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蒼星石短編3 - (2006/03/26 (日) 08:09:54) の編集履歴(バックアップ)



教室。

薔「喰らえ、全日本・・・!」
J「キエェェェーー!!」
薔「くっ、ガッツが足りない・・・」
J「走れ稲妻! うぉぉぉぉおおおおお!!」
蒼「・・・二人とも何やってるの?」
J・薔「キャプ翼ごっこ・・・」
蒼「そ、そう・・・」
その後も、二人の壮絶な戦い(?)は続いた。
蒼「むぅ・・・」
蒼星石はそれを不満げな顔で見ていた。


学校が終わり、JUMの家。

J「ふぅ~」
JUMはカバンを置いて、ベッドの上の寝転がって一息ついた。
コンコンコン、窓を叩く音。
JUMはベッドから起き上がりカーテンを開ける。
窓の外に居たのは蒼星石だった。
J「どうした?」
JUMはそう言いながら窓を開ける。
蒼「入ってもいい?」
J「ああ」
蒼「・・・おじゃまします」
蒼星石が中に入った後、窓を閉めるJUM。
JUMが振り返ると蒼星石は本棚を漁っていた。
J「何探してるんだ?」
蒼星石の動きが止まる。
蒼「・・・キャプ翼」
J「? 何でいきなり?」
蒼「だって、ジュン君学校で薔薇水晶と楽しそうにしてたから・・・ 僕も、と思って・・・」
J「あ~、アレはゲームの話だから漫画読んでもダメだぞ」
蒼「・・・じゃあゲーム」
J「残念ながら今は無い・・・」
それを聞いた蒼星石は頬を膨らませた。
J「蒼星石・・・?」
蒼「・・・」
蒼星石は答えない。
J「・・・僕が薔薇水晶と楽しそうにしてるのが気に入らなかったのか?」
蒼「・・・」
蒼星石は答えず、そっぽ向いてしまった。
JUMは蒼星石に近づき、後ろから優しく抱きしめる。そして耳元で囁いた。
J「・・・ごめんよ」
蒼「・・・」
J「・・・僕が薔薇水晶と話すのが気に入らないなら、もうしない。
  確かに薔薇水晶と話すのは楽しいけど、蒼星石がイヤならもうしない。
  ・・・薔薇水晶には悪いけど」
蒼「ジュンくん・・・」
蒼星石はJUMに頬を寄せ、甘えだした。
その仕草が可愛かったので、JUMは蒼星石の頬にキスをした。
すると蒼星石はJUMの腕の中でクルッと回り、JUMをベッドへと押し倒した。
J「蒼星石・・・?」
蒼「・・・」
蒼星石は答えずにJUMの唇に自分の唇を重ねる。
JUMの口内に舌を忍び込ませ、その舌をJUMの舌と絡ませる蒼星石。
チュッ チュル ピチュッ・・・
しばらくの間、二人の口付けは続いた。
ようやく口を離した二人の間を光る糸が繋ぐ。
蒼星石はJUMの瞳を見据えて口を開いた。
蒼「・・・別に他の女の子と話してもいいけど、ジュンくんは僕だけのものだからね?」
JUMは苦笑して答えた。
J「わかってるよ」
その答えに満足した蒼星石はJUMに擦り寄る。
蒼「大好きだよ、ジュンくん・・・」
J「僕も大好きだよ、蒼星石」
ベッドの上で抱き合う二人。

そんな二人の日常。


夕日でオレンジに染まる放課後の教室、僕はそこで一人机に突っ伏していた。
その机は僕の想い人、桜田ジュン君の物。
彼は日直だったので、今は日誌を持って職員室に行っている。
僕は姉の翠星石に用事があると嘘をついてまで、教室に残っていた。
その理由は・・・
ガラガラッ 教室のドアが開く。
J「あれ、蒼星石、まだ残ってたのか」
蒼「あ、うん」
僕は身体を起こして彼に返事を返す。
J「何で僕の席に? 何か用事でもあったのか?」
彼は僕に近づき尋ねる。
蒼「うん、ちょっとね」
僕は表面上は落ち着いた様子を見せて答えた。内心はドキドキだけど。
J「なんだ?」
僕は一拍間を置いて口を開く。
蒼「・・・君と二人っきりになりたかったから」
J「えっ?!」
二人の間に沈黙が訪れる。
心臓はさっきからドキドキしっぱなしだ。
そして僕は沈黙に耐え切れなくなって思わず・・・
蒼「なんてねっ」
J「へっ?」
こんな冗談めかした言葉を放ってしまった。
ジュン君はキョトンとした顔をした後、頭を掻いて呟いた。
J「・・・変な冗談言うなよ」
蒼「ごめんごめん」
J「・・・その冗談、ベジータには言うなよ。アイツ本気に取るから・・・」
蒼「わかってるよ」
あ~あ、一世一代の覚悟だったのに、結局冗談で終わっちゃったよ・・・
君には本気に取って欲しかったんだけどなぁ・・・
僕は席を立って、彼にカバンを渡す。
蒼「一緒に帰ろ?」
彼はカバンを受け取って答えた。
J「ああ」

僕と彼は教室を出て一緒に歩く。
こうして一緒に帰れるだけでも、残っていた甲斐があったというものだ。
J「なぁ」
突然彼が声をかけてきた。
蒼「何?」
彼は少し顔を掻いて、僕の方を向かずに口を開いた。
J「さっき言った事訂正、ベジータに限らず僕以外の男にあんな冗談は言うな。
  想像したら、なんかムカつく・・・」
・・・・・・
ジュンくん・・・ もしかして嫉妬してくれた・・・?
蒼「わかったよ」
僕は少し彼から顔を背けた、彼に僕がニヤケているのがバレないように。
J「・・・そういえば、僕に何か用があったんじゃないのか?」
僕は顔がニヤケるのを何とか押さえ込んで彼の方を向いた。
蒼「・・・用ならもうすんだよ」
J「? そうなのか?」
蒼「うんっ♪」
少しでも君の気持ちがわかった、今はそれだけで十分だよ・・・

そして僕達はオレンジに染まる街を二人で歩いた。


/終わり