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水銀燈×蒼星石 - (2006/03/18 (土) 01:35:26) の1つ前との変更点

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<hr> <p>   校門に向かって小走りに進む影があった。<br> 蒼 「うぅ…すっかり遅くなっちゃった。…怒ってるだろうなぁ。」<br> 水 「当たり前でしょぉ。私は待たされるの大嫌いなのよぉ?」<br> 蒼 「うわ!水銀燈!」<br> 水 「ちょ、ちょっと蒼星石…なんでそんなに驚かれなきゃいけないのよぉ…」<br> 蒼 「ご、ごめん。いきなり出てくるからお化けかと思って…」<br> 水 「…じゃあ何で水銀燈って呼びかけたのよぉ。」<br> 蒼 「な、なんとなくかな…」<br> 水 「…まぁ、それは置いといて。貴女、今日は6時までに部活が終わるって言ってたわよねぇ?」<br> 蒼 「…はい、言いました。」<br> 水 「だから6時ごろに校門に居てくれれば一緒に帰れるよ、って言ってたわよねぇ?」<br> 蒼 「…言いました。」<br> 水 「今、6時40分まわったころよねぇ。」<br> 蒼 「…ごめんなさい。」<br> 水 「この寒空の下、40分も待たされたのよぉ?ごめんの一言で許すわけないじゃなぁい。」<br> 蒼 「…なんか奢るよ。」<br> 水 「あら、そんなこと言っていいのぉ?私、すっごく高いもの奢ってもらうわよぉ?」<br> 蒼 「…常識の範疇で選んでくれると信じてるから。」<br> 水 「ん~…しょうがないわねぇ…それじゃ、本当に高いもの、奢ってもらおうかしらぁ。」<br>    …一瞬、二つの影が重なった。</p> <div class="mes"> 蒼 「す、水銀燈!いいいいきなり何するんだよ!」<br> 水 「何って…知らないのぉ?口付け、キス、接吻…」<br> 蒼 「そ、そうじゃなくて!何でいきなりキスなんか…」<br> 水 「言ったでしょぉ?高いもの奢ってもらうって。」<br> 蒼 「ぼ、ボクの唇は売り物じゃない!」<br> 水 「あらぁ?でも希少価値はあるわよねぇ。貴女、ガード固くてなかなかさせてくれな…」<br> 蒼 「女同士でキスなんかできるわけないだろ!」<br> 水 「今できたわよぉ?試しにもう一回やってみるぅ?」<br> 蒼 「……も、もう知らない。水銀燈なんか知らない…」<br> 水 「…あらあら、自分が遅刻してきた癖に何でそんなに偉そうなのかしらぁ?」<br> 蒼 「うわっ!ちょ…ちょっと水銀燈!待って!ごめんなさい!ボクが悪かった!だからもうやめ」<br>    下校途中、ごめんなさいを除夜の鐘並に連呼した蒼星石は、もう絶対に水銀燈を待たせたりしないと心に決めたそうな。<br> <br> 水 「ふふ…次遅れたらもっと高いものを…」<br> 蒼 「へ、変なとこ見ないでよ!」<br> <br> Fin.<br></div> <hr> 蒼 「ねぇ、水銀燈。」<br> 水 「なぁに?」<br> 蒼 「この状況の意味がいまいち把握できないんだけど。」<br>    時は昼休み。ポカポカした春の陽気の下で日向ぼっこを楽しんでいた蒼星石。<br>    その蒼星石の上を横切るように寝そべった水銀燈。<br> 水 「まぁまぁ。細かいことは気にしないでいいじゃなぁい。」<br> 蒼 「よくない。重いからどいてよ。」<br> 水 「まあ!レディに向かって重いとは失礼ねぇ…」<br> 蒼 「事実なんだからしょうがないでしょ。」