソルティの聴覚機能には確かに微かな衝突音が響く。
それは北西の方角で行われているゼロ、ノーヴェ、神敬介の戦闘音。
「たぶん、あっちだと思います」
「そうか…わかった。ソルティはテレビ局へ先に向かってくれ。
俺はそっちの方を調べる」
エックスの判断は早い。
まず情報収集よりも直接戦闘を始めている場所の方が優先度は高い。
襲われている者がいれば救助、危険な敵は倒さねばならない。
また、見た目や行動からしてあまり戦闘が得意そうではないソルティは可能な限り戦闘区域から離脱させる。
それがイレギュラーハンターで部隊長を務めるエックスの判断であった。
「いやです」
だが、ソルティはエックスの言葉にきっぱりと拒否の意を示す。
「私だって戦えます。エックスさん1人に無茶させられません!」
「危険な場所なんだ! キミみたいな娘を連れて行くわけにはいかない!」
「だったら余計にそうです! さあ、急いでいきましょう!!」
「ソルティ!?」
言うが早いか駆けるが早いか。
ソルティはエックスの制止も聞かず走り出す。猛スピードで。
(殺す合いなんて、ダメです。みんな、みんな一生懸命生きてるのに! それを壊すなんて、絶対ダメです!!)
「待つんだ、ソルティーッ!!」
一瞬遅れてエックスも加速システム・ダッシュを用いてソルティに追走する。
だが、エックスのそれよりもソルティの足は段違いに早い。
(ク、この速さ、オストリーグ並か!? いや、それより後を追わないと!!)
……………
………
…
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」
暫く後、外壁を背にエックスにひたすら謝るソルティの姿があった。
要約するとこうである。
ソルティはひたらすら音源に向かい進み続け、エックスはその後を追った。
だが、ソルティはただ音を聞きつけたというだけで具体的にそれがどこから来ていたのか? ということは分からなかった。
そのため闇雲に走り続けた結果、B-2の外壁まで来てしまったのだ。
ほとんど無駄足である。
「もう謝らなくていいよ」
だが、エックスにそんなソルティを怒る気はない。
元来闘争に向かないその優しい性格はこの場においても存在している。
泣きそうな顔のソルティの頭にその手をそっと置く。
「でもっ、でも……私いつもロイさんやミランダさんに迷惑をかけてばっかりで……こんなときにエックスさんにも……」
思えば自分がロイやミランダのためにどれだけ役に立てたか、
1つ褒めてもらうだけにどれだけ被害を出しているか。
エックスも事情は知らなかったが、ソルティのそんな態度に同情の意を…示そうとした。
『新人ハンターのダブルという者デシ』
(…………!)
メモリーに1つの闇の記憶が過ぎる。
エックスが手を置くその眼前に黄色く残忍な目つきのレプリロイドが一瞬姿を現す。
『待ってたぜ……お前を切り裂くこの時をな…!』
「……エックス…さん?」
「…ハッ、な、なんでもない」
(チ…イヤなヤツを思い出してしまった)
ダブル…かつてエックスの部下だったレプリロイド。
決して有能なレプリロイドではなかったものの、一生懸命に仕事に取り組むその姿にエックスは格別信頼を寄せていた。
だが、その正体は宿敵シグマの送り込んだスパイ。
エックスを信じ込ませるための性格をプログラミングし、決戦のときまで欺き続けていたペテン師。
その姿はまさにこの場においてエックスを蝕もうとしていた。
しかし
(…違う、この娘はあんなヤツとは違う)
エックスとゼロ。
イレギュラーハンターの中核を担うその2名。
その力は一騎当千にして実力伯仲。
だが片やその地位はあくまでもA級。もう一方は特A級。
何体もの特A級レプリロイドを破ってきた2名の差はなんなのか。
理由はただ1つ。その性格である。
ゼロが容赦なくイレギュラーを切り捨てる一方でエックスは常に相手を破壊しない道を考えている。
それゆえ任務の達成率が低くなってしまい、他者からも過小評価をされがちである。
しかし一概にそれを弱さを言い切ることはできるだろうか?
