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水銀燈×薔薇水晶 - (2006/03/20 (月) 21:58:29) の編集履歴(バックアップ)


  『夢うつつ』
  
穏やかに晴れ渡る、春の空の下……。

薔薇水晶は自宅の窓辺に敷き詰めた布団の上で、黒猫と共に昼寝をしていた。
閉め切った窓から射し込む温かな陽光が、微睡みを深い眠りへと誘う。
なんて心地いいんだろう。
眠気に誘われるまま、薔薇水晶の意識は薄れていった。


 銀「まったくぅ……待ち合わせの時間になっても来ないと思ったら」

その幸せそうな寝顔を眺めながら、水銀燈は微笑んだ。
春休みも今日で終わり。
みんなと待ち合わせて、目一杯、羽を伸ばす予定だったのに。

もう、間に合わないなぁ――
水銀燈は携帯を取り出すと、真紅に電話をかけた。

 銀「あ、真紅ぅ……ええ……それが、お昼寝中なのよぅ。そう……ごめんねぇ」

通話を切って、水銀燈は薔薇水晶の隣に、腰を降ろした。
降り注ぐ日射しを浴びていると、なるほど、確かに心地よい。

 銀「ふぅん? ちょっと、横になってみようかしらぁ♪」

悪戯っぽく微笑み、薔薇水晶と背中合わせに横たわる。
バランスを崩して身体がぶつかると、薔薇水晶は微かに呻いて身じろぎした。

 銀(やっばぁ……起こしちゃったかしらぁ?)

水銀燈の心配をよそに、再び健やかな寝息を立てる薔薇水晶。
よかった……目を覚ます気配はない。
水銀燈は安堵の息を吐いて、静かに瞼を閉じた。

 銀「ふぁ~。なんだか……眠い……」

昨夜は宿題を片付けるために、すっかり夜更かしていた。
気が緩んだ途端、眠気が一気に押し寄せてきたらしい。
睡魔の甘い誘惑に抗いきれず、水銀燈の心は、夢の世界へと墜ちていった。


 執「おやおや、お嬢様たち。こんな所で寝ていたら、風邪をひきますぞ」

たまたま通りがかった初老の執事が声を掛けたが、二人は目覚めない。
春眠、暁を覚えず……というヤツだろう。
執事は「仕方ありませんね」と呟くと、毛布を持ってきて、二人に掛けてあげた。

 執「とても、疲れておいでなのですね。今は、ゆっくりとお休みなさい。
   明日から、また……お嬢様たちの忙しない日常が始まるのですから」

日溜まりで昼寝を楽しむ彼女達に優しい眼差しを向けて、執事は慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。

これからも、薔薇乙女たちに更なる幸せが訪れんことを――

  ~終わり~



薔薇「銀ちゃんすごぉい・・・」

薔薇「あんなにいやらしく曲がって・・・すごくはやい・・・」

薔薇「あぁ・・・またはいっちゃう!つきささるうううううう!」



ゴール!
実況「薔薇学が誇るストライカー水銀燈がまたハットトリックー!」

銀「うふふ。私の左脚は魔法の杖よぉ~♪」

薔薇「魔法少女銀ちゃん・・・萌え~♪」

サッカー観戦

私、水銀燈は蒼星石がサッカーの代表で試合をするとかで、
誰かさんが応援にきやがれですぅとうるさかったので見に来ている。
嫌々のように感じられるかもしれないけどそれなりに楽しんでいるわぁ。

「蒼星石すごいわねぇ・・・」
「・・・・・・」

「ほらみて。この雑誌に"蒼星石は女子サッカー界最高の司令塔、男性選手と比較しても
失わない輝きを持っている"ですってぇ」

「ふーん・・・」

「"またその美貌により多数のファンがついており日本女子サッカーをメジャーにする立役者"かぁ」

事実スタンドは日本の、というより蒼星石のサポーターが多く見受けられ、彼女がボールを持つたびに
黄色い声援を送っていた。

キャー!!
蒼星石が高難易度かつ美しいフェイントでディフェンスを置き去りにした。

「すごいわぁ、あれエロシコよねぇ」
「それを言うならエラシコだよ・・・」

そして次の瞬間、今日一番の完成がスタジアムを揺らした―
蒼星石がディフェンスラインを完全に崩壊させ、相手GKにフェイントをいれる余裕をみせてのゴール。

すごくかっこいい。これはファンが沢山できるのも仕方がないと思う。

「あらぁ、私もほれちゃいそ・・・」
感想を述べている途中にほおに激痛が。

ぎゅー!!

薔薇水晶があらん限りの力をこめて私のほっぺをつねっていた。
「ちょ!!いはいいはい!!ほおがおひる!おいしくない意味でほおがおひるうううう!!」

「そうやって蒼星石の話ばっかりして・・・私を怒らせていじめてほしかったんだよね?
 ほんとは銀ちゃんがMだってことちゃあんと知ってるんだから・・・」

「ぎゃああああああちぎれるうう!死ぬ!死んじゃう!
 まま!今まで育ててくれてありがとうございました!先立つ不幸を―」

真っ赤になるほどつねられたあとやっと解放された。
「あのこに変な冗談を言ってるといつかまじで殺されるわぁ・・・」
本気でびびった水銀燈。
薔薇水晶のほうは
「私からは逃げられないよ・・・♪」
と、とても上機嫌だった。

試合のほうは蒼星石の大活躍により、見事他国との親善試合に勝利したという。

―了―