<br> 水 「悪かったわねぇ…私、蒼星石と違ってスタイルいいからぁ、仕方ないのよぉ。」<br> 蒼 「は?」<br> 水 「バストもヒップも貴女より大分高い数値だと思うわぁ。」<br> 蒼 「…!」<br> 水 「ん?どうしたのぉ?電流が走ったみたいな顔してるわよぉ?」<br> 蒼 「…るのに…」<br> 水 「え?」<br> 蒼 「気にしてるのに!ああそうだよ!どうせボクはぺったんこだよ!」<br> 水 「ちょ、ちょっと蒼星石。声が大き…」<br> 蒼 「水銀燈はいいよね!スタイルもいいし綺麗な顔立ちしてるし…もご」<br>    話の途中で口を塞がれた。 <div class="mes"> 水 「そうやって自分を卑下しちゃ駄目よぉ。」<br> 蒼 「…水銀燈は自分に自信を持ってるからそんなこと言えるんだ…」<br> 水 「まぁ、そうかもしれないけどねぇ。我ながらスタイルは完璧だと思うわよぉ。」<br> 蒼 「………」<br> 水 「でも、そんなにむくれないで欲しいわぁ。貴女、もっと自信持っていいのよぉ。」<br> 蒼 「え?」<br> 水 「少し自覚持ちなさいよぉ。貴女のことを私より綺麗だと思っている人ぐらい、いっぱい居るのよぉ?」<br> 蒼 「そ、そうかなぁ…」<br> 水 「そうよぉ。現に貴女の認める完璧なスタイルの女性も、貴女のことをとっても綺麗だと思ってるのよぉ?」<br> 蒼 「え、誰それ。」<br> 水 「…ここは怒っていいのかしらぁ。」<br> 蒼 「わわ、冗談だよ冗談。…でも、水銀燈が?」<br> 水 「そうよぉ。ぺったんこだろうが何だろうが、私は貴女のその姿が大好きよぉ?」<br> 蒼 「…ん。何か引っかかるけど、とりあえず嬉しいよ。」<br> 水 「このまま私のものにしちゃいたいぐらいにv」<br> 蒼 「…へ?」<br>    不意に上から抱きしめられる。さっきまで仰向けだった水銀燈の顔が今ははっきりと間近に見えた。<br> 水 「ふふふ…至福だわぁ…」<br> 蒼 「ちょ、ちょっと!ここ学校だよ!?」<br> 水 「それがどうかしたのぉ?今時ニワトリだって学校の飼育小屋で発情するわよぉ。」<br> 蒼 「い、意味わかんないよ!発情って何さ、発情って。」<br> 水 「あぁ…貴女の全てがほしいわぁ…」<br> 蒼 「!ふ、服の中に手を入れるなぁ!」<br> 水 「照れちゃって…可愛いわねぇ。」<br> 蒼 「ひゃ!撫でまわすなぁ!く、くすぐったいでしょ!」<br>    うららかな午後の日差しの下。今日も水銀燈に振り回される蒼星石なのでした。<br> 水 「ふふふ…蒼星石の身体の開発、この調子で進むかしらぁ…」<br> 蒼 「ぜ、絶対されるもんか!」<br> <br> Fin.</div> <div class="mes"> <hr> <div class="mes"> 蒼 「あぁ見えて…結構気にするタイプだったんだなぁ、水銀燈。」<br>    帰り道、ポツリと独り言を漏らす蒼星石。<br> 蒼 「どうしよう…ボクの所為で傷ついちゃったのかなぁ…」<br>    そう思うと、何か底知れぬ罪悪感が湧き出して目頭が熱くなった。<br> 蒼 「…嫌われちゃってたら、どうしよう。」<br>    一粒、涙がこぼれたそのとき…水銀燈の住む家が見えてきた。<br> <br>    ピンポーン。<br>    これで三回目になるが、水銀燈の家のインターホンを鳴らす。<br> 蒼 「…居ないのかなぁ…」<br>    蒼星石は、何の気なしにドアノブに手をかけた。すると…<br> 蒼 「鍵が…開いてる?」<br>    ドアを開き、中をこっそりと覗く蒼星石。