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ドッペルゲンガー - (2006/12/22 (金) 19:57:45) の編集履歴(バックアップ)


翠「ほら~、チビ~さっさと行くですよ~」
ジ「わかった、今行く。それと僕はチビじゃない」
翠「早く行かないと遅刻するですよ」
ジ「わかってるよ。それにそんな遅刻するような時間でもないだろ」
翠「そんなこと言って遅れても知らねぇですよ」
ジ「あれ?そういえば蒼星石は?」
翠「今日は朝練があるからと早々と学校に行ったです」
ジ「ふーん、またか」

蒼星石は園芸部と剣道部を掛け持ちしている。朝練は剣道部の方だろう。

翠「だから今日は二人っきりですぅ。べべべ別にジュンと一緒だからって喜んでるわけじゃないですよ」
ジ「そうだな。この頃は大会前とかでよくあることだしな」
翠「お前は喜べですぅ」
ジ「おおっと、無駄話してると遅れるな。さっさと行くぞ」
翠「無視したうえに無駄って何ですか!?わざわざ翠星石が話し掛けてやってるというのに」
ジ「はいはい、ありがとうございます。ほらおいてくぞ」
翠「あっ、待つです。おいてくなです」

結局はいつもと同じ時間に着いたわけだが。
僕は有栖高校に通学するいたって普通の高校生だ。隣にいる翠星石は中学の時に田舎から越してきた親しい友人だ。口が悪いが根はいい奴だと思う。蒼星石とは双子で翠星石の妹らしい。妹とはいっても人間的には少なくとも姉よりも上だと思っている。


翠「ちょっと?きいてるですか?」
ジ「ん?ああ、すまん。考え事をしてた」
翠「キィーーー、二人きりだというのにムードの欠片もない奴ですね!」
ジ「学校の廊下でどんなムードを作れと?ほら教室に着いたぞ」
翠「おっはよーですぅ!……ってあれ?」
ジ「あれ?珍しいな。いつもならあのメンバーがいるんだが、今日は1人もいないな」


いつものメンバーとは、
わざわざ3年であるにもかかわらず当然の様にくる水銀燈、金糸雀、真紅と同学年でクラス違いの蒼星石、柏葉と1年の雛苺、薔薇水晶、雪華綺晶のことだ。
ちなみに、柏葉以外の彼女等は学校内では有名らしく総称【薔薇乙女】と呼ばれることもあるらしい。由来は知らない。


翠「変ですねぇ。隣でも見てくるです」
ジ「そうだな、先に行った蒼星石もいないのは変だよな」


そう言って10分経っても戻ってこなかった。

ジ「……遅いな、何やってんだろ?SHR遅れるぞ?」

そう独り言を言いながら教室を出る。すると隣の教室の前で突ったっている翠星石がいた。


ジ「おいSHR遅れるぞ。何やってんだ?」
翠「あっ、ジュンですか。そんなこといいからこっちきて教室を覗くです」
ジ「覗かなくたって直接会え………ば………???」

蒼星石は何やら楽しそうに話をしている。相手は……?僕!?


翠「あれってジュンですか?見た感じ同一人物なんですが」
ジ「……とっ、とりあえず教室に戻ろうか」
翠「声が裏返ってますよ。剣道凶悪暴力女のクラスも見てくるです」
ジ「却下。SHRが始まる。遅刻になるぞ」
翠「今更冷静振ったっておせーです。まあ、ジュンがそこまで言うなら後で見に行ってやるです」
ジ「そう言うお前こそ慌ててるじゃないか」
翠「そりゃあ、翠星石のジュンが沢山いたら慌てもしますよ」

何か問題発言したような気がするがここはスルーだ。僕も皆勤賞がかかっている。翠星石を引きずって教室に連れていく。


梅「みんな、おはよう!梅岡だよ」

梅岡が何か言っているようだ。出席の返事だけして無視だな。

梅「全員出席だね。じゃあみんな今日も一日頑張ろう!」


さて、一限目の準備を……あー寝るか。

梅「みんな、おはよう!梅岡だよ。最初は僕の授業だよ。みんな張り切ってやろうね!」


大半の生徒がやる気ないな。かくいう僕もその内の一人だけど。

ジ「なあ翠星石、蒼星石と一緒にいた奴の件だけどさ、昼飯いつもみんな一緒に食べるだろ。その時に確認するのが良くないか?」

翠星石とは席が隣なので授業中でもよく話をしている。今は梅岡だからいいだろう。


翠「でも、すごく気になるですぅ」
ジ「確かにね。でも確実だろ?」
翠「それはそうですが」
ジ「素直に待って昼飯の時に蒼星石本人に確かめる。それで決定」
翠「なんか仕切り屋ですね。ま、いいです。それにのってやるです。確か今日は屋上でしたね」
ジ「言うなよ。隠してる意味がないだろ」

