「嵐の前(後編)」(2009/05/11 (月) 20:24:26) の最新版変更点
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**嵐の前(後編) ◆9DPBcJuJ5Q
▽
まず行われたのは、現状を全く把握できていないマッハキャリバーへの基本的な情報の提供だ。
シグマによって数多の世界から50人が拉致され、殺し合いを強制されていること。参加者には爆弾が埋め込まれていること。
そして、スバルの仲間はセイン、ノーヴェ、ギンガが死亡し、残っているのはチンクだけだということだ。
マッハキャリバーは状況を理解すると、真っ先にスバルを案じた。スバルはそれに対して気丈に振舞っていたが、無理をしているのは明らかだった。
次いで、本郷達が求める情報――エックスの所在について尋ねたところ、スバルが会っていたのだ。彼は第3回放送の前に修理工場に現れたらしい。
そして、エックスはボブの威嚇射撃にも過剰に反応して攻撃を仕掛け、ボブが交戦の意志を放棄してもそれをあっさりと切って捨て、スバルも危うく殺されるところだったという。
その事実を聞かされて、ソルティは顔面蒼白になった。
どんどん、どんどん、離れていく。
優しかったエックスの面影は遠く離れて行き、代わりに、鬼の背中が少しずつ近付いてくる。
もう、自分の声は彼に届かないのだろう? 届かないぐらい、彼は遠くに行ってしまったのだろうか?
……ううん、そんなことはない。だって、エックスさんはエックスさんだもん。だから、大丈夫。私の声は、きっと、あの人に届く。
ソルティは祈るように、エックスのことを想い続けた。
そんなソルティの様子を奇妙に思ったスバルがどうしたのかと問うと、彼女に代わって武美とウフコック――実際にエックスと交戦した2人が説明をした。
哀しい擦れ違いと誤解から生まれてしまった、戦いを終わらせるべく、戦う鬼を狩るべくして己も鬼【イレギュラー】となった戦士のことを。
彼のその信念は徹底しており、戦っている者の排除に一切の容赦が無い。唯一の救いは、戦う姿勢を見せない無力な者には手を出さない点であろうか。
スバルはその話を聞き、息を呑んだ。
あの時はシグマに反抗していたエックスが殺し合いに乗ったという事実に怒り、その理由を知りたくも無いと思っていた。
だが、実際はどうだ。彼とてこの悲しい戦いの被害者では無いか。
スバル自身も、少し前までは自分も似たような精神状態――追い詰められ、全てが敵に見えていた。だからこそ、エックスの事情を知り、同情を禁じえなかった。
だから、可能であれば彼を立ち直らせたいと、彼ともっと話しをしたいと、そう思った。
そこでエックスに関する情報交換は終わりとなった。
エックスへの対応に関してはスバルも協力を申し出たが、結論は変わらない。
如何なる形であれ、我らの手で決着を。
次に、スバルから真っ先に伝えたのは悪辣なる潜伏者――ドラスについてだった。
しかし本郷達は幸いにしてその情報を既に知り得ており、ドラスの名を聞くとすぐにその危険性に理解を示した。
スバルは理解者の存在に安堵すると同時に、金色の勇者の言葉を思い出し、胸を締め付けられた。
ドラスの危険性は、あの時にギンガを盾にしたことも明らかなのだ。だから彼らにまで、自分の迷いを伝播させるわけには行かない。
そのように心に決めて、スバルは凱の言ったことは伏せておくことに決めた。
本郷達は新たに得られた証言からもドラスに対する警戒心を強め、同時に、チンクがドラスに騙されている可能性も考慮した。そうなれば、全ての辻褄は合うのだ。
その後も細かな情報交換が行われた。
本郷は青い髪の女性――ギンガ・ナカジマが仲間を生き返らせるために殺し合いに乗ったのではなく、洗脳されていたという事実を知り、察してやれなかった、彼女を救えなかった自分を恥じ、ギンガの冥福を祈った。
その横で、ギンガを倒そうと躍起になっていたミーもバツが悪そうにしている。
スバルがシグマの影武者はT-1000という名前だったことを告げると、本郷達はシグマの放った刺客の脱落に安堵した。
だが、本郷とウフコックはそれによってシグマが何か新たな動きを見せるのではないかと考え、全員に気を抜かないように呼びかけた。
話が一段落すると、武器の交換も行われた。
スバルはマッハキャリバーと再会させてくれたお礼にと、ソルティにガイアアーマーという、本来ならばエックスの強化パーツとなる物を譲ってくれた。
ソルティは複雑な表情をしながらも、ガイアアーマーを受け取った。この鎧が、自分とエックスの架け橋となってくれることを祈って。
本郷もそれに倣って、使う度に疲労してしまう特殊な剣しか近接戦闘の装備を持っていないミーに新たな武器を渡そうと考えた。そこで思いついた武器は2つ。
グレイ・フォックスが使っていた虹色の刀。これは駄目だ。付着したドクターケイトの毒の除去をしてからでなければ、これを使うのは危険すぎる。誤って仲間や自分を傷つけてしまったら、取り返しのつかないことになってしまう。
ならば、残る候補は1つ。それは、グレイ・フォックスのPDAに登録されていた支給品の1つ、ライドルだ。
数秒の間を置いてから、本郷はライドルを転送した。だが、なんとグリップの部分しか残っていなかった。こうなってしまっては、敬介がベルトに収めなければ修復できないだろう。
溜息を吐きつつも、本郷はライドルに敬介の面影を見た。
理由は知らないが凶行に奔っているという、最後に生き残った後輩ライダー。
このライドルを再び彼、神敬介――仮面ライダーXに渡せる時を願って、本郷はライドルを懐に納めた。
結局、ミーに新たな武器は渡せなかった……と思いきや、武美がクロのPDAからウィルナイフという刃物を転送し、ミーに渡していた。
クロは結局そのナイフを一度も戦闘では使わなかったが、きっと役に立つだろうと武美はそのナイフをミーに託した。ミーもそれをすぐに受け取り、腹の中に仕舞った。
すると、それを見た武美が、クロちゃんもそこに仕舞ってたよ、と笑いながら言った。
その笑顔に隠れる悲しみに、本郷とミー、ウフコックはエックスとの決着への決心を強めた。
そして、その状況を静観していた彼――T-800も動き始めた。
▽
「ところで、スバル。そのボブと言うのは誰なんだ? 名簿にはそんな名前は無いが」
情報交換とアイテムの交換が終わると、本郷はスバルにそのようなことを問うた。
そこでミーはPDAを取り出し、名簿を呼び出して参加者の名前を確認した。
確かに、ボブという名前はどこにも無い。まさか、このメガトロンと言う名前の参加者の愛称がボブだった、と言うことは無いだろう。
「あ、はい。本人はT-800って名乗ってたんですけど、それじゃあ名前らしくないからって、私が勝手にそう呼んでいるんです」
「T-800……?」
すぐに返ってきたスバルからの答えに、本郷は、ピクリ、と眉を動かした。
