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雛苺短編14 - (2007/08/12 (日) 16:19:27) の1つ前との変更点
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<p>鏡を覗くと昨日と同じ自分がいて少しため息をつく。<br>
変わらない背丈、相変わらずのふっくらした輪郭。<br>
童顔と呼ぶにも子供っぽすぎるパーツの一つ一つが、気持ちに呼応して悲しげな表情を作り出していく。<br>
その顔すらもいじけた子供のそれに見えて、ますますため息は大きくなるばかりだ。<br>
彼はこんな私をどんな目で見てくれているだろうか?<br>
妹のような存在?それならまだいいほうだ。<br>
最近の彼の態度を思い出すと、娘くらいに思われていてもおかしくない気がする。<br>
私だってもう高校生だから、本当はもっと大人な付き合いを彼としてみたいといつも思ってる。<br>
だけど彼の前に出ると舞い上がっちゃって子供みたいに甘えたり騒いだり…。<br>
ふと気付くと鏡の中の自分はとてもいい笑顔でいるように見えた。<br>
彼のことを考えただけで自然と笑みがこぼれるなんてもはや重症だ。<br>
少し色のついたリップクリームを塗って私は鏡を閉じる。<br>
少しだけ目線が高くなったような錯覚を感じ自嘲気味にちょっと笑った。<br>
大人な自分を意識した今日は通学路を歩く早さも昨日とは違う気がする。<br>
鞄を持った左手だっていつもより上品だし、鼻唄だって今日ばかりは歌ったりしない。<br>
ちょっと意識を変えれば私は少しだけでも大人になれるんだ<br>
そう考えていると前を歩く彼の姿が見えた。<br>
その瞬間私の中の大人はあっという間にだいなしになってしまって、<br>
『ジュン!おはようなの~』といつもの自分で彼に抱き着いていたのだった。</p>