昼食をとるところは定期的にかえる。何やら変なギャラリーや党員が寄ってくるからだ。


翠「たまには二人きりで食べたいですねぇ」
ジ「うーん、ま、そうだな。少し静かなほうがいいときもあるしね」
翠「その時は誘えですよ。この翠星石が直々にチビの相手してやるです」
ジ「はいはい。その時は、よろしくお願いいたします」
翠「ありがたみが足りないですが、まあいいです。もう眠いから寝るです。」
ジ「ん、ああ」

堂々と眠る翠星石。まあ既にクラスの4分の3は寝ている。梅岡は気付いていて無視しているのか?注意して起こさないだけいいけどさ。……僕も寝よう。


………さてあまり身が入らなかったが残り5分で昼休みだな。さっさと屋上に行くかな。

教「じゃあ、少し早いがここまでにしようか。続きはまた明後日だな」

ジ「よし、ラッキーだ。翠星石行くぞ」
翠「ふにゃ?」
ジ「ほら、寝呆けてないで。弁当持って例の場所に行くぞ。真実を確かめるんだろ?」
翠「そうでしたね。さあ、さっさと行くですよ」
ジ「待ってるのは僕の方なんだけど」
翠「無駄口叩いてないで足を動かすです!」
ジ「いたた…引っ張るなって」


ジ「…で、やっぱり最初だったわけだが」
翠「まだ二人きりですねぇ。ご飯食べちゃいましょうよ」
ジ「却下。確かめるのもあるんだぞ」
翠「ジュン……わたしの事どう思ってるんですか?」
ジ「何だよ、いきなり」
翠「この頃は嫌味を言っても無視して、前みたいに乗ってくるのも少なくなったですぅ」
ジ「それはまあ、うん、慣れとか」
翠「はっきり言って翠星石のこと嫌いですか?」
ジ「嫌いじゃ……ないよ」
翠「本当ですか?でもあまり信じられませんねぇ」
ジ「どうしろと?」

ガチャリ

蒼「やあ、珍しく早いね二人とも」
翠(チッ…来るのがはえーですぅ)
蒼「あれ?ジュン君、さっきまでボクと一緒にいなかったっけ?(なんか翠星石の視線が痛いな。ボク何かしたかな)」
J蒼「いるよ、ここに」
蒼「あれ?ジュン君が二人!?君たちも双子だったの?」
J翠「いや、その件についてなんだが…」


銀「あらジュン、先に行ってたのぉ~?それならそうと言………え??」

なんかいやな予感がするんですけど。当たってほしくないけど当たりそうだ。

銀「これは……どぉいうことぉ?」
J銀「僕に聞かれてもねぇ……回答に困るな」

的中か……そうなると他にも……水銀燈に連れられるようにして他の人達も来たな。やっぱりみんな僕(?)を連れてるな。

J翠「さて、みんなが集まったところで問題があるのだが」
J紅「僕がたくさんいることについてだろ?」
J翠「そうだよ。たくさんいるのは問題アリだろ?だいたい授業中どこで過ごしたんだよ?」
J雪「ご丁寧に席が用意されてたからそこで過ごしたぞ。出席簿にも名前があったし」
J翠「一体誰が……それはいいとして、このままじゃみんなも困るだろ?」


銀「私このままでもいいわぁ~。いつでもジュンといられるもの」
紅「ジュンも私と同じように飛び級したのだと思ったのだわ。下撲が多少増えても問題ないわ」
蒼「ボクもこのままでいいかな~」
J翠「まさか蒼星石まで賛同するとは思わなかったな。想定範囲外だ」
J蒼「それだけじゃないんだろ。他には?」
J翠「最大の問題だが、僕を含めた桜田ジュンが今ここに8人いるわけだが、非常に心配なのがある」
J紅「勿体ぶってないでさっさと言えよ」
J翠「……もしドッペルゲンガーだったら」
J銀「何だよそれ」
J翠「金糸雀、説明を頼む」
金「わかったかしら。ドッペルゲンガーとは本人と同じ姿形をしてて、見ると死ぬと言われているかしら」
蒼「よく聞く話だよね」
金「意外とローカルルールがたくさんあって、寿命に関しては見た直後に死亡や寿命が半分になるとか様々かしら」
蒼「ローカルルールって誰が決めてんだろ」
金「でも普通は本人とドッペルゲンガーと2体しかでないのかしら。だからジュンは変かしら」
蒼「ボクの発言は無視かい?」
J蒼「ちゃんと聞いてるよ」
蒼「ありがとう、ジュンくん」
J翠「つまり、僕らの寿命はどうなるのかってことだ。早死するのは嫌だからな」
翠「そういうのは気持ちの持ちようですよ。欝な気になるから早くくたばることになるですぅ。だから考えないほうがいいです」
J翠「たま~~にいいこと言うな」


