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9月のおわり - (2008/04/21 (月) 15:50:01) の1つ前との変更点
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<div class="mes">『保守かしら』<br />
2007年9月20日<br /><br />
今日はすごいウワサを聞いちゃったかしら。<br />
<br />
真紅が映画の役者さんとしてスカウトされてるんだって。<br />
関係者の人たちが真紅にお願いに来てるらしいかしら。<br /><br />
乙女番長たるものさっそく本当かどうか、お昼休みに真紅の教室に確かめに行ったわ。<br />
とりあえず教室のろう下の壁に近づいて、耳をそばだてて情報収集開始!<br />
と思ったけれど、壁にしゃがんだとたんに真紅が扉から出てきたの。<br />
それは偶然だったんだけれど、ばっちり目が合っちゃった。<br /><br />
「なにしてるの?」<br />
真紅に聞かれて、あわててカナはごまかしたの。<br />
「えーっと、食事でもご一緒にいかがかしらー?」<br />
「…」<br />
真紅がじぃーと静かな表情でこっちを見てて、冷や汗が出たかしら。<br />
「なんて、あは」<br />
「まぁ、いいけど」<br />
持っててよかったお弁当、かしら。<br />
<br />
ジュンがお弁当を持ってきて、3人で席についていきなり聞かれたかしら。<br />
「あなたもウワサを確かめに来たんでしょう?」<br />
真紅が言うと、教室が急に静かになったかしら。みんなウワサを気にしていたみたい。</div>
<p><a name="113"></a></p>
<div class="header"> </div>
<div class="mes"> 「まったくみんなひそひそとウワサしてばっかり。私はここにいるの<br />
だから確かめればいいじゃないの」<br />
真紅は少しさびしそう。カナもちょびっと悪いことしたかなって考えて、<br />
普通に聞く事にしたのよ。<br />
「真紅、映画に出るって話は本当なのかしら?」<br />
真紅はにっこりと笑ったかしら。で、<br /><br />
「さぁ、どうかしらね?」<br />
教室中からため息。けっきょくさっぱり教えてくれないの。<br /><br />
いーじーわーるーすーぎーる、かしらぁっ!!!</div>
<p><a name="114"></a></p>
<div class="header"><span class="date"><br /><br /></span>
<hr /><span class="date"><br /></span></div>
<div class="mes">『保守かしら』<br />
2007年9月21日<br /><br />
ふっふっふ、ピチカート。<br />
教えてもらえなかったもの同士、ジュンと完璧な作戦を立てたかしら。<br />
明日、真実を口にする真紅の姿が目に浮かぶかしら。 <br /><br /><br /><hr /><br /><br /><div class="mes">『保守かしら』<br />
2007年9月22日<br /><br />
全部の準備が整って、ジュンにメールで真紅を呼んでもらったのよ。<br />
そういえば、真紅が部室に来るのは7月以来ね。<br />
やってきた真紅はちょびっとフキゲンそうだったかしら。<br /><br />
「まったくこんなところに呼び出して、何の用なのジュン?」<br />
「ええっと」<br />
ジュンはなんて言えばいいかわからなくて、困ってた。ここでカナがすかさずフォロー!<br />
「まぁまぁ。まずは紅茶でもいかがかしら」<br />
カナながら完璧な笑顔でお出迎えかしらっ…なぜか真紅には見破られちゃった。<br />
「笑顔が引きつってるわよ…怪しいのだわ」<br />
ジーと見つめられて、頬をつままれたかしら。<br />
「あやしい…」<br />
「ひょんなことはないあるないかひら」<br />
まるで猫に睨まれてるみたいで、カナは冷や汗が出てきたの。<br />
でも紅茶の香りがふわっと漂ってきたら、真紅は席についていたかしら。<br /><br />
「この香り、エルトべーレね」<br />
真紅はばらしーちゃんの淹れた紅茶を一口。<br />
「なかなか上手だわ。貴女名前は?」<br />
「…ばら水晶です」<br />
真紅が微笑みかけると、ばらしーちゃんはおじぎをして、それからカナの背中に隠れちゃった。<br />