パッと見ただの覗き魔だったが、そんなことを気にする余裕はなかった。<br>    中から…何か物音がする。<br> 蒼 「まさか…泥棒でも…!」<br>    急いで中に飛び込む。しかし、そこに居たのは…<br> 水 「…あらぁ、蒼星石。血相変えちゃって…どうかしたのぉ?」<br>    至って普通に料理をしている水銀燈だった。<br> 蒼 「す、水銀燈…君、なんで学校から居なくなっちゃったんだ?」<br> 水 「あぁ、四時限目提出期限のレポートがまだ終わってなくて。<br> 蒼 「はぁ?」<br> 水 「怒られる前に早退しちゃおうと思ったのよ。」<br>    しれっと言う水銀燈。蒼星石はその場にへなへなと座り込んだ。 蒼 「く、来るんじゃなかった…真面目に心配したのに…」<br> 水 「あらぁ?心配?なんのことよぉ。」<br> 蒼 「…いいよ。無駄な心配だったみたいだし。」<br> 水 「じょ、冗談よぉ。そりゃあ私だってあの時は多少傷ついたわよ。」<br> 蒼 「その割には随分元気そうじゃないか。」<br> 水 「…空元気って言葉、知らないの?」<br>    本日二度目。水銀燈の声のトーンが変わった。<br> 水 「…わ、私…とうとう蒼星石に嫌われちゃったかと思って…」<br> 蒼 「え…ちょ、ちょっと水銀燈…」<br> 水 「思わず教室から飛び出したはいいけど…そのまま教室に戻れなくなっちゃって…」<br> 蒼 「あ…あの…」<br> 水 「心配して家まで来てくれたのが嬉しかったから…あんまり悲しませないようと思って明るく振舞ってたのよ…」<br> 蒼 「…ごめん、水銀燈。」<br> 水 「いいわよ、謝ってなんかくれなくても。どうせ私なんか…」<br>    両手で顔を覆う水銀燈の前に、ただおろおろするばかりの蒼星石。<br>    こういうとき、どうすればいいのか。ふと、彼女は昔のことを思い返した。<br> <br> 蒼 「翠星石なんかもう知らない!謝っても許してなんかあげない!」<br> 翠 「あ、あの…蒼星石。翠星石が悪かったですぅ。ケーキの苺はちゃんと返すですぅ。だから機嫌直して…」<br> 蒼 「やだ!翠星石なんか嫌いだ!あっち行けぇ!」<br>    取り付くしまのない返答を返したことが記憶に残っている。そのとき確か翠星石は…<br>    頑なに断り続けた自分の頭を…無言で撫でてくれた。<br> 翠 「…こんなことしかできないけど…翠星石は…蒼星石に嫌われたくないですぅ…」<br>    涙混じりにそう言った翠星石の姿は、今でも脳裏に焼きついていた。</div> <div class="mes"></div> <div class="mes">蒼 「ねぇ…水銀燈。」<br> 水 「…」<br>    無言で顔を上げた水銀燈の目には涙が光っていた。珍しく、弱い一面を見た気がする。<br>    蒼星石は、その頭を抱きしめ…優しく撫で始めた。<br> 蒼 「…ボクは…水銀燈のこと、嫌いなんかじゃない。」<br> 水 「…」<br> 蒼 「確かに…たまにエッチなことされて、恥ずかしいときもあるけど…」<br> 水 「…」<br> 蒼 「ボクは…水銀燈と一緒に居ると、何だか気持ちよくなれるから。」<br> 水 「…」<br> 蒼 「水銀燈…好きだよ。」<br>    この言葉に嘘偽りはなかった。それもこの「好き」の真意は…きっと、友人としてよりも深いものだと思う。<br>    しばし、沈黙が場を支配した。そしてその沈黙を破ったのは…<br> 水 「ふ…ふふふ…」<br>    堪えきれない、とでも言うように零れた、水銀燈の笑い声だった。