翠「たまにとは失礼ですね。だいたい、こんな8人もどこで暮らすんですか?チビだからといってこいつだけの家では暮らせないと思うのですが」
J翠「何か企んでないか?」
銀「その考え乗ったわぁ~」
J全「は?」
翠「まだ何も言ってねーです」
銀「うちは大丈夫よぉ~。ジュンもいいわよねぇ?」
J全「全く話が読めないな」
翠「はぁ……とんだ鈍ちんばっかですねぇ。つまり誰かの家に泊まればいいんですよ。これで問題解決ですぅ」
J翠「ちょっと待て。確かにそれでもいいが、僕はどうする。翠星石の家に僕が二人というのも変だろ」
翠「チビは脳みそまでチビですか?自分の家があるですよ」
J翠「まあ、とりあえずはそれでいいかな。これでお開きにしようか。もうすぐ5限目も始まるしな」


紅「あそこでいちゃいちゃしてる苺コンビとアイコンタクトで会話している薔薇コンビとまだ昼食を食べてる雪華綺晶はわかったのかしら」
銀「いいんじゃない?特に文句も言わなかったし、なんとかなるわよぉ~」

翠「……ジュン」
J翠「何だ?どうかしたか?」
翠「翠星石はジュンの家に泊まりたいです」
J翠「はあ?何言ってr
翠「駄目ですか?」
J翠「う……わ、わかった。(涙目上目遣いは卑怯だ)」
翠「わーいですぅ。ありがとですぅ」
J翠「どわー、飛び付くなくっつくな抱きつくなー!(人がいなくて良かったかな)」
柏「じー」
J翠「うわ!柏葉!お前いつからそこに!」
柏「さっきは私のことが一番だって言ってたじゃない。……嘘つき」
J翠「ええと……はは、まさかとは思うが」
翠「そのまさかだと思うですぅ」
J翠「9人か……もう、一人増えようがどうでも良くなってきたな」
J柏「こんなところにいたのか巴……ってあれ?」
J翠「もう説明するのも面倒だ。金糸雀から聞いてくれ」
金「カナは説明役じゃないかしらーー!!」

どこからともなく誰かの声が聞こえたような気がするが気のせいだろう。
それよりこんなことになった原因を突き止めなくては。寿命は……まあ大丈夫そうだ。ドッペル君じゃないとすれば……?わからないな。手掛かり皆無だな。


ピンポンパンポ~ン

「みんな!こんにちは!梅岡だよ!今日は教師全員食中毒につき昼の授業はなしになったんだよ。みんなも気を付けようね」

ラッキーだ。非常にラッキーだが気になるな。気にしすぎか……?

梅「やっほー!梅岡だよ!今日はこれでおしまい。また明日ね」
J翠(なぜこいつだけ生き生きしてるんだよ!暑苦しい。寧ろ死んでくれればいいのに。SHRやってるのこのクラスだけだぞ)
梅「ちなみに僕以外の先生達は病院にいるみたいだよ。機会があればお見舞いしとこうね」
J翠(病院?見舞い?ってことは入院してるんじゃないのか?なに食ったんだろ)
梅「誰かが毒を盛ったとか変な噂が立ってるけどみんな同じご飯だったのに僕だけ無事ってのもおかしいよね」
J翠(お前が変なだけだろうが)
梅「桜田、最後まで聞いてくれて先生とってもうれしいよ。じゃあまた明日!」
J翠「なっ!!」
J翠(まわりに誰もいない。くそっ、余計なツッコミのせいか。…で、こいつはいつまで寝てるんだ?どうせ徹夜でもしたんだろうな)


J翠「起きろ~翠星石~帰るぞ~置いてくぞ~(棒読み)」
ユサユサ…
翠「うっせーですねぇ、起きてるですよぅ蒼星石」
J翠「………僕もう帰っていい?」
翠「駄目ですぅ!」
ガシィッ!
J翠「だあぁぁ!いきなり抱きつくなぁっ!」
翠「……ふぁれ?」
J翠「起 き て た な ?お前」
翠「なっ、なななな何言ってるですか!付け上がるなですぅ」
J翠「目が腫れてないぞ」
翠「す、翠星石はそういう体質なんですよっ。知らなかったのですか!」
J翠「それは知らなかったな。よし、明日の朝観察しようか」
翠「ちょっ、それは困るですぅ」
J翠「何でだよ」
翠「ジュンのバカチビ!とんだ変態野郎ですぅ」
J翠「ところで、いつまで抱きついてるんだ?」
翠「え?ええと、もう少し……誰もいないですし」
J翠(めずらしく素直だ。逆に怖いぞ)
J翠「ああ、わかっ…」
柏「(゚д゚)」
J翠「!!!!!」
翠「どうかしたんですかぁ?ジュン?」
J翠「なんでもないよ。うん。少し考え事を…ね」
柏「じーー」
J翠「さ、さあ帰ろうか。続きは後ででもいいだろ」
翠「続きって……え?」
J翠(しまった!墓穴を掘った。なんとかフォローを)