確かに、その名前ならば名簿にもあるし、恐らく真実なのだろう。というか僕の予想ニアミスだったよおい。
なのに、どうして本郷はあんなに険しい表情をしているのだろうか。
「スバル・ナカジマ。あのシグマの影武者の名前はT-1000である。これに間違いは無いな?」
「え? うん、そうだけど」
ウフコックからの問いに、スバルはすぐに頷いた。それを受けて、ウフコックも本郷と同様になにやら考え込んでいる様子だ。
「どうしたんだよ、ウフコック」
ミーは武美と共にウフコックの下へと歩み寄り、なにやら悩んでいる彼に話しかけた。
ソルティは本郷と共にスバルと話しているようだ。
「T-800とT-1000。明らかに関連性のある名前、若しくは形式番号だとは思わないか?」
「どゆこと?」
ウフコックの前置きの無い唐突な言葉に、ミーは頭を捻った。彼が何を言おうとしているのか、さっぱり分からない。
「……もしかして、そのボブって人がT-1000と同じシグマの手下で、あいつのスパイかもしれないってこと?」
「ええ!?」
武美の推理にミーは驚いたが、ウフコックは迷わず頷いた。
「証拠も何も無く、名前と言う材料だけで推測した、極めて低い可能性の話だろうが、な。一応程度に注意はしておくべきだろう」
名前だけでそこまで考えられるなんて、2人とも凄いな。
そんなことに感心していると、ミーの鋭い聴覚が修理工場からこちらへ向かってくる足音を捉えた。
「話は終わったようだな」
そこにいたのは、黒い戦闘スーツに身を包んだ、見るからに厳つく逞しい体型の、ハリ○ッド映画とかに出てきそうな典型的なマッチョのアメリカ人っぽい男だった。
その男性に、スバルは迷わず歩み寄った。
「ボブさん。もしかして、見ていたんですか?」
「ああ。話の途中で割り込むよりも、話が終わってから接触する方が、効率が良いと判断した」
「そうですか。……それで、アレの解析はどうでした?」
「未だ、何の発見にも至っていない」
そうですか~、とスバルは苦笑しつつも、そうですよね~、と言わんばかりでもあった。
本来ならばどこか微笑ましいやりとりなのだが、ミーはそれを見ていて妙な違和感を覚えた。
まるで、スバルが1人で人形に話しかけているような感覚、若しくは錯覚。
その原因は、間違いなくボブ自身にある。
あのボブと言う人の声は抑揚が一切無く、平坦すぎる。顔にも表情の変化が少しも見られず、無表情ですらなく本当に『表情が無い』ように思える。
それに……
「君が本郷猛だな。城茂から話は聞いている」
「茂から?」
ボブは本郷へと視線を向けると、早速そのような話を切り出した。
「そうだ。優秀なお前の頭脳を、是非ともある物の解析のために貸してもらいたい」
「……分かった。行こう、みんな」
挨拶もせず、淡々とした要請に、本郷も数秒の思考ですぐに頷いた。ミー達もそれに続き、ボブの先導に従って修理工場へと入っていった。
エックスを追おうにも最大の戦力である本郷は傷付いたままだし、なにより、体内の爆弾を取り除くという大事な目的もあるのだ。ここで時間をある程度浪費するのは仕方が無いだろう。
……だが、ミーには上手く言葉にできない、漠然とした不安があった。
その原因は、ボブ――T-800だ。
直前にウフコックと武美がスパイ疑惑を話したということもあるが、それ以上に、ミーはボブの姿があるものと同一に思えてしまったのだ。
それは、ミーがまだ生身の猫だった頃に遭遇したモノ。
ミーを一度殺し、剛から片腕を奪って殺そうとした、剛の大学の同級生が作った改造犬。
あの犬には自我などは一切無く、主人の命令を機械のように忠実に、迅速に、残酷に実行していた。
その改造犬の姿と、ボブの無感情で無感動な様子が、一度そう思うとどうしてもダブッて見えてしまうのだ。
そして、武美の傍肩に乗るウフコックも、ボブを『注意』ではなく『警戒』していた。
ボブ――T-800からは何の臭いもしないのだ。ボイルドのように『虚無』ではなく、本当に一切何も感じられない『無』なのだ。
その異様さが、先程の憶測と相まってウフコックの警戒心を煽った。
そんな2人の様子から、武美もスバルは信じられても、彼女の仲間と言うだけでボブまで信じない方がよさそうだ、と考えていた。
▽
T-800は放送の開始と同時に、ラブラブビッグバンの解析を中断した。1時間以上もあの歌を聴いていながら平然としているのは、ターミネーターの面目躍如といったところか。
放送が終わり必要な情報を記憶すると、T-800は窓のある部屋へと移動し、外で見張りをしているスバルの様子を覗った。彼女の精神が放送によって再び不安定になることを懸念してのことだ。
しかし、そこにあったのは予想外の光景だった。
スバルの他にも3人の参加者と1匹の猫と1匹のネズミがいたのだ。
あの距離で何も起こっていないことから、積極的破壊者ではないと判断できた。
だが、現状では彼らに対する情報が少ない。故にT-800はスバルと彼らを会話させ、彼らがどのような存在であるかを客観的に観測することにした。
それと言うのも、スバルが予想以上に錯乱していたためだ。彼らが敵だった場合、彼女は既に破壊されている。だからT-800は、万が一来訪者が積極的破壊者だった場合のために、スバルを捨て駒として扱った。
しかし幸いにして来訪者がスバルを破壊することは無く、程無くして情報交換が始められた。
この時、『幸い』と言う表現を使った理由はT-800自身にも分からなかった。
そのような些事はともかくとして。
ターミネーターの優れた聴覚は、この距離で遮蔽物が窓だけであれば、彼らの会話を聞くことは容易かった。
そしてスバルが彼らとの情報交換を終えた頃には、ある程度彼らのことを把握した。
幸運だったのは、彼らがドラスは危険人物であると認識していたことだ。これならば、彼らを上手く誘導すればゼロ達を排除することもより容易くなるだろう。
加えて、城茂が言っていた参加者中でも屈指の頭脳を誇るという本郷の存在は、あの音楽ファイルを解析するのにも役立つだろう。
彼の他の利用価値の無さそうな存在は始末しておきたいところだが、迂闊に動いては返り討ちにされる可能性もある。それに、未だに明かされていない利点が存在する可能性もある。
始末するにしても、慎重に判断し、機を見るべきだろう。
そのように判断して、T-800は彼らを修理工場へと招き入れた。
先ず行うべきは音楽ファイルの解析。次いで、爆弾の解析だ。
▽
本郷はウフコックと同様に、T-800とT-1000という名前に強い関連性を疑っていた。数々の名前が並ぶ名簿の中で、番号で表されたこの2つはそれほど、一際強烈な異彩を放っていた。
そしてスバルによれば、T-800はT-1000のことにも詳しかったという。
しかし彼はT-1000の打倒を第一に考えていたということから、彼らが協力関係にあるという可能性は低いと考えていた。