<br> 蒼 「…水銀燈?」<br> 水 「あ、あはははははははは!そ、蒼星石ってば…本気にしちゃってぇ…」<br> 蒼 「な…ま、まさか水銀燈!」<br> 水 「覚えておきなさぁい。涙は女の武器…そして商売道具なのよぉ。」<br> 蒼 「だ、騙したな!」<br> 水 「ふふ、ごめんね。でも…嬉しかったわぁ。」<br> 蒼 「…へ?」 <div class="mes">蒼 「あ…あれはもののはずみで!」<br> 水 「私も…愛してるわぁ。蒼星石。」<br>    言うが早いが、水銀燈はキッチンの床に蒼星石を押し倒した。<br> 蒼 「わ~!な、何するんだよ!」<br> 水 「喧嘩、告白とくれば…次は愛の営みでしょぉ?」<br>    少しいつもよりも深い口付け。甘い吐息が漏れる。<br> 蒼 「ん…水銀燈…」<br> 水 「蒼星石…貴女の初めて、美味しくいただくわぁv」<br> 蒼 「!お、女同士なんだよ?」<br> 水 「女相手に告白をした子がいまさら何を言ってるのぉ?」<br> 蒼 「…う…」<br> 水 「それじゃ、服を脱いでちょうだぁい。あ、それとも脱がせてあげましょうかぁ?」<br> 蒼 「い、いやだぁぁぁあああ!」<br>    今日は蒼星石にとって、学ぶことの多い一日だった。何事についても。<br> <br> 水 「ふふ…意外と色っぽい声出すのねぇ、蒼星石。」<br> 蒼 「こ、このまま憤死してしまいたい…翠星石や真紅にバレでもしたら…」<br> 水 「あ、安心してちょうだぁい。翠星石にはちゃんとこのビデオテープを…」<br> 蒼 「水銀燈!そんなことしたら本当に死んでやるから!」<br> <br> Fin.<br></div> <hr> <br> 水 「好きって伝えるのは、私のほうからだと思ってたから…」</div> <br></div>
<hr> <p>   校門に向かって小走りに進む影があった。<br> 蒼 「うぅ…すっかり遅くなっちゃった。…怒ってるだろうなぁ。」<br> 水 「当たり前でしょぉ。私は待たされるの大嫌いなのよぉ?」<br> 蒼 「うわ!水銀燈!」<br> 水 「ちょ、ちょっと蒼星石…なんでそんなに驚かれなきゃいけないのよぉ…」<br> 蒼 「ご、ごめん。いきなり出てくるからお化けかと思って…」<br> 水 「…じゃあ何で水銀燈って呼びかけたのよぉ。」<br> 蒼 「な、なんとなくかな…」<br> 水 「…まぁ、それは置いといて。貴女、今日は6時までに部活が終わるって言ってたわよねぇ?」<br> 蒼 「…はい、言いました。」<br> 水 「だから6時ごろに校門に居てくれれば一緒に帰れるよ、って言ってたわよねぇ?」<br> 蒼 「…言いました。」<br> 水 「今、6時40分まわったころよねぇ。」<br> 蒼 「…ごめんなさい。」<br> 水 「この寒空の下、40分も待たされたのよぉ?ごめんの一言で許すわけないじゃなぁい。」<br> 蒼 「…なんか奢るよ。」<br> 水 「あら、そんなこと言っていいのぉ?私、すっごく高いもの奢ってもらうわよぉ?」<br> 蒼 「…常識の範疇で選んでくれると信じてるから。」<br> 水 「ん~…しょうがないわねぇ…それじゃ、本当に高いもの、奢ってもらおうかしらぁ。」<br>    …一瞬、二つの影が重なった。</p> <div class="mes"> 蒼 「す、水銀燈!いいいいきなり何するんだよ!」<br> 水 「何って…知らないのぉ?口付け、キス、接吻…」<br> 蒼 「そ、そうじゃなくて!何でいきなりキスなんか…」<br> 水 「言ったでしょぉ?