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水銀燈短編32 - (2009/08/08 (土) 20:21:10) の編集履歴(バックアップ)


むかしむかし、あるところに悪戯好きな銀狐がいました。
ある日、銀狐がゲリラ豪雨で増水した小さな川のそばを歩いていると、
三十路に差し掛かりつつある女が服の裾をまくりあげて川に足を踏みいれ、
網を張り、ものすごい形相で魚を追っていました。
み「おるぁウナギはいねがー!?いたら大人しく網に入りやがれー!」
銀「こ…怖いわぁ」
三十路女の剣幕に怯えつつも、銀狐は、川岸に置いてあるびくの中に、
小さなフナや真っ赤な金魚に混じって、大きなウナギが入っているのを見ました。
銀「あ!ウナギがいるわぁ!」
銀狐は嬉しそうに言いました。そして、自分の飼い主の病気がちの女の子に
このウナギを食べさせたいと思いました。そうと決まれば行動が早い銀狐は、
びくに前足を突っ込み、苦心してウナギをつかみ取りました。
しかしウナギも抵抗し、銀狐の首にまとわりついてしまいました。
銀「ちょ!ちょっとぉ苦しいわよぉ」
銀狐がジタバタしているところへ、先ほどの三十路女が突進してきます。
み「この泥棒狐ぇー待たんかあぃ!!」
銀「きゃぁ!」
三十路女こと草笛みつは、狐の首に絡まっているウナギをめがけてダイビングを
慣行。銀狐は取り逃がしましたが、ウナギはみつの手の中にしっかりと握られていました。
み「ふふふ…私のウナギを取ろうなんて…ん?」
違和感に気付いたみつは手の中のウナギに目を向けました。
そこには、ウナギではなく、「なまえ:銀狐の銀ちゃん かいぬし:柿崎めぐ」
と書かれた首輪が残っていました。
びくの中に入っていた魚たちも、この騒動に乗じて川に逃げ込みました。
その一匹、大きな金魚は、「ありがとうなのだわ銀ちゃん」と言ったとか言わなかったとか
銀「ただいまめぐぅ!ウナギ取ってきたわよぉ!」
布団に横になっていた少女が体を起こしました。
め「あらお帰り銀ちゃん。取ってきたんじゃなくて盗ってきたんでしょう?」
銀「もう、めぐのいじわるぅ」
め「冗談よ冗談。銀ちゃんったら可愛いわねぇ」
めぐは銀ちゃんののどをなでてやります。
銀「ごろごろごろ…」
め「あら、首輪がないわ」
銀「取られちゃったぁ」
め「まあウナギと引き換えってことね」
二人は、炭火をおこし、大きなウナギを蒲焼にしました。

蒲焼の美味しそうなにおいを辿り、草笛みつは柿崎家を探り当てました。
ドアの蹴破られる音とともに家に突入してきたみつを見て、あつあつのウナギを
口に入れようとしていた銀ちゃんとめぐはしばらく呆けていました。
み「そのウナギ私のっ!!この銀狐が盗んだのよっ」
め「可愛いでしょう?銀狐の銀ちゃんって言うのよ」
み「知ってるわよ!それより私のウナギ!!」
め「あら、あなたのウナギ?そもそも川の魚は無主物だから誰のものでもないわ」
み「でも私が捕ってびくに入れといたウナギだから私のよっ!!」
銀「びくびく」
め「まあ細かい事は気にしないであなたも食べましょう」
み「…家で夏風邪ひいて寝てる姪の分もタッパーに入れてもらえるかしら?」
【土用の】【丑の日】


銀「あなたのうなぎ拭いてあげるぅ」
ジ「えっ!ぼっぼぼ僕のうなぎを…?///」
銀「ええ☆早く出しなさいよぉ」
ジ「…じゃあお言葉に甘えて…」
銀「って何ズボン下ろしてんのよぉ///」
ジ「えっ…だって僕のウナギ…」
銀「うなじって言ったのよぉ!汗が流れてたからぁ!もぉ…///」
ジ「ごめんごめん」
銀「今度やったらジャンクにするんだからぁ…」
ジ「ああ」
銀「てか早くズボン上げて」
【土用の】【丑の日】


