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由奈ちゃんがんばるっ - (2006/07/23 (日) 10:15:10) の最新版との変更点
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NGワード kuwata<br>
ジュンさんが学校に復帰した。それは喜ばしいのだが……<br>
<br>
なぜ男子の制服を着ている!?<br>
<br>
男子生徒が彼に近寄る。しかし柏葉さんに一撃で吹き飛ばされた。彼女、あんなに強かったっけ?<br>
とりあえず彼の真意を聞かなくては。なぜ女装をやめてしまったのか。真実の自分を見つけたのではなかったの?<br>
あなたがいちゃつく相手は雛苺さんではない。凶悪犯に襲われて入院している梅岡先生だ。傷つき倒れた男の元に駆け寄り、愛を告白する女装少年……萌えるわ。<br>
まずはお見舞いに行かせることから始めなくては。放課後を待って彼に声をかけることにした。<br>
おーい桜田くーん。一緒に梅岡先生のお見舞いに――!<br>
<br>
気が付けば外は夕暮れ。後頭部が痛い。<br>
どうやら私は誰かに後ろから殴られたらしい。その記憶が無いということはおそらく一撃だったのだろう。犯人は後日友人に聞くとして、桜田君の姿も見当たらないし今日はもう帰ろう。<br>
それにしても犯人(おそらく真紅さん)は何が気に入らなかったのか。私が桜田君に近づくこと? だとしたら見当違いだ。私自身が彼と……というつもりはない。彼は男性と恋愛をするべき人だから。<br>
はっ、そうだわ! 殴られて戒めを受ける桜田君が陵辱される展開……。いい! これは萌える!<br>
ありがとう犯人(多分真紅さん)! でも問題は誰に襲わせるかだ。梅岡先生……ノー。彼は純愛でこそ生きる存在だ。ここはあのMハゲにしよう。あいつなら実際にもやりそうだし問題はあるまい。<br>
私は桑田由奈。悪の組織の妨害にもめげたりはしない。だって私はまだ登り始めたばかりなんだから。この果てしなく遠いやおい道を……。<br>
<br>
続いてたまるか<br>
<br>
「……梅岡先生のように入院するか、あるいは死ぬまで殴ったほうがよかったかもしれないわね……」<br>
「トモエー? どうしたのー?」<br>
「なんでもないわ。うにゅーを食べましょう」<br>
<br>
<br>
<br>
<hr>
<br>
<br>
<br>
ペラ――<br>
――(検閲削除)(検閲削除)――<br>
おおっ……<br>
――(検閲削除)――<br>
――(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)――<br>
うっわああああああ……<br>
――(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)――<br>
<br>
……はっ! いけない、研究をするつもりだったのだがつい引き込まれて読み込んでしまったしまった。<br>
私が今読んでいたのはやおい界の巨匠の一人、ゆきかきSHOWさんの新刊「新人メイド、禁じられた遊び」だ。兎男に迫られる女装少年の描写が桜田君に非常に似ている。<br>
そしてもう片方の本に目をやる。こちらも巨匠の一人であるろーずくぉーつさんの新刊だ。「少年は若奥様」という題名のそれは若奥様修行をする少年と、温かく見守る兄のお話。<br>
女装少年がナンパされて泣いて逃げ出すシーンはどこかで見たことがあると思うのだが、気のせいかな?<br>
私も頂点を目指す者の一人。その頂点に最も近いとされる方々の作品で勉強するのは悪いことではないと思う。いいところは吸収し、自分の想像力を高めて創造力へと昇華させるべく試行錯誤を続ける。<br>
まずはネタ探しだ。何か探すために外に出てみた。……って、あれは桜田君と蒼星石さん!?<br>
これは盲点だった。そうだ、どうして気付かなかったんだろう。蒼星石さんは男の子っぽい。そう、彼女こそが元祖女装少年だったのでは!?<br>
いや、真相はどうでもいい。今こそ想像力の翼をはためかせる時だ。これは素晴らしい。<br>