だが、実際にT-800――ボブと対面して、本郷は本能的に直感した。
この男は、本郷が戦ってきた怪人たちと同じような存在だ、と。
数々の戦いを潜り抜けて培われた観察眼と勘は、スバルと穏やかに話すその下で鋭い牙を隠している、ボブは危険な存在だと警鐘を鳴らした。
それは奇しくも、エックスと同じ直感だった。
加えて、本郷はボブが修理工場からエックスを離れさせた方便にも気になるところがあった。
それは、ドラスと同行しているという、スバルの最後の仲間――チンクに対する配慮が一切無いということだ。
エックスと彼らが本当に接触した場合、戦いになるのは必至だ。その中で、チンクが無事でいられる可能性は低い。
仲間の仲間は自分の仲間も同然。なのに、それに対する配慮が一切無いどころか、寧ろエックスを誘導することによって意図して窮地に追いやった可能性さえある。
この点だけでも十分に不審だ。
そしてT-800に不運があるとすれば、彼が身に纏っている漆黒のスーツの本来の持ち主が、本郷猛の盟友であったことか。
何よりも、この男は、あのライダースーツ――滝和也の魂が似合っていない。
余人が聞けば一笑に付すような考えだが、それこそが、本郷のボブに対する疑念を支える最大の要因だった。
T-800は危険だという直感は、もはや確信に近い。
だが、それでも、本郷はそれでもすぐに行動に移さず、一先ず彼の誘導に応じた。
その理由は、スバルだ。
スバルの精神状態は、思い切り泣いて、マッハキャリバーとの再会もあって多少は落ち着いたとはいっても、未だに不安定だ。
そんな彼女に、信じている仲間が危険人物かもしれないと告げても、彼女の心を傷つけ、疲れさせてしまうだけだ。
だから、迂闊に行動は起こせない。ボブと対決するにしても、それは何らかの決定的な証拠か確証を得てから、できればスバルのいないところで、だ。
本郷はそこで、自分の後ろをついてくるみんなの様子を覗う。
スバルとソルティはマッハキャリバーのことが縁になって、とても楽しそうに話している。
殺し合いと言う極限の状況下でも笑顔が見られるという奇跡を、決して失わせてはならない。
その更に後ろでは、難しい顔をしているミーとウフコックを武美がからかって、もっと気楽にするようにと促している。だが、そんな彼女の表情も少し硬いように見える。
ミーとウフコックのあの様子は、もしかしたら彼らも本郷と同じものを感じているのかもしれない。
全員の顔を見届けると、本郷は視線を再び前に――T-800へと向けた。
T-800への対応、爆弾の除去など、やるべきことは多い。エックスを追うのも、フランシーヌを助けるのも、どうやら遅くなりそうだ。
最悪、全てを何とかしようと足掻いている内に、手遅れになってしまうかもしれない。
だが、本当に手遅れになってしまうとしても。どんなに非情で残酷な結末が待ち受けていたとしても。
その果てに平和と自由があると信じて、全てを諦めず、全てを守り通すために戦い抜く。
それが、仮面ライダーなのだから。
▽
スバルは、歓喜していた。
機械仕掛けの殺戮舞台で、彼女は今まで本当に恵まれていなかった。
最も信頼すべきボブと些細なすれ違いで早々に離別してしまい、その直後にドラスによって右腕を奪われ、タチコマを失い、緑髪の少女を殺してしまい、ノーヴェまでも救えず――それらのことにより発狂寸前にまで錯乱してしまった。
そしてつい数時間前には、命懸けで自分を説得した勇気ある者――凱と、最愛の姉であるギンガを、この手で殺してしまった。
凱に関しては、おそらく振動破砕の影響があの後に現れたか、或いは凱が最後まで強がってスバルに致命傷を気付かせなかったのだと考えた。
片腕と仲間をドラスによって失い、それが遠因となって3人も殺してしまった。
始まりから今に至るまで、本当に困難辛苦の連続であった。
だが、今はどうだろうか。
ボブと再合流を果たし、本郷が率いる心強い打倒シグマを掲げる同志と合流し、そしてマッハキャリバーとも再会できた。本郷とソルティの2人には、スバルは恩人として強い信頼を寄せていた。
こんなにも良い出会いが一気に起きるなんて、嘘のようだ。……いや。まるで、今までの不幸の帳尻合わせが今から起きているような、そんな気分だ。
今なら、色んなことができるような、そんな気がしてくる。
「よ~し、頑張るぞー!! 目指すは打倒ドラス! そして打倒シグマ!!」
「はい! 頑張りましょう、スバルさん」
スバルが立ち止まって気合を入れると、ソルティもそれに頷いてくれた。
本当に、今の自分は順風満帆だ。
今ならきっと、どんな困難も強敵も打ち破れる。
なんとも、痛烈に皮肉な話がある。
修理工場。数々のドラマを生み出したこの場所で、かつて行われたことの一つに、こんなものがある。
仮面ライダーによる、傷心の少年への荒療治と叱咤激励。
今回は、その少年――ドラスを憎悪するスバルが、同じく仮面ライダーによって傷付いた心を救われた。
新たな仲間を得て、決意も新たに……と言う点まで似通っている。
この一致を、皮肉といわずしてなんとするか。運命だとするのなら、それはなんと意地の悪いことか。
だが、彼らの似た状況にも決定的に違う点が1つだけある。
それは、今、此処ではスバルを中心とした嵐が起ころうとしていることだ。
火種と導火線はスバルのすぐ近くだが、彼女は決してそれに気付けない。台風の中心は無風状態であるのと同様に、今の彼女にはその予兆を察することさえ出来ない。
サイボーグの雄猫のような動物的直感も、金色のネズミのような並外れた嗅覚も無いのだから、それは当然のことだが。
しかし、考え方によっては、今のスバルは幸せなのかもしれない。
何故なら、今の喜びを、嬉しさを、何の迷いも無く受け入れることができるのだから。
【G-3 修理工場/一日目 夜】
【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労小、ダメージ大、全身に軽度の火傷、胸部から内部機械が露出、右腕に切創、ドクターケイトの毒、ベルトの一部が破損。応急処置済み
[装備]:白いカラス(全体に焦げ跡あり)@人造人間キカイダー
[道具]:支給品一式、トマト×97@THEビッグオー、謎の金属片(外装解除。解析は八割程度)、
PDA(グレイ・フォックス、ドロシー、草薙素子、ドラ・ザ・キッド)×4。 水消耗。
ロジャー・スミスの腕時計@THEビッグオー、ブルースシールド@ロックマン、ジローのギター@人造人間キカイダー
虹(ドクターケイトの毒が染み込んでいる)@クロノトリガー、ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催。
1:修理工場に入り、T-800に対応しつつ爆弾解除が可能か判断する。
2:エックスを止める。説得に応じないのなら、倒す
3:フランシーヌをハカイダーから助ける。決闘に応じる?