何故なら
(シグマ……オマエの狙いはこういうことだったのかもしれない。
だが、俺はオマエの狙い通りになんてならない! 俺は信じる! 仮面なんて合図はなくても俺はソルティを信じる!)
ソルティの頭に添えられた手に少し力が篭る。
信じることこそがエックスに秘められたパワー。
裏切られるならばその時。それまで信じよう。それがエックスの力なのだから。
「とにかく、テレビ局に向かおう。今度はゆっくりね」
「…はいっ!」
微笑みかけるエックスにソルティも笑顔で答えた。
◇ ◆ ◇
(ここは………どこだ……………
おれは…………だれだ……………………)
(おれは…………じん……………
じん……………けい…スケ………?)
(ここは………海底じゃ…ない……?……ング…ハァッ………!!?)
◇ ◆ ◇
「………オーロラシェル、R.U.C……聞いたことがないな」
「はぁ……そうですか。私の知り合いの人はみんな知ってたんですけど」
道すがら、エックスとソルティはお互いの情報を交換していた。
驚くほどに情報がかみ合わない。それが2人の見解。
エックスが出すワード、レプリロイド、4度に渡るイレギュラーの反乱……
ソルティが出すワード、リゼンブル、登録市民と非登録市民、R.U.Cに管理された街……
ソルティが記憶を失った少女であるということを差し引いても、住んでいる場所の違いだけで済まされない問題ばかりだ。
「それと、さっきの話だとキミはリゼンブルという技術を使った人間ってことになるのか?」
「いえ。ユートさんの話によると私はじぇぬ……あれ? ジュニュイン? ジェムイン?
ちょっと忘れちゃったんですけど、100%リゼンブルらしいです。」
ちなみに本当は100%リゼンブル技術で作られた存在をジェニュインということを注記しておく。
(どういうことだ? ソルティが嘘を吐いていないとしたらまるで…)
「えへへ。まるでエックスさん、違う世界から来た人みたいですね」
「!?」
まさにエックスが思わんとしていたことをソルティが軽々と言い放つ。
「ロイさんにお世話になりだしたときも同じでした。私には分からないことばかりで……」
(違う世界…か。一応頭に入れていこう)
異世界からの来訪者。かつて前例がないその事態にエックスは戸惑い、確信こそしないものの1つの説として受け入れることにした。
広い見解は必要である。
(……!? この気配…)
そこまで話したその時、エックスは異形の気配を感じる。
ソルティの耳には届かない、無音の圧迫感。
何かが迫っている。エックスはそう感じる。
「私のお友達にカーシャさんって人がいるんですけど、カーシャさんは親切で私に色々なことを教えてくれて…」
「ソルティ」
「この前も女性週刊誌? っていうのを見せてくれて……え?」
「ここから1人でテレビ局まで走ってくれないか?」
「はぁ………」
エックスの奇妙な要求にソルティは曖昧な返事をする。
ソルティが困っているときにこの手の返事をするのはエックスも薄々気付いている。
だが、事は急を要するとばかりに先ほどとは違う、鬼気迫る顔でエックスは言う。
「何も考えなくていい。ただ振り向かないで全力で走ってくれればいいんだ」
「……エックスさん」
「私、ドロボウさんのお手伝いはしませんからね」
「……何かあったのか?」
ソルティが軽くエックスを睨む。
何かあったらしい。
「あっ、ごめんなさい。違うならいいんです。……分かりました、私全力で走りますね!」
「ああ、俺も少し遅れて行く。テレビ局で待っていてくれると助かる」
「いきますよ。……てぇりゃぁぁ~~~~~!!!」
大きな叫び声とともにソルティが走り去っていく。
これでいい。とエックスは安堵のため息を吐く。
……………
………
…
それからしばらくエックスは1人、歩く。
テレビ局とは違う、シャトル方面へ向かって。
途中エックスの足に何かが当たる。
見下ろすとそこにあったのはどこかから飛び散ってきた赤い破片。
エックスはその破片の色に見覚えがあった。
(ゼロ………?)
