「【MADE'N MOOR - 真夜中に訪ない】」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
【MADE'N MOOR - 真夜中に訪ない】」を以下のとおり復元します。
<dl>
<dd>【MADE'N MOOR - 真夜中に訪ない】<br>
<br>
 あのね。妖精っているんだよ? 本当だよ?<br>
 学校でミミに話したとき、ぜったいそれは妖精よ、って言ったの。その時は<br>

あたしも、どうかなー、って思ったんだけど。<br>
<br>
 知ってる? イチゴダイフク。日本のとってもおいしいケーキ。中にいちご<br>

入ってるんだよ! 日本に旅行に行っていたおばちゃんがね、買ってきてくれたの。<br>

明日学校に持ってってミミにもあげたいから、忘れたらいやだから、まどのとこに<br>

おいといたの。<br>
 そしたら、食べられちゃったんだ!<br>
 ねずみとかじゃないよ? だって、はこに入ってて、一つ一つふくろに入ってるん<br>

だもん。それがね、ちゃんとはこをあけて、ふくろをあけて……ビリビリにやぶい<br>

ちゃったりとかじゃなくて、ママみたいに上手にあけてあるの……ケーキだけ<br>

なかったのよ!<br>
 あたし、だれか食べちゃったのかと思ってママとかパパとかに食べたでしょう!<br>

って言ったら、夜中にオディールが食べたんだろう、ベッドに入って食べたらいけない<br>

って言っただろう、っておこられちゃった。あたしじゃない、ってだれも信じてくれ<br>

ないの。<br>
<br>
 それで学校で、持ってこれなくてごめんね、ってミミに全部話したの。ほら、ミミ<br>

日系でしょ? だから日本のものとかよろこぶんじゃないかな、もってこれなかった<br>

からがっかりだろうな、って思ったから。<br>
 そしたら、それはぜったい妖精よ、ひょっとしたら見たり、つかまえたりできた<br>

かもよ、って言うの。あたしね、なるほど、って思った。だって、はこもふくろも<br>

ちゃんとあけてあったんだもん。<br>
 そりゃ、ちょっとはどうかなー? って思ったよ? ミミ、おばちゃんと同じで妖精<br>

大好きなんだもん。いっつもそのことばっかり言ってるの。二人とも、うちに来ると<br>

おばあちゃんからさいてい一つ、妖精のお話きかないと帰らないんだから。<br>

<br></dd>
<dd>【MADE'N MOOR - 真夜中に訪ない】 <a href=
"http://rozen-thread.org/2ch/test/read.cgi/news4vip/1144572950/#829" target=
"_self">&gt;&gt;829</a><br>
<br>
 あのね。妖精っているんだよ? 本当だよ?<br>
 学校でミミに話したとき、ぜったいそれは妖精よ、って言ったの。その時は<br>