私は空想を具現化させるべくペンを取り――!<br>
<br>
気が付いたら後頭部にたんこぶが出来ていた。痛い。おのれ真紅。ここまで私の邪魔をするか。<br>
いいだろう。こうなったらまずはあなたをやおいの色に染めてあげる。首を洗って待ってなさい!<br>
<br>
もしかしたら続くかもしれない<br>
<br>
「うちの妹を勝手に男にするなですぅ」<br>
「あれ、どうしたの? 如雨露へこんでるよ?」<br>
<br>
<br>
<hr>
<br>
<br>
「キャー! バイオリンの弾き語りをするカナ可愛いー!」<br>
「ほ、ほっぺがまさちゅ-せっちゅーー!!!」<br>
ネタ拾いのために散歩をしていたら金糸雀さんに会った。なんか煙が出てるけど大丈夫なのかしら?<br>
そんな私の心配をよそに、集まったギャラリーは笑顔でその光景を見ている。きっといつものことなのだろう。そう思えば微笑ましい。<br>
そういえば金糸雀さんと一緒にいるということは、もしかしてアレが桜田君のお姉さんが言ってたみっちゃんさん? だとしたら資料として衣装の実物を見せて欲しい。ここは顔を売っておくべきだろう。<br>
それにしてもすごいわね、あのまさちゅーせっちゅとかいうのは。何というか「本当に好きなんだなぁ」というのが良くわかる。体と体のコミュニケーションは性的な意味で無くとも愛情を伝えるのにはいい手段だと思う。<br>
はっ。来たわ。ネタの神様が舞い降りてきた。そう、これよ! 女装した梅岡先生と野菜王子が桜田君を取り合ってまさちゅ-せっちゅ合戦! そして友情の芽生えた二人は仲良く桜田君を分け合う逆ハーレム……。完璧ね。<br>
さあ忘れないうちにネタ帳に書き込んで……!?<br>
<br>
例によって後頭部の痛みと共に覚醒する。いまだ路上にいるところを見ると誰も助けてくれなかったらしい。世知辛い世の中だと思う。<br>
だがこんなことでめげたりはしない。桜田君は苦しんだ末に真実の自分にたどり着いたんだ。この程度で負けてなんかいられない。<br>
真紅、必ずあなたをこちらに引き込んでみせる。それはそれとして、殴るなら痛みを感じないようにして欲しいわ……。アイタタタ……。<br>
<br>
こうなったら続ける<br>
<br>
「まさちゅーせっちゅを汚す者には天誅が下るかしら」<br>
「カナ、いくらなんでもバイオリンでフルスイングはやりすぎじゃない? そんなカナも可愛いけど」
<p>NGワード kuwata<br>
ジュンさんが学校に復帰した。それは喜ばしいのだが……<br>
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なぜ男子の制服を着ている!?<br>
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男子生徒が彼に近寄る。しかし柏葉さんに一撃で吹き飛ばされた。彼女、あんなに強かったっけ?<br>
とりあえず彼の真意を聞かなくては。なぜ女装をやめてしまったのか。真実の自分を見つけたのではなかったの?<br>
あなたがいちゃつく相手は雛苺さんではない。凶悪犯に襲われて入院している梅岡先生だ。傷つき倒れた男の元に駆け寄り、愛を告白する女装少年……萌えるわ。<br>
まずはお見舞いに行かせることから始めなくては。放課後を待って彼に声をかけることにした。<br>
おーい桜田くーん。一緒に梅岡先生のお見舞いに――!<br>
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気が付けば外は夕暮れ。後頭部が痛い。<br>
どうやら私は誰かに後ろから殴られたらしい。その記憶が無いということはおそらく一撃だったのだろう。犯人は後日友人に聞くとして、桜田君の姿も見当たらないし今日はもう帰ろう。<br>
それにしても犯人(おそらく真紅さん)は何が気に入らなかったのか。私が桜田君に近づくこと? だとしたら見当違いだ。私自身が彼と……というつもりはない。彼は男性と恋愛をするべき人だから。<br>
はっ、そうだわ! 殴られて戒めを受ける桜田君が陵辱される展開……。いい! これは萌える!<br>
