翠星石~3部
<p><a title="suisui3" name= "suisui3"></a>あの後はどうにか静かに放課後まで迎える事が出来た</p> <p> ――性悪と口論に何度かなったが、先生に叱られなかったから大丈夫だろう<br> <br> とりあえず学校は終ったんだやっと帰れる<br> 「何をしているの? ジュン」<br> 「学校終ったから帰れるんだよ」<br> 「何を言っているの? 終ったのだから学校を案内なさい」<br> 「何で俺が……」<br> 「貴方は私の下僕なのだわ」<br> 「下僕って……」<br> そんなこと――聞いてしまった貴方が悪いのだわ――は確かに言われたな<br> 「分かったなら行くのだわ」<br> 「……はいはい」<br> 「゙はい゙一回なのだわ」<br> 何で真紅から聞いてしまったんだろう<br> 「ねぇ真紅、僕たちも一緒に行ってもいいかな?」<br> 「雛も行きたいの」<br> 「別に構わないのだわ」<br> 「ありがとう」<br> 本当に蒼星石はいい子だな<br> ローゼンの事も蒼星石に聞けばよかった<br> 「なら、早速出発です」<br> 「はいなの~」<br></p> <p>とりあえずどこを回るか……<br> この学園は主に本館と分館に分かれている<br> <br> 本館の一階は、この学園の莫大な学生の靴を収納することができる下駄箱がある生徒玄関<br> 正直、初めの頃は、自分の下駄箱を探すのに、悪戦苦闘したものだ<br> 二階には、生徒の数にも、負けず劣らないと思うほど居る、教師の溜り場、職員室<br> 二年になった今でも、見たことがない先生の数の方が多い<br> ついでに、本館と分館を繋ぐ連絡通路があるのはここである<br> 三階には、会議室、生徒会室がある<br> 全くもって俺には興味が無い場所だ<br> 四階は……噂では校長室があるらしい<br> 噂だと今まで四階に言った者はいないとか……<br> 学校に何故そんな所が有るのかが気にはなるが、あるのが校長室なら行く必要も無いな<br> <br> 分館については、本館を正面に見たとき<br> 向かって右にあるのが、北館<br> 左側にあるのが、南館<br> 本館に後ろに隠れてあるのが、西館<br> 分館には図書室やら色々あるがこの広さだ把握できる訳がない<br> </p> <p>「どこを回る?」<br> 「そうね、翠星石が今日言ってたように一年の教室にでも行くのだわ」<br> 「流石真紅です、話が解るです」<br> 「一年だな、ちゃんとついて来いよ」<br> 「チビに言われなくても大丈夫です」<br> 一年か……懐かしいな<br> 北館は日が入らないから寒いイメージがまだあるな<br> 「 ? どうしたの翠星石」<br> 「ちょっとトイレに行ってくるです」<br> 「じゃあ、ここで待ってるよ」<br> 「すぐに追い付くから先に行ってていいです」<br> 「分かったよ」<br> <br> <br> 「あら、翠星石がいないのだわ」<br> 「翠星石ならトイレに行くったよ」<br> 「あの馬鹿、言ってくれたら待ってやったのに」<br> 一年もここに通ってる俺でもたまに迷いそうになるのに</p> <p>昨日今日来たばっかのあいつが解るわけ無いだろ――</p> <p> 一年の教室が北館に在ることも言ってない俺も悪いな<br></p> <p> 「お前らここで待ってろ、すぐに戻ってくるから、いいな、絶対にそこを動くなよ」<br> <br> 「ジュン、行っちゃったの」<br> 「ゴメンね、僕がちゃんと言っていたらよかったのに」<br> 「気にしなくていいのだわ、翠星石は変なところで意地を張るからなのだわ」<br> 「ふふっそうだね」<br> <br> 「蒼星石~どこです~」<br> やべーですこんなところで迷子になっちまったです<br> 「誰でもいいから出てきやがれです」<br> 返事が返ってこない<br></p> <p> 「真紅~雛苺~……へっ返事くらいしやがれです……ウグッヒグッ」<br> <br> 「……星石」<br> 「!? 蒼星石ですか!?」<br> 「ハァハァ……やっと見つけた」<br> 「チッチビ人間どっどーしたです?」<br> 「どうしたって迷子になってるお前を探しに来たんだよ」<br> 「だっ誰が迷子なんて……」<br> 「そんなセリフは涙を拭いてから言ったらどうだ?」<br> 「あっ……」<br> ゴシゴシ<br> 「泣いてなんかねーです、これは汗です」<br> 「はいはい、行くぞ」<br> 「…………」<br> 「んっ? 俺の顔になんか付いてるか?」<br> 「なっなんでもねーです」<br> 「今度はちゃんと着いて来いよ」<br> 「……はい……です」</p> <br> <p>(翠星石・三部前編完)</p>