4:殺し合いに乗っていない者の保護、及び合流。
5:武美の寿命タイマーをどうにかする。
6:コロンビーヌにフランシーヌ人形のことを伝える。
7:パンタローネを倒した者を見つけ出し、この手で倒す。
8:シグマに関する情報を集めたい。爆発物の解析。
9:敬介の真意を確認。場合によっては倒す。
10:T-800に警戒しつつ、慎重に対処する。
[備考]
※原作8巻(第32話 称号)から参戦。
※コロンビーヌの格好を旧式のものと勘違いしています。
※ミーと情報交換をしました。
ただし、彼をサイボーグにした剛が世界制服を一時期目論んでいた事。
クロが己と同様の理由でサイボーグとなった事は知りません。
※この会場には、異世界の者達も呼ばれたのではないかと推測しています。
※シグマは新兵器を作るために、自分たちのデータを収集していると推察しています。
※武美とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※ベルト左側エナジーコンバーターが破損し、備蓄エネルギーが失われました。
※ドクターケイトの毒にかかったことを自覚しています。
【ミー@サイボーグクロちゃん】
[状態]:後頭部に足跡、疲労大、仲間を失った悲しみとやるせなさ、シグマへの怒り
[装備]:アームパーツ@ロックマンX、ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー(何でも切れる剣のあった場所に収納)
[道具]:PDA(ミー)、青雲剣@封神演義、ライドチェイサー『シリウス』@ロックマンXシリーズ
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催
1:エックスにクロを殺し、武美たちを傷つけたけじめをつけさせる。
2:武美、ソルティを守る。
3:シグマ打倒の為、仲間を集める。
4:敬介、ドラスを警戒。
5:本郷に対し、少々の罪悪感。
6:T-800に対して疑心。
[備考]
※悪魔のチップの制限は精密動作性の低下、他者への使用には遠慮気味になる、支給品と合体するとやや疲労する、です。
※合体による肉体の主導権は、基本的に相手の側にあります。
※ドクターケイトの杖@仮面ライダーSPIRITS(ID未登録)は切断され、E-8に放置されています。
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:腹部にダメージ中、疲労小、深い悲しみ。決意。
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー、ガイアアーマー@ロックマンX5
[道具]:支給品一式、PDA×2(ソルティ、神 敬介)、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン
紫の仮面@現実、K&S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発、LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:エックスを止める。
2:武美を守る。
3:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
[備考]
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。
【広川武美@パワポケシリーズ】
[状態]:健康、頭部に微ダメージ。煤で汚れている。軽い火傷。仲間を失った悲しみとやるせなさ。
[装備]:ウフコック@マルドゥックシリーズ
[道具]:PDA(武美、クロ)×2、ランダムアイテム0~1
アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS(弾切れ、発電所内にクロの右手と共に放置)、風船いかだ
[思考・状況]
基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。
1:本郷たちの行く末を見届ける。
2:クロの仇がとられる様子を見る?
3:シグマの居場所を探る。シャトルの行き先を変更できるように干渉する。
4:軍事基地に行く機会があったら行ってみる。
5:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。
6:T-800に若干の警戒心
[備考]
※A-1・軍事基地に『何か』があると考えています。
※本郷とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※ウフコックは、ターンした物を切り離すこと(反転変身【ターンオーバー】)が出来なくなっています。
※ウフコックの参戦時期は、ボイルド死亡後です。
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:全身に損傷(特に背部)、所々の深い傷からは金属骨格が露出、シグマウィルス感染
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS、
PDA(凱、村雨、T-800)、打神鞭@封神演義、グランドリオン@クロノトリガー、トリモチ銃@サイボーグクロちゃん
生活用リゼンブルパーツ(左腕)@SoltyRei、コルトS.A.Aの弾丸(12/30発)
ラブラブビッグバンの音楽ファイル@パワポケシリーズ、サブタンク(満タン)@ロックマンX
[思考・状況]
基本思考:スカイネットの使命通り、全ての者を破壊する。
1:スバル、本郷らを利用して人間及び、人間側のサイボーグとロボットを始末する。
2:ゼロたちのチームの悪評を流す。
3:発見した音楽ファイルに秘められたメッセージを本郷と共に解読。
4:用が済めば、スバル達を破壊する(しかし、ノイズが発生。それを心地よく思っている?)。
5:エックスを警戒、しかし利用する。
[備考]
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※地中にいた為、神敬介の接近や行動に気付きませんでした。
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:右腕をリゼンブルに換装。罪の意識とそれ以上の決意。若干の迷い。メカ救急箱によりほぼ回復。
[装備]:マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、軍用双眼鏡@現地調達
生活用リゼンブルパーツ(右腕)@SoltyRei(装着済み)、作業服(現地調達)
[道具]:PDA(スバル)
滝和也のナックル@仮面ライダーSPIRITS、ナックルの弾薬(25/30発)@仮面ライダーSPIRITS
テキオー灯@ザ・ドラえもんズ、ライディング・ボード@リリカルなのはStrikerS
[思考・状況]
基本思考:他者を破壊しようとした参加者を破壊する。罪は自分だけが背負う。
1:ドラスを許さない。ギンガの仇を討つ。
2:ボブや本郷達と協力。
3:チンク、メカ沢、ロボ(後ろの二名は名前を知らない)とは、いずれ合流する。
4:エックスに同情。彼を説得したい。
[備考]
※本編終了後からの参加です。
※テキオー灯は、一時間のみ効力持続。
一度使った者には、24時間経過しなければ使用不可能と制限されています。
※T-800のことを、ボブと呼んでいます。
※マッハキャリバーの参戦時期はスバルと同じです。
※凱を殺してしまったと思い込んでいます。
*時系列順で読む
Back:[[嵐の前(前編)]]Next:[[バタフライエフェクト]]
*投下順で読む
Back:[[嵐の前(前編)]]Next:[[バタフライエフェクト]]
|139:[[嵐の前(前編)]]|本郷猛|:[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|ミー|:[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|広川武美| :[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|ソルティ・レヴァント|:[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|ウフコック・ペンティーノ|:[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|スバル・ナカジマ|:[[]]|
|139:[[嵐の前(前編)]]|T-800|:[[]]|
**嵐の前(後編) ◆9DPBcJuJ5Q
▽
まず行われたのは、現状を全く把握できていないマッハキャリバーへの基本的な情報の提供だ。
シグマによって数多の世界から50人が拉致され、殺し合いを強制されていること。参加者には爆弾が埋め込まれていること。
そして、スバルの仲間はセイン、ノーヴェ、ギンガが死亡し、残っているのはチンクだけだということだ。
マッハキャリバーは状況を理解すると、真っ先にスバルを案じた。スバルはそれに対して気丈に振舞っていたが、無理をしているのは明らかだった。
次いで、本郷達が求める情報――エックスの所在について尋ねたところ、スバルが会っていたのだ。彼は第3回放送の前に修理工場に現れたらしい。
そして、エックスはボブの威嚇射撃にも過剰に反応して攻撃を仕掛け、ボブが交戦の意志を放棄してもそれをあっさりと切って捨て、スバルも危うく殺されるところだったという。
その事実を聞かされて、ソルティは顔面蒼白になった。
どんどん、どんどん、離れていく。
優しかったエックスの面影は遠く離れて行き、代わりに、鬼の背中が少しずつ近付いてくる。
もう、自分の声は彼に届かないのだろう? 届かないぐらい、彼は遠くに行ってしまったのだろうか?
