真紅短編27
<p><br> ジ「35…36…37…」<br> 紅「ジュン…何をしてるの?」<br> ジ「何って…腕立てだよ…これなら夏だしちょっとは体を鍛えとこうかなって…」<br> 紅「やめなさい!」<br> ジ「なっ…何でだよ?」<br> 紅「もし貴方に胸筋がついてしまったら……私より胸囲が大きくなってしまうかもしれないじゃない!!」<br> ジ「……」<br> <br> <br> <br> <br> <br> 雛「…もうすでに負けてるってのは内緒なの…」</p> <hr> <p><br> 紅「ちょっと!水銀燈!?今回のスレタイはなんなの!?いいかげんにして頂戴!」<br> 銀「考えたのは私じゃないわぁ。」<br> 紅「じゃあ誰なのよ!」<br> 銀「ジュン」<br> 紅「え?」<br> 銀「だーかーらー、ジュンが考えたのぉ。毎日あんなにこき使われてたらそりゃ言いたくもなるわよねぇ。<br> あ、私今からジュンとデートだから。じゃぁねぇ。ふふふふふふ。」<br> <br> とある空き地<br> 紅「そんな、ジュンが…ジュンが……ジュンがぁ………ジュンがぁぁぁぁああああ!!!!!<br> あんの糞ひきこもり野郎!あれだけ痛めつけられてまだ反抗するきなの!?いいわ、そのほうが嬲りがいがあるってもんよ…<br> しかも水銀燈とデート…?いいご身分じゃないのぉ!!<br> 帰ってきたらまずはカラスに全身つつかせて、雀墓地の巣と一緒に密室に一時間閉じ込めて、鞭打ち500回、便所をなめて磨かせて…<br> そうね、プロレスラーの新技開発に30時間ほど付き合ってもらって、麻原○晃の説教テープを50時間エンドレスで聞かせて、<br> その間電磁波から守るために白塗りの部屋に監禁して、それから梅岡以上にハードな連中が通う裏SMゲイクラブにレンタルしましょうか…それから…」<br> <br> の「ドラえもーん、土管から出られないよぅ。たすけてぇ」<br> ド「のび太君、僕でも悪魔には勝てないよ…」<br> ジ「お、俺様のコンサート会場に赤い悪魔が立っている…。か、かあちゃんの手伝いしなくちゃな!!」</p> <hr> <p><br> 紅「ジュン!遊びに来たのだわ。」<br> <br> の「あら真紅ちゃんいらっしゃい。今ジュン君ちょっと忙しくて…」<br> <br> ジ「おぅ真紅。<br> そんなとこいないで早く上がれよ。」<br> の(…ちっ。)<br> <br> 紅「ええ、お邪魔するのだわ。」<br> <br> <br> <br> <br> <br> <br> の「……この泥棒猫(ボソッ)」<br> 紅「……この小姑(ボソッ)」<br> <br> の・紅「「うふふふふふふふふ…」」ゴゴゴゴゴ…<br> <br> ジ「2人とも仲いいなぁ。」</p> <hr> <p><br> 「呪いを、解きましょう」<br> 僕のとなりに座った少女は言う。<br> 風に髪がゆらゆらとなびいている。<br> 視界の端の空の青の中で、金色の帯が揺らめいた。<br> 少女は続ける。<br> 「私は貴方に初めて会ったときから、ずっと貴方を呪い続けていたわ。知ってたかしら」<br> 僕は反応をしない。<br> 僕の目は彼女を見ずに、虚空だけを眺めている。<br> だけれど次第に耐え切れなくなり、僕は口を小さく開き、ぼそりと言う。<br> 「呪いって、何だよ」<br> 少女がキョトンとした目をこちらに向ける。<br> 「鈍感」<br> そう言い、彼女はベンチから立ち上がった。<br> 「貴方は、私の下僕なんでしょう?」<br> 彼女は座ったままの僕を見下ろしているだろう。顔は見えないが、声は微笑んでいるようだった。<br> 「私は今までずっと、そうして貴方を呪っていたのよ。朝も、昼も、夜も」<br> そうして彼女は一呼吸置く。 <br> <br> 「―――下僕という立場から、貴方を解放しましょう」<br> 彼女は、僕の膝の上の握りこぶしを取り、僕を立たせた。<br> 彼女が僕を見つめる。僕も彼女を見る。<br> 「貴方を解き放つ、魔法の呪文を唱えましょう」<br> もうずいぶんと長い付き合いのはずなのに、はじめて目が合ったような気がした。<br> 僕は彼女の目を、この空の色のような澄み切ったブルーの瞳を、真正面から見た。<br> 「ジュン、この真紅は、貴方を―――愛してたわ」<br> 彼女のまっすぐな瞳。唇が紡いだ言葉は、僕の身体に電撃を流したかのように脳を停止させた。<br> 相変わらず彼女は僕を見つめ続ける。ぼくはなにもかんがえられない。<br> 真紅は僕を見つめながら、薄く笑みを浮かべる。<br> 「これでもう、私は…私たちは後戻りできないわ」<br> 僕の脳はふやけたスポンジのようになり、ありとあらゆる情報があらぬ方向へと飛び交い続けている。<br> そんなことは知ったこっちゃ無いとでも言うように、ゆっくりと、真紅は僕へと詰め寄ってくる。<br> 「もう、戻れないのよ。あの心地よかった関係には」<br> 真紅、頼むから静かに考えさせてくれよ。今の状況と、僕がどうすべきかを。<br> 「さぁ、答えて頂戴。さぁ、教えて頂戴。…考える必要なんて無いのよ?」<br> 僕ら以外誰もいない、昼前の静かな公園。<br> 彼女の言葉と、このシチュエーション。<br> それが僕の思考を、完全に停止させた。<br> <br> ああ、今僕は、一体彼女に何をしているのだろう。<br> 唯、唇に柔らかな感触を感じた。<br> 「いい子ね、ジュン」</p> <hr> <p><br> -上が居るから下が居る。だからそんなに気にする事は無いさ<br> 大事なのはそこから上がろうとする心だよ<br> 真紅「そう考えても胸の大きさは変わらないのだわ」<br> <br></p> <hr> <br> 「ジュン、紅茶を入れて頂戴」<br> 「はいはい」<br> <br> 「ジュン、お茶請けを用意しなさい」<br> 「…全く。人遣い荒いな」<br> <br> 「ジュン、くんくんの録画をしておきなさい」<br> 「それくらい自分の家でやってくれ」<br> <br> 「…ジュン……その…ぎゅって…して、頂戴」<br> 「…しょうがないヤツだなぁ」