ありがとう犯人(多分真紅さん)! でも問題は誰に襲わせるかだ。梅岡先生……ノー。彼は純愛でこそ生きる存在だ。ここはあのMハゲにしよう。あいつなら実際にもやりそうだし問題はあるまい。<br>
私は桑田由奈。悪の組織の妨害にもめげたりはしない。だって私はまだ登り始めたばかりなんだから。この果てしなく遠いやおい道を……。<br>
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続いてたまるか<br>
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「……梅岡先生のように入院するか、あるいは死ぬまで殴ったほうがよかったかもしれないわね……」<br>
「トモエー? どうしたのー?」<br>
「なんでもないわ。うにゅーを食べましょう」<br>
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ペラ――<br>
――(検閲削除)(検閲削除)――<br>
おおっ……<br>
――(検閲削除)――<br>
――(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)――<br>
うっわああああああ……<br>
――(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)(検閲削除)――<br>
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……はっ! いけない、研究をするつもりだったのだがつい引き込まれて読み込んでしまったしまった。<br>
私が今読んでいたのはやおい界の巨匠の一人、ゆきかきSHOWさんの新刊「新人メイド、禁じられた遊び」だ。兎男に迫られる女装少年の描写が桜田君に非常に似ている。<br>
そしてもう片方の本に目をやる。こちらも巨匠の一人であるろーずくぉーつさんの新刊だ。「少年は若奥様」という題名のそれは若奥様修行をする少年と、温かく見守る兄のお話。<br>
女装少年がナンパされて泣いて逃げ出すシーンはどこかで見たことがあると思うのだが、気のせいかな?<br>
私も頂点を目指す者の一人。その頂点に最も近いとされる方々の作品で勉強するのは悪いことではないと思う。いいところは吸収し、自分の想像力を高めて創造力へと昇華させるべく試行錯誤を続ける。<br>
まずはネタ探しだ。何か探すために外に出てみた。……って、あれは桜田君と蒼星石さん!?<br>
これは盲点だった。そうだ、どうして気付かなかったんだろう。蒼星石さんは男の子っぽい。そう、彼女こそが元祖女装少年だったのでは!?<br>
いや、真相はどうでもいい。今こそ想像力の翼をはためかせる時だ。これは素晴らしい。<br>
私は空想を具現化させるべくペンを取り――!<br>
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気が付いたら後頭部にたんこぶが出来ていた。痛い。おのれ真紅。ここまで私の邪魔をするか。<br>
いいだろう。こうなったらまずはあなたをやおいの色に染めてあげる。首を洗って待ってなさい!<br>
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もしかしたら続くかもしれない<br>
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「うちの妹を勝手に男にするなですぅ」<br>
「あれ、どうしたの? 如雨露へこんでるよ?」<br>
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「キャー! バイオリンの弾き語りをするカナ可愛いー!」<br>
「ほ、ほっぺがまさちゅ-せっちゅーー!!!」<br>
ネタ拾いのために散歩をしていたら金糸雀さんに会った。なんか煙が出てるけど大丈夫なのかしら?<br>
そんな私の心配をよそに、集まったギャラリーは笑顔でその光景を見ている。きっといつものことなのだろう。そう思えば微笑ましい。<br>