……ううん、そんなことはない。だって、エックスさんはエックスさんだもん。だから、大丈夫。私の声は、きっと、あの人に届く。
ソルティは祈るように、エックスのことを想い続けた。
そんなソルティの様子を奇妙に思ったスバルがどうしたのかと問うと、彼女に代わって武美とウフコック――実際にエックスと交戦した2人が説明をした。
哀しい擦れ違いと誤解から生まれてしまった、戦いを終わらせるべく、戦う鬼を狩るべくして己も鬼【イレギュラー】となった戦士のことを。
彼のその信念は徹底しており、戦っている者の排除に一切の容赦が無い。唯一の救いは、戦う姿勢を見せない無力な者には手を出さない点であろうか。
スバルはその話を聞き、息を呑んだ。
あの時はシグマに反抗していたエックスが殺し合いに乗ったという事実に怒り、その理由を知りたくも無いと思っていた。
だが、実際はどうだ。彼とてこの悲しい戦いの被害者では無いか。
スバル自身も、少し前までは自分も似たような精神状態――追い詰められ、全てが敵に見えていた。だからこそ、エックスの事情を知り、同情を禁じえなかった。
だから、可能であれば彼を立ち直らせたいと、彼ともっと話しをしたいと、そう思った。
そこでエックスに関する情報交換は終わりとなった。
エックスへの対応に関してはスバルも協力を申し出たが、結論は変わらない。
如何なる形であれ、我らの手で決着を。
次に、スバルから真っ先に伝えたのは悪辣なる潜伏者――ドラスについてだった。
しかし本郷達は幸いにしてその情報を既に知り得ており、ドラスの名を聞くとすぐにその危険性に理解を示した。
スバルは理解者の存在に安堵すると同時に、金色の勇者の言葉を思い出し、胸を締め付けられた。
ドラスの危険性は、あの時にギンガを盾にしたことも明らかなのだ。だから彼らにまで、自分の迷いを伝播させるわけには行かない。
そのように心に決めて、スバルは凱の言ったことは伏せておくことに決めた。
本郷達は新たに得られた証言からもドラスに対する警戒心を強め、同時に、チンクがドラスに騙されている可能性も考慮した。そうなれば、全ての辻褄は合うのだ。
その後も細かな情報交換が行われた。
本郷は青い髪の女性――ギンガ・ナカジマが仲間を生き返らせるために殺し合いに乗ったのではなく、洗脳されていたという事実を知り、察してやれなかった、彼女を救えなかった自分を恥じ、ギンガの冥福を祈った。
その横で、ギンガを倒そうと躍起になっていたミーもバツが悪そうにしている。
スバルがシグマの影武者はT-1000という名前だったことを告げると、本郷達はシグマの放った刺客の脱落に安堵した。
だが、本郷とウフコックはそれによってシグマが何か新たな動きを見せるのではないかと考え、全員に気を抜かないように呼びかけた。
話が一段落すると、武器の交換も行われた。
スバルはマッハキャリバーと再会させてくれたお礼にと、ソルティにガイアアーマーという、本来ならばエックスの強化パーツとなる物を譲ってくれた。
ソルティは複雑な表情をしながらも、ガイアアーマーを受け取った。この鎧が、自分とエックスの架け橋となってくれることを祈って。
本郷もそれに倣って、使う度に疲労してしまう特殊な剣しか近接戦闘の装備を持っていないミーに新たな武器を渡そうと考えた。そこで思いついた武器は2つ。
グレイ・フォックスが使っていた虹色の刀。これは駄目だ。付着したドクターケイトの毒の除去をしてからでなければ、これを使うのは危険すぎる。誤って仲間や自分を傷つけてしまったら、取り返しのつかないことになってしまう。
ならば、残る候補は1つ。それは、グレイ・フォックスのPDAに登録されていた支給品の1つ、ライドルだ。
数秒の間を置いてから、本郷はライドルを転送した。だが、なんとグリップの部分しか残っていなかった。こうなってしまっては、敬介がベルトに収めなければ修復できないだろう。
溜息を吐きつつも、本郷はライドルに敬介の面影を見た。
理由は知らないが凶行に奔っているという、最後に生き残った後輩ライダー。
このライドルを再び彼、神敬介――仮面ライダーXに渡せる時を願って、本郷はライドルを懐に納めた。
結局、ミーに新たな武器は渡せなかった……と思いきや、武美がクロのPDAからウィルナイフという刃物を転送し、ミーに渡していた。
クロは結局そのナイフを一度も戦闘では使わなかったが、きっと役に立つだろうと武美はそのナイフをミーに託した。ミーもそれをすぐに受け取り、腹の中に仕舞った。
すると、それを見た武美が、クロちゃんもそこに仕舞ってたよ、と笑いながら言った。
その笑顔に隠れる悲しみに、本郷とミー、ウフコックはエックスとの決着への決心を強めた。
そして、その状況を静観していた彼――T-800も動き始めた。
▽
「ところで、スバル。そのボブと言うのは誰なんだ? 名簿にはそんな名前は無いが」
情報交換とアイテムの交換が終わると、本郷はスバルにそのようなことを問うた。
そこでミーはPDAを取り出し、名簿を呼び出して参加者の名前を確認した。
確かに、ボブという名前はどこにも無い。まさか、このメガトロンと言う名前の参加者の愛称がボブだった、と言うことは無いだろう。
「あ、はい。本人はT-800って名乗ってたんですけど、それじゃあ名前らしくないからって、私が勝手にそう呼んでいるんです」
「T-800……?」
すぐに返ってきたスバルからの答えに、本郷は、ピクリ、と眉を動かした。
確かに、その名前ならば名簿にもあるし、恐らく真実なのだろう。というか僕の予想ニアミスだったよおい。
なのに、どうして本郷はあんなに険しい表情をしているのだろうか。
「スバル・ナカジマ。あのシグマの影武者の名前はT-1000である。これに間違いは無いな?」
「え? うん、そうだけど」
ウフコックからの問いに、スバルはすぐに頷いた。それを受けて、ウフコックも本郷と同様になにやら考え込んでいる様子だ。
「どうしたんだよ、ウフコック」
ミーは武美と共にウフコックの下へと歩み寄り、なにやら悩んでいる彼に話しかけた。
ソルティは本郷と共にスバルと話しているようだ。
「T-800とT-1000。明らかに関連性のある名前、若しくは形式番号だとは思わないか?」
「どゆこと?」
ウフコックの前置きの無い唐突な言葉に、ミーは頭を捻った。彼が何を言おうとしているのか、さっぱり分からない。