月の光を浴びながら、貴方は今夜も歌っていた。
隣に座った私は、今にも落ちてきそうな星空を眺めている。

「……綺麗ね」

貴方は歌うのを止め、小さな声でそう呟いた。
私も小さな声で「そうね」と短く答える。
見上げた月が、いつもより優しい色に見えたから。
でも貴方は少し微笑みながら、歌のかわりに言葉を紡いだ。

「月の事じゃないわ。貴方の事よ、水銀燈」

いつもと同じように少しズレた貴方の言葉に、私はつい少し微笑んでしまった。

「何を今更……気付くのが遅すぎるわねぇ」

ほんの少し挑発的な笑みを浮べて、貴方に向き直る。
私に見つめられた貴方は嬉しそうに目を細め、それから空に輝く月へと視線を向けた。
また、貴方の歌声が聞こえる。
私も、月へと視線を向ける。

貴方の歌が終わり、今度は風が揺れる音を聞く頃になっても、私はまだ月を見上げている。

「……綺麗ね」
再び、貴方は呟いた。

「しつこいわねぇ……そんなに褒めたって何も出ないわよぉ?」
そう言い、私は貴方へと視線を向ける。
「ううん。今度は月の事」
瞳の中に夜空を映しながら、貴方は小さな声で言った。

私は一瞬、からかわれたのかとも思ったけれど……
どこか哀しそうで儚げな貴方の横顔に、言葉を詰まらせてしまった。

貴方は空を眺めている。
私は、その貴方を見つめる。

「死んだら、鳥になりたいと思ってたけど……お星さま、ってのも悪くないわね」
星の流れに思いを馳せるように、貴方は小さく呟いた。

不意に、胸の中に寂しさに似た想いが広がってくる。

「……馬鹿言ってるんじゃないわよ……」
視線を貴方から星空へと移し、私も小さく呟く。

二人で、静かに流れていく星空を眺めていた。

「……ごめんね、水銀燈」
貴方は夜空を見つめたまま、そう言った。

「だったら……歌でも歌いなさいよ……」
私も、夜空を見つめたままそう言った。

月の光を浴びながら、貴方は歌う。
私は、今にも落ちてきそうな星空を眺めていた。


【瞳に映る】【夏の夜空】


シャクシャク
銀「スイカ美味しいわぁ」
雪「銀姉さま、皮はお食べになりませんの?」
銀「皮なんて食べないわよぉ」
雪「じゃあ私が…ムシャムシャバリバリゴクン」
銀「ちょ」
雪「美味でしたわ…銀姉さま」
銀「はひぃ?」
雪「私、もっと食べたいですわ…銀姉さまのたわわに実った二つの果実を」
銀「!?」
雪「もちろん、色んな意味で、ですわ☆」
銀「だっだめよぉ!」
雪「何故?」
銀「もっもうこれはすでにジュンのものなんだからぁ!!」
金「な」
翠「ん」
蒼「だ」
真「と」
雛「コ」
薔「ラ」
銀「ひいいい貴女達いつの間に」
雪「…惜しいですわ…私のデザート…」
【甘く響く】【西瓜の音】


ジ「なあ水銀燈」
銀「何よぉジュン改まって」
ジ「混迷を極めた今の日本には強いリーダーが必要だ」
銀「…まあ…確かに…」
ジ「残念ながら政治家連中に強力なリーダーシップを持った奴はいない」
銀「ローゼン閣下は違うのぉ?」
ジ「第八ドールはアリスではなかった」
銀「ちょ」
ジ「はっきり言ってどの政党も僕から見たら駄目だ」
銀「はっきり言うわねぇ」
ジ「都議選に乗じてアレな政党が出てきたが無力を証明しただけに終わった」
銀「政治の混乱ねぇ」
ジ「そこでだ。水銀燈、君が政党を作るんだ」
銀「ぇえ!?」
ジ「言うまでもなくその名は水銀党。薔薇の印が党のシンボルだ。ジークハイル」
銀「お前はネオナチか」
ジ「それ位強力な政党が必要だと言っているんだ。とりあえず米の大増産を公約に掲げろ」
銀「何でヤクルトじゃないのよぉ」
ジ「他にも、不登校児に愛の手を差し伸べる政策も必要だ」
銀「…」
ジ「さあ、君が総統で僕が宣伝相。これで怖いものはない。水銀党の旗揚げだ」
銀「それ以前の問題として、成人してない私たちが立候補できるわけぇ…?」
ジ「orz」
保守