そういえば金糸雀さんと一緒にいるということは、もしかしてアレが桜田君のお姉さんが言ってたみっちゃんさん? だとしたら資料として衣装の実物を見せて欲しい。ここは顔を売っておくべきだろう。<br>
それにしてもすごいわね、あのまさちゅーせっちゅとかいうのは。何というか「本当に好きなんだなぁ」というのが良くわかる。体と体のコミュニケーションは性的な意味で無くとも愛情を伝えるのにはいい手段だと思う。<br>
はっ。来たわ。ネタの神様が舞い降りてきた。そう、これよ! 女装した梅岡先生と野菜王子が桜田君を取り合ってまさちゅ-せっちゅ合戦! そして友情の芽生えた二人は仲良く桜田君を分け合う逆ハーレム……。完璧ね。<br>
さあ忘れないうちにネタ帳に書き込んで……!?<br>
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例によって後頭部の痛みと共に覚醒する。いまだ路上にいるところを見ると誰も助けてくれなかったらしい。世知辛い世の中だと思う。<br>
だがこんなことでめげたりはしない。桜田君は苦しんだ末に真実の自分にたどり着いたんだ。この程度で負けてなんかいられない。<br>
真紅、必ずあなたをこちらに引き込んでみせる。それはそれとして、殴るなら痛みを感じないようにして欲しいわ……。アイタタタ……。<br>
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こうなったら続ける<br>
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「まさちゅーせっちゅを汚す者には天誅が下るかしら」<br>
「カナ、いくらなんでもバイオリンでフルスイングはやりすぎじゃない? そんなカナも可愛いけど」<br>
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今日は有志で梅岡先生のお見舞い。といっても私一人だ。まあ無理もないだろう。私だってネタ元じゃなければわざわざお見舞いしようなんて思わない。<br>
「いやー、大した怪我じゃないのにわざわざお見舞いなんて嬉しいな!」<br>
入院してる時点で大した怪我だと思いますが、お元気そうで何よりです。<br>
それよりも先生、見てもらいたいものが……。<br>
「ん? なんだい……こ、これは!」<br>
ふふふ。<br>
「すごい! 素晴らしい才能です! 桑田はすごいな!」<br>
それほどでもありません。いまだ未熟者です。<br>
「これで未熟か……じゃあ納得いくものが出来たらみんなに見せてやることにしよう!」<br>
ええ、もちろんです! 全員に真実の愛を教えてあげなければいけません!<br>
「梅岡さん、具合は……あら? 生徒さん?」<br>
あ、はい。今日はクラスの代表で来ました。<br>
「そう。偉いのね」<br>
いえいえそれほどでも……は! そう、これよ! 女装少年による思い人への献身的な看護!<br>
「何か思いついたのか? できたらまた見せてくれよ!」<br>
もちろんです! でも普通のナースじゃありきたりね。他のコスプレを考えないといけない。メイド服と若奥様スタイルは巨匠たちが既に描いているし……。うん、ここは和の癒しね!<br>
そうして私は病室を飛び出して……!?<br>
<br>
どうやらまたやられたらしい。それにしても病院の廊下だというのに誰も助けてくれなかったのはどういうわけだろう。げに恐るべきは拳鬼クリムゾン。<br>
でも痛みが残ってないあたり今回は気を使ってくれたのかしら?<br>
まあそれはどうでもいい。いつかやおいで世界を埋め尽くす私は何をされようと絶対に屈さない。<br>
<br>
次回番外編<br>
<br>
「ちょっとめぐぅ……服の上からでも気絶するスタンガンって、どんな改造したのよぉ……」<br>
「あ、使ってくれたんだ。ちょっとしたジョークよ。でも役に立つでしょ?」<br>
<br>
<hr>
<br>
番外編 真紅が疑われる理由<br>
そう、それは私が真実の愛に目覚めるよりも前のお話……。<br>
「かつてジュンは私のぬいぐるみを直してくれたわ。誰かはそれを……絆とも言うのよ!」<br>
真紅さんの拳が唸る。<br>
「真紅、すごいのー」<br>
