「金糸雀短編1」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

金糸雀短編1 - (2006/03/04 (土) 15:19:18) の編集履歴(バックアップ)


J「金糸雀、こんなところに呼び出して何?」
金「今日は日頃の感謝を込めてJUMにプレゼントを用意したかしら。」
J「へー、それはどうも。」
金「早速開けてみるかしら。」
J「どれどれ・・・Tシャツか。ってこれは・・・?」
金「どうかしら?カナが選んだのよ。」
J「・・・これもプレゼントなのかな?」
金「どれのこと?」

チュッ・・・

金「きゃっ、いきなり何するかしら(////)」
J「だってTシャツに『kiss me』って。」
金「デ、デザインで選んだだけかしら。」
J「・・・ゴメン。」
金「・・・もうっ、次からはいきなりなんて許さないんだから。」
J「ちょ・・・それって!?」

金(ミッションコンプリートかしら(////)


金「ねえJUM、『目は口ほどにものを言う』って言うけど本当かしら?」
J「うーん、状況によっては判ることもあるけどな。」
金「『嘘をついてる目』って言うのは視線も関係あるのよ。」
金「ちょっと試してみるかしら。JUM、私の目を見て。」
J「ああ。」
金「何でもいいから考えてくれるかしら?」
J「・・・いいぞ。」
金「さーて、何を考えてるのかしらー♪」
J(ちょ・・・金糸雀・・・近過ぎw)
金「そらさないで!」
J(は、恥ずかしい・・・・・・/・・・・金糸雀って目が大きいな、吸い込まれるって言うか)
J「・・・かわいいな。」
金「ちょ、ちょっとJUM何言ってるかしら(////)」
J「わーゴメン(////)」
金「もう、でもこれでわかったかしら!」
金「今JUMはずっと私のこと考えてたかしら!」
J「い、いや、そんなことないよっ。」
金「今のは嘘ね!視線が逸れてるかしら!」
J「う。そんな近くで見つめられたら仕方ないじゃないか。」
金「ふふ、今のも嘘かしら。」
J「くっ、ああそうだよ。僕は金糸雀のことが好きだ。」
金「JUM、その言葉を待ってたかしら~。」
J「アーッ、金糸雀、お前!?」


金「世話の焼ける子ね、かしら♪」



『夕暮れ』

紅「じゃあまた明日ねJUM」
J 「うん。またね真紅」
僕はいつものように真紅と別れて家路へと急いだ。でも、いつもよりちょっと遅くまで遊んでしまった。
もう夕方の5時。辺りもだんだん暗くなり、なんだか心細く感じた。

J 「早く帰らないと…そうだ!」
僕は近道を思い出した。時計屋の裏の抜け穴を通って公園に抜ければ僕の家はもうすぐだ。

J 「よいしょっと…」
抜け穴を通り公園に出た。お家はもうすぐ!そう思って起き上がり、走り出そうとするとふと僕の目に見知らぬ少女の姿が映った。
その子は一人で淋しそうにブランコに座っていた…


その子は僕より少し幼く見えた。

J 「年少組の子かな?」
だとしたら僕のほうがお兄さんなんだから何とかしてあげないと!そう思って僕はその子に声をかけた。

J 「どうしたの?おなまえは?おとしはいくつ?」
金「かなりあ。5さいかしら。ブランコ遊びしてるの」
僕より年下だと思ったその子は僕と同い年だった。
幼稚園児ぐらいじゃ、早生まれか遅生まれかで体の大きさがかなり違うからそんなに驚かなかったけど。

J 「そう。僕の名前はJUM。僕も5さいだよ。薔薇幼稚園に通ってるんだ」
金「カナはそこの保育園に行ってるの」
そう言ってその子は指さした。そういえばこの公園の横に保育園があったっけ。

J 「そうなんだ。でもどうしてこんなとこに一人でいるの?早く帰らないとパパやママが心配するんじゃないの?」
金「パパはいつもお仕事で遅いの。だからカナはいつも一人でパパがおむかえに来てくれるの待ってるかしら」
金「それに…カナのママはカナが生まれてすぐ死んじゃった。だからカナはパパが帰ってくるまで一人っきりかしら」
J 「そう…だったの」
だからこの子はこんなに淋しそうに見えたんだ。ママがいない。それだけでも僕はどれだけ淋しいかわからないのに。
パパが来てくれるまで、この子はいつも一人ぼっちなんだ…

J 「…じゃあ君のパパがおむかえに来てくれるまで僕と一緒に遊ぼう?」
金「いいの?ほんとにほんと?」
今まで沈んでいた金糸雀の顔が急に明るくなった。笑うとこんなにかわいいんだ。

J 「うん!何して遊ぶ?」
それから金糸雀のパパがおむかえに来るまで、僕たちは二人で遊んだ。二人でおにごっこをして、ブランコ遊びをして…
あっという間に辺りは真っ暗になった。


金糸雀と遊び始めて1時間くらい経っただろうか。ふと見るとスーツを着た男の人が近づいてきた。

金「パパ!」
そう言って金糸雀はその人の元へ走っていった。そうか。あの人が金糸雀のパパなんだ。

金糸雀はパパに抱きついてうれしそうに話をしていた。金糸雀のパパもうれしそうにその話を聞いていた。
その様子を見てなんだか淋しくなってきた。…早く帰ろう。

J 「パパがおむかえに来てくれてよかったね。じゃあ僕ももう帰るね」
そう言って僕は帰ろうとした。すっかり遅くなっちゃったからパパもママも心配してるだろうな。

金「まって!」
帰ろうと思って振り返ると金糸雀に呼び止められた。どうしたんだろう?

J 「どうしたの?」
金「あのね…よかったら…またカナとお遊びしてくれるかしら?」
J 「うん。もちろん!」
金「ほんと?ありがとうJUM!」

金「JUMがいてくれたから今日は楽しかったわ。ほんとにありがとう。これはおれいかしら」

チュ・・・

J 「え?」
ふいにほっぺたにやわらかい感触がした。

金「じゃあまたねJUM!」
そう言って金糸雀はパパの元へと走っていった。そしてパパに手を引かれて帰っていった。
僕は帰っていく二人のうしろ姿をただ呆然と眺めていた。


J 「……はっ!」
ふと我に返った。ようやく何が起こったのか理解できた。

J 「チューされちゃった…」
そう声に出したら急に恥ずかしくなった。耳が熱くなった。

J 「…帰ろう」
そう独り言を言って僕は走り出した。

お家に帰るともう7時だった。予想通りパパとママはすごく心配してたみたいで、ひどく怒られた。
でも僕はまったく上の空で、二人の説教なんてまるで耳に入ってこなかった。金糸雀の笑顔が頭から離れなかった。
パパとママも僕の様子を察したようで、もういいから早くご飯食べて寝なさいと呆れ顔で言った。
そして僕は早々にご飯を食べて、お風呂に入り、そして布団にもぐった。
布団に入っても浮かんでくるのは金糸雀の笑顔だった。

J 「……また公園に行ったら会えるかな…」
また遊ぼうって約束したんだもん。きっとまた会える。
そう思って僕は目を閉じた…