「……もしかして、そのボブって人がT-1000と同じシグマの手下で、あいつのスパイかもしれないってこと?」
「ええ!?」
武美の推理にミーは驚いたが、ウフコックは迷わず頷いた。
「証拠も何も無く、名前と言う材料だけで推測した、極めて低い可能性の話だろうが、な。一応程度に注意はしておくべきだろう」
名前だけでそこまで考えられるなんて、2人とも凄いな。
そんなことに感心していると、ミーの鋭い聴覚が修理工場からこちらへ向かってくる足音を捉えた。
「話は終わったようだな」
そこにいたのは、黒い戦闘スーツに身を包んだ、見るからに厳つく逞しい体型の、ハリ○ッド映画とかに出てきそうな典型的なマッチョのアメリカ人っぽい男だった。
その男性に、スバルは迷わず歩み寄った。
「ボブさん。もしかして、見ていたんですか?」
「ああ。話の途中で割り込むよりも、話が終わってから接触する方が、効率が良いと判断した」
「そうですか。……それで、アレの解析はどうでした?」
「未だ、何の発見にも至っていない」
そうですか~、とスバルは苦笑しつつも、そうですよね~、と言わんばかりでもあった。
本来ならばどこか微笑ましいやりとりなのだが、ミーはそれを見ていて妙な違和感を覚えた。
まるで、スバルが1人で人形に話しかけているような感覚、若しくは錯覚。
その原因は、間違いなくボブ自身にある。
あのボブと言う人の声は抑揚が一切無く、平坦すぎる。顔にも表情の変化が少しも見られず、無表情ですらなく本当に『表情が無い』ように思える。
それに……
「君が本郷猛だな。城茂から話は聞いている」
「茂から?」
ボブは本郷へと視線を向けると、早速そのような話を切り出した。
「そうだ。優秀なお前の頭脳を、是非ともある物の解析のために貸してもらいたい」
「……分かった。行こう、みんな」
挨拶もせず、淡々とした要請に、本郷も数秒の思考ですぐに頷いた。ミー達もそれに続き、ボブの先導に従って修理工場へと入っていった。
エックスを追おうにも最大の戦力である本郷は傷付いたままだし、なにより、体内の爆弾を取り除くという大事な目的もあるのだ。ここで時間をある程度浪費するのは仕方が無いだろう。
……だが、ミーには上手く言葉にできない、漠然とした不安があった。
その原因は、ボブ――T-800だ。
直前にウフコックと武美がスパイ疑惑を話したということもあるが、それ以上に、ミーはボブの姿があるものと同一に思えてしまったのだ。
それは、ミーがまだ生身の猫だった頃に遭遇したモノ。
ミーを一度殺し、剛から片腕を奪って殺そうとした、剛の大学の同級生が作った改造犬。
あの犬には自我などは一切無く、主人の命令を機械のように忠実に、迅速に、残酷に実行していた。
その改造犬の姿と、ボブの無感情で無感動な様子が、一度そう思うとどうしてもダブッて見えてしまうのだ。
そして、武美の傍肩に乗るウフコックも、ボブを『注意』ではなく『警戒』していた。
ボブ――T-800からは何の臭いもしないのだ。ボイルドのように『虚無』ではなく、本当に一切何も感じられない『無』なのだ。
その異様さが、先程の憶測と相まってウフコックの警戒心を煽った。
そんな2人の様子から、武美もスバルは信じられても、彼女の仲間と言うだけでボブまで信じない方がよさそうだ、と考えていた。
▽
T-800は放送の開始と同時に、ラブラブビッグバンの解析を中断した。1時間以上もあの歌を聴いていながら平然としているのは、ターミネーターの面目躍如といったところか。
放送が終わり必要な情報を記憶すると、T-800は窓のある部屋へと移動し、外で見張りをしているスバルの様子を覗った。彼女の精神が放送によって再び不安定になることを懸念してのことだ。
しかし、そこにあったのは予想外の光景だった。
スバルの他にも3人の参加者と1匹の猫と1匹のネズミがいたのだ。
あの距離で何も起こっていないことから、積極的破壊者ではないと判断できた。
だが、現状では彼らに対する情報が少ない。故にT-800はスバルと彼らを会話させ、彼らがどのような存在であるかを客観的に観測することにした。
それと言うのも、スバルが予想以上に錯乱していたためだ。彼らが敵だった場合、彼女は既に破壊されている。だからT-800は、万が一来訪者が積極的破壊者だった場合のために、スバルを捨て駒として扱った。
しかし幸いにして来訪者がスバルを破壊することは無く、程無くして情報交換が始められた。
この時、『幸い』と言う表現を使った理由はT-800自身にも分からなかった。
そのような些事はともかくとして。
ターミネーターの優れた聴覚は、この距離で遮蔽物が窓だけであれば、彼らの会話を聞くことは容易かった。
そしてスバルが彼らとの情報交換を終えた頃には、ある程度彼らのことを把握した。
幸運だったのは、彼らがドラスは危険人物であると認識していたことだ。これならば、彼らを上手く誘導すればゼロ達を排除することもより容易くなるだろう。
加えて、城茂が言っていた参加者中でも屈指の頭脳を誇るという本郷の存在は、あの音楽ファイルを解析するのにも役立つだろう。
彼の他の利用価値の無さそうな存在は始末しておきたいところだが、迂闊に動いては返り討ちにされる可能性もある。それに、未だに明かされていない利点が存在する可能性もある。
始末するにしても、慎重に判断し、機を見るべきだろう。
そのように判断して、T-800は彼らを修理工場へと招き入れた。
先ず行うべきは音楽ファイルの解析。次いで、爆弾の解析だ。
▽
本郷はウフコックと同様に、T-800とT-1000という名前に強い関連性を疑っていた。数々の名前が並ぶ名簿の中で、番号で表されたこの2つはそれほど、一際強烈な異彩を放っていた。
そしてスバルによれば、T-800はT-1000のことにも詳しかったという。
しかし彼はT-1000の打倒を第一に考えていたということから、彼らが協力関係にあるという可能性は低いと考えていた。
だが、実際にT-800――ボブと対面して、本郷は本能的に直感した。
この男は、本郷が戦ってきた怪人たちと同じような存在だ、と。
数々の戦いを潜り抜けて培われた観察眼と勘は、スバルと穏やかに話すその下で鋭い牙を隠している、ボブは危険な存在だと警鐘を鳴らした。
それは奇しくも、エックスと同じ直感だった。
加えて、本郷はボブが修理工場からエックスを離れさせた方便にも気になるところがあった。