「トンでもねえ威力ですねぇ……絆ックルでしたっけ? その右ストレート」<br>
「ええ……ジュンに対する謂れなき誹謗中傷には断固立ち向かうのだわ」<br>
その日もなんとかいう男子生徒が殴られていた。彼女の拳はまさに凶器だ。<br>
「……あら? コイツ気絶してるわよぉ?」<br>
「さすが真紅かしら……。でもまあ一撃で気絶できればラッキーな方かしら」<br>
「というか……他に出来る人なんていないよね」<br>
気絶って……、大丈夫なのかしら? でも怖いし、うん、見なかったことにしよう。<br>
薔薇水晶さんと雪華綺晶さんは何かヒソヒソ話をしているようだ。何か怖いから近寄らないようにしよう。<br>
それにしてもあんな怖い事をさらりと言うような連中なのに見た目は可憐な乙女……当然校内での人気も高い。桜田君が色々言われるのは彼女たちと仲がいい事へのやっかみもあるのかもしれないわね。<br>
まあ男子が女子の服を考えるなんて気持ち悪いからしょうがないと思うけど。<br>
……ん? 何か視線を……って、真紅さん!? 何よ、私何も言ってないわよ!?<br>
怖かったがすぐに目線を外してくれた。なんだったんだろう。もしかして考えてることが読まれてた? ……まさかね。超能力者じゃあるまいし。<br>
でも警戒するにこしたことは無さそう。あんなものを私がくらったら死んじゃう。<br>
<br>
私は桑田由奈。将来やおい世界を統べる者にして、このときは自分が標的になるとは思いもしなかった少女。<br>
<br>
次回番外編2<br>
<br>
「濡れ衣なのだわ……。私は彼女のことはまだ殴ってないわよ」<br>
「『まだ』と彼女のこと『は』が引っかかるわねぇ。聞いてもいい?」<br>
「…………ノーコメントなのだわ」<br>
<br>
<hr>
<br>
<dl>
<dd>番外編2 ここからが本当の地獄だ<br>
「メイドさんとは別に新しいのを考えています。怪盗兎男の卑劣な罠にかかり、陵辱される女装少年探偵とか……」<br>
素晴らしいインスピレーション。さすがはきらきーお姉ちゃんだ。ちょっとライバル意識が刺激されたのでこちらも新ネタを少しだけ披露。<br>
こっちはね、若奥様の頂点を目指す謎の女装少年『ラピ・ス・ラズリ』っていうライバルが出て、互いに切磋琢磨するうちに芽生える愛情……ていうのを考えてるよ。<br>
「すばらしいですわ。完成したらぜひ読ませてくださいね」<br>
うん、もちろんだよ。じゃあね。<br>
ネタあわせを終えて電話を切る。彼女のことを「お姉ちゃん」と呼んでいるが、実際には姉妹ではない。<br>
きらきーちゃんの父親が私の父の師匠にあたり、小さい頃はよく彼女の家に行っていた。そこで子供同士仲良くなり、私は彼女を姉と慕い、彼女は私を妹として可愛がってくれている。それは父が独立した今も変わらない。<br>
さて、もうちょっとだけ原稿を進めよう。そう思って机に向かったときだった。<br>
「お邪魔するわよ。薔薇水晶」<br>
あ、真紅……マズイ! 原稿を隠さなければ!<br>
「遅いわね。もう知っているのよ?」<br>
な、何でここに……お父さんは?<br>
「強い味方がいるのだわ。鋏を持った誰かさんとか……ね」<br>
蒼星石!? まずい、これを見られたら本当に殺されるかも。原稿を隠そうとしたとき、その姿が目に入った。<br>
「やあ……面白いものを書いているんだね……」<br>
シャキーン、という金属の叫び声。私は死を覚悟した。<br>
ああ、魂の双子であるきらきーお姉ちゃんは無事だろうか。せめて彼女だけでも……。<br>
「そうそう、雪華綺晶の方には巴が行っているわ。なんでもジュンからプレゼントされた特殊警棒の使い心地を試したいとか言ってたわね」<br>
最悪だ。せめて生きていることを祈ろう。今まさに殺されようとしている私にはそれくらいしかできない。<br>
「お祈りは済ませた? それじゃ行くのだわ……」<br>
「あはははは…………悪い子にはお仕置きしなきゃね?」<br>
<br>
「「ギャース」」<br>
<br>
その日、二つの場所で絹を裂くような悲鳴が響いた。被害者達は堅く口を閉ざし、真相は未だ解明されていない。<br>
<br>