J翠「今日泊まりにくるんだろ」

我ながらナイスフォローだね。嬉しすぎて涙がでるよ。うん。

翠「そうですねぇ……えへへ(私の時代がやってきたって感じですねぇ)」
J翠(可愛い笑顔だが、なんか怖い。天使のような悪魔の笑顔ってやつなのか?裏がありそうだ)
柏「………」
J翠(!!まだ見てたか!巴……恐ろしい子!前言撤回。あっちの方が悪魔に近い)
翠「さあ、早く帰るですよ!もたもたするなですぅ!」
J翠「いつもより素早い準備だな。よし、帰るとするか(あいつは何をしにきたんだ?)」

――――――――――――――――


ジ「じゃあまた後でな」
翠「すぐ準備してくるですぅ。待っとけです」
ジ「あ、僕の家なんにもないから暇潰しするようなものは持ってきたほうがいいぞ」
翠「何かのテレビかビデオでも見るですよ。……一緒に(ボソッ」
ジ「ん?最後の方なんか言わなかったか?」
翠「きっ、気のせいです。風の音でも聞いたのではないのですか。じゃあ行くです。楽しみに待ってろです」
ジ「えらく早口だったな。本気で聞こえなかったんだけどな。さてまだ4時か。待つ間昼寝でもするか」


ふぅ~今日は何だか疲れたような気がするな。ああ、極楽だ~、至福だ~。というわけでもう寝る。おやすみ。


J翠(あれ?僕は寝てたような気がするけど、ここはどこなんだ?)

蒼「ごめんね、ジュン君。何もない部屋で」
J翠(はあ?なんで蒼星石がいるんだよ)
J蒼「いいよいいよ。気にしないで。むしろ十分だよ」
蒼「ふふっ、ジュン君は優しいね。ボクはそういうところが大好きだよ」
J翠(回答に困るな。つか蒼星石ってこんな性格だったか?)
J蒼「ありがとう。僕も蒼星石のこと、好きだよ」
蒼「えっ?その……嘘でもうれしいよ」
J蒼「嘘じゃない。僕は蒼星石が好きだ。偽りはないよ」
蒼「本当に!?ボク信じるからね」

ガシッ

J蒼「ああ、僕は裏切らないから心配するな。いつも一緒にいような」
J翠(なんだこの、超甘々空間は!僕ここに居たくない。つか抱きつき癖は妹もか。流石双子だな。受け入れるこいつも凄いが)
蒼「うん!ずーっと一緒に……」


翠「ただいまですぅ~」
蒼「おかえりー」
翠「ちょっと用があるから今日は帰れない……ってなにべたべたくっついてるですか!まだ昼間ですよ」
J翠(それをお前が言うな。しかしまだくっついていられるとは)
蒼「別にいいじゃないか。それと部屋に入るときはノックぐらいしてよね」
翠「……呆れたです。翠星石はもう行くです」
蒼「もしかして羨ましいとか?」
翠「馬鹿言ってると怒りますよ」
蒼「ご、ごめん。(目が笑ってないよ)」
翠「じゃあ行ってくるです」
蒼「どこに行くの?」
翠「うるせーです。きくなです」
蒼「そ、そう。わかったよ。(一触即発かな。触らぬ神に祟りなしだね)」
J翠(これって夢なのか?やけにリアルな夢だな。つかいつのまに準備したんだ?)
J蒼「怖い姉ちゃんだな。妹とは大違いだ」
蒼「それ翠星石の前では言わないほうがいいよ」
J翠(でもあれはあれでいいところもあるし、結構可愛いもんなんだけどな。素直じゃないところもまた……って!何フォロー入れてんだよ。誰にも聞こえないのに。なんか悲しくなってきた。終始通して抱きつきっぱなしだし。どうやって戻るんだ?戻れと念じてみるか)


ジ「ふぅ。なんか休んだ気がしないな。あの体が痒くなりそうな夢はもう見たくない。寝てからまだ1時間も経ってないな。暇だな。
かと言って正直あんな夢みたくないから寝ることもできないよ」