先ほどの戦闘音というのはゼロと誰かが戦った音だったのか?
ゼロが殺し合いに乗るとは思えない。そして敗北したとも。
だとしたら誰か、襲撃者を撃退したのだろう。
その襲撃者は………
「そろそろ出てきたらどうだ?」
エックスがソルティと歩いていたときから後をつけてきていた人物。
正体は分からないが、そこにあるのは恐らく悪意。
エックスはソルティの戦闘能力についてあまり疑ってはいない。
だが、その未熟な姿勢は殺し合いの舞台において危うい。
…それだけ考えたところでエックスは人のことを言えないな、と苦笑する。
だからエックスは1人で襲撃者を迎え撃つことにしたのだ。
静寂な学校付近。
すぐ北の方には外壁が。
南には学校がある。
空には人の手で創られた虚像の空。
不自然なまでに蒼い空。一定の速さで移動する雲。
十字の黒い跡をつけた太陽。いや、十字ではない。それは"X"。
そしてそのクロスは徐々に大きくなっていき………
ガァァァンッッッ!!!
「!!!???」
エックスの身体を…否、エックスの残像を貫いた。
「俺はここだ!」
襲撃者・神敬介が声のする方へ顔を上げると、そこには外壁に手足をかけ、徐々に降下してくるエックスの姿があった。
「俺はイレギュラーハンター第17精鋭部隊所属、エックス! こちらに戦闘の意志はない!」
「エッ………クス」
襲撃者はただその言葉だけに反応した。
仮面ライダーX…その名と同じ名前に。
「うおぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
突き刺すような咆哮とともにその胸のプレートの隙間から"何か"が顔を覗かせ、すぐに引っ込む。
「エックス………」
襲撃者は親指で自分を指差し、その言葉をエックスに向かって放つ。
自分はエックスだ、とでもいうかのように。
そしてPDAを操作し、LUCKの剣を構えエックスに向かっていく。
「クッ……」
エックスは地面に降り立つとバスターで迎え撃つ。
狙いはLUCKの剣。
限界まで集中したエックスのチャージショットがLUCKの剣に当たり、折れこそしないもののXの手から吹き飛ぶ。
「やめてくれ! できれば俺は戦いたくない!」
再三の問いかけにXは言葉を返さない。
ただPDAを再び操作すると、今度は大型の銃を取り出し、構える。
「戦うしかないのか………!」
【C-5 学校周辺 一日目 黎明】
【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 赤い仮面@現実
[思考・状況]
1:目の前の襲撃者へ対処する。
2:弱き人を守る
3:テレビ局でソルティと合流。
4:ゼロと合流(ゼロは簡単には死なないと思ってるので優先順位は低い)
5:シグマを完全に破壊する。
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部に埋め込まれた暗闇大使の種子による洗脳状態、疲労(中)、右腕破壊、全身にダメージ(中)
[装備]:K&S Model 501(10/10)@SoltyRei、予備弾各50発
[道具]:支給品一式、不明支給品1個(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:他の存在を排除する。
1:エックスという言葉に反応
[備考]
※ライドルは没収されています。
※地図と支給品説明以外は未読です。
※感情はありませんが、物事を思案する能力はあります。
※LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険が周囲に落ちています。
【支給品紹介】
【K&S Model 501@SoltyRei】
SoltyRei本編でロイ・レヴァントが扱う銃。
12.7×35mmという、50口径機関銃と同じ太さ(長さは1/3程度と短い)の超大型弾頭を使用するハンドガン。
更に、銃の下部には30mmグレネードを装着し、ハンドガンと言うよりはハンドキャノンと言うのが相応しいほどである。
反動も凄まじく、並大抵の腕力の持ち主では片手では扱えない。装弾数は10発。