高いもの奢ってもらうって。」<br> 蒼 「ぼ、ボクの唇は売り物じゃない!」<br> 水 「あらぁ?でも希少価値はあるわよねぇ。貴女、ガード固くてなかなかさせてくれな…」<br> 蒼 「女同士でキスなんかできるわけないだろ!」<br> 水 「今できたわよぉ?試しにもう一回やってみるぅ?」<br> 蒼 「……も、もう知らない。水銀燈なんか知らない…」<br> 水 「…あらあら、自分が遅刻してきた癖に何でそんなに偉そうなのかしらぁ?」<br> 蒼 「うわっ!ちょ…ちょっと水銀燈!待って!ごめんなさい!ボクが悪かった!だからもうやめ」<br>    下校途中、ごめんなさいを除夜の鐘並に連呼した蒼星石は、もう絶対に水銀燈を待たせたりしないと心に決めたそうな。<br> <br> 水 「ふふ…次遅れたらもっと高いものを…」<br> 蒼 「へ、変なとこ見ないでよ!」<br> <br> Fin.<br></div> <hr> 蒼 「ねぇ、水銀燈。」<br> 水 「なぁに?」<br> 蒼 「この状況の意味がいまいち把握できないんだけど。」<br>    時は昼休み。ポカポカした春の陽気の下で日向ぼっこを楽しんでいた蒼星石。<br>    その蒼星石の上を横切るように寝そべった水銀燈。<br> 水 「まぁまぁ。細かいことは気にしないでいいじゃなぁい。」<br> 蒼 「よくない。重いからどいてよ。」<br> 水 「まあ!レディに向かって重いとは失礼ねぇ…」<br> 蒼 「事実なんだからしょうがないでしょ。」<br> 水 「悪かったわねぇ…私、蒼星石と違ってスタイルいいからぁ、仕方ないのよぉ。」<br> 蒼 「は?」<br> 水 「バストもヒップも貴女より大分高い数値だと思うわぁ。」<br> 蒼 「…!」<br> 水 「ん?どうしたのぉ?電流が走ったみたいな顔してるわよぉ?」<br> 蒼 「…るのに…」<br> 水 「え?」<br> 蒼 「気にしてるのに!ああそうだよ!どうせボクはぺったんこだよ!」<br> 水 「ちょ、ちょっと蒼星石。声が大き…」<br> 蒼 「水銀燈はいいよね!スタイルもいいし綺麗な顔立ちしてるし…もご」<br>    話の途中で口を塞がれた。 <div class="mes"> 水 「そうやって自分を卑下しちゃ駄目よぉ。」<br> 蒼 「…水銀燈は自分に自信を持ってるからそんなこと言えるんだ…」<br> 水 「まぁ、そうかもしれないけどねぇ。我ながらスタイルは完璧だと思うわよぉ。」<br> 蒼 「………」<br> 水 「でも、そんなにむくれないで欲しいわぁ。貴女、もっと自信持っていいのよぉ。」<br> 蒼 「え?」<br> 水 「少し自覚持ちなさいよぉ。貴女のことを私より綺麗だと思っている人ぐらい、いっぱい居るのよぉ?」<br> 蒼 「そ、そうかなぁ…」<br> 水 「そうよぉ。現に貴女の認める完璧なスタイルの女性も、貴女のことをとっても綺麗だと思ってるのよぉ?」<br> 蒼 「え、誰それ。」<br> 水 「…ここは怒っていいのかしらぁ。」<br> 蒼 「わわ、冗談だよ冗談。…でも、水銀燈が?」<br> 水 「そうよぉ。ぺったんこだろうが何だろうが、私は貴女のその姿が大好きよぉ?」<br> 蒼 「…ん。何か引っかかるけど、とりあえず嬉しいよ。」<br> 水 「このまま私のものにしちゃいたいぐらいにv」<br> 蒼 「…へ?」<br>    不意に上から抱きしめられる。さっきまで仰向けだった水銀燈の顔が今ははっきりと間近に見えた。<br> 水 「ふふふ…至福だわぁ…」<br> 蒼 「ちょ、ちょっと!ここ学校だよ!?」<br> 水 「それがどうかしたのぉ?