もう少しで翠星石が来るはずだ。もう少しでもう少しでもう少しで……。で、ぼーっとしながら30分経ったわけだが。

ジ「………………暇だぁぁっ!!!落ち着け僕。何かテレビでも見ようかな。それが一番だ」

自分の部屋にもテレビはあるがリビングの方がサイズが大きいので1階へ下りた。リビングのテーブルに紙が置いてあった。

ジ(なになに?今日は早く帰ってこれたけど急な友達の誘いで3日間泊まる!?僕ももう高校生だから大丈夫だろうって!?
飯はどうするんだよ。風呂は洗ってあるのか。ってそんなことはどうでもいい。出前でもとるのか。翠星石に悪いな、あいつ何か食べたいものでもあるかな。
一緒に外で食べるというのも……駄目だった。そういえば対人関係は僕以上に駄目だったな)


中学の頃は同じクラスの人でさえ蒼星石の影に隠れていたとか。僕との付き合いは……何時からだろう?僕は引き籠もったり無断欠席常習犯だったから覚えてない。
中学2年3年・高校1年2年でも仲の良い人が同じクラスになるように裏からネマワシしているとの噂もある。まぁ、噂であると信じたい。
そんなわけで今までずっと3人とも同じクラスだったんだがなぜか今年だけは蒼星石が別クラスだった。


ピンポーン

ジ(やっときたかな)
翠「来てやったですぅ。早く開けやがれですぅ」

ガチャッ

ジ「やっときたな。いったいこの時間何やってたんだ?」
翠「騒ぐために必須な飲み物とおつまみを買ってきてやったです」
ジ「ふうん。ま、玄関で話すのもなんだから入れよ」
翠「お邪魔してやるですぅ」
ジ「じゃあとりあえず僕の部屋に」


翠「意外と片付いてるですね」
ジ「まあね」
翠「じゃあさっそく飲むです」
ジ「ああ。あ?……おいこれはわざとか?ツッコミ待ちか?」
翠「何がですか?」
ジ「明らかに角照なんだが。6%入っているんだが」
翠「別に未成年でも誰でも飲んでるですよ。チビでも飲めるように甘いものを選んできてやったと言うのに」
ジ「ここはヨーロッパじゃなく日本だぞ。法律違反だろ」
翠「飲まないんですか?(ここで飲ませないと作戦Α‐1が遂行できないですぅ)」
ジ「いや……飲むよ。一応断っとかないとね。少しなら健康に良いとも言われてるしね。」

※20歳未満の人は飲まないようにしようね。梅岡との約束だよ!

ジ「奴との約束なら破るに限る」
翠「はい?」
ジ「いや気にしないでくれ」
翠「それじゃあ乾杯!ですぅ」
ジ「ああ乾杯」

ジ「確かにこれなら僕でも飲めそうだ」
翠「あったり前ですぅ。この翠星石が持ってきたんですよ~」
ジ「しかし、他人との関わりを避けるお前がよく買ってこれたな」
翠「も、もちろんですぅ。馬鹿にするなですぅ(蒼星石の部屋にあったのを少し持ってきただけですが)」


ジ「でも多いな。15本はあるぞ。こんなに飲めないよ」
翠「ぷはー。おいしいですぅ」
ジ「意外とイケるクチなんだな」
翠「ほら、暇ですからトランプでもするですぅ」
ジ「自信たっぷりだな。だが負けないぞ」
翠「手加減しませんからね?」
ジ「2人でするのならやはりタムズゲームだろ。早く決着するしな。ジョーカーは抜きでな」
翠「は?なんですかそれ?」
ジ「え?えっと……スピードのことだよ」
翠「翠星石は超得意ですよ。何もかけないのはつまらないですね」
ジ「(いくら得意としていても酒が入っているんだ。手元がふらつくはずだ)じゃあ、5回勝負で先に3勝したほうが勝ちで、敗者は勝者の言う事を一つきくってのはどうだ?」
翠「ベタですがそれでいいです。後悔しろ!ですぅ(何をさせましょうかねぇ)」
ジ「自分こそ後悔しても知らないからな(言ったはいいものの何にしようか考えてなかったな)」

ルールは長ったらしくなるので省略。


ジ「よし、せーのでカードを出すからな」
翠「了解ですぅ」
ジ・翠「せーの!」

<ゲームの内容は割愛>

翠「勝ったですぅ~。これで1対0ですぅ」
ジ「ちょっ、お前はコンピューターか!?」
翠「何をわけのわからないこと言ってんですかぁ~?翠星石の勝ちは変わりませんよ~」
ジ「いや、半分も残ってんだけど」
翠「だから超得意って言ったじゃないですか」
ジ「勝てる気がしないんですけど」
翠「翠星石の不戦勝でもいいですよぅ?」
ジ「それは駄目だ。なんとしてでも勝つ!」
ジ(とは言いつつも勝てる気がしないんだよな。酒は意味なかったのかよ)