「……エックスさん?」
ソルティは途中で走るのを止め、後ろを振り向く。
もちろん誰もいない。
だが、ソルティはふと嫌な予感を察した。
最後に見たエックスの目が何かに似ていたのだ。
(そうだ、あれは……)
仕事に向かうロイの目。危険な場所へ赴く時の、ついてくるなというあの目。
ソルティはエックスの目も、ロイの目も大事な人を危険な目に合わすまいと思う故の目であるということを知らない。
しかし、確かにソルティは不安を覚えていた。
「………だいじょうぶ、ですよね…?」
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:健康
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン 紫の仮面@現実
[思考・状況]
1:TV局の方へ向かう? それとも……
2:エックスとはぐれたら仮面を付ける
3:シグマをやっつける
4:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
5:ミラクルショットはエックスがOKというまで出来る限り撃たない。
[備考]
※スラッシュクローの武器チップの事をエックスに言い忘れています。
※マッハキャリバーをただの首飾りと思っています。仮に詳細を知った場合、操れるかどうかは不明です。
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
*時系列順で読む
Back:[[決意をこの胸に――(後編)]] Next:[[未知数の邂逅]]
*投下順で読む
Back:[[強者をめぐる冒険]] Next:[[アナタノナキガラヲ…]]
|046:[[仮面が与える真実と疑惑]]|エックス|070:[[X ~Cross fight~]]|
|046:[[仮面が与える真実と疑惑]]|ソルティ・レヴァント|071:[[アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(前編)]]|
|045:[[Take me higher!(後編)]]|神敬介|070:[[X ~Cross fight~]]|
**未知数の邂逅 ◆vPecc.HKxU
「………?」
テレビ局へ向かう2人のうち1人。
ソルティのその特徴的な耳がピコピコと動く。
(…どういう構造になってるんだ?)
ふとエックスはそれが気になるが、特に追求はしない。
「エックスさん」
「どうしたんだ? ソルティ」
「何か、向こうの方で音が…」
「音……? もしかして戦闘音か?」
そう発言するソルティの聴覚機能には確かに微かな衝突音が響く。
それは北西の方角で行われているゼロ、ノーヴェ、神敬介の戦闘音。
「たぶん、あっちだと思います」
「そうか…わかった。ソルティはテレビ局へ先に向かってくれ。
俺はそっちの方を調べる」
エックスの判断は早い。
まず情報収集よりも直接戦闘を始めている場所の方が優先度は高い。
襲われている者がいれば救助、危険な敵は倒さねばならない。
また、見た目や行動からしてあまり戦闘が得意そうではないソルティは可能な限り戦闘区域から離脱させる。
それがイレギュラーハンターで部隊長を務めるエックスの判断であった。
「いやです」
だが、ソルティはエックスの言葉にきっぱりと拒否の意を示す。
「私だって戦えます。エックスさん1人に無茶させられません!」
「危険な場所なんだ! キミみたいな娘を連れて行くわけにはいかない!」
「だったら余計にそうです! さあ、急いでいきましょう!!」
「ソルティ!?」
言うが早いか駆けるが早いか。
ソルティはエックスの制止も聞かず走り出す。猛スピードで。
(殺す合いなんて、ダメです。みんな、みんな一生懸命生きてるのに! それを壊すなんて、絶対ダメです!!)
「待つんだ、ソルティーッ!!」
一瞬遅れてエックスも加速システム・ダッシュを用いてソルティに追走する。
だが、エックスのそれよりもソルティの足は段違いに早い。
(ク、この速さ、オストリーグ並か!? いや、それより後を追わないと!!)
