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父と恋人仲が良い。 - (2007/12/16 (日) 15:04:19) の最新版との変更点

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<p>「槐さん」<br> <br> 表情が弛緩し、安心し切った少年が私に寄りかかっている。<br> 何故だろう。<br> 我が愛娘──薔薇水晶についている悪い虫である、<br>  この少年を。桜田ジュン君を拒絶できないのは。<br> <br> 「…何だい」<br> 「僕は槐さんのこと、大好きですよ?」<br> <br> ──ああ、この子は本当に変な子だ。<br> その眼鏡の奥、閉じられた双眸から伸びるまつ毛は長く、まるで──<br> って。今一瞬思考が変なところへ往ってしまった。<br> ──今、私が何をしたとして、この子はそれを回避することはできない。<br> そんな間合い。状況。<br> この子は、それ程までに私を信頼しているのだろう。<br> 何故だかとても、背中の辺りがこそばゆい。 </p> <dl> <dt>「そんなこと言っても、君に薔薇水晶は──…」<br> <br> 私がそんな、心にも…いや、ないと言えば嘘になるが、<br>  悪態をついてしまったのは、ひょっとすると、<br>   照れ隠しだったのかもしれない。<br> しかし、いつのまにか彼が眠ってしまったことに気付いた私は、<br>  そんな自分の在り方がとてもちっぽけに思え、<br>   軽く。本当に軽く、内省した。<br> <br> 「起こすのは私としても少し忍びないからだ。<br>   ソファーに運んでやるのは、別に君を認めたわけじゃないからな」<br> <br> 呟く。独り言を。私は。<br> 抱きかかえると、<br>  ジュン君の体は想像していたよりずっと軽く、華奢だった。<br> 薔薇水晶の幼い頃を思い出し、自然と微笑んでしまう。<br> ──ふと、壁の時計に目が行く。<br> 時針は丁度真下を指しており、そろそろ薔薇水晶が帰宅する時間だ。<br> 今夜は。今夜限りは、三人で食卓を囲むことにしよう。</dt> </dl>
<p>「槐さん」</p> <p>表情が弛緩し、安心し切った少年が私に寄りかかっている。<br> 何故だろう。<br> 我が愛娘──薔薇水晶についている悪い虫である、<br>  この少年を。桜田ジュン君を拒絶できないのは。</p> <p><br> 「…何だい」<br> 「僕は槐さんのこと、大好きですよ?」</p> <p><br> ──ああ、この子は本当に変な子だ。<br> その眼鏡の奥、閉じられた双眸から伸びるまつ毛は長く、まるで──<br> って。今一瞬思考が変なところへ往ってしまった。<br> ──今、私が何をしたとして、この子はそれを回避することはできない。<br> そんな間合い。状況。<br> この子は、それ程までに私を信頼しているのだろう。<br> 何故だかとても、背中の辺りがこそばゆい。</p> <p><br> 「そんなこと言っても、君に薔薇水晶は──…」</p> <p><br> 私がそんな、心にも…いや、ないと言えば嘘になるが、<br>  悪態をついてしまったのは、ひょっとすると、<br>   照れ隠しだったのかもしれない。<br> しかし、いつのまにか彼が眠ってしまったことに気付いた私は、<br>  そんな自分の在り方がとてもちっぽけに思え、<br>   軽く。本当に軽く、内省した。</p> <p><br> 「起こすのは私としても少し忍びないからだ。<br>   ソファーに運んでやるのは、別に君を認めたわけじゃないからな」</p> <p><br> 呟く。独り言を。私は。<br> 抱きかかえると、<br>  ジュン君の体は想像していたよりずっと軽く、華奢だった。<br> 薔薇水晶の幼い頃を思い出し、自然と微笑んでしまう。<br> ──ふと、壁の時計に目が行く。<br> 時針は丁度真下を指しており、そろそろ薔薇水晶が帰宅する時間だ。<br> 今夜は。今夜限りは、三人で食卓を囲むことにしよう。</p>

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