蒼星石短編32
彼女はどんな娘?<br> 「まじめな子ねぇ。でもちょっと堅苦しいかも。せめて帰りにヤクルトを買って飲むくらいは見逃してほしいわぁ」<br> まあ、買い食いぐらいは見逃してくれてもいいよね。<br> 「とっても物知りなのー! わからないこととかあったら、すぐに教えてくれるのよー」<br> 頭いいんだな。それに優しいと見た。<br> <br> 彼女はどんな娘?<br> 「しっかり者ですね。朝寝坊しそうでもちゃんと起こしてくれるし、頼りになる妹です。これで宿題も見せてくれれば言うこと無しですぅ」<br> きっちりしてるんだな。というか姉なら自分で起きろ。宿題もちゃんとやれ。<br> 「ちょっと押しの弱いところがあるわね。でも落ち着きのある娘だわ」<br> 控えめな性格なんだな。そういえば彼女が騒いでるところを見たことが無い。<br> <br> いろんな人にいろんな顔を見せる彼女。<br> まじめで、物知りで、優しくて。<br> しっかり者で、頼りになって、落ち着いていて。<br> そんな彼女を帰り道で見かけて、大きな声で名前を呼んだら、少し赤くなった顔で微笑みながら手を振ってくれた。<br> 恥ずかしがりな一面も見た僕は、もっといろんな顔が見たくなる。<br> だからこうして、君に声をかけるんだ。<br> <br> そして誰も知らなかった甘えん坊な彼女を僕が知るのは、もう少し後のお話――。<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> 「どうした、蒼星石。こんな所に呼んで」<br> 「僕、とんでもないことに気付いちゃったんだ!」<br> 「な、何だ?」<br> 「僕ら、名字が無い!」<br> 「え?」<br> 「モニターの前の人達の作品は凄く面白いんだけど、名字が全く見当たらないんだ」<br> 「あぁ、そういえば。でもそれがVIPクオr」<br> 「VIPクオリティって言えば済む問題じゃないのッ!<br> 僕たちの戸籍は?まさか存在しない事にされてるんじゃ・・・どうしよう」<br> 「考え過ぎだ」<br> <br> <br> 後日<br> 「まだ呼び出して、なんだ?」<br> 「大変だよ、JUM君!姉の方が子供っぽく見えるキャラが僕らにも居たんだよ!」<br> 「は?」<br> 「ドクロとザクロ!これは強敵だよ!勝てるか分からないよ!どうしよう!」<br> 「知らんがな。まぁ、安心しろ。僕は蒼星石に一本筋だから」<br> 「・・・ありがと///」<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> <br> 「・・・今度の呼び出しな何だ、蒼星石」<br> 「JUM君、僕ねまたまたまたまた凄ぉぉ~く大変な事に気付いちゃった!」<br> 「(たいして大事じゃないんだろうな)」<br> 「僕たちが普通の女の子だったらっていうスレだけど、そもそも何歳まで女の子なの?」<br> 「はぁ?」<br> 「だって、××はまだ16だから~♪の人はあの年でまだ女の子なんでしょ?<br> もしかしたら女の子って言っても、37歳なのかもしれない・・・どうしよう」<br> 「んな小説誰も書かねぇよ」<br> <br> <br> 「またか」<br> 「また凄く凄く凄(略)気付いちゃった」<br> 「なんだ?」<br> 「あのね、原作だと私達のお父さんはローゼンでしょ?」<br> 「あぁ、そうだな」<br> 「もしそのままのルールを適用したら、私達腹違いの姉妹って事になるでしょ?」<br> 「それがどうした?」<br> 「もしかしたらそのうち12人に増えて、兄が出てきて妹j―――」<br> 「妹12人って言ったら気絶するまで何かやる」<br> 「・・・」<br> 「何故黙る」<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> <br> 好きになった理由と好きな理由<br> <br> 休日JUN君の部屋で過ごしている時、ふと思った。<br> 僕は何故彼と一緒に居るんだろう?<br> 好きだから一緒に居るんだけど何で好きなんだっけ?<br> 当たり前の事だけど今まで考えた事無かった事<br> <br> 『好きになった理由』<br> <br> 元々付き合い始めた理由は彼からの告白。<br> 偶々、二人っきりで教室に残って居た時、突然JUN君が<br> 「好きだ。僕と付き合わないか?」<br> って言ったのが始まり。<br> <br> 今思うとあの頃JUN君の事は特に好きでも嫌いでも無く<br> 唯のクラスメイトって感じだったんだけど、あまりにも何の前触れも無く言うものだから思わず僕も<br> 「ぼ、僕で良ければ。」<br> って答えちゃったんだよね。<br> <br> それから付き合いが始まって、段々一緒に居る時間が増えて。<br> 今に至るわけだけど。