翠「さーて次いくですよ!」
ジ「望むところだっ!」
ジ・翠「せーの!」

<ゲームの内容はかt(ry

翠「フフフ、今回も翠星石の勝ちですぅ~♪早くもリーチですぅ」
ジ「僕も自信あったんだけどな。手も足も出ないってのはこの事か」
翠「降参しますかぁ~」
ジ「いやしない。今までは少し運が悪かっただけだ。次こそはっ!」
翠「ストレート勝ちしてやるです」


<ゲームn(ry

ジ「よっしゃあ!僕の勝ちだ!」
翠「手札事故ですぅ。引き運が悪かったですぅ」
ジ「うーん。確かにね。だが敗けられないんだ!(こいつが何言ってくるかわからないからな)」
翠「ですが!こっちも敗けないです!」
ジ「運も実力のうちだ」
翠「運より実力はあるんですか?」
ジ「これでも強いほうだったんだよ」
翠「チビはチビらしく低レベルな戦いをしていたようですねぇ」
ジ「今から巻き返してやるからな!」
ジ・翠「せーの!」

<g(r

ジ「ちっくしょう!敗けた(スピードがこんなに疲れるもんだとは知らなかった)」
翠「イーッヒッヒッヒ。何をさせましょうかねぇ」
ジ「炎を出せとか空を飛べとか無理なものはできないからな」
翠「うーん、何にしましょう」
ジ「別に今じゃなくてもいいぞ(それで忘れてくれると有り難いんだけど)」
翠「……じゃあそうするです。ちなみにジュンはなにを言うつもりだったんですかぁ?」


ジ「今考えたけど夕ご飯を作ってもらおうかなと思った。でもやめる」
翠「どうしてですか?」
ジ「3年前の家庭科の調理実習の時は悲惨だったからな」
翠「なっ!」
ジ「あのときばかりは本当に蒼星石がいてよかったと思ったよ」
翠「そんなことなら作ってやるです!名誉挽回してやるです!」

ちなみに汚名は返上である。

ジ「え?いやいいよ」
翠「わたしの料理は食えないと言うんですか!?××料理人と言われたからですか!?じゃあ今度からジュンの弁当は作ってきてやらんですぅ!」
ジ「なに!あれお前が作ってきてたのか?てっきり僕は蒼星石がやってくれてるものだと……」
翠「失礼な奴ですね!礼儀の欠片も持ってませんねぇ」
ジ「実習のインパクトが強かったからな」
翠「3年も前の話ですよ?そういうことばかり覚えてるんですか」
ジ「いやまさか、卵をレンジに入れるとは思わなかったからね」


翠「あれから3年ですぅ。伊達に花嫁修業してないです」
ジ「今の時代に花嫁修業って……でも、あんなうまい弁当が作れるんだから期待しようかな。」
翠「素直にそう言いやがれですぅ」

ジ「じゃ、この冷蔵庫の中にあるもの勝手に使っていいから」
翠「冷やご飯が沢山あるですね」
ジ「ああ、この頃昼飯が作ってもらえるようになったからな。そのせいだろ」
翠「じゃあちゃっちゃと作ってやるです。座って待っとけですぅ」
ジ「ああ、テレビでもみてるよ。酒を飲んだから少し気を付けろよ」
翠「そんなこと百も承知です」


翠「~♪~~♪~♪」
ジ(飯作ってるだけなのになんであんなに機嫌良いんだ?それはそうと今日あいつらみんな弁当食ってたな。いつも多めに持ってきてる雪華綺晶ならわかるが他のは……?意味がわからないな)
翠「ほら~できたですよ~」
ジ「はやっ!さすがにはや過ぎやしないか?」
翠「手っ取り早く冷蔵庫の中のご飯を使ってチキンライスにしたですぅ」
ジ「じゃあ……早速」
翠「……どうですか?」
ジ「くっ……」
翠「なんとか言いやがれですぅ」
ジ「……参りました。完敗です。とってもおいしいです」
翠「ふふふっ。良かったです。少しは見なおしたですか?」
ジ「かなりね。うまい飯食って風呂入って今日はもう寝るか」
翠「ちゃんとビデオ持ってきたから寝る前に観るです」
ジ「そういえばそんなこと言ってたな」


