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蒼星石×翠星石 - (2006/03/09 (木) 02:45:42) の編集履歴(バックアップ)
僕は私。
私は僕。
心の繋がり。
体の繋がり。
──切れることの無い、絆。
-Twins~半神~-
僕と姉さんは双子だ。
女の子らしい姉さん。男の子みたいな僕。
ちょっと鈍い姉さん。ミスをあまりしない僕。
文系が得意な姉さん。理系が得意な僕。
草木を育てる姉さん。伸びた枝葉を剪定する僕。
双子なのに、正反対な僕達。
そんな正反対な僕達にも共通点がある。
色の違う瞳、栗色の髪、寒色を好む事──大事な事を素直に言えない性格。
僕達の絆に入る傷は、多い。
きっと、他の人ならその絆が切れてしまう程。
だけど、僕達の絆は切れない。むしろ、傷付くほどに強くなる。
何回も衝突して、その度に傷付いて、そして傷を舐めあって理解する。
『ああ、姉さんはこれほど痛かったんだ。僕だけが痛いんじゃない』
きっと僕達は、この先死ぬまでこんな事を繰り返すんだろう。
傷ついて、傷つけて、お互いに慰めあって──そして、その末に、果てる。
きっと、他の人に僕達の関係は理解できない。
でも、自分たちがわかっていればそれでいい。
姉さんも、多分、同じ気持ち。
「─翠星石?」
隣を歩く姉に視線を向ける。
呼びかけられた姉が僕を見つめる。
交錯する、視線。
互いが互いを射抜いて、心の底まで見透かして。
ふっ、とどちらからともなく笑った。
「どうしたですか、蒼星石。翠星石を見つめても何も出んですよ」
茶化すような姉の物言い。不思議と不快感は、無い。
心地よい僕達の日常。
「翠星石」
もう一度、問い掛ける。
足を止め、お互いに視線を交錯させたまま、一呼吸…二呼吸。
短くも長い時間。空の上で、鳶が鳴いた。
「大嫌い」
にこ、と笑って言う僕。
大して驚く風でもなく、さりとて怒る様子でもなく、それを受け止める姉さん。
それは、きっと後に続く言葉を知っているから。僕と姉さんの共通点。
「─大嫌いだけど、誰よりも大好きだよ」
「─大嫌いだけど、誰よりも大好きですよ」
見事に、ハモった。
そう、僕達は双子。正反対だからこそ、お互いが必要なそんな関係。
僕達はお互いが半身同士。多分きっと、召されるのも一緒。
愛する相手も、幸せを感じるのも──もしかしたら、悦びすらも一緒かもしれない。
傍目には少し異常な、禁忌の絆。
でも、僕達はそれでいい。
お互いが居れば、それだけで生きてゆける。
どちらからともなく、手を取って、指を絡めた。
つがいの小鳥が、身を寄せ合うように。
視線を交し、微笑みあって、僕達は歩いてゆく。
どこまでも、いつまでも。