あたしも、どうかなー、って思ったんだけど。<br>
<br>
 知ってる? イチゴダイフク。日本のとってもおいしいケーキ。中にいちご<br>

入ってるんだよ! 日本に旅行に行っていたおばちゃんがね、買ってきてくれたの。<br>

明日学校に持ってってミミにもあげたいから、忘れたらいやだから、まどのとこに<br>

おいといたの。<br>
 そしたら、食べられちゃったんだ!<br>
 ねずみとかじゃないよ? だって、はこに入ってて、一つ一つふくろに入ってるん<br>

だもん。それがね、ちゃんとはこをあけて、ふくろをあけて……ビリビリにやぶい<br>

ちゃったりとかじゃなくて、ママみたいに上手にあけてあるの……ケーキだけ<br>

なかったのよ!<br>
 あたし、だれか食べちゃったのかと思ってママとかパパとかに食べたでしょう!<br>

って言ったら、夜中にオディールが食べたんだろう、ベッドに入って食べたらいけない<br>

って言っただろう、っておこられちゃった。あたしじゃない、ってだれも信じてくれ<br>

ないの。<br>
<br>
 それで学校で、持ってこれなくてごめんね、ってミミに全部話したの。ほら、ミミ<br>

日系でしょ? だから日本のものとかよろこぶんじゃないかな、もってこれなかった<br>

からがっかりだろうな、って思ったから。<br>
 そしたら、それはぜったい妖精よ、ひょっとしたら見たり、つかまえたりできた<br>

かもよ、って言うの。あたしね、なるほど、って思った。だって、はこもふくろも<br>

ちゃんとあけてあったんだもん。<br>
 そりゃ、ちょっとはどうかなー? って思ったよ? ミミ、おばちゃんと同じで妖精<br>

大好きなんだもん。いっつもそのことばっかり言ってるの。二人とも、うちに来ると<br>

おばあちゃんからさいてい一つ、妖精のお話きかないと帰らないんだから。<br>

<br>
<br>
<br>
<br>
 ミミが作せん立てたの。ふつうはミルクとかだけど、おかしでも出てくるんだったら<br>

なにかとびっきりおいしいものならなんでもよさそうね、だから、今日のおべんとうの<br>

たまごやきをしかけましょう、って。<br>
 あのね、ミミのママのたまごやき、すっごいおいしいの。あまーくてふわふわ。<br>

どうやったらこんなのできるの、ってくらい。うちのママのたまごやきは、グリン<br>

ピースとかにんじんとか入れるからだいっきらい。<br>
 それでね……ぜったいでてくるように、ケアンから石もってきちゃおう、って言った<br>

のよ。<br>
 知らない? ほら、通学バスからもみえるじゃない。三つ。あの石でできた<br>

おっきいとう。ああいうところは妖精がいるのよ。うちの近くにも一つあって。<br>

うち街外れでしょ。だから西のケアン、まどから見えるの。<br>

 知らない……うーん。まぁ、あたしはおばちゃんとかミミとかいて、いっつも<br>

いろいろきいてるし。おばあちゃんもね、きかれないと話さないけど、すっごい<br>

くわしいみたい。<br>
 それで、ミミすぐにでんわして、今日……だから、その日ね。うちにおとまりする<br>

ことにしちゃった。そういうの、ミミなんでもすぐしちゃうから。ちょっとわがまま<br>

だよね。<br>
 それで、学校から帰ってきたらすぐ西のケアンの行ったの。おばあちゃんは行っちゃ<br>

だめっていうから、ないしょで、ね。<br>
<br>
 ……ただ石がつんであるだけじゃん、って思うんだけど、やっぱりちょっと<br>

こわいよね。あそこ。きっと、どっかから妖精が見はってるのよ。きっとそう。<br>

 それで、ミミもあたしもなんだか怖くって、ばーって走ってってケアンの足元の<br>

とこからてきとうに石ひろって、ばーって帰ってきちゃった。見せっこしたらね、<br>

両方ともすごいきれいな黒い石だった。とがっててつやつやしてて……<br>

 ……あとで、おばあちゃんからものすっごくおこられちゃった。ちょう本気<br>

っぽかった。フェアリーダートって言うんだって。妖精が呪いをかけるのに<br>

使うんだって……<br>
<br>
<br>
 それで、夜になったのね。もちろんみんなにはないしょだから、ふつうに遊んで、<br>

トランプとか。それで、ねる時間になって。<br>
 しかけはね。あたしのお気に入りのバスケットに、たまごやきとひろってきた石<br>

入れておくの。あとね、石とってきてごめんなさい。かえします、ってお手がみ。<br>

それで、ふたがしまらないようにえんぴつ立てて止めておいて、ひもひっぱると<br>

えんぴつが外れてバタン! っていう。<br>
 ミミとおこづかい出し合ってたくさんかってきたコーヒーキャンディなめながら、<br>

ふたりでベッドにもぐっちゃって、中からこっそり、じーっと見てたの。<br>

 そしたら……きっとゆめだったと思うんだけど……<br>
<br>
 ……あたし、ふわふわういてたの。ちょうちょか何かになったみたいに。で、<br>

となりに女の子がいるのよ。ピンクのふくでおっきなリボンの子と、黄色いふくで、<br>

おっきなかみかざりの子。その子たちが、妖精だったの!<br>

「この子たちかしら~? いたずらっ子は」<br>
 黄色の子につっつかれたの。なによ、って言いかえしたかったけど、ぜんぜん、<br>

なにも言えなくって。体も動かないの。ずーっと見てるだけ。<br>

「うにゅー。今日はうにゅーじゃないの」<br>
 ピンクの子が、すっごいおっきなバスケットを、せのびしてのぞいてた。それ、<br>

しかけたバスケットなのよ。ちゃんとえんぴつはさまってたし、となりにまどべに<br>

かざってあるアイビーがあったし。だからね、あたしが妖精みたいにちっちゃく<br>

なってたのね。<br>
「うにゅーなんかどうでもいいかしら! たまごやき! たまごやきかしら~!」<br>

 って、黄色の子がピンクの子といっしょにおどってた。あんまり上手じゃ<br>

なかったな。<br>
「あんたたち」<br>
 ってゆびさされた。<br>
<br>
<br>
「ケアンにいたずらしちゃだめ、っておばあちゃまからおそわらなかったかしら?<br>