それは、ドラスと同行しているという、スバルの最後の仲間――チンクに対する配慮が一切無いということだ。
エックスと彼らが本当に接触した場合、戦いになるのは必至だ。その中で、チンクが無事でいられる可能性は低い。
仲間の仲間は自分の仲間も同然。なのに、それに対する配慮が一切無いどころか、寧ろエックスを誘導することによって意図して窮地に追いやった可能性さえある。
この点だけでも十分に不審だ。
そしてT-800に不運があるとすれば、彼が身に纏っている漆黒のスーツの本来の持ち主が、本郷猛の盟友であったことか。
何よりも、この男は、あのライダースーツ――滝和也の魂が似合っていない。
余人が聞けば一笑に付すような考えだが、それこそが、本郷のボブに対する疑念を支える最大の要因だった。
T-800は危険だという直感は、もはや確信に近い。
だが、それでも、本郷はそれでもすぐに行動に移さず、一先ず彼の誘導に応じた。
その理由は、スバルだ。
スバルの精神状態は、思い切り泣いて、マッハキャリバーとの再会もあって多少は落ち着いたとはいっても、未だに不安定だ。
そんな彼女に、信じている仲間が危険人物かもしれないと告げても、彼女の心を傷つけ、疲れさせてしまうだけだ。
だから、迂闊に行動は起こせない。ボブと対決するにしても、それは何らかの決定的な証拠か確証を得てから、できればスバルのいないところで、だ。
本郷はそこで、自分の後ろをついてくるみんなの様子を覗う。
スバルとソルティはマッハキャリバーのことが縁になって、とても楽しそうに話している。
殺し合いと言う極限の状況下でも笑顔が見られるという奇跡を、決して失わせてはならない。
その更に後ろでは、難しい顔をしているミーとウフコックを武美がからかって、もっと気楽にするようにと促している。だが、そんな彼女の表情も少し硬いように見える。
ミーとウフコックのあの様子は、もしかしたら彼らも本郷と同じものを感じているのかもしれない。
全員の顔を見届けると、本郷は視線を再び前に――T-800へと向けた。
T-800への対応、爆弾の除去など、やるべきことは多い。エックスを追うのも、フランシーヌを助けるのも、どうやら遅くなりそうだ。
最悪、全てを何とかしようと足掻いている内に、手遅れになってしまうかもしれない。
だが、本当に手遅れになってしまうとしても。どんなに非情で残酷な結末が待ち受けていたとしても。
その果てに平和と自由があると信じて、全てを諦めず、全てを守り通すために戦い抜く。
それが、仮面ライダーなのだから。
▽
スバルは、歓喜していた。
機械仕掛けの殺戮舞台で、彼女は今まで本当に恵まれていなかった。
最も信頼すべきボブと些細なすれ違いで早々に離別してしまい、その直後にドラスによって右腕を奪われ、タチコマを失い、緑髪の少女を殺してしまい、ノーヴェまでも救えず――それらのことにより発狂寸前にまで錯乱してしまった。
そしてつい数時間前には、命懸けで自分を説得した勇気ある者――凱と、最愛の姉であるギンガを、この手で殺してしまった。
凱に関しては、おそらく振動破砕の影響があの後に現れたか、或いは凱が最後まで強がってスバルに致命傷を気付かせなかったのだと考えた。
片腕と仲間をドラスによって失い、それが遠因となって3人も殺してしまった。
始まりから今に至るまで、本当に困難辛苦の連続であった。
だが、今はどうだろうか。
ボブと再合流を果たし、本郷が率いる心強い打倒シグマを掲げる同志と合流し、そしてマッハキャリバーとも再会できた。本郷とソルティの2人には、スバルは恩人として強い信頼を寄せていた。
こんなにも良い出会いが一気に起きるなんて、嘘のようだ。……いや。まるで、今までの不幸の帳尻合わせが今から起きているような、そんな気分だ。
今なら、色んなことができるような、そんな気がしてくる。
「よ~し、頑張るぞー!! 目指すは打倒ドラス! そして打倒シグマ!!」
「はい! 頑張りましょう、スバルさん」
スバルが立ち止まって気合を入れると、ソルティもそれに頷いてくれた。
本当に、今の自分は順風満帆だ。
今ならきっと、どんな困難も強敵も打ち破れる。
なんとも、痛烈に皮肉な話がある。
修理工場。数々のドラマを生み出したこの場所で、かつて行われたことの一つに、こんなものがある。
仮面ライダーによる、傷心の少年への荒療治と叱咤激励。
今回は、その少年――ドラスを憎悪するスバルが、同じく仮面ライダーによって傷付いた心を救われた。
新たな仲間を得て、決意も新たに……と言う点まで似通っている。
この一致を、皮肉といわずしてなんとするか。運命だとするのなら、それはなんと意地の悪いことか。
だが、彼らの似た状況にも決定的に違う点が1つだけある。
それは、今、此処ではスバルを中心とした嵐が起ころうとしていることだ。
火種と導火線はスバルのすぐ近くだが、彼女は決してそれに気付けない。台風の中心は無風状態であるのと同様に、今の彼女にはその予兆を察することさえ出来ない。
サイボーグの雄猫のような動物的直感も、金色のネズミのような並外れた嗅覚も無いのだから、それは当然のことだが。
しかし、考え方によっては、今のスバルは幸せなのかもしれない。
何故なら、今の喜びを、嬉しさを、何の迷いも無く受け入れることができるのだから。
【G-3 修理工場/一日目 夜】
【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労小、ダメージ大、全身に軽度の火傷、胸部から内部機械が露出、右腕に切創、ドクターケイトの毒、ベルトの一部が破損。応急処置済み
[装備]:白いカラス(全体に焦げ跡あり)@人造人間キカイダー
[道具]:支給品一式、トマト×97@THEビッグオー、謎の金属片(外装解除。解析は八割程度)、
PDA(グレイ・フォックス、ドロシー、草薙素子、ドラ・ザ・キッド)×4。 水消耗。
ロジャー・スミスの腕時計@THEビッグオー、ブルースシールド@ロックマン、ジローのギター@人造人間キカイダー
虹(ドクターケイトの毒が染み込んでいる)@クロノトリガー、ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催。
1:修理工場に入り、T-800に対応しつつ爆弾解除が可能か判断する。
2:エックスを止める。説得に応じないのなら、倒す
3:フランシーヌをハカイダーから助ける。決闘に応じる?