今時ニワトリだって学校の飼育小屋で発情するわよぉ。」<br> 蒼 「い、意味わかんないよ!発情って何さ、発情って。」<br> 水 「あぁ…貴女の全てがほしいわぁ…」<br> 蒼 「!ふ、服の中に手を入れるなぁ!」<br> 水 「照れちゃって…可愛いわねぇ。」<br> 蒼 「ひゃ!撫でまわすなぁ!く、くすぐったいでしょ!」<br>    うららかな午後の日差しの下。今日も水銀燈に振り回される蒼星石なのでした。<br> 水 「ふふふ…蒼星石の身体の開発、この調子で進むかしらぁ…」<br> 蒼 「ぜ、絶対されるもんか!」<br> <br> Fin.</div> <div class="mes"> <hr> <div class="mes"> 蒼 「あぁ見えて…結構気にするタイプだったんだなぁ、水銀燈。」<br>    帰り道、ポツリと独り言を漏らす蒼星石。<br> 蒼 「どうしよう…ボクの所為で傷ついちゃったのかなぁ…」<br>    そう思うと、何か底知れぬ罪悪感が湧き出して目頭が熱くなった。<br> 蒼 「…嫌われちゃってたら、どうしよう。」<br>    一粒、涙がこぼれたそのとき…水銀燈の住む家が見えてきた。<br> <br>    ピンポーン。<br>    これで三回目になるが、水銀燈の家のインターホンを鳴らす。<br> 蒼 「…居ないのかなぁ…」<br>    蒼星石は、何の気なしにドアノブに手をかけた。すると…<br> 蒼 「鍵が…開いてる?」<br>    ドアを開き、中をこっそりと覗く蒼星石。パッと見ただの覗き魔だったが、そんなことを気にする余裕はなかった。<br>    中から…何か物音がする。<br> 蒼 「まさか…泥棒でも…!」<br>    急いで中に飛び込む。しかし、そこに居たのは…<br> 水 「…あらぁ、蒼星石。血相変えちゃって…どうかしたのぉ?」<br>    至って普通に料理をしている水銀燈だった。<br> 蒼 「す、水銀燈…君、なんで学校から居なくなっちゃったんだ?」<br> 水 「あぁ、四時限目提出期限のレポートがまだ終わってなくて。<br> 蒼 「はぁ?」<br> 水 「怒られる前に早退しちゃおうと思ったのよ。」<br>    しれっと言う水銀燈。蒼星石はその場にへなへなと座り込んだ。蒼 「く、来るんじゃなかった…真面目に心配したのに…」<br> 水 「あらぁ?心配?なんのことよぉ。」<br> 蒼 「…いいよ。無駄な心配だったみたいだし。」<br> 水 「じょ、冗談よぉ。そりゃあ私だってあの時は多少傷ついたわよ。」<br> 蒼 「その割には随分元気そうじゃないか。」<br> 水 「…空元気って言葉、知らないの?」<br>    本日二度目。水銀燈の声のトーンが変わった。<br> 水 「…わ、私…とうとう蒼星石に嫌われちゃったかと思って…」<br> 蒼 「え…ちょ、ちょっと水銀燈…」<br> 水 「思わず教室から飛び出したはいいけど…そのまま教室に戻れなくなっちゃって…」<br> 蒼 「あ…あの…」<br> 水 「心配して家まで来てくれたのが嬉しかったから…あんまり悲しませないようと思って明るく振舞ってたのよ…」<br> 蒼 「…ごめん、水銀燈。」<br> 水 「いいわよ、謝ってなんかくれなくても。どうせ私なんか…」<br>    両手で顔を覆う水銀燈の前に、ただおろおろするばかりの蒼星石。<br>    こういうとき、どうすればいいのか。ふと、彼女は昔のことを思い返した。<br> <br> 蒼 「翠星石なんかもう知らない!謝っても許してなんかあげない!」<br> 翠 「あ、あの…蒼星石。翠星石が悪かったですぅ。