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その他短編22」を以下のとおり復元します。
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外の世界とはどこか隔離された空気の漂う部屋で少年はディスプレイを見ていた。<br>

いつもの趣味の一環であるネット通販である。<br>
本来ならば学校に行っている時間なのだが彼は色々な事情により部屋から出ようとしない。<br>

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 (どうせ誰も心配なんてしてない。誰かに物凄い迷惑かけてるわけでもないし…)<br>

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実際には姉に迷惑をかけているということは自分でもわかっていた。<br>

しかし弱い自分には今まで閉じこもっていた殻すらも脱ぐ力すらない。<br>

自己嫌悪によってさらに殻は重くなりいつしか押し潰されてしまうかもしれない。<br>

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 「ジュン、いるのでしょう?」<br>
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凛々しい声が外から隔離された部屋の中へと飛び込んで来る。<br>

少年にとって厄介というか苦手な存在である少女がやって来た。<br>

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 「何だ?僕は忙しいんだぞ。」<br>
 「……今日も学校には来れなかったみたいね。」<br>
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少年は沈黙したことで肯定する。<br>
扉の向こう側で少女がどんな表情をしているのか想像もしたくなかった。<br>

どういう因果なのだろうか、少年は少女に恋をしていたが今ではこんな妙な関係になっている</p>
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少女は自分の手を組み祈るような姿になって口を開く。<br>
とても緊張した。少年は人の言葉に敏感で自分の言ったことが彼に直接影響を与えることの責任感に押し潰されそうになった。<br>

でも自分が臆していてはいけない。少年にまず実践してあげたかったから。<br>

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 「ジュン、私には貴方にかけていい言葉が見つからない。<br>

  それが嘘偽りのない私の気持ち…それを貴方に押し付けるつもりはない。<br>

  ただね…誰のためでもない、迷惑をかけている姉のためでもない、無論私のためでもない。<br>

  強くなって…。今日の自分よりも少しでもいいから。未来にいるかもしれない弱い自分を助けるために。」<br>

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それだけを言って少女は帰ってしまった。<br>
少年の眼にディスプレイはぼやけて映らなくなっていた。<br>

眼に溜まったモノに反射するディスプレイの淡い光だけが少年の眼に映る。<br>

強くなりたい。迷惑をかけた姉や少女はまず置いておくとして…自分のために。<br>

今は自分のことしか考えられないぐらい弱いけどいつか二人に「ありがとう」を言うために。<br>

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今日より強い自分になりたい。<br></p>
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<p>ジ「さて、ニュースでも見るか…」ピッ<br>
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TV「今日未明、桃種市内の大型デパートのチョコ売り場で『汚物は消毒だ』などと喚きちらしながら大暴れした男子高校生が逮捕されました。<br>

男子高校生は『離せ、俺はサイヤ人の王子だ』や『今日は本当は2月15日なんだ』などと訳の分からない言動を繰り返しており、病院で精神鑑定もーー」ピッ<br>

『ブツン…』<br>
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ジ「……さてと、姉ちゃーん、晩飯まだー?」<br></p>
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<p>ベ「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。<br>
  確かに2月13日に寝たはずなのに、朝起きたら2月15日だった…」<br>

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J「ずっと寝てただけだろ」<br></p>
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