<br> あれ?僕、彼の何処が好きなんだろ?<br> <br> 優しいところ?<br> 確かに優しいけどぶっきら棒だし少し意地っ張りだし…<br> かっこいいから?<br> うーん、僕は彼の顔つき好きだけど所謂世間一般の美形じゃないかな?<br> 背が高いとか?<br> それは無いか。翠星石に「チビ。」って呼ばれてるし。<br> 勉強やスポーツが出来る?<br> 成績は特別悪くないけど特別言い訳でも無いし。<br> スポーツはお世辞にも出来るタイプじゃ無いし。<br> 何かこれじゃ良い所無いみたい…。<br> <br> 確かに今挙げた例に該当する人は沢山いると思う。<br> でも、JUN君以外と一緒に居たいとは思わない<br> <br> あ、そうか。<br> 何処が好きじゃ無くて、<br> 僕はJUN君だから好きなんだ。<br> 何処がじゃ無くてJUN君だから。<br> 彼だから一緒に居たいと思うんだ。<br> 眼に前に居る彼の全てが好き。<br> 彼だから好きだと思える。<br> <br> JUN君だから好きなんだ。<br> <br> 「ねえ?JUN君。」<br> 「ん?何?」<br> 振り向かずに答える彼<br> 「好きだよ。」<br> 「な、何だよ急に!」<br> 「そう思ったから。」<br> 「は、恥ずかしい事言うなよな。まったく。」<br> 「ふふ。」<br> 「はいはい、僕も好きだよ。」<br> 相変わらず振り向かずにぶっきら棒に答えるJUN君。<br> でも、凄く照れてるみたい。<br> だって、耳が真っ赤だから<br> 「あは。」<br> 「何だよ。」<br> 「何でも無いよ。」<br> <br> <br> おまけ<br> 「なあ、JUN」<br> 「ん?」<br> 「お前、なんで蒼嬢と付き合ってるんだ?」<br> 「なんでって…。僕が告白したからだよ。」<br> 「お前、蒼嬢の事好きだったのか!」<br> 「いや、実はあの時は…。」<br> 「何!好きでも無いのに告白したのか!」<br> 「ぐぇ!首絞めるな!」<br> 「えぇい!この野郎!」<br> 「ちょっと待て話を聞け!」<br> 「何だ死ぬ前に言い訳か!見苦しいぞ!」<br> 「確かにあの時は雰囲気に流されて告白しちゃった、でも今は違うぞ!」<br> 「どう言うことだ!?」<br> 「ぜぇーぜぇー、確かにあの時は夕日に照らされる蒼星石見てたら何時の間にか好きだって言っちゃったけど。<br> 今はあの時とは違ってちゃんと好きだぞ。」<br> 「何?じゃあ蒼嬢の何処が好きなんだ?」<br> 「え?それも聞くの?」<br> 「当たり前だろ!蒼嬢がちゃんと幸せか確かめないと行けないからな。」<br> 「うーん、何処が好きかねー。」<br> 「そうだ。蒼嬢の何処が好きなんだ?因みに俺はあのボーイッシュなのにとても女性的な所にそそられるんだよな。ハアハア。」<br> 「人の彼女に欲情するな!うーん、強いて何処かって言うと…。」<br> 「おう。」<br> 「蒼星石だからかな。」<br> 「……。」<br> 「何で黙るんだよ?」<br> 「それは何かの余裕かーーーーー!」<br> 「わ!何で切れるんだよ!」<br> 「ウルセーーー!一発殴らせろ!」<br> チャンチャン<br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> 蒼「ところで」<br> J「ん?」<br> 蒼「さっき虫の話題があったから雑学を。」<br> J「ばらすぃーの役目なんじゃ・・」<br> 蒼「虫という単語は昆虫だけに使われることがあるけれど、<br> 実際は多足類・クモ類は全部虫の範疇で、<br> クモオ網に入ってるサソリやダニも虫の種類なんだ。<br> 節足動物でもワラジムシ・ダンゴムシ・フナムシ全部虫の仲間ね。」<br> J「いいのかなぁ・・」<br> 蒼「ところで虫という単語にはマムシをかたどった象形文字といわれてて<br> 本来はマムシやヘビの意味があったんだ。<br> 獣・鳥・魚介類以外の動物をあらわす言葉に、蟲という字があったんだけど<br> 紀元前から蟲の略字に虫が使われて、本来の意味(=ヘビの意味)が<br> 失われてるんだ。だから虫編に関する漢字(蟹や蛙など)は蟲の意味で<br> 小動物一般の意味になるよね。(例外に虹などが存在。)<br> これは補足なんだけど蟲は動物の総称としても使われていて<br> 羽蟲で鳥、毛蟲で獣、甲蟲や介蟲でカメ、鱗蟲で魚、裸蟲でヒトということになってる。<br> さらに扇形動物・紐形動物・星口動物にもムシの名前が使われていることが多くて、これは蠕虫と呼ばれていた名残。<br> 原生動物もムシの名前を持つのが多いけど、これは滴虫と呼ばれていた名残なんだ。」<br> J「よく語ったなぁ…」<br> 蒼「以上、雑学コーナーでした。」<br> J「お疲れ様でした。<br> <br> <br>