……………
………
…
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」
暫く後、外壁を背にエックスにひたすら謝るソルティの姿があった。
要約するとこうである。
ソルティはひたらすら音源に向かい進み続け、エックスはその後を追った。
だが、ソルティはただ音を聞きつけたというだけで具体的にそれがどこから来ていたのか? ということは分からなかった。
そのため闇雲に走り続けた結果、B-2の外壁まで来てしまったのだ。
ほとんど無駄足である。
「もう謝らなくていいよ」
だが、エックスにそんなソルティを怒る気はない。
元来闘争に向かないその優しい性格はこの場においても存在している。
泣きそうな顔のソルティの頭にその手をそっと置く。
「でもっ、でも……私いつもロイさんやミランダさんに迷惑をかけてばっかりで……こんなときにエックスさんにも……」
思えば自分がロイやミランダのためにどれだけ役に立てたか、
1つ褒めてもらうだけにどれだけ被害を出しているか。
エックスも事情は知らなかったが、ソルティのそんな態度に同情の意を…示そうとした。
『新人ハンターのダブルという者デシ』
(…………!)
メモリーに1つの闇の記憶が過ぎる。
エックスが手を置くその眼前に黄色く残忍な目つきのレプリロイドが一瞬姿を現す。
『待ってたぜ……お前を切り裂くこの時をな…!』
「……エックス…さん?」
「…ハッ、な、なんでもない」
(チ…イヤなヤツを思い出してしまった)
ダブル…かつてエックスの部下だったレプリロイド。
決して有能なレプリロイドではなかったものの、一生懸命に仕事に取り組むその姿にエックスは格別信頼を寄せていた。
だが、その正体は宿敵シグマの送り込んだスパイ。
エックスを信じ込ませるための性格をプログラミングし、決戦のときまで欺き続けていたペテン師。
その姿はまさにこの場においてエックスを蝕もうとしていた。
しかし
(…違う、この娘はあんなヤツとは違う)
エックスとゼロ。
イレギュラーハンターの中核を担うその2名。
その力は一騎当千にして実力伯仲。
だが片やその地位はあくまでもA級。もう一方は特A級。
何体もの特A級レプリロイドを破ってきた2名の差はなんなのか。
理由はただ1つ。その性格である。
ゼロが容赦なくイレギュラーを切り捨てる一方でエックスは常に相手を破壊しない道を考えている。
それゆえ任務の達成率が低くなってしまい、他者からも過小評価をされがちである。
しかし一概にそれを弱さを言い切ることはできるだろうか?
何故なら
(シグマ……オマエの狙いはこういうことだったのかもしれない。
だが、俺はオマエの狙い通りになんてならない! 俺は信じる! 仮面なんて合図はなくても俺はソルティを信じる!)
ソルティの頭に添えられた手に少し力が篭る。
信じることこそがエックスに秘められたパワー。
裏切られるならばその時。それまで信じよう。それがエックスの力なのだから。
「とにかく、テレビ局に向かおう。今度はゆっくりね」
「…はいっ!」
微笑みかけるエックスにソルティも笑顔で答えた。
◇ ◆ ◇
(ここは………どこだ……………
おれは…………だれだ……………………)
(おれは…………じん……………
じん……………けい…スケ………?)
(ここは………海底じゃ…ない……?……ング…ハァッ………!!?)
◇ ◆ ◇
「………オーロラシェル、R.U.C……聞いたことがないな」
「はぁ……そうですか。私の知り合いの人はみんな知ってたんですけど」
道すがら、エックスとソルティはお互いの情報を交換していた。
驚くほどに情報がかみ合わない。それが2人の見解。
エックスが出すワード、レプリロイド、4度に渡るイレギュラーの反乱……
ソルティが出すワード、リゼンブル、登録市民と非登録市民、R.U.Cに管理された街……
ソルティが記憶を失った少女であるということを差し引いても、住んでいる場所の違いだけで済まされない問題ばかりだ。
「それと、さっきの話だとキミはリゼンブルという技術を使った人間ってことになるのか?」
「いえ。ユートさんの話によると私はじぇぬ……あれ? ジュニュイン? ジェムイン?
