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巴短編6 - (2007/12/18 (火) 23:43:23) の1つ前との変更点
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<p>「私、思うの。私が桜田くんに夢中なんじゃなくて、<br>
桜田くんが私に夢中なのよ。きっと。<br>
これ、みんなには秘密よ」<br>
<br>
どうやら、柏葉の頭が、ある次元にまで達してしまったようだ。<br>
断りなく僕の膝の上に座る柏葉を思い、僕は言いようのない同情の念に駆られる。<br>
<br>
「桜田くん、そっち向いて座っていい?」<br>
<br>
抱っこじゃないか。それは。<br>
紛うことなき、抱っこじゃないか。それは。<br>
言うが速いか柏葉は既に僕の腰へと腕を回していた。<br>
<br>
「座っちゃいました」<br>
<br>
気持ちよさそうに僕の胸に顔を埋める柏葉を、<br>
僕はコーヒーカップのハンドルよろしく回転させてみる。<br>
<br>
「桜田くんったら、私の身体をそんなに強く掴んで…」<br>
<br>
指摘されて始めて気付いた。<br>
単に、柏葉の思うままになるのが癪だったから天邪鬼してみただけだったので、<br>
特に構うこともなく後ろから柏葉を抱き締める。<br>
──いいや。たまにはこんな日も。<br>
いつの間にかこちらを向いて、<br>
呼吸を乱し、抱っこの体勢をとっている柏葉の、<br>
うっすらと産毛の茂ったうなじの匂いが、ひどく僕の劣情をかきたてた。</p>
<hr>
<p><br>
<br>
<br>
「おはよう、桜田くん。どう?私のおっぱい、柔らかい?」<br>
<br>
頭のネジが緩んだ幼馴染がいると、<br>
おちおち昼寝もできたもんじゃない。<br>
目が覚めたら布団の中で幼馴染と同衾していました、<br>
なんて、外聞もへったくれもあったもんじゃない。<br>
けれども、<br>
むぎゅっと抱き締められるのは僕としても悪い気はしないので、<br>
今後も保守的な僕であろうと思う。<br>
<br>
「…桜田くん…」<br>
<br>
幼馴染──柏葉が、<br>
おずおずと、多少恥じらいを見せながら問うた。<br>
<br>
「勃起した?」<br>
<br>
何だこの娘。この娘こんな娘だっただろうか?<br>
とりあえず、ありのままを伝えるべく、<br>
柏葉の胸に抱き留められたまま、首肯した。<br>
<br>
「桜田くんのスケベ」<br>
<br>
言いながら柏葉が、<br>
今度は脚で僕の腰を挟むようにして固定する。<br>
それはさながら、昆虫の交尾のようで。<br>
そして何故か、<br>
身体全体を拘束されているというのに、妙な安息感があった。<br>
──柔らかな感触に神経を侵されたまま、<br>
僕の意識は再び夢の中へと落ちていった。</p>
<hr>
<p><br>
<br>
「…桜田くんのTシャツ……」<br>
<br>
本人の目の前で、<br>
フローリングに放ってあったTシャツの匂いを嗅ぐその姿勢には、感服せざるを得ない。<br>
恍惚の表情の内で、一体どんな思考が渦巻いているのか、<br>
リコーダーに付いてくる、細長い棒の存在意義と同じくらい気になる。<br>
<br>
「これ、貰っていい?」<br>
「……いや、別に構わないけど、何に使うんだ?」<br>
<br>
途端、頬を上気させて、伏目がちになったのを認め、<br>
<br>
「一人え──」<br>
<br>
Tシャツを掠め取る。<br>
──姉ちゃん、もうそろそろ洗濯する頃かなぁ。<br>
<br>
「桜田くんのいけず」<br>
<br>
そして、不満を垂れながら頬をげっ歯類ライクに膨らまし、<br>
僕の胸に顔を埋め、大げさな音を立てて嗅ぎ込んで一言。<br>