4:殺し合いに乗っていない者の保護、及び合流。
5:武美の寿命タイマーをどうにかする。
6:コロンビーヌにフランシーヌ人形のことを伝える。
7:パンタローネを倒した者を見つけ出し、この手で倒す。
8:シグマに関する情報を集めたい。爆発物の解析。
9:敬介の真意を確認。場合によっては倒す。
10:T-800に警戒しつつ、慎重に対処する。
[備考]
※原作8巻(第32話 称号)から参戦。
※コロンビーヌの格好を旧式のものと勘違いしています。
※ミーと情報交換をしました。
ただし、彼をサイボーグにした剛が世界制服を一時期目論んでいた事。
クロが己と同様の理由でサイボーグとなった事は知りません。
※この会場には、異世界の者達も呼ばれたのではないかと推測しています。
※シグマは新兵器を作るために、自分たちのデータを収集していると推察しています。
※武美とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※ベルト左側エナジーコンバーターが破損し、備蓄エネルギーが失われました。
※ドクターケイトの毒にかかったことを自覚しています。
【ミー@サイボーグクロちゃん】
[状態]:後頭部に足跡、疲労大、仲間を失った悲しみとやるせなさ、シグマへの怒り
[装備]:アームパーツ@ロックマンX、ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー(何でも切れる剣のあった場所に収納)
[道具]:PDA(ミー)、青雲剣@封神演義、ライドチェイサー『シリウス』@ロックマンXシリーズ
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催
1:エックスにクロを殺し、武美たちを傷つけたけじめをつけさせる。
2:武美、ソルティを守る。
3:シグマ打倒の為、仲間を集める。
4:敬介、ドラスを警戒。
5:本郷に対し、少々の罪悪感。
6:T-800に対して疑心。
[備考]
※悪魔のチップの制限は精密動作性の低下、他者への使用には遠慮気味になる、支給品と合体するとやや疲労する、です。
※合体による肉体の主導権は、基本的に相手の側にあります。
※ドクターケイトの杖@仮面ライダーSPIRITS(ID未登録)は切断され、E-8に放置されています。
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:腹部にダメージ中、疲労小、深い悲しみ。決意。
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー、ガイアアーマー@ロックマンX5
[道具]:支給品一式、PDA×2(ソルティ、神 敬介)、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン
紫の仮面@現実、K&S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発、LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:エックスを止める。
2:武美を守る。
3:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
[備考]
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。
【広川武美@パワポケシリーズ】
[状態]:健康、頭部に微ダメージ。煤で汚れている。軽い火傷。仲間を失った悲しみとやるせなさ。
[装備]:ウフコック@マルドゥックシリーズ
[道具]:PDA(武美、クロ)×2、ランダムアイテム0~1
アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS(弾切れ、発電所内にクロの右手と共に放置)、風船いかだ
[思考・状況]
基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。
1:本郷たちの行く末を見届ける。
2:クロの仇がとられる様子を見る?
3:シグマの居場所を探る。シャトルの行き先を変更できるように干渉する。
4:軍事基地に行く機会があったら行ってみる。
5:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。
6:T-800に若干の警戒心
[備考]
※A-1・軍事基地に『何か』があると考えています。
※本郷とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※ウフコックは、ターンした物を切り離すこと(反転変身【ターンオーバー】)が出来なくなっています。
※ウフコックの参戦時期は、ボイルド死亡後です。
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:全身に損傷(特に背部)、所々の深い傷からは金属骨格が露出、シグマウィルス感染
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS、
PDA(凱、村雨、T-800)、打神鞭@封神演義、グランドリオン@クロノトリガー、トリモチ銃@サイボーグクロちゃん
生活用リゼンブルパーツ(左腕)@SoltyRei、コルトS.A.Aの弾丸(12/30発)
ラブラブビッグバンの音楽ファイル@パワポケシリーズ、サブタンク(満タン)@ロックマンX
[思考・状況]
基本思考:スカイネットの使命通り、全ての者を破壊する。
1:スバル、本郷らを利用して人間及び、人間側のサイボーグとロボットを始末する。
2:ゼロたちのチームの悪評を流す。
3:発見した音楽ファイルに秘められたメッセージを本郷と共に解読。
4:用が済めば、スバル達を破壊する(しかし、ノイズが発生。それを心地よく思っている?)。
5:エックスを警戒、しかし利用する。
[備考]
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※地中にいた為、神敬介の接近や行動に気付きませんでした。
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:右腕をリゼンブルに換装。罪の意識とそれ以上の決意。若干の迷い。メカ救急箱によりほぼ回復。
[装備]:マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、軍用双眼鏡@現地調達
生活用リゼンブルパーツ(右腕)@SoltyRei(装着済み)、作業服(現地調達)
[道具]:PDA(スバル)
滝和也のナックル@仮面ライダーSPIRITS、ナックルの弾薬(25/30発)@仮面ライダーSPIRITS
テキオー灯@ザ・ドラえもんズ、ライディング・ボード@リリカルなのはStrikerS
[思考・状況]
基本思考:他者を破壊しようとした参加者を破壊する。罪は自分だけが背負う。
1:ドラスを許さない。ギンガの仇を討つ。
2:ボブや本郷達と協力。
3:チンク、メカ沢、ロボ(後ろの二名は名前を知らない)とは、いずれ合流する。
4:エックスに同情。彼を説得したい。
[備考]
※本編終了後からの参加です。
※テキオー灯は、一時間のみ効力持続。
一度使った者には、24時間経過しなければ使用不可能と制限されています。
※T-800のことを、ボブと呼んでいます。
※マッハキャリバーの参戦時期はスバルと同じです。
※凱を殺してしまったと思い込んでいます。
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