ジ「ご馳走様でした。ありがとうございました。」
翠「わかればいいんですよ」
ジ「風呂沸いてるから先に入れよ(後から入れるようにして部屋のなか荒らされたり、いきなり乱入とかされたら非常に困るからな。酒が入っているときは油断ができない。いつもと変わらないけどさ)」
翠「じゃあ先に失礼するですぅ」

翠「~~~♪♪」
ジ「先に二階に上がっとくから、終わったら言いにこいよ」
翠「わかったですぅ~」


ジ「さて、見つかってまずいものは天井裏に隠しておくか」
ジ(特にベジータがいつも置き忘れるアレな本。見ないって言ってるのに何故か持ってくるんだよな。絶対わざとだろうね。まあ、あいつは学校一の不思議な奴だと思う。
僕が言うのもなんだけど、ここの偏差値は意外と高い。それなのに中学では下から数えたほうが早かったのにこの学校に合格してたし、
高校でも寝てばっかりで、テストの結果も悲惨なものなんだが、なんでか知らないけど留年していない。本人は『蒼嬢への愛だ』と言っている。意味不明だろ。
僕はこんなやつと一応親友なんだよね。中学の頃からの。結構気さくで……)

ジ(……じゃなくて、とっとと終わらせないと)


翠「気持ち良かったですぅ~。ジュン次どうぞですぅ」
ジ「ああ、わかった(ふう、間一髪)。くれぐれも漁るなよ?」
翠「わかってるですよ」


《JUNサイド》

ジ(さて不安要素がたっぷりあるわけだからさっさと入って寝ることにしようか)
ジ「ああ~気持ちいい~。極楽だ~。リラックスリラックス」


J翠(あれ?ここは?また寝ちゃったのかな?)


?「キャーーー!いいわねいいわね~!やっぱり私の見込み通りにあうわね~」
J翠(?シャッターの音か?)
?「はは、それはどうも」
金「ジュンはとっても綺麗かしら~」
J金「ははは、すごく微妙な気分だけどね」
金「でもカナだって負けてないかしら」
J金「僕が勝ってもあまり嬉しくないような気がする」
J翠(ちょっ!さすがの僕でも女装はしないよ!つかさせるな!)
金「みっちゃんのセンスはいいかしら」
み「そうよねそうよね~!」
J金「ちょ……うわああ!僕の頬が摩擦でまさちゅーせっちゅー!」
金「カナのほっぺもまさちゅーせっちゅー!」
J翠(…これはコントですか?ツッコミ要素満載だ。金糸雀の家には行きたくないな。つか戻るべし)


ジ「……こんなもの見るのならおちおち寝てもいられないな」


《翠星石サイド》
翠(ヒヒヒッ、行ったようですねぇ。まずは机でしょうか)

机―→なんの変哲もない。上にパソコンが乗っている。

机の引き出しを漁り始める翠星石

翠「あれ?これは何ですか?」
翠(……中学の時の集合写真ですか。懐かしいですねぇ。あの頃はわたしよりもジュンのほうが背が低かったんですがねぇ)
翠「もっとあるかもしれねえです。探すです!」

妙な気合いが入っている。やめる気はないようだ。


翠「これは?……翠星石と蒼星石とジュンが写ってるですぅ。のりと一緒にキャンプに行ったときですねぇ。ほとんど3人で写ってるですね。でもいつかは2人で……」
翠(って何考えてるですか!…もう30分は経ちましたね。元に戻しておきましょうか)

翠「遅いですぅ。もう寝ちまうですよ」
翠(あぅ~このベッドジュンの匂いがするですぅ~)

ゴロゴロゴロ


ジ「すっ……!って!」

そこには枕を抱くようにして布団の中でゴロゴロしている翠星石の姿があった。
ジ(すんごく幸せそうだな。いつもあんなことしてんのかな)
翠「ーーー♪~~ひゃに?」
ジ(こっち見てるね。うん)
ジ「お楽しみのところ邪魔して悪かった。じゃっ」
翠「こっ、こら!勝手に入って勝手に覗いて勝手に出ていくな!ですぅ」
ジ「いやなんかな、極上の幸福顔で遊んでたからね。邪魔だと思って」
翠「せめてノックぐらいしろですぅ!」
ジ「ちょ、ここ僕の部屋」
翠「うるさいうるさいです!」
ジ(この状況なんとかしないと)
ジ「ほ、ほら……ビデオでも観て機嫌なおしてくれよ」
翠「……」
ジ「だ……だめか?」
翠「…そうでしたね。観てやるです。もちろん一緒にですよ?」
ジ「ようし、じゃあ観ようか。何か持ってきたんだろ?」
翠「ええと……これですぅ!」
ジ「ビデオじゃなくてDVDだな。ここで観るかそれとも下で観るか?」
翠「ここでいいですぅ」
ジ「わかった」