ごういんな子はきらわれるのよ? ま、今日のところはたまごやきにめんじてゆるして<br>

あげなくもないかしら~」<br>
「うにゅーないの? きのうのうにゅー」<br>
「……ひないちごはちょっとだまってるかしら」<br>
 ひょっとして、ピンクの子、イチゴダイフクほしいのかな、っておもったけど、やっぱりぜんぜんしゃべれなくて。それで、ちょっと黄色の子がこわぁいかおになって。<br>

「でも、こんなしかけであたしたちをつかまえようなんて、こんどやったらゆるさない<br>

かしら? おしゃべりくらいはしてあげてもいいから、こういうのはもうなし。<br>

わかったかしら? やくそくかしら?」<br>
 うん、って言いたかったけど、言えないから、やくそくします、っていっしょう<br>

けんめい心の中でとなえたの。そしたら、なんかそのあいだにピンクの子が<br>

「うにゅっ!」<br>
 ってバスケットよじのぼっておちちゃって。黄色の子が<br>

「ひないちご! ひとりじめはゆるさないかしらー!」<br>
 ってすごいいきおいでとびこんで。<br>
<br>
 そのとき、えんぴつに手がひっかかって、バタン! ってとじちゃったの!<br>

<br>
 それで、目がさめたのね。あたしはベッドの中にいて……まどのバスケット、ふたが<br>

とじてるの。でね、ほんとだよ。ふたのところから、ちっちゃな手が見えてるの。<br>

バスケット、がたがた動いてて。<br>
 ものすごいドキドキした。ミミもおきてて、すごいかおしてて。<br>

「ミミひもひっぱった?」<br>
「ひっぱってない!」<br>
「みた?」<br>
「みた!」<br>
 って。あたしたち、あわててまどべにかけよったの、そしたら……そしたらね……<br>

<br>
<br>
 こわかったよ。<br>
 ばんばんばんばんばん!! ってすごいいきおいでまど、たたかれたの。レースの<br>

カーテンのむこうにね、まっくろでおっきなカラスみたいな鳥がいて、むちゃくちゃ<br>

たたいてるの。目がまっ赤に光ってて……<br>
 さいごに、ばぁん!! ってすっごい音がしてガラスがわれて、とびこんできて……<br>

<br>
 ……で、なんかよくわかんないけど、ベッドの中にいたの。体すっごいあつくて。<br>

ママがだいじょうぶ? だいじょうぶ? ってなきながら。<br>

 朝ね、ミミとふたりで、まどのところにたおれてて。すっごいねつだったんだって。<br>

おいしゃさんにみてもらっても、なんのびょうきかわかんなかったって。<br>

 それで……ママはあんまり妖精とか信じないんだけど、おばあちゃんがどうしても、<br>

っていうから、おばあちゃんにまかせたら、いろいろおまじないして。<br>

 それで、あたし目がさめたんだって。<br>
 すっごいおこられたの。お前がケアンから持ってきたのはフェアリーダートだ、<br>

それでうたれたんだ、って。おばあちゃんがそれを返して、よくあやまってきたから、<br>

治ったんだって。あたしもおきれるようになってから、あやまりにいったよ。<br>

 まどはぜんぜんわれたりとかしてなかったみたいなんだけど、あたしのバスケット、<br>

ぼろぼろにされちゃってた……なんか、鳥がむしったみたいに。<br>

<br>
 でね。<br>
 ミミとあそべなくなっちゃった。ミミのパパとママ、あたしとあそぶな、口もきいちゃだめだって言うんだって。ミミ、すごいごめんね、ごめんね、って言ってくれたけど。<br>

でもパパとママに言われたからって。<br>
 わかってるよ。ミミ、あたしのこときらいになったんじゃないって。みんな、ミミの<br>

パパとママのせい。だから、こんどケアンにおねがいにいくの。フェアリーダートで、<br>

ミミのパパとママをこらしめてください、って。<br>
<br>
 ……ないしょだよ? ぜったい、おばあちゃんにおこられるから。やくそくまもらなかったら、あなたもこらしめちゃうんだから。<br>

<br>
<br>
<br>
BGM:Roger Calvarley 'Crowned by Ivy' ( from "Celtic Misteries II" )<br></dd>
</dl>

復元してよろしいですか?