甘い保守シリーズ6
<p>大人な保守を致すわよっ<br> <br> 「―――――――――――ふぅ…………」<br> 「―数年ぶりの喫煙ですか、槐先生?」<br> 「む……――草笛先生か。なに、禁煙する理由も薄れてきたのでな」<br> 「煙草なんて百害あって一利なし、吸わないに越した事はないですよ?」<br> 「……何度聞かされた事か。しかしまぁ、偶にはよかろう」<br> 「『偶に』の意味がわかりません。―薄れてきた『理由』って?」<br> 「…………アレも、私以外からの愛を知る様になってきたからな」<br> 「『アレ』…薔薇水晶ちゃん、…しかいませんね。―嫌われてもよいと?」<br> 「違うな。…今はまだ、アレの心のウェイトでは私もそこそこに重きを受けているだろう。多分」<br> 「微妙に自信がなさそうな。……それで?」<br> 「自分から作っているのさ。…ウェイトが軽くなった時のいい訳を」<br> 「………駄目な大人ですね」<br> 「駄目だから、大人なのさ。――そう言えば、君も吸っていたのではないか?」<br> <br> 「誰の所為だと思ってるんですか」<br> 「……………ふむ。……そうだったのか」<br> <br> 「子どもでしたから。きつかったんですよ、初っ端からホープって」<br> 「最初はマイセンとか……いや、真似していたのなら、そうなるか」<br> 「えぇ。他の子が吸ってたピアニシモとかルーシアには目もくれず、です」<br> 「………悪い事をした、か?」<br> 「御冗談を。私がしたかったから、そうしたんです」<br> 「………君は、根の部分では随分と真っ当な大人になったものだな」<br> 「茎の部分で曲がってると言いたそうですね。―構いやしませんが」<br> 「くく……本当に、真っ当で真っすぐ…だな。―……風も強くなってきた。下に降りよう」<br> 「火、ちゃんと消してくださいね?――…くすぶると、いい事はありませんから」<br> <br> (詰め込み過ぎた。いろいろ…orz)</p> <p> </p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p><br> 蕩ける保守を致すわよぅ3<br> <br> 「はぅ~やっぱりおコタに蜜柑は最高ねぇ」<br> 「いや、幾らなんでも早すぎるだろ…嫌いじゃないけどさ」<br> 「でもでも、気温も大分下がってきたし、うかうかしてると凍死しちゃうわよぅ?」<br> 「北海道でもあるまいし、してたまるか!」<br> 「それに、冷えは女性の大敵なのよ!肩凝りや便秘症も酷くなっちゃうし」<br> 「人の話を聞け…。まぁ、それはお気の毒さまだけど…」<br> 「あ、でも、お姉ちゃんは賢いから、ちゃんと温かい格好をしてるのよ、ほら?」<br> 「……うん、わかったから、誇らしげに上着をめくってババシャツを見せるな」<br> 「上だけじゃなくて下も……――」<br> 「だぁぁ、毛糸かなんだかしらんがズボンを降ろそうとするなぁ!」<br> 「えぇぇ、ちゃんと温かいだけじゃなくて可愛いのにぃ」<br> 「そーいう問題じゃありません。………はぁ……姉ちゃんと話してると、どっと疲れる」<br> 「それじゃあ、はいっ。疲れた時には甘い物がいいのよぅ―あーん」<br> 「――ん。もぐもぐ。……………いや、もう、いいけど………食べちゃったし」<br> 「あむあむ。―美味しくなかった?」<br> 「いや、ちょっと酸っぱかったけど、美味かったよ」<br> 「んー、じゃあ、――甘ぁい食べ方、しましょうか?」<br> 「え?………え、え、そ、それは幾らなんでも、その、姉と弟だし、って言うか―!」<br> 「確か練乳とかトッピングチョコがあったはずだから、たっぷり塗って…どうしたの?」<br> 「………別に。とっとと取りに行けばいいだろ」<br> 「あぅぅ、なんだか冷たいぃ。―お姉ちゃん、ちょっと行ってくるね」<br> 「―はぁ…、何考えてるんだ、僕は。…変に熱くなっちゃったから、炬燵の電源落としとこう…」<br> 「―えへへぇ、おまたせぇ。バニラビーンズもあったわよぅ」<br> 「蜜柑に合うか…?―と、炬燵、切ったからな」<br> 「えぇ!?お姉ちゃん、凍えちゃうわよぅ。――あ、そうだっ」<br> 「だから、いちいち大袈裟―って、こら、ひっつくな!?」<br> 「―んぅ、こうやって、くっついていればポカポカよぅ―ね?」<br> 「…………ったく、さっさと、弟離れしろよ。――人の事は、言えないけどさ……」</p> <p> </p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p><br> 甘ぁい保守を致すわぁ<br> <br> 「また、こんな所に上がってきて…好きだな、屋上」<br> 「はぁい、こんにちはぁ。―窮屈な場所で、唯一羽を休める場所だものぉ」<br> 「窮屈、ね。そう言う奴って、そもそも学校に来ないのも多いんだけどな」<br> 「あら、勘違いしないで。此処は嫌いじゃないわぁ―ただ、時々…」<br> 「―窮屈に感じるっ…て?なんだか、鳥みたいだな、お前。学校は鳥籠ってか」<br> 「ふふ、言いえて妙ねぇ―此処にいると、本当に自分に羽みたいなのがある様に感じるのよぉ」<br> 「……そーゆー事言うと、二度と此処に来させないぞ」<br> 「あん、飛び降りるとかそういう話じゃないわよぉ。ただ、なんとなくの…空想ね」<br> 「一応……隣にいておくぞ。―羽、ねぇ…」<br> 「いいわよぉ、ずっとでも。―そ、羽」<br> 「―水銀燈には、羽ってより翼の方が似合う気がするけどな」<br> 「……………ふぅん、自分でもそっちの方がしっくりくる気がするわぁ」<br> 「――――綺麗、かもな」<br> 「………翼のある私が?―ふふ、ありがとぉ。だけど、私が空想している羽…翼は、真っ黒よぉ」<br> 「真黒な、翼……」<br> 「そう、ただただ、黒い黒い翼。―可笑しいわよねぇ…普通、翼って言ったら白なのに」<br> 「可笑しい…筈なんだけどな。―僕が想像したのも、黒い翼だった」<br> 「……そ、奇遇ね。でも、それなら、普通は感想も『不気味』とか『怖い』とかにならないのぉ?」<br> 「うん……――綺麗だと、思った」<br> 「………………。――さっき、『学校が鳥籠』って言ってたわよねぇ?」<br> 「え?―あぁ、うん。お前が鳥なら…って」<br> 「私もそう思ってたけど、少し違うみたいねぇ」<br> 「……?なにがどう、違うんだ?」<br> 「鳥籠は学校じゃないみたい。――だって、私を此処に閉じ込めているのは―あなただもの…(ちゅ」<br> 「ん……――――そのつもりはないけど、お返ししたら、もっと閉じ込める事になるのかな?」<br> 「ふふ、窮屈なのも嫌いじゃないわ。―だから、鳥籠の鳥に……餌を頂戴な。あ・な・た」</p>