それから小さな声で<br />
「じょおうさま…」<br />
うん、すでに真紅はこの部屋のヌシのような風各をただよわせてた。<br />
どこにいても自分が主役になるパワーはひょっとしたらおねえちゃん並みかもしれないかしら。</div>
<a name="38"></a>
<div class="header"> </div>
<div class="mes"> それはともかく、ばらしーちゃんのえんご射撃で真紅を席につかせることに成功したのよ♪<br />
「ばらしーちゃんは紅茶を淹れるのがとっても上手なのかしら」<br />
「なんで貴女が誇らしげなのよ?」<br /><br />
紅茶の名前と由来と特徴と味わいと香りと淹れ方について話して、1杯目の紅茶を飲み終<br />
わってから真紅が言ったかしら。<br />
「で、いったい何の用なの」<br />
聞いたのはジュン。<br />
「真紅は映画に出演するのか?」<br />
「またそのこと?もう10回目かしら」<br />
真紅は冗談みたいに指をひらひらさせたの。<br />
「だって、気になるんだもん」<br />
「金糸雀は2回目ね」<br />
『困ったわ』っていう風に真紅は首を横に振ったの。<br />
「どうしても教えてくれないかしら?」<br />
カナとジュンは目配せしあったかしら。ふっふっふ。<br />
「教えてくれないのはわかってるさ。だから真紅、取引しよう」<br />
ジュンは隠しておいたものを机の上に置いたの。<br /><br />
真紅は思わず立ち上がって、イスがこけたかしら。<br />
「くんくん探偵…なに、この大量生産品では表現できない再現度…私が取り逃がした限定品が<br />
あるとでもいうの!?」<br />
そう、これがカナとジュンの作戦だったかしら!<br />
「これはカナとジュンが作ったくんくん人形かしら」<br />
「どうだ真紅欲しくないか?」<br />
カナとジュンはノリノリ。<br />
「くっ、卑怯よ…くんくんを人質にとるなんて」<br />
「…人…質?」<br />
ばらしーちゃんは首をかしげてた。</div>
<a name="39"></a>
<div class="header"> </div>
<div class="mes"> 「なんて素晴らしい造形、くんくん探偵の知性を10分の7まで表現したフォルム」<br />
真紅はもうかなりショックを受けてた。ここで最後の一押し!<br />
「ほっほほのほー!真紅!このくんくんはそれだけじゃーあないのよ」<br />
「なんですって」<br />
カナはリモコンを取り出したかしら。<br />
「ポチっとな。かしら」<br />
ちょびっとみっちゃんのまね。<br />
『よろしーくんくん!』<br />
綿でちょっとくぐもったくんくん探偵の声。<br />
「ああ…なんてことなの…」<br />
カナは夏休みのリモコンラジオを利用して、くんくんの声が出るスピーカーを作ったかしら。<br />
ちなみに音源は家の映像室のおねえちゃんのヒミツDVD棚のくんくん探偵列から。<br />
「さらに目覚し機能付きかしら」<br />
「これで…毎朝…くんくん…の声で…お・め・ざ・め」<br />
ばらしーちゃんも驚きのノリノリさだったかしら。<br /><br />
真紅はくんくん探偵をぎゅーっと抱きしめたかしら。<br />
「いいわ認めてあげる…この勝負は私の負けよ」<br />
いつのまに勝負になっていたのかしら…?<br /><br />
くんくんと交換で真紅に噂の真相を教えてもらえたかしら。<br />
やっぱり真紅は映画に出るんだって。<br />
映画の名前は「未来のイヴ」で、真紅が演じるのは主役のハダリー役。<br />
カナは知らないけれど、監督の名前を聞いて、ジュンはびっくりしてた。<br />
いきなり、有名な監督さんのほうに「ぜひ演じてください」なんて頭を下げさせるなんて<br />
凄すぎるかしら。</div>
<a name="40"></a>
<div class="header"> </div>
<div class="mes"> そうそう、ジュンは部室でくんくんを作ったのね。<br />
ジュンは針を握った瞬間から、人が変わったみたいになってた。部室の空気もピーンと張りつめてたし。<br />
一生けん命くんくんを作るジュンを見て、カナはまるで槐さんやおねえちゃんに似てるなぁって思ったのよ。<br />
カナの周りは不思議となにか作る人ばっかり。<br />
そして何か作るときはいつも一人。カナにはとても真似できないかしら。</div>
</div>