ジ(普通に恋愛ものだな。やっぱり女の子はこういうのが好きなのかな)
翠(作戦Α‐3実行ですぅ。いい雰囲気になって……)

カパッ

ジ(!!!これは生物災害!どうみたって〇゛イオハ〇゛ードです。本当に……じゃなくて、パッケージはダミーか!意外と策士なのか?)
ジ「こんなもんお前観るのか?」
翠「失礼ですね!これでも翠星石は女の子ですよ」
ジ「そ、そうか(男女の関係があったとは知らなかったな)悪かったよ」
翠「そうですよ」
ジ「と言って何故に腕を絡ませてきてるのでしょうか?」
翠「普通こうやってみるもんなんですよ。知らなかったですか?」
ジ「そうとは知らなかった」
ジ(いつもの恨み辛みで僕への逆襲かなんかで怖がらすつもりだろうけど今度は負けないぞ)
翠(ジュンと一緒に観るですぅ♪)


二人とも腕組んでくっつきあって傍からみれば仲睦まじいのだが、みているのがヴァイオじゃムードの欠けらもない。

翠(あれ?こんなオープニングでしたっけ?)
ジ(あんまり恐くなさそうだな)


翠(あうぅ…これ翠星石が持ってきたのと違うやつですぅ。でも恐くて声がでねぇです)
ジ(震えてる?雰囲気だすためか?さすが策士。だが負けん)


翠「ぁぅぅ……ぅぅ(早く……止めるですぅ)」
ジ(まだまだっ。負けてられない)

意思の疎通など全くできてない二人。仕方ないといえば仕方ないかもしれない。


『ギャアァァァァァァァァァ!!!』
翠「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
ジ「うわあぁぁ!」
ジ(くそう、翠星石の声で負けた)
翠「ぅぅ……ヒック……グスッ……ぅぅっ……ック」
ジ「あ、あれ?何泣いて?もしかして恐かったか?」
翠「ぁぁぅ……ック……ぅぅ」

無言で泣きながら首を縦に振る翠星石。DVDを止める。

ジ「気付かなくって悪かった。ごめん」

翠星石を抱き寄せる僕。確かこうやれば安心できるんだっけ?あれ?寂しいときだったっけ?まあ、いいや。


ジ「――少しは安心したか?」
翠「………」
ジ「うーん、落ち着くまでこのままで待っとくよ」
翠「はいです……」
ジ「そうだ、下に行って温かいお茶でも飲もうか?温かいもの飲むと落ち着くかも」

季節的には一応秋。残暑がまだ残ってはいるものの、涼しくはなっている。夜なので寒い日もたまにある。

翠「もう少し……このままでいるですぅ」
ジ「そうか……。わかった」
翠(幸せですがいつまでもこうしてられませんよね……。でも、もう少しだけ…こうやって…)


翠「……ありがとうです。もういいです」
ジ「そうか。それはよかった。じゃあ、ちょっと待ってて」
翠「どこに行くですか?」
ジ「自分が寝る布団を取りに行くだけだよ。5分もかからないと思うけど」
翠「嫌ですぅ!ここにいるです」
ジ「いやでも、僕寝るところないし……」
翠「………るです」
ジ「え?悪い、聞こえなかった」
翠「翠星石と一緒に寝るです!」
ジ「ええ!?いや、それはさすがにまずいかと」
翠「たとえジュンが布団で寝ようとも、潜り込んで寝るからいいです」
ジ「……わかった。けど妙な事するなよ」
翠「男であるジュンが言うなですぅ」


翠「もうちょっと詰めないと落ちるです」
ジ「あまり無茶言うなよ」

さすがにシングルベッドに大人2人分は小さかったようだ。

翠「いい考えがあるです」
ジ「なんだ?」
翠「さっきのようにだっこするですぅ」
ジ「布団の中でか?まあこの際しょうがないか」

翠「えへへ~」
ジ「なんだ?どうかしたか?」
翠「朝までジュンとこのままですねぇ」
ジ「暖かいから風邪を引くことはなさそうだな」
翠「翠星石は幸せですよ~」
ジ「そうか、僕もだよ」
翠「なら翠星石とジュンは相思相愛ですねぇ~」
ジ「ああ、そうだな」
翠「え?」
ジ「あれだ、酔った勢いってやつだ。気にするな」
翠「翠星石は本気だったんですが」
ジ「そうか。奇遇だな」
翠「はい?」
ジ「ほら、明日は学校なんだから早く寝るぞ」
翠「今、なんて……」
ジ「おやすみ翠星石」

(続く)