<br>
「やっぱり本体いるからいいや」<br>
<br>
作用か。</p>
<p>「私、思うの。私が桜田くんに夢中なんじゃなくて、<br>
桜田くんが私に夢中なのよ。きっと。<br>
これ、みんなには秘密よ」<br>
<br>
どうやら、柏葉の頭が、ある次元にまで達してしまったようだ。<br>
断りなく僕の膝の上に座る柏葉を思い、僕は言いようのない同情の念に駆られる。<br>
<br>
「桜田くん、そっち向いて座っていい?」<br>
<br>
抱っこじゃないか。それは。<br>
紛うことなき、抱っこじゃないか。それは。<br>
言うが速いか柏葉は既に僕の腰へと腕を回していた。<br>
<br>
「座っちゃいました」<br>
<br>
気持ちよさそうに僕の胸に顔を埋める柏葉を、<br>
僕はコーヒーカップのハンドルよろしく回転させてみる。<br>
<br>
「桜田くんったら、私の身体をそんなに強く掴んで…」<br>
<br>
指摘されて始めて気付いた。<br>
単に、柏葉の思うままになるのが癪だったから天邪鬼してみただけだったので、<br>
特に構うこともなく後ろから柏葉を抱き締める。<br>
──いいや。たまにはこんな日も。<br>
いつの間にかこちらを向いて、<br>
呼吸を乱し、抱っこの体勢をとっている柏葉の、<br>
うっすらと産毛の茂ったうなじの匂いが、ひどく僕の劣情をかきたてた。</p>
<hr>
<p><br>
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「おはよう、桜田くん。どう?私のおっぱい、柔らかい?」<br>
<br>
頭のネジが緩んだ幼馴染がいると、<br>
おちおち昼寝もできたもんじゃない。<br>
目が覚めたら布団の中で幼馴染と同衾していました、<br>
なんて、外聞もへったくれもあったもんじゃない。<br>
けれども、<br>
むぎゅっと抱き締められるのは僕としても悪い気はしないので、<br>
今後も保守的な僕であろうと思う。<br>
<br>
「…桜田くん…」<br>
<br>
幼馴染──柏葉が、<br>
おずおずと、多少恥じらいを見せながら問うた。<br>
<br>
「勃起した?」<br>
<br>
何だこの娘。この娘こんな娘だっただろうか?<br>
とりあえず、ありのままを伝えるべく、<br>
柏葉の胸に抱き留められたまま、首肯した。<br>
<br>
「桜田くんのスケベ」<br>
<br>
言いながら柏葉が、<br>
今度は脚で僕の腰を挟むようにして固定する。<br>
それはさながら、昆虫の交尾のようで。<br>
そして何故か、<br>
身体全体を拘束されているというのに、妙な安息感があった。<br>
──柔らかな感触に神経を侵されたまま、<br>
僕の意識は再び夢の中へと落ちていった。</p>
<hr>
<p><br>
<br>
「…桜田くんのTシャツ……」<br>
<br>
本人の目の前で、<br>
フローリングに放ってあったTシャツの匂いを嗅ぐその姿勢には、感服せざるを得ない。<br>
恍惚の表情の内で、一体どんな思考が渦巻いているのか、<br>
リコーダーに付いてくる、細長い棒の存在意義と同じくらい気になる。<br>
<br>
「これ、貰っていい?」<br>
「……いや、別に構わないけど、何に使うんだ?」<br>
<br>
途端、頬を上気させて、伏目がちになったのを認め、<br>
<br>
「一人え──」<br>
<br>
Tシャツを掠め取る。<br>
──姉ちゃん、もうそろそろ洗濯する頃かなぁ。<br>
<br>
「桜田くんのいけず」<br>
<br>
そして、不満を垂れながら頬をげっ歯類ライクに膨らまし、<br>
僕の胸に顔を埋め、大げさな音を立てて嗅ぎ込んで一言。<br>
<br>
「やっぱり本体いるからいいや」<br>
<br>
作用か。</p>