ちょっと忘れちゃったんですけど、100%リゼンブルらしいです。」
ちなみに本当は100%リゼンブル技術で作られた存在をジェニュインということを注記しておく。
(どういうことだ? ソルティが嘘を吐いていないとしたらまるで…)
「えへへ。まるでエックスさん、違う世界から来た人みたいですね」
「!?」
まさにエックスが思わんとしていたことをソルティが軽々と言い放つ。
「ロイさんにお世話になりだしたときも同じでした。私には分からないことばかりで……」
(違う世界…か。一応頭に入れていこう)
異世界からの来訪者。かつて前例がないその事態にエックスは戸惑い、確信こそしないものの1つの説として受け入れることにした。
広い見解は必要である。
(……!? この気配…)
そこまで話したその時、エックスは異形の気配を感じる。
ソルティの耳には届かない、無音の圧迫感。
何かが迫っている。エックスはそう感じる。
「私のお友達にカーシャさんって人がいるんですけど、カーシャさんは親切で私に色々なことを教えてくれて…」
「ソルティ」
「この前も女性週刊誌? っていうのを見せてくれて……え?」
「ここから1人でテレビ局まで走ってくれないか?」
「はぁ………」
エックスの奇妙な要求にソルティは曖昧な返事をする。
ソルティが困っているときにこの手の返事をするのはエックスも薄々気付いている。
だが、事は急を要するとばかりに先ほどとは違う、鬼気迫る顔でエックスは言う。
「何も考えなくていい。ただ振り向かないで全力で走ってくれればいいんだ」
「……エックスさん」
「私、ドロボウさんのお手伝いはしませんからね」
「……何かあったのか?」
ソルティが軽くエックスを睨む。
何かあったらしい。
「あっ、ごめんなさい。違うならいいんです。……分かりました、私全力で走りますね!」
「ああ、俺も少し遅れて行く。テレビ局で待っていてくれると助かる」
「いきますよ。……てぇりゃぁぁ~~~~~!!!」
大きな叫び声とともにソルティが走り去っていく。
これでいい。とエックスは安堵のため息を吐く。
……………
………
…
それからしばらくエックスは1人、歩く。
テレビ局とは違う、シャトル方面へ向かって。
途中エックスの足に何かが当たる。
見下ろすとそこにあったのはどこかから飛び散ってきた赤い破片。
エックスはその破片の色に見覚えがあった。
(ゼロ………?)
先ほどの戦闘音というのはゼロと誰かが戦った音だったのか?
ゼロが殺し合いに乗るとは思えない。そして敗北したとも。
だとしたら誰か、襲撃者を撃退したのだろう。
その襲撃者は………
「そろそろ出てきたらどうだ?」
エックスがソルティと歩いていたときから後をつけてきていた人物。
正体は分からないが、そこにあるのは恐らく悪意。
エックスはソルティの戦闘能力についてあまり疑ってはいない。
だが、その未熟な姿勢は殺し合いの舞台において危うい。
…それだけ考えたところでエックスは人のことを言えないな、と苦笑する。
だからエックスは1人で襲撃者を迎え撃つことにしたのだ。
静寂な学校付近。
すぐ北の方には外壁が。
南には学校がある。
空には人の手で創られた虚像の空。
不自然なまでに蒼い空。一定の速さで移動する雲。
十字の黒い跡をつけた太陽。いや、十字ではない。それは"X"。
そしてそのクロスは徐々に大きくなっていき………
ガァァァンッッッ!!!
