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金糸雀短編11 - (2006/08/07 (月) 18:45:43) の編集履歴(バックアップ)


『金糸雀リサイタル』

10月15日午後3時、恐怖のリサイタル(?)が始まった…
金「みんな集まってくれてありがとうかしら~。カナ、頑張るかしら」
ジ(無理やり連れて来させたくせに…)
金「それでは、行きま~す」
ボエ~ッ!(歌声)
ギ~~ッ!(バイオリンの演奏)
ジ「オエッ…」
真「ひどい歌声…」
水「問題外ねぇ」
翠「バイオリンも酷い演奏ですぅ~」
蒼「素人以下の演奏だね」
雛「気持ち悪くなったの~」
薔「ジャ〇アンリサイタル!?」
雪「あぁ、耳が…」
金糸雀にはみんなの会話は聞こえていなかったようだ。
金「どうだったかしら~?」
ジ「と、とっても良かったよ!なぁ、みんな?」
一同「う、うん」
みんな辛いのを我慢して小切りで拍手をしていた。
金「そう?なら、2番に続けるかしら~」
全員「(; ̄д ̄) エェェー!」
このリサイタルは夜まで続いた…






J「なぁ、金糸雀。」
金「なにかしら?」
J「なんで、お前は僕を好きになったんだ?」
金「うーん…よく分かんないかしら。気付いたら一緒に居る時間が増えてて、気付いたら好きになってたかしら。」
J「ふ~ん、そうなのか。」
金「ジュンは、なんでカナを好きになったのかしら?」
J「僕も理由なんて無いよ。強いて言えば、金糸雀と同じ理由だよ。」
金「ふ~ん、そうなのかしら。」

好きになるのに理由なんていらなかった。
二人で一緒に居られたらそれで良かった。
他には何もいらなかった。
あなたが隣りに居てくれたから……

この時までは。

続かない








「JUMー、何してるかしら~?」

JUMが中庭でくつろいでいるところに金糸雀が遠くから声をかけた。
「別に。」と答えようとしたが駈けてきた金糸雀が目の前で転んだので
JUMは一旦キャンセルして金糸雀を抱え起こした。

「いた~い、転んで怪我したかしら。」
「派手に転んだな、大丈夫か?」
「ここが痛いかしら。」

金糸雀がおでこを指さして言った。
しかしJUMの見たところ外傷は全く無かった。

「あつっ、ここも痛いかしら」

次に金糸雀は肘を指さして言った。しかしここも外傷は見られなかった。

「膝も痛いかしら。」

金糸雀は擦り傷も無いのに次々と指差して痛みを訴えた。
JUMも心配して症状を詳しく聞いてみた。

「どんな痛みなんだ?」
「どの箇所もとにかくとても痛いかしら。」
「骨折なのかな?痛いのはここか?」
「あれ?JUMが触ると痛くないかしら!?」

JUMは金糸雀の様子から痛みの原因を突き止めた。

「金糸雀、おまえ人差し指を骨折してるぞ。」



《でこピカカナ丸》

J「のど渇いたな、コンビニでお茶でも買うか。」
金「ついでに涼んでいくかしら。」

中の涼しさは外界とは比べ物にならない。
JUMは立ち読みする金糸雀に付き合ってしばらく涼んだ。
十分に堪能したところでペットボトルのお茶を選ぶことにした。


J「お、サントリーの烏龍茶安いな。これにしよう。」
金「待つかしらJUM、こっちのにした方がいいかしら。」


金糸雀が手にしたのは1㍑入り紙パックの烏龍茶。


J「なるほど確かにこの方が安いな、量も多いし。
  でも外で飲むのはちょっと恥ずかしくないか?」
金「大丈夫、いい方法があるかしら。」


お茶を買ってコンビニを出た金糸雀は
鞄から空のペットボトルを2コ取り出して移し替えた。


金「はいJUMの分、これで見た目は同じかしら。」
J「つ、つるせこーっ!」





金「37.6度…風邪かしらー」
ジ「うーん…頭痛い…」
金「大丈夫かしら?病院行くかしら?」
ジ「ん…別にいいよ…このぐらい寝てれば治」
金「だめかしらー!!」
ジ「か、カナリア?」
金「軽い風邪でも放っておくと大変かしらー!ちゃんと病院行くかしらー!」
ジ「カナリア…」
金「ジュンが病気になったら悲しいかしら…」
ジ「…わかった、行くよ、病院…ありがとう」
金「か、かしら…///」