次回最終回<br>
<br>
<hr></dd>
<dd><br>
注:最終話には暴力表現があります<br>
<br>
「ちょっと! いきなりこんなところに連れてきたりして、何のつもり!?」<br>
まあまずは落ち着いて。これには理由があるのよ。<br>
「……何の理由もなかったら容赦なくぶっ飛ばすのだわ」<br>
ええわかってるわ。これまでにも殴られてきたもの。<br>
「? 何のことよ?」<br>
とぼけなくていいわ。今日はね、あなたにもこの素晴らしさを知ってもらおうと思って。<br>
「こ……これは……」<br>
そこにはリボンを付きの帽子をかぶった魔女っ子の梅岡先生が、頭に大きなリボンをつけて巫女服を着た桜田君にまさちゅ-せっちゅ……どう? 素晴らしいでしょう。これこそが彼のあるべき姿、そして真実の愛よ。<br>
黙ったりしてどうしたの? ふふふ、あまりにも素晴らしすぎて言葉が無いようね。そう、これこそが人として正しい反応よ。彼女にもきっと素質があるわ。この素晴らしさを理解できない人なんて……フゴっ!?<br>
「どうせだから新必殺技を試してあげるわ……」<br>
そういって拳を構える。え、ちょっと待って? 何が気に入らなかったの? まさかあなたJ攻め派?<br>
「……どうやら遠慮は必要無さそうね? じゃあ、生き地獄を見せてあげるのだわ……」<br>
へ? あ、あの? 待って待ってお願いだから待って。<br>
「絆ックル! 絆フック! 絆アッパー! 絆チョッピングライト! 絆スマッシュ!」<br>
いきなりストレートから始まる無茶苦茶なコンビネーションが私を襲う。が、げぶぉ。……って、まだあるの? やめて死んじゃうマジ死んじゃうホント勘弁してユルシテすいませんごめんナサイごべ<br>
「幻の左、絆FPMP(きずなフラッシュピストンマッハパンチ)なのだわ!」<br>
<br>
意識が戻ったとき、私はミイラになって病院のベッドの上にいた。<br>
「やあ桑田、災難だったね! でも大丈夫、先生も入院中だから毎日来れるし寂しくなんか無いぞ!」<br>
ああ梅岡先生。ネタ以外のあなたに存在価値はありません。とっとと消えてください。<br>
「それにこの間の本の製作にも協力するぞ! デッサンやポーズ、それに宣伝くらいしか出来ないけどな!」<br>
先生素敵! 「ハッハッハッ!」と快活に笑う彼は何より頼もしく、輝かしかった。<br>
そうだ。楽しみにしてくれる人がいる限り私は挫けない。<br>
そしていつか、私はやおい世界の神になってみせる!<br>
<br>
fin<br>
<br>
<hr>
<br>
恒例の嘘予告<br>
<br>
「キャー! カナ可愛いー!」<br>
「みっちゃんほっぺがまさちゅ-せっちゅー!」<br>
最愛の人との時間は何物にも代えがたい。<br>
<br>
「槐先生の新作!? これは買いね!」<br>
「みっちゃーん、今月ちょっとくるしいかしらー……」<br>
趣味につぎ込むお金はケチらない。残業だバイトだえんやこら。カードローンも怖くない。<br>
<br>
「草笛さーん、お金かえしてくださーい」<br>
「み、みっちゃーん……」<br>
「だ、大丈夫よカナ。電気を消して静かにしてればそのうち……」<br>
そんな彼女に迫る闇の手。明日はどっちだ!<br>
<br>
かつてない危機に、あの悪魔たちが立ち上がる――<br>
「……真剣って、月光に映えるのね。知らなかったわ」<br>
「お姉ちゃん、ちょーっと行って来るから、お留守番よろしくね?」<br>
「彼女は大事な資料提供者。そのピンチは見過ごせないわ!」<br>
「水銀燈の友達の大事な人でしょ? なら助けなきゃね。病気? なんのことかわかんなーい♪」<br>
「み、みんな!」<br>
……若干一名、どう考えても役に立たないのがいるが気のせいだ。<br>
<br>
そして追われる者はいつしか平穏へと還る<br>
「カナー!」<br>
「みっちゃーん!」<br>
「「まさちゅーせっちゅー!!」」<br>
<br>
涙無しには見られない超感動巨編 「みっちゃんみちみち借金道」<br>
ちなみに「自業自得」は禁句です。<br>
<br>
構想の欠片もありません。<br></dd>
</dl>