「!!!???」
エックスの身体を…否、エックスの残像を貫いた。
「俺はここだ!」
襲撃者・神敬介が声のする方へ顔を上げると、そこには外壁に手足をかけ、徐々に降下してくるエックスの姿があった。
「俺はイレギュラーハンター第17精鋭部隊所属、エックス! こちらに戦闘の意志はない!」
「エッ………クス」
襲撃者はただその言葉だけに反応した。
仮面ライダーX…その名と同じ名前に。
「うおぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
突き刺すような咆哮とともにその胸のプレートの隙間から"何か"が顔を覗かせ、すぐに引っ込む。
「エックス………」
襲撃者は親指で自分を指差し、その言葉をエックスに向かって放つ。
自分はエックスだ、とでもいうかのように。
そしてPDAを操作し、LUCKの剣を構えエックスに向かっていく。
「クッ……」
エックスは地面に降り立つとバスターで迎え撃つ。
狙いはLUCKの剣。
限界まで集中したエックスのチャージショットがLUCKの剣に当たり、折れこそしないもののXの手から吹き飛ぶ。
「やめてくれ! できれば俺は戦いたくない!」
再三の問いかけにXは言葉を返さない。
ただPDAを再び操作すると、今度は大型の銃を取り出し、構える。
「戦うしかないのか………!」
【C-5 学校周辺 一日目 黎明】
【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 赤い仮面@現実
[思考・状況]
1:目の前の襲撃者へ対処する。
2:弱き人を守る
3:テレビ局でソルティと合流。
4:ゼロと合流(ゼロは簡単には死なないと思ってるので優先順位は低い)
5:シグマを完全に破壊する。
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部に埋め込まれた暗闇大使の種子による洗脳状態、疲労(中)、右腕破壊、全身にダメージ(中)
[装備]:K&S Model 501(10/10)@SoltyRei、予備弾各50発
[道具]:支給品一式、不明支給品1個(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:他の存在を排除する。
1:エックスという言葉に反応
[備考]
※ライドルは没収されています。
※地図と支給品説明以外は未読です。
※感情はありませんが、物事を思案する能力はあります。
※LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険が周囲に落ちています。
【支給品紹介】
【K&S Model 501@SoltyRei】
SoltyRei本編でロイ・レヴァントが扱う銃。
12.7×35mmという、50口径機関銃と同じ太さ(長さは1/3程度と短い)の超大型弾頭を使用するハンドガン。
更に、銃の下部には30mmグレネードを装着し、ハンドガンと言うよりはハンドキャノンと言うのが相応しいほどである。
反動も凄まじく、並大抵の腕力の持ち主では片手では扱えない。装弾数は10発。
「……エックスさん?」
ソルティは途中で走るのを止め、後ろを振り向く。
もちろん誰もいない。
だが、ソルティはふと嫌な予感を察した。
最後に見たエックスの目が何かに似ていたのだ。
(そうだ、あれは……)
仕事に向かうロイの目。危険な場所へ赴く時の、ついてくるなというあの目。
ソルティはエックスの目も、ロイの目も大事な人を危険な目に合わすまいと思う故の目であるということを知らない。
しかし、確かにソルティは不安を覚えていた。
「………だいじょうぶ、ですよね…?」
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:健康
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン 紫の仮面@現実
[思考・状況]
1:TV局の方へ向かう? それとも……
2:エックスとはぐれたら仮面を付ける
3:シグマをやっつける
4:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
5:ミラクルショットはエックスがOKというまで出来る限り撃たない。
[備考]
※スラッシュクローの武器チップの事をエックスに言い忘れています。
※マッハキャリバーをただの首飾りと思っています。仮に詳細を知った場合、操れるかどうかは不明です。
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
*時系列順で読む
Back:[[噛み合う歯車……?]] Next:[[分けられたモノ]]
*投下順で読む
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|046:[[仮面が与える真実と疑惑]]|エックス|070:[[X ~Cross fight~]]|
|046:[[仮面が与える真実と疑惑]]|ソルティ・レヴァント|071:[[アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(前編)]]|
|045:[[Take me higher!(後編)]]|神敬介|070:[[X ~Cross fight~]]|
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