[本日午後から休診]

ジ「…………」
金「…………」







み「カナー、駅前のスーパーで卵が一パック10円だってー」
金「ほ、ほんとかしらー!?早速買いにいくかしらー!」
ジ「…いくらなんでも安くないか?」
金「平気かしらー!それよりジュンも買い物手伝ってかしらー!」
ジ「しょうがないな、僕もいくか」
金「早速出発かしらー!」



ジ「………なんパック買ったんだ」
金「えーと、レシートによると150パックかしら」
ジ「そんなに使い切れるのか?」
金「卵焼きにオムライスにカニ玉に卵かけご飯にその他色々でいただくかしらー!」
ジ「へぇ…」




二日後
み「サルモネラ菌中毒で入院しちゃって…カナー!!!」
ジ「無茶しやがって…!」




《カナと日傘は使い様》
金糸雀はいつも日傘を持ち歩いている。
夏真っ盛りの日差しの強い日には効果ありなんだけど
微妙な天気の日でもなぜか手には日傘だ。

J「日も出てないのになんで日傘なんかさしてるんだ?」
金「カナのお気に入りだからかしら。」
J「もうすぐ降りそうだぞ。」
金「大丈夫。カナの日傘は雨でもさせるかしら。」
J「今は降ってないんだから閉じておけよ。」
金「ちょ、返すかしら。」

JUMは金糸雀から傘を取り上げるとくるくると折りたたんだ。
取り返そうとする金糸雀に追いつかれまいと距離をとったが
金糸雀は3歩踏み出したところで派手に転んだ。
そのまま倒れて動かない金糸雀を抱え起こす。

金「いたた…かなり重傷かしら。」
J「…傷なんてどこにもないぞ。それよりなんで何もないのに転んだんだ?」
金「傘を急に手放すと転ぶかしら。」
J「はは、猫のひげか昆虫の触角みたいだ。」
金「ひどいかしら、転ばぬ先の傘なのよ。」
J「日も照っていないのに差してたって何にもならないだろ?」
金「こういう使い方もあるかしら。」

抱えられたまま返してもらった日傘を開き傾けた。
日傘で周囲を遮った金糸雀はJUMの頬にそっと口付けた。

金「カナの日傘役に立ったかしら?」


知り合いの金糸雀がおそらく中2病。(当時17歳)
JUM大好きで結婚志望・高校生・下駄箱にラブレター入れまくり。
親友にJUMの姉がいるって言ったらどうしても会わせて欲しいと懇願された。
姉の目で金糸雀を批評して欲しいかしらと。
なぜ金糸雀がJUMと結婚できないのか理由を知りたいかしらと。
あんまりしつこいからJUMの姉と会う機会をセッティングしてやった。
そしたらJUMの姉に向かって自分を語る語る。

「世界中でカナほどJUMに詳しい人間はいないかしら。」(のり苦笑い。)
「カナほどJUMの写真持ってるやつなんていないかしら。100枚持ってるかしら。」
(100枚くらいだったら薔薇水晶だって持ってる。ハードカバーの写真集にして持ってるって。)
「カナが詳しいのはJUMだけじゃないかしら。
 卵料理も多分びっくりするくらい詳しいのよ。服部幸應は天才かしら。」
(のりニヤニヤ。あえて『服部先生のどういうところが天才だと感じる?』
 といういじわるな質問はしないてあげていた。)
「カナは卵料理が好きだからフライパンにもこだわりがあるかしら。だから肌身離さないかしら。」
(とポシェットの中からマイフライパンを取り出す。のり噴き出すのこらえてた。)
「卵の鮮度にもこだわりがあるかしら。だから持ち歩いているかしら。カナのアイデンティティかしら。」
(とポシェットの中から鶏も取り出す。のり悶絶。)
「カナの手料理を食べたら多分交際を認めると思うかしら。
 カナの歌はフランス料理と中華の融合体だから、JUMの口にも合うかしら。」
(と気持ち良さそうに料理を始めるが真紅レベル。 量だけは多いが味音痴のうえに盛り付けがあまりにひどい。)
「どうでかしらカナの料理。桜田金糸雀になれるかしら?」
(のり『桜田家に嫁ぐということは大変よ。料理は趣味にとどめてみっちゃんと暮らした方が賢い生き方よ。』と諭す。)
「嫉妬かしら。醜いかしら。」