ケーキの苺はちゃんと返すですぅ。だから機嫌直して…」<br> 蒼 「やだ!翠星石なんか嫌いだ!あっち行けぇ!」<br>    取り付くしまのない返答を返したことが記憶に残っている。そのとき確か翠星石は…<br>    頑なに断り続けた自分の頭を…無言で撫でてくれた。<br> 翠 「…こんなことしかできないけど…翠星石は…蒼星石に嫌われたくないですぅ…」<br>    涙混じりにそう言った翠星石の姿は、今でも脳裏に焼きついていた。</div> <div class="mes"></div> <div class="mes">蒼 「ねぇ…水銀燈。」<br> 水 「…」<br>    無言で顔を上げた水銀燈の目には涙が光っていた。珍しく、弱い一面を見た気がする。<br>    蒼星石は、その頭を抱きしめ…優しく撫で始めた。<br> 蒼 「…ボクは…水銀燈のこと、嫌いなんかじゃない。」<br> 水 「…」<br> 蒼 「確かに…たまにエッチなことされて、恥ずかしいときもあるけど…」<br> 水 「…」<br> 蒼 「ボクは…水銀燈と一緒に居ると、何だか気持ちよくなれるから。」<br> 水 「…」<br> 蒼 「水銀燈…好きだよ。」<br>    この言葉に嘘偽りはなかった。それもこの「好き」の真意は…きっと、友人としてよりも深いものだと思う。<br>    しばし、沈黙が場を支配した。そしてその沈黙を破ったのは…<br> 水 「ふ…ふふふ…」<br>    堪えきれない、とでも言うように零れた、水銀燈の笑い声だった。<br> 蒼 「…水銀燈?」<br> 水 「あ、あはははははははは!そ、蒼星石ってば…本気にしちゃってぇ…」<br> 蒼 「な…ま、まさか水銀燈!」<br> 水 「覚えておきなさぁい。涙は女の武器…そして商売道具なのよぉ。」<br> 蒼 「だ、騙したな!」<br> 水 「ふふ、ごめんね。でも…嬉しかったわぁ。」<br> 蒼 「…へ?」</div> <div class="mes"> 水 「好きって伝えるのは、私のほうからだと思ってたから…」</div> <div class="mes">蒼 「あ…あれはもののはずみで!」<br> 水 「私も…愛してるわぁ。蒼星石。」<br>    言うが早いが、水銀燈はキッチンの床に蒼星石を押し倒した。<br> 蒼 「わ~!な、何するんだよ!」<br> 水 「喧嘩、告白とくれば…次は愛の営みでしょぉ?」<br>    少しいつもよりも深い口付け。甘い吐息が漏れる。<br> 蒼 「ん…水銀燈…」<br> 水 「蒼星石…貴女の初めて、美味しくいただくわぁv」<br> 蒼 「!お、女同士なんだよ?」<br> 水 「女相手に告白をした子がいまさら何を言ってるのぉ?」<br> 蒼 「…う…」<br> 水 「それじゃ、服を脱いでちょうだぁい。あ、それとも脱がせてあげましょうかぁ?」<br> 蒼 「い、いやだぁぁぁあああ!」<br>    今日は蒼星石にとって、学ぶことの多い一日だった。何事についても。<br> <br> 水 「ふふ…意外と色っぽい声出すのねぇ、蒼星石。」<br> 蒼 「こ、このまま憤死してしまいたい…翠星石や真紅にバレでもしたら…」<br> 水 「あ、安心してちょうだぁい。翠星石にはちゃんとこのビデオテープを…」<br> 蒼 「水銀燈!そんなことしたら本当に死んでやるから!」<br> <br> Fin.<br></div> <div class="mes"> <hr></div> </div>

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